探偵 神宮寺三郎 危険な二人 前編/後編
【たんてい じんぐうじさぶろう きけんなふたり ぜんぺん/こうへん】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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ファミリーコンピュータ ディスクシステム
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発売元
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データイースト 【VC】アークシステムワークス
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開発元
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データイースト 酒田エス・エー・エス
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発売日 ()は書換開始日
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前編:1988年12月9日(1989年1月27日) 後編:1989年2月10日(1989年3月24日)
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定価
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3,300円
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配信
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【Wii】バーチャルコンソール:2009年1月6日/500Wiiポイント
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) |
判定
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なし
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ポイント
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神宮寺と洋子の人間関係に注目
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探偵 神宮寺三郎シリーズリンク
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概要
コマンド選択式の探偵物アドベンチャーゲーム『神宮寺シリーズ』の第3作目。初代『新宿中央公園殺人事件』と同様のFCディスクシステムにて、前後編構成で発売された。
ストーリー
神宮寺は、助手である洋子の友人・京子の誘いで、バイクレースを観戦するため洋子と共に鈴鹿サーキットを訪れた。
そのレース中、京子の夫であるレーサー・岡崎が事故を起こしてしまう。
しかし、事故を起こした人物は岡崎ではない全くの別人、という奇妙な事態が判明。
時を同じくして、近くのホテルでは銃殺された京子の死体が発見された…。
特徴
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シナリオ
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基本的には神宮寺をプレイヤーキャラクターとして操作するが、第一の事件の現場に立ち会ったり重要人物から情報を聞き出したりする役割は、被害者や周辺の人物と関係を持っている洋子が担う。
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今回の事件を担当する警察関係者は神宮寺に非協力的であり、その分過去作よりも洋子の働きの比重が上がった(本作以降のシリーズ作品と比べると、この頃の洋子の活躍はまだ控えめ)。
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足を使ってあちこちを捜査して回るというよりは、一つ所に落ち着いてじっくり熟考する方向でゲームは進む。
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ディスクシステムに回帰したため、データの保存は前作のパスワードからセーブ機能に戻った。
評価点
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既存キャラの掘り下げ
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それまで「探偵」と「助手」というややドライな関係で続いてきた神宮寺と洋子だが、本作ではそれまでと比べて少し関係性が揺れ動く。ここは、神宮寺シリーズ的な意味での見所の一つ。
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このように本作のシナリオは、事件そのものもさることながら「人物の掘り下げ」の方にも力が入っている。
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グラフィック・BGM
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ゲーム中のBGMの種類が増え、シーンごとの使い分けが明確になって、渋く落ち着いた雰囲気はより伝わりやすくなった。
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シリーズの例に漏れず、人物グラフィックは描き込まれたリアルタッチ。
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ある程度の進展が無いと場所の移動ができず、不要な詰まり状態には陥りにくくなった。
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「タバコ吸う」コマンドの存在感が少しずつ上がってきた。シナリオの中で、「タバコ」という小道具としても機能している。
問題点
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人物相関の把握が少々面倒
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絵のクオリティは高いものの、人物のデフォルメがなく名字も一般的なものばかり。シナリオ自体も複雑なので、全体像を把握するのは少し難しい。
総評
神宮寺シリーズを構成する基本的な要素が少しずつ板につき、シリーズに脂がのってきた。前作『横浜港連続殺人事件』から、全体的に着実な進歩が見られる。
しかし、もはやある種のフォーマットと化していたコマンド選択式ADVの殻を破るには、並たいていの工夫では足りなかった。本作も数あるADVゲームの中では安定して面白い方だが、ぜいたくを言うなら、複雑な物語に読み手を引きこむパンチ力がもっとほしい。
本作自身は良作と特筆できる決定的なアピールポイントに欠けるかもしれないが、雰囲気ゲーとしての完成度を更に向上させた次回作『時の過ぎゆくままに…』に至るまでの、地道だが確かな第一歩と言えるだろう。
余談
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過去作とは毛色の異なるサブタイトルだが、これは沢田研二が1973年4月21日にポリドールレコードからリリースした曲と同名。ただし厳密には同曲のタイトルは『危険なふたり』と「ふたり」がひらがな表記。
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直接のストーリーとの関連はないが2年後の1990年にロムカセットで同じく沢田研二のシングルレコードと同名『時の過ぎゆくままに…』(こちらは1975年8月21日に発売)をタイトルに据えているので少なからず意識はしている。
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なお、先述の2曲のレコードリリースも2年ほど違うのだが、さすがにこれはただの偶然と思われる。
最終更新:2024年06月13日 21:48