ホラーストーリー
【ほらーすとーりー】
ジャンル
|
アクションシューティング
|
|
対応機種
|
アーケード
|
発売・開発元
|
東亜プラン
|
稼動開始日
|
1989年7月
|
プレイ人数
|
1~2人
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
東亜屈指のマイナーアクションSTG クセのあるジャンプを使いこなせるかが鍵
|
概要
1989年に東亜プランがリリースした、強制横スクロールアクションシューティングゲーム。海外では『Demon's World』のタイトルで発売された。
東亜プランには珍しいホラーモチーフの世界観を、ポップなデザインで構築したコミカル色の強いゲームである。
ショット武器を装備したゴーストバスターを操作し、世界各国を舞台に、様々な幽霊や妖怪・モンスターたちを相手に戦い抜き、長き眠りから目覚めんとする魔王ディーモンの打倒を目指す。
主なルール
-
全7ステージ構成の強制横スクロールアクションシューティングゲーム。
-
2人同時プレイ可能で、途中参加できる。
-
1Pは青のスーツとサングラス着用の中年男、2Pは赤のスーツ着用の金髪の青年を操作する。初期装備が異なることを除き、性能差は存在しない。
-
ショット&ジャンプで自機(主人公)を操る。
-
ゲームは常時強制横スクロールで進行し、ボス戦でのみスクロールが停止する。ボスを倒すとスクロールが再開して次のエリアへと進んでいく。
-
レバー操作は左右で自機移動、下でしゃがみ。ボタンは二つ使用し、それぞれがショットとジャンプとなっている。また、ジャンプは飛行中に移動調整が可能。
-
ジャンプ中にもう一度ジャンプボタンを押すと、二段ジャンプが可能。但し、一段目のジャンプの上昇中にしか入力が効かず、下降中にボタンを押しても二段ジャンプはできないの。
また、二段ジャンプ中や踏み付け後に跳ねる動作中はレバーを下に入力すると地面に急落下する事もできる。
-
ジャンプ中に大半の敵を踏みつけて倒す事が可能。また、踏みつけた後はその場から再ジャンプを行うので、多数の敵が群がる箇所では連続踏みつけも可能。
-
なお、踏みつけで敵を倒した場合は高得点のボーナスが入る。標準設定ではスコアで残機が増えるので有用性は高い。
-
マップ上のどこかに武器を打ち込むとスコアボーナスが加算されるポイントが存在する。
-
また、2人同時プレイ時のみ、プレイヤーキャラクターそれぞれの頭の上にジャンプで乗ることが可能。
-
ときおり画面左から、時間経過で5種類に切り替わる武器アイテムが飛行してくるので、それを取ると使用しているショットを変えられる。
種類は以下の5つ(カギカッコ内はアイテムの表示パネルのアイコン。その右は武器の名前)。
-
「M」標準ミサイル…1Pプレイヤーの初期装備。直進型に弾を4連射できる。
-
「>」カッター砲…射程は短いものの、攻撃判定が強力で常に連射が可能。
-
「L」標準レーザー…2Pプレイヤーの初期装備。連射か効かない代わりに、一発あたりの射程判定が長く貫通性能のあるレーザーを放てる。
-
「B」ボンバー…放物線状に2連射しか弾を放てず射程も短めだが、全ショット中最大の攻撃力を持つ。
-
「3」3WAYショット…自機の斜め上方向に三方向の弾を放つ。大きな攻撃範囲で連射が効く反面、単発の攻撃力が全ショット中最弱である。
このゲームにはショットのパワーアップ強化という概念は存在せず、所持中の武器と同じ武器のパネルはスコアアイテム扱いとなる。
-
その他アイテム
-
ハート
-
「P」
-
3つ集めると自機のダメージを一回だけ防いでくれる「プロテクト」の効果が得られる。
-
ベル
-
フィールド上に設置されている。触れる度にスコアアップ。
-
途中復活の残機制で全部ミスするとゲームオーバー。
-
ミス条件は「自機が敵及び敵弾のダメージを受ける」「針などの直接ダメージ系トラップに触れる」「落とし穴に落ちる」「スクロールと壁に挟まれる(プロテクト効果無視)」のいずれかである。
-
ミス後は戻り復活で、2人同時プレイ時のみ、その場復活で継続する。
評価点
-
コミカルホラータッチの独特な世界観
-
ビジュアル面含めて全てコミカルタッチであり、おどろおどろしいながらも愛嬌ある世界観を形作っている。
-
独特な響きのFM音源によるBGM
-
世界各国を舞台とした各ステージの世界観にピッタリとマッチしており、独特な音使いもあって印象深い。
-
BGM作曲は『ヴィマナ』や『フィグゼイト』のBGMを手掛けた富沢敏明氏。
問題点
強制スクロール型のアクションシューティングという関係上、任意スクロールのように自分のペースで進む事はできないため、同ジャンルの他作品同様、難易度は高い。
しかし、これ以外にも、以下にあげる要素によって本作の難易度の高さはかなりのものになっている。
-
癖の強すぎるジャンプ
-
まず、これを熟知しないと前半ステージすらもクリアできない可能性は高い。
-
一段目のジャンプは上方向への跳躍がかなり短く、ジャンプというよりは軽いスキップ動作といった表現の方が正しい。
もちろんそれではジャンプの機能が果たせないので二段ジャンプを駆使するのは必至なのだが、その二段ジャンプはやたらと高く飛ぶ上に、横方向への移動量が非常に小さいためコントロールし辛い。
-
しかも、二段ジャンプは最初のジャンプの上昇中のみにしか受付られないため、『超魔界村』のように一段目のジャンプ後の下降中に再ジャンプという行為ができないのも、クセの強さに一役買ってしまっている。
-
また、そのクセの強いジャンプを使いこなす事を前提とした初見殺しポイントも多く存在するので、難関場所の対処法を知らないと、たとえ場所を覚えていても、ほぼ強制的にミスとなりやすい。
-
ショット性能が全体的に弱い
-
こちらも高難易度の原因のひとつ。ショット自体が弱い上にパワーアップしないので敵に押されやすい。さらに、真正面にしか弾が飛ばない性能の武器が3種類と被っており、広範囲の敵をカバーできる武器が3WAYしかない。
実質的に使えるのは攻撃力最高のボムと、広範囲をカバーできる3WAYのどちらか。うっかりそれ以外の武器を取ってしまうと却って危険と言われるほど。
-
癖のあるトリッキーな軌道で向かってくる敵が多い。
-
敵の数自体は多くはないが配置もかなりイヤらしくパターン化が難しい。上述のジャンプの癖やショットの弱さも相まって、敵を倒すのも避けるのも一苦労である。
-
当時の東亜プランのゲームにはよくある仕様であったが、ボス戦BGMがない。通常BGMのままボス戦になるのでやや盛り上がりに欠ける。
-
シングルプレイ時だと戻り復活であるため、難所を越えるのがきつい。
総評
ただでさえ東亜プランの中でもかなりマイナーな存在なのに、ショット性能の弱い自機性能や操作のクセの強さが災いして、多くのプレイヤーから馴染められず、早々と店から姿を消してしまった。
東亜ファンからして見ても「存在すら知らなかった」「存在は知っていたが、あれが東亜製だったとは知らなかった」という人は結構いるはず。その位に東亜らしくないゲームであった。
バージョン違い・移植
-
本作の基板は2種類存在する。
-
第1ステージが中国ステージから始まる初期版と、アメリカステージから始まる後期版の2つで、一般的には前者の方が出回っている。
-
後者の方はステージ順変更の他、ステージ構成そのものも大幅に異なっている。
-
ちなみにエンディングではキャラクターたちが来た道を辿って帰還していく様子が描かれているが、その道中から最後にたどり着くまでの順序や内部のサウンドアドレスの順番を見るに、本来意図していたのは後期版の面構成だったという見方もできる。
-
『ホラーストーリー』(PCエンジン スーパーCD-ROM2版/1993年2月26日発売/NECアベニュー)
-
稼働当時唯一の家庭用移植。上記バージョン違いの内、前者の中国ステージから始まる物を移植している。
-
CD-ROM2関係としては珍しく、「BGMがCD-DA音源アレンジ」「ネームエントリーのタイミングが違う」「明確なラウンドの区切りが設けられラウンドの切り替わりで画面がブラックアウトしてラウンド表示が入る」以外はなかなか忠実な移植。2人同時プレイもきちんと再現されている。
-
ただし、プレイヤー側ショット性能の強化(特にボンバーの連射性能強化が顕著)、敵キャラの耐久力減少など若干のアレンジが加わっており、AC版よりは遊び易くなっている。
-
また、アメリカステージにPCE版オリジナルのボス(ガンマンのガイコツ)が追加されている。原作であるアーケード版にいなかった事が不思議なくらい馴染んでいるので、アーケード版のみ知っている人は必見。
-
『ゼロファイアーCS + ホラーストーリー DLC』(Nintendo Switch 配信日:2023年7月20日/DLC専売)
-
アーケードゲームの良質移植に定評のあるM2よりSwitch向けに配信された『ゼロファイアー -TOAPLAN ARCADE GARAGE-』用の追加コンテンツとして、『ゼロファイアー』の家庭用移植版とのハンドルで配信された。
-
上記のAC版の2バージョン及びPCE SUPER CD ROM2版が完全収録されている。
-
また、追加コンテンツを含めたすべてのタイトルを一挙に完全収録した『ゼロファイアー -TOAPLAN ARCADE GARAGE-』パッケージ版も同日に販売されている。
最終更新:2025年04月13日 11:06