劇場版 魔法少女まどか☆マギカ The Battle Pentagram

【げきじょうばん まほうしょうじょまどかまぎか ざ ばとる ぺんたぐらむ】

ジャンル アクション
対応機種 プレイステーション・ヴィータ
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 アートディンク
発売日 2013年12月19日
定価 通常版/ダウンロード版:5,980円
限定BOX:8,980円
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 なし
ポイント 手軽で奥深い(?)アクション
まどマギ版ガンダムバトルシリーズ
魔法少女まどか☆マギカシリーズ
ポータブル / The Battle Pentagram / MAGICARD BATTLE


概要

  • 『ポータブル』と同様、ADVとの2パート構成だが、TV版以上の暗い展開を含んでいた前作とは異なり、本作は「5人の魔法少女の絆」を強調した比較的明るい作風になっている。
    • 本作を明るい作風のアクションゲームにしたのは、前作のアンケートやスタッフの反省を踏まえたものであると、『電撃オンライン』などゲーム情報サイトによるスタッフインタビューで語られている。
      • 『ポータブル』の続編ではないが、本作の制作には「前作の反省」が意識されており、『ポータブル』は名実とも「前作」に位置づけられている。
  • 「劇場版」を冠しているが、本作の発売より1年前に公開された『[前編]始まりの物語 / [後編]永遠の物語』=TV版と同じ時間軸を題材にした物語である。
    さやかの髪飾りの追加、前後編の新作映像・新曲が使われている程度の違いしかなく、本作の発売直前(同年10月)に公開された『[新編]叛逆の物語』の要素はない。

ストーリー

もう何度同じ時を繰り返してきたのか、暁美ほむら自身も数えるのを止めてしまってから久しく。
最強の魔女"ワルプルギスの夜"に対して勝てる見込みのない戦いを幾度なく挑んでは、
今回もいつもどおりの結末を迎えるかと思われた最中、鹿目まどかが彼女にこう託したのだ。

「5人の魔法少女全員が力を合わせたら、"ワルプルギスの夜"にも勝てるんじゃないかな……?」

その言葉を胸に、ほむらは再び時を巻き戻す。
5人の魔法少女の絆を繋ぎ、全員が協力して"ワルプルギスの夜"を倒すために。(公式サイトより)

システム

  • 「昼(DAY TIME)」はADVパート。マップ上に散らばった魔法少女を選択してイベントを読み進める。
    • ほとんどの場合、魔法少女が複数登場し、「絆値」が上がる。
      一定以上の絆値でイベントが自動発生。ACTパートで同時出撃させたときにステータスにボーナスが得られ、「コンビネーションマジック」も解禁される。
  • 「夜(NIGHT TIME)」はACTパート。プレイヤーとパートナー(CPU)の魔法少女を1人づつ選択して、魔女結界を攻略する。
    • 前日に挑んだ結界や、ADVパートで選んだ会話に応じ、別の魔女結界が出現したり、魔法少女同士の模擬戦になるなど、ステージは複数登場し変化していく。
    • ステージのリザルトに応じて、使用した魔法少女の絆値とEXP(経験値)を入手できる。
      一定以上貯まればレベルアップによってステータスが上昇し、「強化ポイント」「スペルブック」も入手できる。
    • 絆値は上がらないが、プレイヤー1人だけのソロプレイも可能。模擬戦はソロプレイ・キャラクター固定。
  • 昼・夜で魔法少女の絆を繋いでいき、30日目の「ワルプルギスの夜」との戦いに備える。
    • 30日目の後、その周のデータを全て引き継いで次周を始められる。
  • ACTパート専用モード「輪廻の魔女結界」では、クリア済みステージを再プレイできる。
    • 絆値は上がらないが、ストーリーモードを中断してEXPを入手できるため、救済措置としても機能する。
    • このモードのステージを高ランク評価でクリアすると、高難易度の専用ステージが出現していくやりこみ要素もあり。
+ ACTパート操作説明
Lボタン - ロックオン・オフ
Rボタン - カメラリセット
左スティック - 移動
右スティック - カメラ操作
ロックオン中 対象の変更
- アタック 近距離攻撃。レベルアップに応じてコンボ段数が増えていく。
ダッシュ中 ダッシュアタック 吹き飛ばし効果のある攻撃。
ステップ中 ステップアタック 打ち上げ効果のある攻撃。
+左スティックと同時押し マジックアタック MP消費。小範囲+中距離攻撃。
空中+左スティック上or下同時 エリアルマジック MP消費。上入力で空中向き、下入力で対地向きの攻撃。
+R コンビネーションアタック テンション1/4消費。
プレイヤーの近くに瞬間移動したパートナーが範囲攻撃。
- スペシャルマジック MP消費+スペシャルマジックゲージ消費。
キャラクター別の魔法を発動。全キャラに遠距離攻撃あり。
+R コンビネーションマジック テンション全消費。絆値イベント発生後から解禁。
プレイヤーの近くに瞬間移動したパートナーと同時に高威力・高範囲攻撃。
× - ジャンプ 2段ジャンプ可
ダウンしたパートナーの近くで 救済 パートナー蘇生・HP全回復
パートナーのソウルジェム-1
+左スティック倒したまま長押し ダッシュ -
+左スティックと同時に短押し ステップ -
+R ガード -
SELECT HPが残っているとき MP全回復 ソウルジェム-1
ダウンしているとき 蘇生・HP全回復 ソウルジェム-3 一定時間救済されないと自動で蘇生
  • ボタン割り当ては変更可能。
  • スペシャルマジックについて
    • キャラクターごとに4系統・Lv1~5の合計20種あるが、最初は4系統ともLv1のみ。
      • 高レベルマジックは、キャラクターのレベルアップ+スペルブック使用で解禁される。
    • このうち、3つまでをセット可能(同系統の複数セットも可)。方向キーで切り替え。
    • スペシャルマジックゲージは時間経過でのみ回復。同じスペシャルマジックは連発できない。
      • 高レベルマジックになるほど効果は強力に、ゲージ回復は遅くなる。
    • 一部を除いた攻撃魔法にはロックオンカーソルで「適性距離」が示され、その距離で命中させるとダメージが増加する。
  • HP:ヒットポイント。ゼロになるとダウンし、救済or蘇生を待つ状態になる。
  • MP:マジックポイント。時間経過でも若干回復する。
  • ソウルジェム:HP/MP回復用のゲージ。ステージ中回復することはない。キャラクターごとに残数が決まっており、プレイヤーの残数がゼロのときにダウンするとゲームオーバー。
    • 魔女が登場するステージをクリアすると「グリーフシード」を入手でき、EXP同様に一定以上貯めてソウルジェムのレベルアップができる。
  • テンションゲージ:敵に攻撃する/攻撃される、ステージ中のアイテムを拾うと溜まるゲージ。
  • この他、ATK(攻撃力)、VIT(防御力)、MAG(魔法攻撃力)、CON(魔法抵抗力)、AGI(移動力)のステータスが存在しており、強化ポイントを割り振ることができる。
  • 更に「サポートスキル」が存在し、ステータスの補正、「毒」などの状態異常への耐性、消費MP軽減などの特殊効果を発揮する。
    サポートスキルにもレベルが設定されており、スペルブックで効果を強化できる。

評価点

  • 手軽な操作、キャラクター性能の差別化
    • 攻撃方法は多彩だが、△格闘、□射撃or特殊とだけ覚えておけば、とりあえずは戦える。ダッシュ、ステップ、エリアルなどもコマンドは難しくない。
    • キャラクター性能も差別化されており、使い分ける楽しみがある。
      • ホーミング性能の高いまどか、接近戦に隙のないさやか、広範囲を射撃で一掃するマミ、中距離から突っ込む杏子、「時間停止」と強力な遠距離武器を持つほむら。
      • ボスの魔女との相性も「このキャラだと有利」という程度で、特定のキャラでガン不利を強いられることもない、程よい性能差と難易度で調整されている。
    • スペシャルマジックはLv1~4まで「技名+レベル」だが、最終Lv5に到達すると技名が変わる。
      • 技名の叫びなどほとんどない作品なので、ゲームならではのお楽しみ要素と言える。
      • まどかの「ホーミングアローLv1~4」は「ホーミングコメット」、杏子の「分身攻撃Lv1~4」は「ロッソ・ファンタズマ」になるなど、
        基本的には前作の違和感の少ない技名が流用されており、上位互換であることも分かりやすくなっている。
      • ただ、杏子の「浄罪の大炎」*1は前作では自爆攻撃であったが、今作では大槍からの光線での攻撃の最終レベルであり、違和感がある。
+ スペシャルマジック一覧

技名下段はレベルアップ後のもの。

キャラ 名称 効果
まどか ホーミングアロー
ホーミングコメット
ホーミング性能の高い矢を放つ。
マジカルスコール
シューティングスター
しばらく溜めた後、ロックオン地点に頭上から矢を降らせる。
トゥインクルアロー
スターライトアロー
少しだけ溜めた後、当たり判定が大きく貫通する矢を真っ直ぐに放つ。
わけがわからないよ
本当にわけがわからないよ
キュゥべえを呼び出し、一定時間敵のロックオンを強制させる。
さやか シューティングスティンガー
スプラッシュスティンガー
剣を投げつける。
タイフーン
スーパータイフーン
周囲の敵を剣の風圧で吹き飛ばして打ち上げる。
ワイドスラッシュ
スクワルタトーレ
敵を横方向へ素早く切り払う。
狂想曲
狂想曲・最終楽章
一定時間CPU操作に切り替わり、攻撃力大幅アップ+ダウン無効化。
マミ ティーロ
ティロ・ドッピエッタ、ティロ・ボレー
マスケット銃の早撃ち。
レガーレ
レガーレ・ヴァスタアリア
周囲の敵を一定時間行動不能にする。
無限の魔弾
パロットラ・インフィニータ
大量のマスケット銃を召喚して一斉掃射。
ティロ・フィナーレ
ティロ・フィナーレ・グランデ
しばらくためた後、高威力の大砲を発射。
杏子 飛槍
聖槍ロンギヌス
槍を投げつける。
異端審問
断罪の礎柱
地面に槍を発生させる。
分身攻撃
ロッソ・ファンタズマ
周囲の敵の近くに分身を発生させて一斉に攻撃。
最後の審判
浄罪の大炎
巨大な槍を召喚し、槍から一直線に炎を放つ。
ほむら お手製時限爆弾
超強化時限爆弾
一定時間で爆発する爆弾を投げる。設置面に張り付く効果あり。
M249軽機関銃
M249軽機関銃マスター
機関銃を連射。真っ直ぐ飛んでいく。
AT-4ロケットランチャー
AT-4ロケットランチャーマスター
ロケットランチャーを発射。弾速が速くややホーミングする。
時間停止 時間を停止させる*2。最初は4秒、最終的に15秒。
「時間停止 10」など、停止できる時間数が技名になる。
  • フルボイス、セリフのネタ・掛け合いの多さ
    • 昨今ではさほど珍しくもないフルボイス仕様だが、セリフのネタと掛け合いの多さが小気味良い。
      • 魔女が出現すると、それぞれの魔女に対応したセリフを言う。「人魚の魔女」への一言は意味深。
      • リザルトでは、被ダメージやコンボ数など、細かな戦況に応じても評価のセリフが用意されている。
      • 親密度を上げていくと、名前も呼び合うようになる。
    • 例によってマミの技名だけやたら凝っている。
      「ティーロLv1/Lv2」「ティロ・ドッピエッタLv1/Lv2」「ティロ・ボレー」と2回技名が変わったり、
      1人だけ技名を叫びまくるし、技名が変わると叫ぶ技名もちゃんと変わるものまである。
      • さらに本作では中二病(中学3年なのに…)が悪化している傾向があり、他キャラクターのコンビネーションマジックは「息のあった同時攻撃ができるようになった」程度の演出なのに、マミ1人だけはパートナーに技名を叫ぶように強要する始末。
        ただしパートナーもパートナーで、親密度が上がるとちゃんと叫ぶようになる。あのほむらでさえも。
+ マミさん命名の素敵なコンビネーションマジック
まどか ティロ・フィレッツィア tiro freccia(矢)
さやか ティロ・ボールド tiro baldo(勇猛)
杏子 ティロ・ランツィア tiro lancia(槍)
ほむら ティロ・エスプロジオーネ tiro esplosione(爆発)
  • 終盤のあるイベントの演出
    + ネタバレ注意
  • 魔法少女の全ての絆値をMAXにして30日目を迎えると、
    魔女結界の各階層でパートナー以外の魔法少女が登場、使い魔の足止めとして加勢する。
  • 「ワルプルギスの夜」へ辿り着くと、魔法少女5人で合体魔法「セイクリッド・ペンタグラム」を発動。
    大ダメージを与えてバトルを再開、前後編OP「ルミナス」をBGMにしながら5人全員で戦う。
    • シリーズ初の5人の合体魔法と、OPソングをBGMにしたラスボス戦。正統派魔法少女アニメになったような感動的な演出と言えるだろう。

賛否両論点

  • アクションの難易度、ゲームバランス
    • 全編
      • 吹き飛ばし効果のある技を受けないとキャラは怯みもしないし、「受身」もシステム上に存在しない。慣れていないと、攻撃されていることに死ぬまで気付かない。
    • 序盤
      • 移動・ジャンプのスピードが遅い、アタックコンボが少なくて繋がらない、スペシャルマジックが多用できない。
        爽快感・派手さに直結する要素がことごとく制限されており、チュートリアルにあたるプロローグは「公式ネガキャン」などと揶揄される苦行と化している。
      • 体力も低く、難ある被弾の仕様と相まって死にゲーと化す。
        3日目で初めて登場する魔女「薔薇園の魔女」でさえ投げてきた椅子に当たると即死する強敵である(後述のプレイ動画参照)。
    • 中盤
      • アタックコンボ、スピードは問題なくなってくるものの、スペシャルマジックは上位のものだとまだ連発できない。
      • 体力は増えるが、敵の火力も比例して上がってくる上、雑魚は群れで襲ってくることもあり、まだ油断できない。
    • 終盤
      • ステータスの上昇ペースが敵のそれに対してインフレを起こし、これまでとは打って変わってゴリ押し可能になる。
      • 強化ポイントの入手、サポートスキルのレベルアップにより、スペシャルマジックも連発可能になる。
    • 動かして楽しいかどうかは人による。
      • 原作や『無双シリーズ』のような派手な戦いの爽快感を評価される一方で、序盤の高難易度から早々に投げ出してしまったり、逆に高い難易度を覚悟・期待していたのに終盤で拍子抜けしてしまったりと、否定的な反応も見られる。
      • 前作もキャラ性能の差別化・調整の方針には「ダンジョンRPGでプレイヤー側だけ10ターン連続行動*3」という風に「固有性能による差別化は行いつつ、尖った個性を押しつける」傾向が見られた。
        本作でも同じ方針で調整された結果、アクションの手触りとして、ゴリ押し感がより強く伝わってしまうことは否めない。
+ 序盤の参考プレイ動画・電撃オンラインより
+ 最終的なぶっ壊れた性能の数々
  • まどか
    • 「ホーミングコメット」「スターライトアロー」を習得すると「マジカルスコール」がいらないぐらいの超火力になっている。
    • 「わけがわからないよ」も敵が少ないステージ、特に魔法少女戦で有効。自分をロックオンさせず、一方的にタコ殴りできる。
  • さやか
    • 射程自体は「シューティングスティンガー」でも中距離がせいぜいだが、上エリアルマジック「空中スティンガー」などでふところへ飛び込めればほとんど△連打だけで殴り殺せる。
    • 「タイフーン」が頭上にも攻撃判定を持っており、ワルプルギスの夜を1人だけ凄い勢いで殺す。
  • マミ
    • スペシャルマジックの選択肢が豊富。燃費・速度重視の「ティーロ」、広範囲を一掃する「無限の魔弾」、超火力の「ティロ・フィナーレ」。
    • 上エリアルマジック「空中レガーレ」で正面の敵を拘束してハメ殺しが可能。
    • 射撃一辺倒かと思えば、下エリアルマジック「黄金の美脚」も半径の敵3~4体を巻き込む異様な対地判定の広さを持ち、近距離にも死角が無い。
  • 杏子
    • 「ロッソ・ファンタズマ」が雑魚一掃・ボス削りのどちらにも使いやすい。
  • ほむら
    • 上エリアルマジック「危険物第四類」が特に強力。タンクローリー突撃の発生が早い上に、着地時に爆発して広範囲を巻き込む。
    • 「危険物第四類」やスペシャルマジックなど、弾道にはクセがあるものの、「時間停止」で一人だけ弾幕を張る絶対的なアドバンテージがある。
  • シナリオ
    • プロローグ後、ほむらは5人の魔法少女で力を合わせるための行動を始めるが、「ワルプルギスの夜が来る」「ハイ分かりました」で済む物分りの良さ。今まで一体何をしていたのか。
      • もっとも、今回の場合はまどかの魔法少女契約を阻止せずそのまま許しているため、キュゥべえ側からも特に妨害工作されていないという違いはあるのだが。
    • プロローグの後はエンディングまで魔女化する魔法少女がいない、というかソウルジェムを濁らせるような出来事は何も無い。
      • もっと言うとほとんど女の子同士で仲良くしているだけなので、原作のような悲壮感・対立からの和解といったドラマチックな展開は全く無い。
      • しかし、「まどかが杏子とプリクラを撮りに行く」「ほむらが風邪の杏子を看病する」など、原作では珍しい組み合わせ・見られなかったシーン自体には一見の余地あり。
  • 途中で「魔女の強化」「魔法少女の集中」など伏線を匂わせる発言もされるが回収されない。
  • エンディングについては問題点として後述。

問題点

  • 頭の悪いCPU
    • パートナーCPUの攻撃行動の優先度が低く、攻撃方法の選択基準も謎。
      • 敵を1~2発殴ると、次の敵を探しはじめる。敵の数が多ければあまり問題は無いが、数が少ないとただウロウロしているだけ。
      • さやかの「狂想曲」をプレイヤーが使ったときの行動パターンもほぼ同様。パートナーの魔法に設定すると無意味に発動させる。
      • マミ・まどかに射撃系魔法を設定しているのに敵集団に格闘攻撃を仕掛けて自滅することがある。
      • ほむらの魔法に時間停止を設定すると、やはり無意味に発動させる上に時間停止していて避けられる攻撃をガードしようとしたりする。
      • 救済の優先度は高いので、SGゲージ消費軽減には役立つ。
    • 序盤の難易度をやや高く感じさせる一因でもある。ソロでステージをクリアすると「もう誰にも頼らない」というトロフィーが獲得できるのが、少々笑えない冗談になっている。
  • 魔女の少なさ
    • 登場する魔女は8体のみ。薔薇園、お菓子、ハコ、影、人魚、芸術家、委員長、舞台装置。
      • シナリオ展開の都合上、さやか=人魚の魔女はプロローグと「輪廻の魔女結界」にしか登場せず、舞台装置の魔女はラスボスなので、シナリオ中に登場する魔女は実質6体。
        倒したはずの魔女が復活する展開がシナリオに挟まれ、亜種(色違い)も登場するので、ひたすら単調。
      • 魔女が少ないお陰で、原作曲が少なくても雰囲気が作れると言った方が正しいかもしれない。
      • 公式グッズ(グリーフシードボックス)でのカラーを採用したお菓子の魔女・亜種のようなファン向けのネタもあるものの、オリジナル魔女も登場していた前作と比べると物足りない。
        画面全体をノイズで「砂嵐」にする攻撃を持つハコの魔女など、攻撃パターンはユニークに作りこまれているので、少々もったいない。
    • 前述のようにクリア後のお楽しみの要素もないので、前作のような隠しボスのオリジナル魔女などのサプライズも無く寂しい。
  • グラフィック全般
    • PSPレベルの粗い3D、ロボットのような強すぎる光沢処理、紙のようにペラペラと動く長髪・マント、スカートを突き破る足など*4のポリゴンのめり込みといった難点がどうしても目につく。アートディンクが3Dで初挑戦した美少女ジャンルとはいえ、時代に合わない箇所は多い。
      • 空中で2段ジャンプした時の挙動が地上ジャンプの場合と同じものだったり、まどかのダッシュ攻撃が「敵に向かって尻を突き出す」というゲームの雰囲気に合わないものであるなど、モーション自体にも違和感がある。
      • なお、モデル自体は結構細かく作り込まれている。フリルの多い衣装をきちんと再現し、DLCの追加衣装では指輪型ソウルジェムを左手薬指にはめている。
      • プレゼントが包装されたままの一枚絵で「交換して見せ合っている」などと言われてもわけがわからない。
    • おまけにこのゲームのトロフィーアイコン、全部キュゥべえ。ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナで色を変えているだけ。
      • アイコンがワンパターンなのは他Vitaゲームでも見られるが、原作をネタにしたトロフィーを盛り込む努力をしているのだから、もうひとがんばりしてほしかった。
      • 先に挙げた「もう誰にも頼らない」の他にも、マミとまどかで芸術家の魔女を退治すると獲得できる「クラスのみんなには、内緒だよ!」など、トロフィー名や獲得条件には原作のシチュエーションを反映したものが多く、ニヤリとさせられる。
  • イベントとそれに関連する仕様
    • 一度見た絆イベントは次周以降発生せず、前作にはあったイベントのリプレイ機能も無い。
      • 周回毎にイベントが発生するのも煩わしいが、ループしたらいつの間にか仲良くなっているようでもある。
    • 権利者の意向か、スクリーンショット機能にも対応しておらず*5、イベントを見直したければセーブデータの別作成や直撮りをしなければいけない。
  • Lv99バグ
    • Lv99にレベルアップしたときの演出をスキップすると、強化ポイントを入手できなくなるバグがある。
      • Lv99の強化ポイントを含めて、全魔法少女・全ステータスをちょうどカンストできる設定になっているので、少しもったいない。
        ただし、トロフィー目当てでもLv99になった時点で目的は達成されるし、カンストさせなければいけないほど難しいステージがあるわけでもない。
  • DLCの設定
    • 本作のDLCは各キャラクターの別コスチューム。「見滝原制服」「体操服」「パジャマ」「水着」、そして各キャラクターで異なる「アラカルト」の5種類が5人全員に用意されている。
      「アラカルト」の内訳は、まどか:前編私服*6、さやか:「マジカルバット」*7+制服、マミ:アイドル衣装、ほむら:眼鏡+魔法少女、杏子:私服*8
    • 価格は各411円×5人×5種類=10,275円*9。ただし限定版には特定の5種類*10を入手できるプロダクトコードが付属しているため、それを使えば1人あたり約1,600円、5人全員なら約8,000円となる。
    • 各カテゴリー5人分を全て購入すると「衣装コンプリートスキル」が入手できるが、レベルMAXになっている超強力スキルであり、約2,000円の公式チートといって差し支えない。
    • 高額・ゲーム進行に有利なのはそういう商売と割り切れるとしても、さやか・ほむらDLCの設定が不十分である。
      • さやかアラカルトは制服のまま武器をマジカルバットにしただけ。さやかだけ実質4バリエーション。
      • ほむらは水着とアラカルトが「眼鏡をかけた(弱気な)ほむら」になり、アラカルトは魔法少女衣装+一部モーションがゴルフクラブを使うものに変わるが、声や立ち絵・カットインなどが普通の(クールな)ほむらのまま。
  • エンディング
    • 本作のエンディングは「ワルプルギスの夜との勝敗」と「絆値」によって4種類に分かれるが、悪い意味でクセの強いものがある。
      + ネタバレ注意
    • バッドエンド / 敗北
      • ワルプルギスの夜に勝てず、ほむらは時間遡行を発動。ループを繰り返す。
    • ベターエンド / 勝利 + 絆値MAXのキャラクターが1人もいない
      • ワルプルギスの夜には勝利したものの、力不足で街と人々を守れなかったことに絶望したまどかが魔女化。
        ほむらは時間遡行を発動するが、それとほぼ同時に魔女化まどかの攻撃を受けてしまう。
        攻撃の影響か、次周では目的こそ覚えていたが、前周の結末を覚えていなかった*11
        • まどかの絶望を初めて描いた点は評価できるが、シナリオ的に見ると同じ悲劇を繰り返す可能性がある以上むしろこちらの方がバッドエンド。それまでの展開がほのぼのとしているだけに一層ひどい。
    • ベストエンド / 勝利 + 絆値MAXのキャラクターが1人でもいる
      • ワルプルギスの夜に勝利、街の被害も何とか最小限に抑えられ、大事な人々も皆無事に守ることが出来て大団円を迎える。
        その後、5人の魔法少女たちはワルプルギスの夜との戦いで偶然掘り当てられた温泉を発見して、疲れを癒す。
        • ギャグのような温泉の設定は受け取り方次第な部分があるが、EDの中では裏表も後腐れも無い、純粋なハッピーエンドなのは確かである。

    • + そして、真のエンディングでは…
      • 真のエンディング / 勝利 + 全キャラクターの絆値MAX
        • ベストエンド後に追加イベントが発生。再構成後の世界、赤リボンのほむらが夢から目を覚まし、キュゥべぇが魔獣退治を促す。
          • 本作は前後編(=TV版)の時間軸の出来事ではなく、 リボンほむらが見ていた幸せな夢だった、ということになる。
          • まさかの夢オチでベストエンドの感動が台無し。ほむら自身がベストエンドで一度「…夢ではないのよね?」とまどかに確認していたにもかかわらず、である。
            また、作中の出来事が夢だとすると、ほむら以外のキャラ達の絡みや心の声をもほむらが夢想しているのは、やや違和感がある。
          • 本作のストーリーは起点からして不自然であり*12、原作と整合性を取ろうとすればこうするしか無いのも事実である。
          • また、5人全員生存の願いは、偶然とはいえ『新編』にも通じるものがある。

総評

序盤のスピード感の乏しさ、最終的な『無双シリーズ』のような極端なゲームバランスにやや難はあるが、アニメさながらの迫力あるアクションが再現できる爽快感・遊びやすさでは、本作の価値は大きいと言える。
前作と同様にキャラクター性能はしっかりと差別化されており、遊び応えも感じられるだろう。

シナリオも、多少の粗に目を瞑り、ほのぼの要素を重視するなら、全体的には十分楽しめる。
しかし、ベターエンド・トゥルーエンドは、それまでの展開から明らかに落差を感じさせる。
「原作以上にハードな鬱展開のある前作のシナリオでも、本作よりは良かった」という意見や前作への再評価も、珍しくないほどである。

前作とはまた違う意味で人を選ぶ作品だが、長所・短所は良くも悪くもハッキリとしている。いずれにせよ、ファンなら両方ともプレイして損はしないだろう。


余談

  • 真エンディング後、『新編』風デザインに置き換わった本作ロゴが表示される。劇場版『後編』の最後に『新編』の予告映像が流れるものを真似た演出である。
  • コンシューマー(家庭用ハード)で発売された『魔法少女まどか☆マギカ』のゲーム作品は本作が最後となっているが、他プラットフォームではその後も展開が見られる。
    • 2014年〜2015年にかけて、アーケードでカードゲーム『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ MAGICARD BATTLE』が稼働していた。
    • 2017年にスマートフォン向けアプリでサービスを開始した『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(マギレコ)は、複数シーズンに渡りアニメ化もされている(ソーシャルゲームのため、本Wikiでの記述は禁止)。
  • 2017年8月にダウンロード版およびDLCの配信が終了した。理由は明言されていないが、他社版権のバンナム製ゲームではよくあることである。
+ タグ編集
  • タグ:
  • ACT
  • バンダイナムコゲームス
  • アートディンク
  • 魔法少女まどか☆マギカ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月07日 01:36

*1 TV版第9話及び後編に登場する、「独りぼっちは、寂しいもんな」の台詞で有名な、相手に特攻を仕掛ける攻撃。

*2 処理の都合か、完全な停止ではなく超スローモーション。

*3 ほむらの「時間停止」&「クロックアップ」

*4 例えばほむらの時間停止発動シーン。

*5 バンナム+アートディンクが本作より1年以上前に発売した『機動戦士ガンダムSEED BATTLE DESTINY』では問題なくSS撮影ができる一方、本作の発売以降も『第3次スパロボZ』などごく一部のタイトルでは撮影不可であり、技術ではなく権利の問題と思われる。

*6 前編で登場する茶色系の私服。

*7 前編(TV版第2話)に登場する、金属バットをマミが魔法で強化したもの。

*8 いつもの緑のパーカー。

*9 2014年4月以降の税率8%基準。本作発売~3月末までは各400円、合計10,000円。

*10 まどか体操服、さやかパジャマ、マミアラカルト、杏子制服、ほむら水着

*11 テキスト上そう語られるだけで、ゲーム上の引継ぎに影響はない。

*12 ほむらが眼鏡をしていないため「もう誰にも頼らない」と決意した後の周回のはずなのに、その決意をあっさりと覆してしまっている