Call of Duty: Ghosts
【こーる おぶ でゅーてぃー ごーすと】
ジャンル
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FPS
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対応機種
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プレイステーション3 Xbox 360 Windows Wii U プレイステーション4 Xbox One
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発売元
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スクウェア・エニックス Activision (One DL/360 DL/Win版のみ)
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開発元
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Infinity Ward Raven Software (マルチプレイ) Neversoft (Extinctionモード) Treyarch (WiiU版)
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発売日
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【PS3/360 字幕/WiiU】2013年11月14日 【PS3/360 吹替】2013年12月12日 【PS4】2014年2月22日 【One】2014年9月4日
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レーティング
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CERO:D(17才以上対象)
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判定
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賛否両論
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シリーズファンから不評
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ポイント
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世界観を一新 良好なスクリプト演出 活かされてないポストアポカリプス設定 マルチプレイのバランス調整は難あり シリーズで唯一のエイリアンモード搭載
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Call of Dutyシリーズ
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概要
『Black Ops 2』に続いて発売された、人気FPSシリーズ『Call of Duty』第10作目。
今作のメイン開発は『CoD』初期ナンバリングや『Modern Warfare』シリーズを手掛けたInfinity Wardが担当。
一方、マルチプレイヤーパートは『CoD』シリーズのDLC開発やメイン開発のサポートも担当しているRaven Softwareが開発。
さらに、本作独自の協力プレイモードである「EXTINCTION」パートは『Guiter Hero』シリーズのNeversoftが手掛けている。
このように、本作はActivision傘下となる複数のデベロッパーが開発に携わっている大作である。
海外での販売はActivisionが、日本でのCS機版販売はスクウェア・エニックスが行っている。
また、当時の『CoD』では珍しく、レーティングがCERO:D(17歳以上対象)となっている。
これまでのシリーズから世界観が一新されており、ポストアポカリプス系の世界観が特徴。
合衆国崩壊後のアメリカ大陸を舞台に、再建を賭けた兵士たちの戦いを描く。エンジンはIW 6.0を採用している。
ストーリー
2017年。世界中が深刻なエネルギー危機に見舞われる中、ベネズエラを中心とした南米諸国によって「アメリカ連邦」が結成。次第に勢力を伸ばし、アメリカ合衆国との関係は日に日に悪化していった。
アメリカは連邦に対する抑止力として「神の杖」とも呼ばれる大気圏外ミサイル発射装置ODIN宇宙センターを建造。しかし7月10日、突如として連邦軍がODINを奪取し、アメリカ合衆国の30以上の都市は一度に壊滅してしまう。
アメリカ合衆国は致命的な被害を受け、政府、軍事機関、インフラ、経済活動、全てが機能停止に陥り、もはや滅んだも同然の状態となった。
それから10年後の2027年。ODINの攻撃を生き延びた青年ヘッシュ・ウォーカーとローガン・ウォーカーの兄弟は、残存アメリカ軍の兵士としての活動中に伝説的な特殊部隊『ゴースト』と出会う。
ゴーストの隊員となった2人は、合衆国崩壊前にまで遡る部隊の因縁を断ち切るため、そして惨劇を繰り返そうとする連邦軍の計画を食い止めるため戦っていく。
シングルプレイ
ゲーム進行
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特殊部隊「ゴースト」の一員ローガン・ウォーカーとなり、連邦軍の計画を阻止すべく活動するFPS。
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シリーズ過去作同様の形態のシングルプレイを採用しており、基本的な内容に目立った変化はない。
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基本的にはローガン視点で進行するが、随所で宇宙パートや戦闘ヘリ、戦車といった作戦に参加中の別兵士の操作パートが挿入される。また、2014年を舞台とする過去編ではローガンの父イライアスが主人公となる。
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作中では特殊装備の操作を担当することになり、これにより愛犬ライリーの誘導や無線機銃といったガジェットの操作を任されるパートも存在する。
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愛犬ライリー操作時、水中ステージ、墜落後のチャプターといった要所でステルススタイルで進んでいくパートが存在する。それ以外は基本的に銃撃戦を行いつつ進んでいく。
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新たなアクションとしてダッシュ中に伏せることでスライディングが可能になった。
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道中にはコレクションアイテムとして「ロークファイル」が登場。形状はノートパソコン型であり、全て集めると実績が解除される。
武器
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2027年を舞台としたSFではあるが登場する武器は全て現代火器であり、SF兵器は登場しない。
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ゲーム全体では30挺以上の銃器が登場。アメリカ軍のものから連邦のものまで種類は様々。
マルチプレイヤー
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これまでのシリーズ同様に、ネットワークによるマルチプレイモードを搭載。開発はRaven Softwareが担当。
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ゲームルールは12種類。その他バランスがより厳しくなった「ハードコア」や、野良でなくチームで挑む「クランvsクラン」モードも存在する。
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ゲームテンポの早いCranked、守備と攻撃の分担が重要なサッカー風のBlitzなど、新ルールも追加されている。
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本作より初めてスキンがクラス固定の物ではなく、カスタマイズが行えるようになった。
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これによって地味ながらもプレイヤーの個性が出せるようになり、銃器のアンロック以外にもモチベーションを向上させる目標の一つができた。
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また、有料DLCとしてキャンペーンに登場するキャラクターや過去作に登場するキャラクターのスキンが登場した。マルチプレイヤーで本編のキャラに扮することができるようになったのは本作が初である。
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ただし、スキンによっては視認性が非常に悪いものもあり、それらが所謂芋プレイで猛威を振るった。
Extinctionモード
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地球外生命体クリプティッドの襲撃から生き残る拠点防衛型のCO-OPゲームモード。開発はNeversoftが担当。
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開始時にはハンドガンしか持たないが、物資をかき集めて生存を図っていく。選択した兵科によって得意分野が異なり、役割分担と協力が重要となる。
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武器購入やアビリティ使用にキャッシュが必要であり、これを稼ぐのもテクニックの1つ。最大で6000ドルまで持ち運ぶことが出来る。
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従来のゾンビモードとの違いの1つとして、各エリアのクリアとラストの脱出という所定の流れで最終的にゲームクリアとなる点が挙げられる。このためゾンビモードより短い時間でプレイしやすくなっている。
SQUADSモード
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AIとの戦闘を行う練習モード。初心者のマルチプレイ練習などに利用できる。
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対人戦ではないため比較すると渋いが、マルチプレイ同様にXPを獲得することが可能。
評価点
クオリティの高いスクリプト演出
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宇宙空間や壊滅する故郷、ダムの破壊によって水没する街や倒壊するビルなど、規模の非常に大きいスクリプト演出が頻繁に盛り込まれている。
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IW 6.0を活用したリアリティのある描写は緊張感の向上に一役買っており、手に汗握る展開を楽しむことができる。
プレイ感覚の異なる様々なシチュエーション
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愛犬やステルス、遠隔操作の機銃、ヘリコプター、戦車、水中、宇宙と、通常の撃ち合いだけでなくさまざまなシチュエーションが用意されている。
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キャンペーン中任意で起こせる操作ではないため自由度の向上などには繋がっていないが、単なる銃撃戦では陥りがちな単調さは幾分軽減されている。
自然な翻訳・吹き替え
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『MW2』で大不評を買って以降相当な力が入れられている日本語への翻訳だが、本作でも違和感のない内容に仕上がっている。
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吹き替え音声も、杉田智和氏や菅生隆之氏といった有名声優陣を多数起用しており、彼らの熱演もあって高いクオリティを誇る。
賛否両論点
旧作の焼き直し感のある脚本
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世界観はSF・ポストアポカリプス路線へと変更されたものの、特殊部隊新米兵士となり、過去にチームのリーダーとの因縁を持つ相手と対峙する、という大まかな流れは『CoD4』と共通しているため新鮮味や意外性に欠ける。過去作のファンであれば、幾度と無く既視感のある展開を目にすることに。
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中盤で過去パートに突入するなど話の流れも近く、ストーリー面での革新性を期待していると失望を抱くことになる。
突っ込みどころの多い世界観
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序盤で経済や主要なインフラが壊滅したように見せかけて普通に武器銃弾や車両、戦車、航空機部隊、空母、挙句の果てにスペースシャトルまでも運用する米軍や、主要な敵の割に直接的な描写の少ない南米側の「連邦軍」に加え、大国が壊滅したにもかかわらず一切干渉する描写の見られないロシアや中国、国連といった他国・組織、抑止力として利用せず建造したそばから即座に発射される連邦製ODINなど、冷静に考えると世界観の粗は非常に多い。
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ロシアとの冷戦での対立や中東との対テロ戦争など、過去作の悪役や敵勢力にはアメリカを憎むわかりやすい理由が存在したが、本作においては移民や経済活動などで国家間の繋がりが比較的濃いはずの南米を敵に据えたことであまり説得力がなくなってしまっている。
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そもそもの発端である大気圏外ミサイル発射装置オーディンも、所有しているのは他でもないアメリカ自身。全世界を射程に納める巨大衛星という構想は抑止力としては過剰であり、そのせいで破滅する様は自業自得と言えなくもない。
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もっとも、これらは過去作同様に勢いと演出に押し流されている部分ではあるため、深く考えず気軽にプレイしていく分にはさほど気になる部分ではない。
方向性は変更しつつも結局マンネリ化した本編内容
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過去作の路線同様に第二次世界大戦、又は現代戦モノとしての『CoD』シリーズを求める声は多く、そもそも『CoD』シリーズで『Fallout』のようなSFやポストアポカリプスをやる必要性がないといった見方もある。
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また、あらすじだけを変えつつも操作や脚本展開、登場兵器といった根本的な部分は『CoD4』から何も変えておらず、マンネリ打破のために新機軸を打ち出したはずが結局は保守的な内容に戻りマンネリ化してしまうという結果となっている。
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本作の後もシリーズはSFに傾倒し、そういった方向性を望んでいなかったファンからは猛烈な批判を受けることに。
問題点
続編ありきのエンディング
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本作のエンディングは一見綺麗に終わると見せかけて、最後には続編の製作宣言とも捉えられる後味の悪い演出で終わる。
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実際に作ったのなら問題点にはならなかったのだが、頓挫してしまったため完全に蛇足の演出と化してしまった。
これさえ無ければ面白いストーリーだったという声もある。
劣化している画質
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前作の『Call of Duty: Black Ops 2』に比べて全体的に平坦で、あまり画質が良いとは言えない。
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それに加えて色調も灰色系統に抑えられているせいで、さらに粗く感じてしまう。
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前作では銃の右側のモデリングはきちんと作り込まれていたのだが、今作では旧作と同様に左右対称の手抜きなモデリングであることも目立つ。
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PS4版ではかなりマシになっているが、本作が発売したての当時はPS3/360しか発売されておらず、PS4版は数か月後に発売されたが当時はPS4を持っているプレイヤー自体が少なかったため、『Ghosts』= 画質が悪いというイメージが強まった部分もある。
マルチプレイ関連
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同一機種であれば世界中と繋がれるものの、クロスプラットフォームは不可能。
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また、性能の違いもあり、一部機種ではフリーズ、ラグ、処理落ちなどの技術的問題が発生していた。
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マップが過去作のものと比較して倍近く広大になり、それに比例して移動距離・交戦距離・対戦時間も広がった。
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待ち有利となったことでゲームテンポが低下。狙撃の重要性が増し、索敵を行わず特定地点に篭る芋行為が初心者を中心に増加した。
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また、せっかく芋プレイヤーの射線を避け移動しても待っているのは盾とC4(2個)を所持したプレイヤーであり、撃ち合いどころではなかった。
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近距離戦が多かった過去作と比較され、遠距離重視へのゲームバランスの変化を批判する声が多く挙がった。また、マップのファイルサイズが大きくなったことでロード時間も増え、テンポの低下に拍車を掛けることに。
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また、全体的に画面が黒く、色調が灰色に統一されているのも問題で敵が非常に視認しづらく、マップが広いこともその視認しづらさに拍車をかけている。
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また、従来の作品ではマップによって登場する勢力が異なっていたのだが、本作はGhostsとFederationの2種類しか登場せず、それに伴いスポーン時のBGMも2種類になっており、従来作品と比べてバリエーションに乏しくなっている。
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BGMの問題に関しては『Black Ops 3』にてスポーン時のBGMを増やすことで改善がなされた。勢力に関しては7年後の『Black Ops Cold War』にて簡易的に復活した。
Extinction関連
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ロードアウトの解除が面倒。全種解除にはランク29まで上げる必要がある。クラスですらランク10まで上げないと全て揃わない。
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初期能力にも優れた部分はあるのだがこのゲームモードに慣れていない初心者に使いこなすのは難しく、ろくに進められずランクもなかなか上がらない。
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チャレンジの進捗が全員で共有。プレイ中に都度提示されるチャレンジ(お題)がゲームの進行上非常に重要なのだが、その進捗状況を全プレイヤーで共有するため1人でも非協力的な者がいると達成不可・困難になりやすい。
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オンではごく簡単なチャレンジにすら全く協力しないプレイヤーが少なくなく、まともな進行は望めない。進捗状況は個人別に判定してほしかったところ。
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なお、「○○で敵を○体倒せ」系のチャレンジには倒す数が理不尽なものが一部にある。中には、指定された敵がチャレンジ中に指定された数未満しか出現しないものまである。
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クラスのエンジニアが不遇。ドリル強化とトラップ攻撃が得意な上級者向けクラスだが、ドリルもトラップも早い者勝ちとなっており、オンでは全く長所が活きない。クラスがウェポンスペシャリストかメディックの二択になりがちなソロでも活躍は難しい。
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フレとのプレイなどドリルとトラップを確実に任せてもらえる状況であれば他クラスには真似のできない強さを発揮するのだが、いかんせん限定的すぎる。ドリルとトラップはエンジニアに優先権があってもよかったところ。
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アーマリーのアップグレード能力も、他クラスと比較して露骨に微妙な性能をしている。
総評
世界観は一新によりポストアポカリプスSFへと大幅に変化したものの、キャンペーンの内容自体は良くも悪くも旧来の現代戦『CoD』を忠実になぞっている作品。
シングルプレイは犬・ヘリ・戦車・海中・宇宙といった多種多様な戦闘シチュエーション、壊滅する故郷や崩壊するダムといった派手なスクリプト演出など見所は多い。
見かけに反して従来作品からの革新性や意外性は薄く、シリーズのマンネリ化がさらに深刻となってしまったが、単体の作品としては相変わらずの高いクオリティで纏まっている。
一方で、注目されていたマルチプレイ部分はマップ構造やシステムにおける問題点が数多く指摘され、過去作プレイヤーからの批判を招く結果となった。
その後もマルチプレイは過疎化が進み、世界観変更が不評となったキャンペーンは続編が作られることもなく単発で終了と、あまり良い結果を残すことは出来ずに終わった。
以降のSF作品である『Advanced Warfare』『Black Ops 3』『Infinite Warfare』共々、現在でもあまり良い印象は抱かれていないのが現実である。
余談
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本作のWiiU版は、現時点で任天堂ハードでリリースされた最後の『CoD』シリーズ作品となっている。
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一方で、2022年1月にActivision Blizzardを買収したマイクロソフトが、同年12月7日に任天堂のプラットフォームに『Call of Duty』シリーズを10年間提供すると公式に発表した。
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これらの影響で、今後再び任天堂ハードでのリリース及び既存作品の移植が行われる可能性も出てきた。
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本作のマルチプレイではシリーズで初めて女性兵士が登場する。
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作品自体の問題ではないがマナーの悪いプレイヤーが多く、協力が不可欠なマルチプレイモードも多いためさまざまな問題が起こっていた。
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発売後早々と過疎に陥ったためコンシューマー機などでは所構わずフレンドを増やそうとするプレイヤーなども多く出没した。
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シリーズは毎年新作を出すため、通常発売後は新作にプレイヤーが流れ旧作のオンライン過疎が進むことが避けられないのだが、発売後に前作である『BO2』の接続数が一時的に増加した。
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本作のOne版は現在では日本語版のマルチプレイヤーがプレイできない。
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理由としては特に内容にも関係ない日本語版独自のアップデートが入り、それのせいで現行のサーバーとバージョンが違うという事態が起きてしまい接続できないというものになっている。
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これに対してローカライズを行ったスクウェア・エニックスは改善を行っておらず、既に『CoD』のパブリッシング事業からも撤退しているため、修正の可能性は絶望的である。
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海外版と360版の『Ghosts』を下位互換を使ってマルチをプレイすることはできる。
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上述の通り当初『Ghosts』としてのシリーズ化が計画されていたことがエンディングの演出から窺えるが、本作が不評となったせいか無かったことにされてしまった。
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その後も『CoD』シリーズ自体は続いているが、現在でもリブートや続編製作の気配はない。
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ただし、本作の好評だった要素は他のシリーズにも受け継がれており、特に印象的な軍用犬の「ライリー」やゴーストたちが使うアサルトライフルの「Honey-Badger」は再登場する機会は非常に多い。
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Extinctionモードの開発を担当したNeversoftは本作発売の翌年5月にInfinity Wardとの合併が親会社のActivisionから公式に報じられ、同年7月11日にスタジオは閉鎖された。
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Neversoftのシンボルと言うべき、社内に飾られていた「槍が刺さった目玉」のオブジェもスタジオ閉鎖を機に焼却処分される写真が同社の公式Twitterにアップロードされ、それは20年の歴史を持つデベロッパーの終焉を如実に表すものであった。
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2021年に発売された『Vanguard』では何故か時代が全く異なるにもかかわらず、今作の悪役であるガブリエル・T・ロークがオペレーターとして再登場しており、演者も同じゲヴィン・エイジ氏が演じている。
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残念ながら日本語吹き替え音声に山路和弘氏は起用されていない。また、何故か彼が劇中で着用していた印象的なバンダナキャップ+ミリタリージャケットの服装ではなく、アメリカ連邦国の装備に赤ベレー帽となっている。
最終更新:2024年10月04日 12:28