ミニ四駆GB Let's&Go!! オールスターバトルMAX
【みによんくじーびー れっつえんどごー おーるすたーばとる まっくす】
| ジャンル | レースシミュレーション | 
| 対応機種 | ゲームボーイ | 
| 発売元 | アスキー | 
| 開発元 | ジュピター クリーチャーズ
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| 発売日 | 1998年6月19日 | 
| 定価 | 4,800円(税抜) | 
| 判定 | ゲームバランスが不安定 | 
| ポイント | 大幅にボリュームアップ ゲームバランスは相変わらず
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| ミニ四駆シリーズ | 
 
概要
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『ミニ四駆GB Let's&Go!!』の続編。ただし前作との通信要素は無い。
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パーツ年齢システムや鉄心のかまどによるパーツ強化、パーツの通信交換および通信交換でのみ入手可能な隠しパーツの存在などは前作と同じシステムを踏襲している。
 
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舞台が原作のWGPに準じた「GBC(グレートバトルカップ)」になった。
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それに伴い登場マシンが大幅に増加。順次解禁と言う形ではあるが、ライバルチームのマシンも全て購入可能になる。
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主人公は引き続きオリジナルキャラの主人公。この主人公が日本チーム「TRFビクトリーズ」に6人目として加入すると言うストーリー。
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GBC公式試合以外の対戦は当然1vs1。また、1試合に5人出場するルールであるところに6人チームなので、ローテーションで毎回1人お休みになる。主人公が休みになる回も存在し、その時は主人公は別のイベントが起こる。
 
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「MAX」の名の通り、WGP編の続編に当たる「MAX編」の主人公である豪樹・烈矢・マリナがエンディング後にゲスト登場する。
前作からの追加・変更点
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前作は全て個人戦の1vs1のみだったが、今作はGBCの公式試合は5vs5の団体戦となっている。
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と言っても10台のマシンで広いコースを一度に走るのではなく、5人対5人総当たり戦をやると言う意味であり、個々の試合は従来と同じ1vs1。
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総当りでチームが勝てば次に進めるため、プレイヤーが1戦や2戦落としても負けとはならない。
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自分以外のチームメイトの成績は毎回固定。序盤で当たるチームはチームメイトが多く勝つので、負け気味でも先に進みやすいが、終盤ではチームメイトの勝ち数が減るので主人公が多く勝たないと勝てない。全勝しないとチームが勝てない試合もある。
 
 
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コース数の増加。
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前作では1レースの合計は3コースまでだったが、ストーリーが進むにつれ4、5、6コース選ぶレースが登場する。
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6コースはストーリー中では終盤の特に強いボス戦だけだが、クリア後はほとんどのレースが6コースとなる。
 
 
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コースのバリエーション追加。
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前作ではオンロードのみのコースとオフロードのみのコースしか存在せず、それらが複数組み合わされた構成のコースでも、コース間のピットインでオン専用とオフ専用のタイヤを付け替えればよく、両対応できるゴムタイヤの存在価値が薄かった。
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今作ではコースの一部分だけがオフロードになっているものが登場し、ゴムタイヤの利用価値が上がった。
 
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新パーツカテゴリ「GPチップ」の追加。
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アニメにもあったシステムで、ミニ四駆に搭載されている頭脳の役割を果たすコンピューターチップ。コースに対する経験値、そのマシンの性能を引き出す走り方の学習をするもので、一般のマシンとの性能差を決定付ける大きな要因の1つになっている。
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ゲームでは流石にそこまで再現はできないので、「ストレート」「コーナー」「スロープ」の3種のレベルが設定されており、走ったコースによってどれかのレベルが上がっていく。レベルが上がると、例えばストレートなら直線スピードに加算される。
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原作でのGPチップはあまりバリエーションが出てきておらず、少なくとも1人のマシンが違うチップを使い分けると言った事は無かったが、このゲームでは多種なチップが登場する。
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後半で手に入るチップほど各レベルの限界値が高い。また、特定のレベルの限界値が他より高いチップなどもある。
 
 
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バトルレースの追加。
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特定の、バトルレースを仕掛けてくるレーサーとの対戦では、ピットインに入るごとに特定のパーツにダメージが与えられる。攻撃を受けたパーツはパーツ年齢が進み、99を超えれば当然壊れてパーツが消滅する。
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モーターや電池などの走行に必要なパーツが破壊されるとマシンが停止してしまう。ローラーが破壊されるとコーナーを曲がれずにコースアウトしてしまう、など。
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バトルレースを仕掛けてくるレーサーは対戦前にそういうことをするキャラだと分かるようになっているので、そういったレーサーとの対戦前には通常の磨耗用よりもさらに多めの予備パーツを持ち込む必要がある。
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バトルレースに対抗するための防御用パーツも存在する。ただし万能ではないので、予備パーツでカバーするのとどちらが良いのかは考える必要がある。
 
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エンディングを迎えるまでは主人公からバトルレースを仕掛けることはできない。敵から仕掛けられる攻撃をかいくぐって正当なレースを頑張るのみ。
 
評価点
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登場マシンの豊富さ。
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TRFビクトリーズメンバーのマシンはマグナムセイバーやスピンアックスからビートマグナム・バスターソニック等まで全て網羅。
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ライバルチームのマシンも当然網羅。ベルクカイザーのL・Rだけに留まらず、ベルクマッセやクーロンなどの非主要キャラのマシンも登場、購入可能。劇場版のガンブラスターXTOもある。
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フラワーアックスやブラックセイバーなどのGPレーサーですらないキャラのマシンも購入できる。もちろんGPチップを乗せて出走可能。WGP編に登場するマシンは根こそぎ網羅されていると考えて間違いない。
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クリア後要素としてマックスブレイカーやシャドウブレイカーも登場。
 
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GPマシン(グランプリマシン)の気分を味わえるシステム。
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パーツの強化改造ではない手段で成長するパーツ「GPチップ」の追加により、前作とは違う「マシンを育てる」感覚が味わえる。
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先述のように「マシン独自の必殺走行を学習させる」なんて事はシステム上無理があるのでできないが、エンディングを迎えるまではGPチップ自体の性能限界とは別にレベルの上昇上限が設けられており、全レベルを限界まで上げることができないようになっている。そのためストレート重視で育てたチップを使うかコーナー重視で育てたチップを使うか…と言う選択が生まれる。
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チップだけで劇的なほどに変化がある訳ではないが、後述のようにシビアなセッティング調整が要求されるレースが多数あるので、やり込むならばGPチップの育成バランスにも気を使う必要がある。
 
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前作同様の大人カップ以外にもやり込み要素の増加。
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ゲーム中に達成した要素によって「トロフィー」が与えられる。
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本編のGBC公式試合で戦う相手チーム5人のうち、リーダーは他のメンバーとは一線を画する強さになっており、その時点の順当なセッティングでは歯が立たない強さになっている。
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試合に勝ってストーリーを進めるだけならば、一部を除いてリーダーには勝たなくても良いようになっている。
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予選終盤のvsロッソストラーダ戦はリーダーを含めて5戦全勝しないとチームは勝てない。ただし元々予選で全勝しなくても決勝にはいけるので、普通にストーリーを進めるとここは黒星がつくのが普通。もちろん頑張れば勝って全勝で決勝進出できる。
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決勝最終戦のvsアイゼンヴォルフ戦もリーダーを含めた5勝が必要で、かつ勝たないと話が進まない。ただ、リーダーのミハエルは他メンバーより早く、汎用なセッティングでは歯が立たない強さではあるものの、他のチームと戦ったときのリーダーのように理不尽な強さではないので、多少の工夫で勝てる。
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それ以外のリーダーも、勝つことが不可能な訳ではない。かまどによる強化、パーツ年齢に対する性能推移が特殊な形になる特殊パーツなどを駆使すればきちんと勝てるバランス。
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決勝戦以外の各試合で5勝を挙げると、賞品として特殊なパーツが貰える。また、本編レースであるGBC(と本編中のサブイベントによるレース)を無敗でエンディングを迎えた場合に貰えるトロフィーは、この強敵リーダーに勝つことも含まれている。
 
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クリア後に解禁されるマシン・パーツの追加。
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特にバトルレースに手を染めると言う選択肢が生まれる。主人公側がバトルレースを仕掛けられるミニ四駆ゲームは希少。
 
 
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パーツ変更時のレスポンス・一度に複数個の強化・パーツ年齢による能力推移をグラフでの可視化など、前作で痒いところに手が届かなかった点が改善されている。
問題点
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相変わらずの全体的な難易度の高さ。
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パーツ年齢と言う複雑なシステムの管理ができて初めてスタートラインという点は前作と全く同じであり、初見プレイヤーにはあまり優しくない。
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しかもそれらのシステムをフル活用しないと勝てないレースが複数ある。と言っても大多数は勝たなくても話が進むやり込みプレイヤー向けのレースなのだが、決勝戦の最終戦だけは勝たないといけない。代わりに難易度は他の難レースよりも低いが、店で買えるパーツを選んでセットするだけのレベルではまずクリア不可能。
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今作ではパーツ年齢による能力値の変化をグラフで視認できるようになっている。ただし使ったことのあるパーツのみ、使った年齢のところまでしか表示されない。
 
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(クリア後は)バトルレースを仕掛ける事による難易度の下落。
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エンディングを迎えた後ならば特定のショップにてバトルレース用のパーツを購入することができ、相手のマシンを実際に攻撃できる。
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主人公がバトルレースに手を染める事に対しての仲間からの批判やルール上のペナルティと言ったものは一切無く、原作ではバトルレースをハッキリ否定する性格だったキャラクターのマシンをボコボコにして走行不能にしても、通常のリタイアと同様に扱われてこちらの勝利となる。もちろんレース後は正々堂々と戦って勝ったのと同じように話が進む。
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そのため、クリア後に登場する、まともにレースするととてつもなく速い強敵相手でも、マシンを破壊してリタイアさせて勝つと簡単に勝てる。
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しかも、原作やアニメのように走行中にマシンを追いつかせて直接接触させる必要が無く、必ずマシンが一時停止して追いつくピットインの付近で攻撃するので、周回遅れによる失格にならずに必要な回数だけピットインにたどりつける程度の速さがあれば、相手より圧倒的に遅くても勝てると言う邪道極まりないセッティングがまかり通る。
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その中でもローラーに攻撃するパーツ「カッター」が特に使いやすく、ローラー攻撃用のパーツだけをフル搭載して走ると2~3コース目までに相手のローラーのどれか1つを新品から破壊にまで追い込める。ローラーを1つでも欠けさせればほぼ間違いなくコースアウト。
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妙に人数の多いアダルトカップもモーター狙いに徹すれば事実上戦うのは最後の2人のみ。
 
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ただ、バトルレースを仕掛けない場合の難易度はクリア後に相応しい難易度でまとまっているので、原作でも悪であるという風潮で書かれていたバトルレースに手を染める事を自重しさえすれば、十分にやり応えを感じられる。
 というかこちらが攻撃しない場合、敵の攻撃によりこちらが走行できなくなってしまうため防御パーツに装備枠を割かなければならなくなるので、前作クリア後の超難易度からさらに縛りを加えたような難易度になる。
 
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GPチップ育成システムの単調さ。
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先述にある通り、「GBC本編の間は」GPチップのレベル上昇に制限がかかっており、限られたリソースをどう配分するかの楽しみがあるのだが、エンディングを迎えるとこれが全て撤廃され、「一番強いチップのレベルを全部最大まで上げればOK」で全て片付いてしまうようになる。
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ただこれは、クリア後にのみ許されるはっちゃけ要素と捉える事も出来るので、難点と言うより賛否両論点とも言える。
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なお最強のチップは通信変化パーツであり、材料の一方は裏ボス撃破後に購入できるパーツとなっている。次点の1つは九十九屋で多数のパーツと交換することで、もう1つは裏ボス出現後に特定の場所で購入可能となる。
 
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通信進化の難度がさらに上昇。
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前作からある「特定のパーツ同士で交換すると別のパーツに変化する」というシステムで、前作ではモーターならモーター同士、タイヤならタイヤ同士とカテゴリが絞られていたが、本作ではカテゴリの域さえも越え、ほぼ全パーツから進化の組み合わせを探らなければならない。
 ご丁寧にも、最強であるプラチナシリーズが完成する組み合わせに至っては攻略本でさえも空欄で、一部は片方だけだが、多くは両方のパーツが空欄である。当然そんな状況でパーツを完成させられたという報告はほとんど聞かれない。
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当時インターネットが普及していなかったため解析や攻略サイトも乏しく、コンプリートできたという人はいないのではないだろうか。
 
 
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黒沢の設定について
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アニメでは無印編において改心しバトルレースを止めたのをきっかけに、WGP編ではビクトリーズを応援する味方となっていた。
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本作ではストーリー中はバトルレースを仕掛けて来ず悪者じみた口調もないので、他のキャラ同様アニメに準拠した設定である…と思いきや、クリア後はバトルレースを仕掛けてくる。彼だけ原作の設定のままというのは違和感がある。
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見方を変えれば、クリア後のおまけ故に原作設定を出してみたハイブリッドとも言えるが。
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逆に、クリア後のみ登場する土方レイはアニメ設定に反してバトルレースを行わない。こちらも原作準拠なのかどうかは定かではないが。
 
総評
前作から全く変わりないゲームシステムにより相変わらず人を選ぶが、経験者や根気のあるプレイヤーなら前作を大幅に超えたボリュームを楽しめる。
だがバトルレースの追加、チーム戦というストーリー設定により前作より増えた連戦、隠しパーツ前提としか思えないクリア後のライバルたちの速さにより、完全クリアまでの道のりはさらに上昇。一体当時の少年少女の何人がたどり着けたのであろうか?
余談
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予約者特典としてシャイニングスコーピオンXのボティがプレゼントされた。後に成型色とステッカーを変更したストームクルーザーとして一般販売された。
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前作ではほとんどのキャラが、レース前後の台詞がストーリー毎に変遷していったが、本作ではストーリーに応じて台詞が変更されるのはSリーダーのみ。
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データ上はファイヤースティンガーとシャイニングスコーピオンXも存在している。
最終更新:2021年05月22日 00:57