影牢 ~ダークサイドプリンセス~
【かげろう だーくさいどぷりんせす】
ジャンル
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トラップ悪ション
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対応機種
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プレイステーション3 プレイステーション・ヴィータ
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メディア
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【PS3】BD-ROM 【PSV】PSVitaカード
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発売・開発元
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コーエーテクモゲームス
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発売日
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2014年2月27日
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定価
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通常版: 7,344円 / 6,264円 プレミアムBOX: 10,584円 / 9,604円
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レーティング
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CERO:D(17才以上対象)
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判定
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なし
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ポイント
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実に9年ぶりとなるシリーズ作品 過去作の要素を形を変えて継承 バトルパートの密度に反し物語は薄い アプデ前は侵入者にボコられるゲーム
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影牢シリーズ
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概要
1996年発売の『刻命館』から始まり、その続編『影牢 ~刻命館 真章~(以下影牢)』のシステムを受け継ぐ『影牢(刻命館)』シリーズの最新作。
前作『影牢II -Dark illusion-』が目に余る問題点を抱えて発売された為、シリーズは終焉を迎えたと思われていたが、2013年末に本作の発売が発表され話題となった。
コーエーテクモもそれを意識したのか、『III』というナンバリングタイトルではなく『ダークサイドプリンセス(以下DP)』という副題となっている。
初回限定版にはゴールデンホースのDLシリアルコード、プレミアムBOXにはその他3種類のトラップのDLシリアルコード、ビジュアル設定資料集、サウンドトラックが付いている。
ストーリー(公式サイトより引用)
古の時代、この世を恐怖で支配していた“魔神”がいた
しかし、いつしか人類は結束し、魔神に対して反旗を翻した
天より力を与えられた12人の聖者が現れると、遂に魔神は封じられた
封印呪法である詩篇は“聖言(せいごん)”と呼ばれ、
12聖者が分割して所持し、悪用を恐れて末代まで秘することとなった
さらに聖者たちは、自らが聖者であることも歴史から抹消し、
聖言もまやかしの逸話と共に秘密裏に伝承されていった
それから時は経て3000年……
次元の狭間から、聖者の末裔と自身の封印を解く鍵である聖言を探し続けた魔神は
遂にその行方を突き止めた
魔神は聖言回収のため
“華麗”“残虐”“屈辱”の精神より作り出した3人の僕(しもべ)と
己が魂を分けた“娘”を人間界へと送り込んだ
自らを封印から解き放ち、堕落した人類に鉄槌を落とすために……
特徴
基本的なシステムは『影牢』を踏襲しているので、そちらを参照。
追加点・変更点など
トラップシーケンス
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これまでは△ボタンで天井トラップ、□ボタンで壁トラップ、×ボタンで床トラップがそれぞれ発動スイッチに割り振られていた為、一度に三種類を一回ずつ発動させる事しか出来ず、コンボを繋げる為には素早く新しいトラップを設置しなければならなかった。加えてチャージ時間の制約もある為、思うように罠が仕掛けられない・コンボが決まらない事も多かった。
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本作では、天井・壁・床といった枠組みを全て廃止。×ボタン一つで全種類のトラップが発動可能になった。ストーリーを一定まで進める毎にシーケンスの枠は増え、最大で7つまで設置可能。これにより、常にチャージ時間と戦いながらボタンを連打する、というシチュエーションは格段に少なくなった。また、ボタン操作によりシーケンス内のどのトラップを発動させるか任意で変更することも可能としている。
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天井・壁・床毎のトラップ装備数にも制限がなくなっており、最大装備数の枠内であれば、4つ以上の同系統トラップを装備出来るようになっている。極端な例を言えば、装備枠が9つあったとしてその全てを天井トラップで埋める事も可能である。
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これにより、これまでは到底不可能だった「床トラップのみで侵入者を倒す」といったプレイも可能になる。
アビリティ
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△・□をトラップに使わなくなった代わりに、アビリティを使う事が出来るようになった。殆どは連続で使用する事は出来ず、数秒~最大10秒をチャージに要する。中には使用回数に制限があるものも。
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攻撃を回避できる「ローリング」や、トラップシーケンスとは別にトラップ枠を設ける「トラップ発動」に加え、敵を一定時間その場に拘束する「ペインストライク」などがある。また、前作にて猛威を振るっていた、コンボ中に敵を押せるという仕様も「パワーアーム」という名を得て用意されている。
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最大で2つのアビリティを選択可能で、同じアビリティを二つ選ぶ事も出来る。
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中でも「オートディフェンス」は、使用制限無し、チャージ時間1秒、敵の攻撃が当たりそうになると自動的にローリングで回避という、実質的なEASYモードが存在するので、初心者からでもプレイしやすい。
系統
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主人公である魔神の娘・レグリナに仕える為、“華麗”を司るカエリア、“残虐”のヴェルザ、“屈辱”のリリアが、メディウムという存在として登場する。
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全てのトラップはこの3つの系統のいずれかを持ち、トラップ毎に系統値が存在する。
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主な傾向として、華麗トラップはコンボでの扱い易さに優れた物が、残虐トラップは見た目の強烈さや攻撃力の強い物が、屈辱トラップはコンボ倍率や(ヒットした侵入者やトラップ自体の)見た目のネタ性を追求した物が揃っている。
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トラップを使用する事でトラップの系統に応じた系統値が蓄積され、各系統の系統地が一定以上溜まると、その系統に属する新たなトラップが解放される。敵の体力が0になってからはいくらコンボを繋げても系統値は加算されないので、敵を殺さないようにしつつコンボを叩き込む必要がある。
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このメディウムの存在により、ストーリー中で「メディウムのお願い」というサブクエストが追加される。それぞれのメディウムが各チャプターで3~4回ずつ条件を出し、それが達成される毎にそのメディウムの系統値がボーナスとして追加、リザルト画面で反映される。
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クリアに必須の条件ではないが、縛りプレイや系統値稼ぎには有効。プレイヤーの上達を実感する指針にもなるだろう。
ウィザードギア
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全てのステージに最低一つ存在する、エリア内で移動している(一部例外あり)大型の仕掛け(以下WG)。WGの特定アクションで敵の体力を0にする(元々0でもよい)ことでウィザードギアフィニッシュが発生し、専用の演出とともにボーナスが入る。
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『影牢II』でもDark Illusionという形で大掛かりなトラップが長いムービーと共に登場したが、発動条件が分かりにくくテンポも悪くなる、という不満の声が上がっていた。しかし今回はテンポを殺さない形での登場となり、WGに当てた以降でもコンボを繋げる事が容易になった。WGフィニッシュで要求されるのは、WGの種類に応じたQTE(ボタン連打かタイミングを計っての入力)だけである。
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どちらも×ボタンを使うだけで、素早くボタンを押す反射神経が必要になったりはしない。むしろタイミングを計って入力する場合、成功判定時間そのものは長いがボタンを押すタイミングは割と遅めにしないと失敗しやすい。
アーマーブレイク
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これまでにもシリーズでは一部トラップに耐性を持つ敵、無効化する敵が存在した。当然本作にも出てくるのだが一部の敵に関しては、1回のトラップコンボ中に「弱点となるトラップを当てる→強打属性を持つトラップを当てる」という手順を踏むことで、装備しているアーマーを破壊する事が出来る。アーマーブレイク後は男女問わず肌着・下着姿となり、こちらのトラップを無効化出来なくなるほか防御力も0になる。見方によっては本作で最も重要になるシステムである。
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例えば、壁迫り出しトラップと岩トラップが弱点の敵には、プッシュウォールとメガロックを当てた後にメガヨーヨーを当てる事でアーマーブレイクを発生させる事が出来る。
トラップ
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トラップには種類があり、床からせり出す罠、壁から飛び道具を発射する罠、足や体を挟む罠などの種類がある。
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しかし全てのトラップに種類があるわけではなく、デルタホースやメガヨーヨーなど一部トラップはどの種類にも分類されていない。これらのトラップは起動が速い物が多く、どんな耐性を持つ敵にも当てる事が出来るようになっている。
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他にも、アビリティで足止めした敵、攻撃動作中の敵には耐性を無視してトラップを当てる事が出来る。
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全トラップは解放した後、強化する事が出来る。が、ダメージの数値ではなく、それぞれがトラップボーナスの倍率補正かArk倍率を上昇させる為の強化である。
プレイモード
ストーリー・チュートリアル・フリーバトル・ミッション・クロスクエスト・ミュージアムの6つ。
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ミッションモードは全部で100問。各ミッションに条件が設けられており、それを達成する事でクリアとなる。
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クロスクエストではPSNを介して問題を作成・投稿が出来る。勿論、投稿された問題をダウンロードしてプレイする事も可能。その他、自分のプレイデータを投稿して全国のプレイヤーとスコアを競う事も出来る。
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ミュージアムでは倒した敵の確認、及び保存したリプレイ動画の再生も出来る。
お気に入りのリョナ動画を保存して興奮するプレイヤーが多数存在する模様。
評価点
シリーズを通しての爽快感
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前作・前々作の主人公が受動的に人を殺めていた影響から、シリーズの持ち味であった背徳感が薄れてしまっていたが、今作のヒロインは淡々と侵入者を手に掛ける冷酷な主人公という設定になった為、正にキャッチコピー通りの「悪をプレイする」という内容にふさわしいものとなった。
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前作からハードが次世代機・次世代携帯機に移った事で、残虐トラップを当てた流血描写などに磨きが掛かる。これまでも方向性からプレイする人を選ぶ内容だったが、その傾向が一層強くなった。
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侵入者データも従来通り、「病気の父の為に働く」「病弱の妹の為に傭兵をしている」など罪悪感を覚えるようなものに始まり、「人を踏み台にしか思っていない」「金の亡者」などのゲスまで様々。まさにドS仕様である。
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加えて、本作では「聖言を持つ聖者の末裔を倒していく」というコンセプト上、各チャプターにボスキャラが存在する。いずれもアクの強いキャラクター性を持ち、プレイヤーに強烈な印象を残している。
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WGフィニッシュはそれぞれ固有の演出も組み込まれているので、視覚的な刺激もあり、飽きにくい。
UIの向上
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前述のトラップシーケンス以外にも、テンポを良くする為の改善が成されている。
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恒例の侵入者データは、一々インターミッションやメニュー画面から確認する以外にも、エリア内でレグリナと初めて対峙した時に『魔神の眼』を使う事で確認が可能。
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プロフィールや体力などのステータス以外にも、耐性トラップと無効トラップもちゃんと表示されるのは非常にありがたい。
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また、アップデートにより、一度アーマーブレイクをした侵入者の弱点も『魔神の眼』から確認出来る。
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強制移動の効果を持つトラップの多くは、その方向に何マス移動するかが矢印で表示される為、一目見て次のトラップを仕掛ける場所を確認出来るので、コンボが非常に楽になった。
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段差からの落下でもその位置を表示してくれるので、一々感覚と記憶を頼りにコンボを組む必要性が薄くなっているが、皆無なわけではない。例えば、同じ移動量を持つペンデュラムとメガヨーヨーでも、段差から落とすように吹き飛ばした時は移動量に差が出てくる。
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尚、ペンデュラムやスマッシュウォールなどの様な複数マスに効果が及ぶトラップもあるが、こうしたトラップで表示される矢印は『設置箇所から○マス進む』という表示であり、そこから一つずらしてトラップを設置してヒットさせた場合、ずらした分だけ着地点もズレる。
バリエーション豊かなステージ
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本作では4つのステージが戦いの舞台となるが、古城ステージの「プロシュライン城」・工場ステージの「バルマギア」・遊園地ステージの「ラプリアパーク」・遺跡ステージの「スカジーニ遺跡」とそれぞれかなり雰囲気の異なるステージが用意されている。
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特にラプリアパークは「遊園地」という過去作にもなかった要素を持つステージであり、一際異彩を放っている。
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また、戦闘中に流れるBGMもステージの雰囲気に合わせて作曲されており、重厚なクラシックからロック調の現代的な曲、さらにはホラーな空気を含んだメルヘンチックな楽曲と、こちらもステージに負けじと様々な曲調のBGMで戦闘を盛り立てている。
シリーズ恒例のおバカトラップ
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屈辱系統という枠組みが出来ただけあり、おふざけ要素を含むトラップの数も過去最高。バカゲーとしての側面も満足させてくれる。
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「タライ」「バナナノカワ」「デルタホース」など過去作で登場したものはもちろん、踏むと柄が跳ね上がり顔面を強打する「テツクマデ」や、挟んだ相手を高速スピンでヨロヨロにさせる「マンリキスピン」に加え、壁から飛ばすケーキで相手を顔面パイ状態にする「フライングケーキ」など、新規登場トラップもインパクトのある面々が揃っている。
グラフィックの向上
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順当に次世代であるPS3とPSvitaからリリースされているだけあり、前作と比較してもグラフィックは全体的に向上している。
賛否両論点
キャラクター
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聖者の末裔達が持っている聖言の欠片を集めて魔神を復活させるのが主人公の目的だが、聖言を持っているボスキャラ達が殆どクズ。掛け値なく善人と言えるのはチャプター6のボス位である。
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ほとんどのボスキャラが私利私欲や狂信で動いている悪役的な立ち位置。割と普通に見えるキャラもいるにはいるが、仕えている相手(こちらも末裔)がやはりクズというパターンだったりする。「堕落した人類に鉄槌を下ろす」というストーリーコンセプトにした為仕方の無い事かもしれないが、その所為で悪である筈のレグリナ一行が(ダークヒーロー寄りとはいえ)正義の味方にすら見えてしまう為、背徳感が薄れがち。
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また、キャラクターの性格が漫画的である事が多く、一見してギャグにしか見えないシーンも少なくない。勇者(自称)に『WM』の異名を持つドMの魔女が特に顕著。前者はその思想がキャラとして成り立っているので何とも言えない所だが、暑苦しい事には変わらない。
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メディウムの1人である「リリア」も、笑い声が「キュフフ」と言う独特のものだったり軽いノリに終始していたりしているが、「人間に屈辱を与えてプライドを打ち砕きたい」精神から生まれたと言うキャラ設定上、勇者(自称)と同じく致し方ないか。
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3Dモデルではない、アニメ調の作画も「影牢らしくない」と言われている。
EDロール
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各ボスのコンボを延々と見せるだけ。Daisy×Daisyが歌うイメージソング「Princess of Fate」の出来そのものは良いものの、過去作のクラシックと比べると人によっては違和感を感じるかも知れない。
問題点
演出
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従来作では原点の『刻命館』時代からストーリーパートはリアルタイムムービー、あるいはトラップバトルで用いられる3Dキャラを用いた会話シーンで進行しており、もちろん各種演出やカメラワークもあった。
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しかし『DP』では、ストーリーの進行が全てテキストADVの様な仕様に変更されてしまっている。キャラの表示は立ち絵のバストアップのみ。シリーズとして見ると非常に物足りない。
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PSPソフトなら問題ではないかもしれないが対応機種はPS3/PSVであり、旧作が出ていたPS/PS2に全てにおいて勝る次世代ハードである。流石に「もうちょっと頑張れよ」とは言いたくなる。
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加えて、4種類あるエンディングは全て紙芝居。各エンディングでは一枚絵と共にメディウムの3人かレグリナがナレーションを入れるが、それだけである。本当にそれだけである。『刻命館』ですら一枚絵の他に相応の演出があったのに。
シナリオ
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シナリオの出来やストーリーの流れも目立ったものはない。
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まず、シナリオの短さが目立つ。全部で12チャプターしかない。後述の長さの項目でも述べるが、1チャプターで結構な時間を取られる割にはあっという間に終わる印象。正直、前述のエンディングのあっけなさもあって達成感よりは疲労感の方が大きいかも知れない。
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シナリオの分岐条件は単純で、ストーリーに登場するあるボスキャラを、そのまま倒すか生かしたままアーマーブレイクするか位でしか生まれない。それはまだしも、ストーリーの分岐が生まれたからと言って他のチャプターで話の展開が変わる・別のイベントが挿入される、という事は殆ど無い。
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『影牢』では、会話の選択肢や倒す侵入者・逃がした侵入者によって話の流れが変わり、それに合ったムービーへと分岐していた。が、『DP』ではそれが無い。分岐が発生しても、分岐以外のストーリーは変わらずに淡々と進行する事が殆どである。
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唯一、aルートでのみ登場するボスキャラが存在するが、それだけである。そのボスが登場しなくても他のルート分岐には何の影響も無い上、他のルートであれば全4ステージを3チャプターずつで消費するのだが、何故かこのaルートのみ、ラプリアパークのステージが4チャプター分もある。当然、最後のスカジーニ遺跡をプレイ出来るのは2チャプターのみとなる。
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全てのチャプターをクリアして各エンドを見ると、設定や魔神復活の条件などに矛盾がある。誰でも気付ける様な矛盾点なので、制作側も意図した物なのだろうが、これまでのシリーズではこうした分岐毎のパラレル要素は無かったので、違和感が強い。
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エンディング自体はそれほど悪い物ではないのだが、シナリオの短さからくる描写の薄さが目立ってしまっている。特にaエンドでは目立ったトラブルもなく聖言が集まってしまったためか、より一層あっさりと(人によっては唐突に)物語が終わってしまう。
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ついでに言えば、レグリナが何故トラップを使った攻撃しか出来ないのか、という補足説明が一切無い点も気になる。
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その他、システムの問題にもなって来るが、捕獲した侵入者は結局捕獲したままそれ以上何をする事も出来ないなど、「もう少しここをこう出来たのではないか?」という意見は多い。
難易度
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本作に難易度調整は無いが、前述の様にオートディフェンスとリカバリーをアビリティに使用する事が実質的なEASYモードとなっている。理由には、UIも向上し、トラップシーケンスによるスムーズなトラップ発動などの影響からか、全体的に敵の難易度が引き上げられている事が挙げられる。
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それ自体に問題は無いのだが、敵が最大で3人同時に出現するようになった事、敵の攻撃動作のキレが良い事、敵の走る速度が全体的に速く足を速くするスキルを使わないとなかなか引き離せない事、追尾性能を持つ遠距離攻撃・高速で遠距離攻撃を放つ敵がほとんど全てのチャプターで出てくる事が問題となっている。
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タイミングとレグリナの立ち位置が悪ければ、敵キャラ3人に囲まれてあっという間に体力満タンから死亡してしまう事も珍しくない。多段ヒット・複数ヒットの攻撃をしてくるキャラ2人に囲まれて回避スキルを付けていない場合など、まずゲームオーバー直行である。
シリーズ最弱のお姫様と呼ばれる事も多い。
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弓兵の弓や暗殺者のナイフなどの飛び道具は、撃つ・投げる瞬間までこちらを完全に捕捉している(いわゆる銃口補正が完璧)。しかも高速で飛来してくるので、回避スキルが無ければ遠距離以外回避不可能。更に発射のタイミングがわかりづらいため、手動の回避スキルがあっても警戒して見ていないと難しい。
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かといって近接攻撃がマシかというとそうでもない。攻撃頻度は高くないが、振りが早い上にカスってなくても当たってしまう謎判定。それでダウンを取られたら、他の敵も到着して囲まれる ⇒ 攻撃を回避したところに別の攻撃をされ(以下略な展開も。
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特にガス兵や火炎兵の投げてくる爆弾にはストレスが溜まり、ストーリー終盤に出てくる上位クラスの暗殺者は素早く移動する上にワープをしまくるので、思わずコントローラーやPSV本体を投げたくなったプレイヤーも多いのではないだろうか。
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ゲーム前半のボスの1人や終盤に出てくる銃騎士に至っては、もはや卑怯とすら感じるレベル。銃撃を喰らうと強制的にダウンさせられるのだが、近距離で撃たれると「ダウン ⇒ 起き上がる途中で撃たれる ⇒ ダウン→起き(ry」という無限ループがほぼ確定し、たとえ敵がその1人だけだろうとハメ殺しの憂き目に合う。
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現在はアップデートが配信された事で、攻撃頻度と移動速度にマイナス補正が入ってかなり快適になった。それでも前衛タイプの敵に気軽に接近するのは危険過ぎるが。
チャプターの長さ
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恐らくプレイヤーの不評を買った一番の問題点。前述の様にチャプターは全部で12しかないが、1チャプターが異様に長い。
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侵入者が1チャプターに10人以上はザラで、最終チャプターでは15人を相手にする事になる。
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各チャプターは3つのバトルパートに分かれていて、それぞれ2回、一度リザルト画面に入って途中経過が確認出来る。この際、使用回数制限のあるアビリティと室内の仕掛けがリセットされ、体力も全回復した状態になる。
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…が、このリザルト画面はチェックポイントに過ぎない。一度途中経過のリザルトを挟めば、その後のバトルでゲームオーバーになったりリトライをしても、リザルト画面後のバトルから再開出来る。しかしセーブが出来ない為、もしも中断せざるを得ない状況になってインターミッションに戻った場合、もう一度そのチャプターの始めからのプレイとなる。どんなに苦労してストレスの溜まる相手を撃退しても、チャプターをクリアするまでは絶対にセーブ出来ない。
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スリープ機能のあるPSV版はともかく、PS3ユーザーはこの仕様にストレスを爆発させた。わざわざ高い方を購入してこの仕様では堪ったものではない。更にはエラー落ちも確認されている。
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テキストADVや紙芝居ED、そしてこのスリープ機能推奨の仕様の為、「元々PSV向けに開発していたものをPS3に移植したのではないか?」という疑惑が生まれた。
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難易度と同じくこちらもアップデートにより、途中リザルトが表示された後のセーブが可能となった。が、セーブをしようとしまいと一度インターミッションに戻されてしまうのでテンポが若干悪い。また、戦いの最中なのに装備をじっくり整えられるという事で難易度が低下した様に感じられる。
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もっとも、バトルパートの配分を見れば過去作での1チャプターが本作での1バトルに相当するとも言えるので、それを踏まえるとアップデート後の状態でちょうど良い難易度なのかもしれない。
コスチュームチェンジ
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ストーリーモードをエンディングまで進めるか、ミッションを一定数クリアすることで、シリーズ過去作のヒロインや他のゲームに登場するキャラのコスチュームが解放されていく。
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が、過去作の中でなぜか『蒼魔灯』のヒロイン、レイナのコスチュームだけない。自社発売のゲームとコラボレーションすること自体は全く悪い事ではないのだが、優先順位が違うのではなかろうか。
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また、コスチューム自体の出来は良いのだが、前作とは違い髪型・髪色はコスチュームに合わせて変化しない。そして本作のヒロインであるレグリナの髪の色は白である。つまり、いくら完成度の高いコスチュームに着替えたとしても、真っ白な頭がどうしても悪目立ちして全く似ていない。
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せめて髪色だけでも変化してくれれば、パッと見ですら生じる違和感はなくなったはず。特に初代『影牢』のミレニアとは髪型がそっくりなので、黒髪に変わってくれればより外見が近くなったであろう。
カメラワーク
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本作の一部の仕掛けには、同じ部屋にあるスイッチに自分で触るかトラップを当てることで起動・変化するものがある。それらの仕掛けを起動させると、カメラが仕掛けを映す固定視点へと切り替わる。
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ただし、カメラの視点が変わることによりレグリナを思わぬところへ移動させてしまったり、そもそもカメラに映ってすらいない場合もある。間違って敵が近くにいる時に仕掛けを起動しようものなら、カメラが元の視点に戻るまで状況判断もままならないケースもある。
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トドメにこの視点変更はオプションでのON/OFFが出来ない。初プレイ時で仕掛けの性能や挙動をよく知らない時はまだいいのだが、それを把握したプレイヤーにとっては完全にプレイの妨げになってしまっている。
3Dグラフィック
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PSV版は可変fpsにより、時々キャラクターのジャギが酷く目立つ時がある。
乳房はちゃんと揺れるのに…。
総評
『影牢』シリーズとしての原点回帰、プレイアビリティの改善という点で順当に進化した影牢の新作であり、前作がシリーズにトドメを刺したと言われていたファンにとって本作のシリーズ復活は喜ばしいものだった。
ストーリーは物足りない出来映えだが、トラップアクションという独自のジャンルの魅力は健在。修正パッチにより上記の大きな問題点も改善されているので、新生影牢としてプレイするには申し分無い出来と言えるだろう。
余談
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2015年、アッパーバージョンであり続編でもある『影牢 ~もう1人のプリンセス~』がPS4/PS3/PSVで発表されている。
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本作のストーリーモード「ダークサイドプリンセス」に加え、新たな主人公「ヴェルギリエ」の物語を描くクエストモード「ナイトメアプリンセス」が収録されている。
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クエストモードは会話イベント付きでチャート形式のミッションモードという形で、旧作の主人公が
『刻命館』の彼以外の女子限定でゲスト出演したり、現代風のマップや敵も登場したりと一風変わった作りになっている。
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また、パーツを組み合わせてオリジナルの侵入者を作る事が出来るモードも追加されている。
最終更新:2022年11月08日 15:30