ミニ四駆GB Let's&Go!!
【みによんくじーびー れっつえんどごー】
| ジャンル | レースシミュレーション |  
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| 対応機種 | ゲームボーイ | 
| 発売元 | アスキー | 
| 開発元 | ジュピター クリーチャーズ
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| 発売日 | 1997年5月23日 | 
| 定価 | 4,900円(税抜) | 
| 判定 | ゲームバランスが不安定 | 
| ポイント | クソではないが難易度がかなり高い 特別仕様のパーツ付き
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| ミニ四駆シリーズ | 
 
概要
当時第2次ブームだったミニ四駆のGBソフト。本作は漫画・アニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』(以下、原作)を題材としている。
作中で行われるいくつものレース・トーナメントを勝ち抜きながら、春夏秋冬のカップ全てを勝ち抜き、「グランドスラム」の栄光を手にするのが目的。
豊富なパーツ群を用いたセッティング・フライングと隣合わせのスタートなどの基本を押さえつつ、レース中のピットインなど原作を踏襲した要素もある。
ポケモンシリーズを意識した、通信によるパーツ交換や通信対戦レースといった機能も追加されている。
特徴・評価点
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ゲーム中に登場する好きなマシンを手に入れ、使用することができる。自分の好きなマシンを購入し、好きなように改造するだけでもなかなか楽しい。
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アニメオリジナルの量産マシン「セイバー600」も使用可能。最弱マシンだがそれでもセッティング次第で速くなる。
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データ上は「バックブレーダー」も存在するが、入手方法がコロコロコミックの懸賞のみで現在は入手不可となっている。
 
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とにかくセッティングに関するパラメーターが豊富であり、セッティングをする楽しさは素晴らしい。
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スピードだけでも直線・コーナー・坂道の3種類がある。これにより『ストレートに強いがコーナリングは苦手』や『最高速は低いがコーナーは速い』といった特徴をきちんと再現できるゲームシステムになっている。
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コースアウトを抑える安定度・ダウンフォースなどのパラメータも存在し、またパーツには耐久度もある。そのため、「スピードを上げるかパーツを取るか?」「あるいは安定度を上げるパーツを取るか?」「どちらも高くなる代わりに脆くなるパーツ強化をしてピット作業を増やすか?」といったセッティングのし甲斐があり、キャラゲーでありながらゲームとしての奥深さも十分にある。
 
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レース形式は全て、2レーンのコースを使用した1対1のレース。数パターンあるコースを1~3個組み合わせてコースとし、コースの境目ではピットイン出来る。
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次のコースに合わせてセッティングを変えるなどの判断も大事。どんなコースでも走れるバランス重視のマシンで対応するということもできる。
 
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スタートではAボタンで発進となるが、合図より前に押すとフライングとしてやり直し。3回フライングすると強制敗北となる。
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CPUも2回まではフライングをすることがあるが、3回目(=こちらの不戦勝となること)は絶対にない。
 
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所持金が一定以下の状態で帰宅するとお父さんから必ずお小遣いを貰える為、パーツが買えなくなり詰むという事態は起こらない。
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お小遣いをもらう→即刻外出してパーツに散在→帰宅、と数分で帰ってきても何度でも貰える。1日に何回もボーナスが出るとは、お父さんはどんな仕事をしているんだ
 
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スーパーゲームボーイ使用時には13色対応とは思えないほど細かく色づけされている。
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原作漫画を再現したのか、中盤から『レース中にAボタンを押すと一度だけスピードが大幅に上がる』という機能が解放される(ゲーム中では「気合い」と呼ばれる)。いわゆる『マグナーム!』と叫ぶとマシンが加速するあの演出が可能になる。
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コーナー付近で使用するとマグナムトルネードも可能だが、上記のとおりオリジナルのミニ四駆レースを再現しているので当然ながらコースアウト=リタイアとなる。
 
難点
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最大の難点はなんと言っても、対象年齢層が小学生だとは思えぬほどの圧倒的な難易度。とにかく難しい要素が多い。
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序盤(それも最初期)こそ無改造でも結構勝ち抜けるが、それ以降はコースや対戦相手に合わせたパーツの組み合わせを考えなければ勝てない相手ばかり。今でも全クリできず、挫折したプレイヤーも数多い。
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終盤ともなるとパーツ強化、ピットインに割く時間(後述)を考えなければまず勝てない。特にゲームクリア後の、土屋博士や大神博士といった大人の人達を相手にするアダルトカップは屈指の難易度。
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トーナメント戦による連戦が多いのだが、途中でセーブは勿論パーツの買い足しなどが出来ず、一度でも負けるとまた最初の相手からやり直しになる。これが後述の仕様と噛みあいとんでもない難易度を生み出す。
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こういった難点は好意的に見ればオリジナルのミニ四駆レースを再現していると言えなくもないが……
 
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難易度を跳ね上げている「パーツ年齢」の概念
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店で買った時点では0だが使い込んでいくうちにあがっていき、99を超えた時点で壊れてしまう。要はパーツの耐久度なのだがこれがボディを除く全てのパーツに存在する。
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特に厄介なのがモーター。新品時点では性能がほとんど発揮されず、年齢が30を越えた辺りでピークを迎える。そして80を峠に下がっていく。
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名前にグングンやワンダーと付いたパーツなどもある程度パーツ年齢を上げないと真の力を発揮しないが、代わりに性能は非常に高い。ただしパーツ年齢の上昇が異常に速い(=すぐに壊れる)ので使い勝手は悪い。
 
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レース中であろうと99を超えた時点でパーツは壊れてしまう。モーターや電池が壊れれば即停止=リタイアだし、ローラー系統が壊れればコースアウト必至。連戦を強いられやすい本作ではパーツ年齢の消耗が激しく、判断を誤ればすぐにパーツが破損してしまう。
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しかも一律に消耗するという単純なものではない。オンロード、オフロード、コーナリング、高速といったコースの傾向の違いによってパーツそれぞれの消耗具合が変わってくる。
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「コーナーの貴公子」より「かっとび重視」の方がパーツに優しいので、ほぼ直線でマシンへの負担が少ない「コース1」を選ぶプレイヤーは多かっただろう。
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特に大会のレースでは3コース走ることになるのだが、自分で選べるのはそのうちの1コースのみ。設定上では残り1コースを相手が選び、最後の1コースはランダムとされている…のだが、実際のランダム枠では必ず相手が選んだコースと同じコースが選ばれる。そのため、消耗を抑えるためにコース1を選んでも残り2コースがオフロードのコース6といったことも頻発する。
 
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じゃあ山ほどのパーツを持ちこめば良い…とはいかず、持ち歩けるパーツ数には限りがあるのがまた難易度を上げている。
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いかにパーツを限界まで使うか、パーツ数を減らしつつ複数のコースに対応するかといった点も求められる。これ本当に小学生向けか?
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ちなみにこちらを攻撃してくるバトルレーサー達もきっちり再現。
負けると
付けているパーツ1つを破壊されてしまう。これがレース中で無くて良かった……
 
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ピットイン中も容赦なく時間は経過していきタイムに加算されるので、ピットイン作業の速さという妙にリアルな操作も求められる。ここで言う速さとは、プレイヤーが十字キーでページをめくったりするゲーム操作のスピードである。
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ご丁寧にローラーは前後左右が別々で、タイヤは前後で別パーツ扱い。これらを交換するには複数回の操作が必要となる。しかもタイヤはオンロード・オフロードの切り替えによる交換も頻発するため交換回数がうなぎ登り。
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タイヤを変える時はタイヤだけリストアップされる…なんていう便利な機能がある時代ではない。無関係のパーツまで含めた手持ちパーツリストの中から探し出して選ぶ必要がある(一応無関係なパーツは文字が薄くなり目的のパーツを見つけやすくはなっている)。
 パーツの並び順まで吟味してある場合とそうでない場合で、馬鹿にできない程のタイム差が生じてしまう。
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このためツールボックス(所持アイテム)の何番目の欄に何のパーツを置いておくかという全く新しい概念まで要求される。
 
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ストーリー中盤から開放される「鉄心のカマド」
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鉄心のカマドにて、鉄やアルミといった素材でパーツを強化できるようになる。素材とパーツの相性によっては性能がグンと上がるものもあれば、逆に性能が下がり使い物にならなくなるものもある。パーツによって適合する素材が変わってくるため、強化自体も難しい。
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とはいえ後半のレースでは鉄心のかまどで性能を底上げしたパーツでなければ厳しいため必然的に使わざるを得ない。
 
他の問題点
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どういうわけか、画面を切り替えるたびにBGMが途切れる。
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レース中は無音。さらにレース中のマシンのグラフィックはみんな一緒。
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これは処理速度の問題。実際、1台のみで走るテストプレイと通常のレースでは速度がまるで違う(後者は処理落ちしている)。
 
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クリア後にチャレンジできるとある大会では、隠しパーツがなければ勝ち上がることはほぼ不可能。更にこのパーツの入手方法が通信でのみ獲得できるのでソロプレイでのクリアは絶望的である。
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強化を繰り返すことで市販パーツでも一応クリアは可能。ただし9連戦なので予備パーツを作るのは大変。更に後述のように強化も面倒。
 
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通信プレイは中盤まで進めないと出来ない。
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中には両者ともクリアしないと出現しないモードもある。
 
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パーツ強化は一度に1つの素材しか使用できないので、複数回強化するのが面倒。
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続編の『MAX』では一度に複数個の素材を使用できるように改善されている。
 
総評
明らかに対象年齢層を逸脱した複雑多様なセッティングシステムと、それへのハイレベルな対応を要求する対戦仕様により、当時多くの子供たちに辛酸をなめさせた作品。
とはいえそのシステムは言葉・数値など使ってゲーム内できちんと明示されており、いわゆるクソゲーにありがちな説明不足や運要素による理不尽な難しさはまったくなく、純粋な高難易度によるもの。
刻一刻と変化するパーツ耐久度とそれにより増減するスピード・安定度のコースごとの調整、ピットインのためパーツ群の的確な配置、正確迅速なピットイン作業…それらをうまくこなし強敵達との連戦に打ち勝った時の達成感は言葉では言い表せられないものがあり、今でもコアなファンは多い。
余談
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本作のパッケージは紙箱ではなく特製の金属缶を使用。ソフトの他に、実際のミニ四駆で使用できる特別仕様の軽量超速ギヤーセットが付属されていた。
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主人公の友人として登場するゲーム独自の人物であるしょうた・まもる・たくや・ケンタ・あや・テツのうち、ケンタだけは原作の番外編に登場している。
最終更新:2023年11月13日 17:07