キン肉マン マッスルグランプリ
【きんにくまん まっするぐらんぷり】
ジャンル
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対戦格闘
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対応機種
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アーケード(SYSTEM256)
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発売元
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バンプレスト
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開発元
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アキ
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稼動開始日
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2006年3月15日
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判定
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良作
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ポイント
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プロレス漫画なのに対戦格闘ゲーム 原作再現度もなかなか高め リングコールはまさかのレニー・ハート II世メンバーも登場 声優選びはやや中途半端 シリーズを重ねるごとにキャラもほぼ完璧に充実化
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キン肉マンゲームリンク
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概要
ゆでたまご原作の超人プロレス漫画『キン肉マン』を題材とした対戦格闘ゲーム。
これまで『キン肉マン ジェネレーション』シリーズなどは平面のリング上を自由に歩ける「プロレスゲーム」だったが、本作は奥行きの概念はあるが敵との間合いのみが重要になる「3D対戦格闘ゲーム」である。
ただしフィールドの端に張られたロープを利用するというプロレス要素も盛り込まれている。
攻撃や必殺技には打撃と組みの属性があり、ガードはそれに対応したアクションが用意されている。
必殺技はオリジナルのものもあるが基本的には原作を再現したものであり、その再現度はかなり高めである。
色替えはかなり豊富なうえ(原作版とアニメ版で大きくカラーの違うキャラは)、複数コスチュームがあるキャラはコスチュームチェンジも存在する。
また、同キャラの変装も色替えという形で再現され、例えばテリーマンの色替えなら2代目キン肉マングレート、ラーメンマンの色替えならモンゴルマンと、かなりこちらも多彩。
アーケード版は解禁キャラを含めて16キャラとキャラ数がやや少なめで、7人の悪魔超人も悪魔六騎士も揃っておらず、夢の超人タッグ編や王位争奪編のキャラは1人も存在しないという有り様だった。
MAXではある程度改善され、悪魔超人軍勢は全員揃うこととなったが、キン肉マンソルジャーを除いて原作後半の超人はやはり登場していない。
一方でゲスト参戦という扱いとはいえ、キン肉マンII世のキャラの人選は連載当時のピックアップキャラが中心であったため、あまり馴染みのない人選が取り揃えられている。
システム
リングを舞台とした格闘ゲームであるが、リング外の乱闘は存在しない。
ただし、打撃や投げの特定のコマンドでリングに追い詰めた場合、ロープの跳ね返りを利用した技が使用可能となる。
レバー入れ(家庭用版は方向キーorスティック)による移動、打撃・組み・技・ガードの4ボタンを使用する。それぞれレバー入力と合わせることで他の技が使用可能となる。
攻撃やダメージによって、テンションゲージと呼ばれる技ゲージが蓄積され、9まで溜めることが可能。
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打撃
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ラッシュやコンボに向いている弱・強といった使い分けはない。レバー入れなどによって打撃方法が変わるため、それによる使い分けは存在する。
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組み
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投げ技を放つコマンド。自分と逆のレバーを入れることで相手を背後に引ける。前述のロープアクションをもっとも活用しやすいコマンド。
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ガード
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打撃を防げるコマンド。タイミング良くボタンとレバーを同時に入れることで攻撃を弾け、自分と反対側のレバー入れで打撃かわし、進行方向と同じレバーで組み弾きが発動する。
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技
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ゲージを消費して技を発動させる。技にも打撃と組みの属性があり、ガードの際は上記と同じ法則が適用される。
体力が25%以下になり体力ゲージが点滅するとキャラクターがパワーアップする「クソ力」というシステムがある。
操作キャラクター選択時に「クソ力選択」でどのタイプを選ぶか選択できる。選べるのは攻撃重視(攻撃力1.4倍)、防御重視(防御力1.3倍)、火事場のクソ力(テンションゲージ増加量1.5倍)の3種類。
登場キャラクター
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全16名(バリエーション含まず)
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キン肉マン
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テリーマン
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ロビンマスク
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ラーメンマン
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ウォーズマン
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ブロッケンJr.
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ウルフマン
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バッファローマン
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アシュラマン
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サンシャイン
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ザ・ニンジャ
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ペンタゴン
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キン肉万太郎
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ケビンマスク
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ベンキマン
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悪魔将軍
※はすぐ上のキャラクターのバリエーション
青字は『キン肉マンII世』登場キャラクター
赤字は後に追加されたキャラクター
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評価点
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キャラゲーにしてはそこそこ完成度の高いゲーム内容。
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格闘ゲーム初心者であっても打撃と組みの関係を理解すれば、あとはコマンドを覚えればひとまず対戦が出来る、シンプルながら奥深い作り。
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上級者ともなると浮かしからの空中専用投げなどの実用的かつ強力なコンボを覚えているため、そういった相手との対戦は流石に難しいが…。
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ペンタゴン、ザ・ニンジャ、悪魔将軍という3強と、意図的に最弱に設定されたベンキマンなどのキャラはおり、安定したゲームバランスとは言えないものの崩壊とまで無茶苦茶ではない。
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全体的な再現度の高さ。
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一部の必殺技は、時間を巻き戻して様々なカメラアングルから技の様子を見せており、しかも画面下部に技名が字幕で表示される(そしてミートくんやキン肉大王たちが驚いている様子も挿入される)
このおかげで、いかにもマンガっぽい迫力とハッタリ感が再現されている。しかし長すぎてゲームテンポが悪くなるほどではない。
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当時としては細かいキャラリアクションの数々。
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ダメージを受ければちゃんとキャラが苦しむ表情を浮かべ、技をかけた際の表情変化も比較的細かい。
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キャラクターの多さ。
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アーケード版は主に悪魔超人関係で多くの抜けがあったが、家庭用版のMAXでそのほとんどが解決され、格闘ゲームとしては十分以上のキャラ数が整うこととなった。
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MAXでキン肉マンソルジャーが追加されたことで、「運命の5王子も欲しい」という声があがることとなったが、その望みは続編で叶うことに。
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2Pカラーを原作カラー・アニメカラーと分けている点。
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ロビンマスクのカラーが特にわかりやすいが、これによりキン肉マンのファンにありがちな「アニメカラーか原作カラーか」の問題をちゃんと解消している。
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そうでないキャラでも衣装違いや変装をしっかり再現しており、比較的痒いところに手が届く内容となっている。
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ただ、カラーは2つしかないため、2Pが衣装違いになっている場合は原作カラー・アニメカラーのどちらかしか使えない。
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キン肉マン(キン肉スグル)の声に神谷明が起用されていること。
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その付近のキン肉マンのゲームは、キン肉マンII世のテレビ版で担当していた古川登志夫が担当することが多かったが、マッスルジェネレーションズなどと同じく本作では神谷明の渾身の演技を聞ける。
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北斗の拳シリーズでは酷評されがちな神谷明だが、本作では往年の三枚目ヒーローなキン肉マンの声を聞ける。必殺技の際は格好良い声音だが、やられると「いやじゃ~!」「痛いよ~!」など、格好良いだけじゃないキン肉マンが本作でも再現されている。
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余談気味ではあるが、王位争奪編ではレギュラー陣の声優が変更され、ウォーズマンもその中の一人だった。しかし本作ではその際に放った「ウォーズレッグブリーカーでござーい!」の台詞が、本作で担当している二代目ウォーズマン声優・堀秀行で呼称するのを聞ける。
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キン肉マンでありながらもリアル寄りの演出の数々。
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マンガ原作でありながらもリアルで写実的なグラフィックに加えて、総合格闘技「PRIDE」の選手入場コールで有名なレニー・ハートをシステムボイスとして採用しており、キン肉マンの戦いを実在の試合のように表現している。
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この傾向はシリーズを重ねるごとに強くなり、より字幕がスタイリッシュになったり、キャラの服装ごとにいかにもなキャッチコピーが添えられたりと、昔のマンガのゲーム化では終わらせない魅力を引き出す事に成功している。
賛否両論点
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ゲスト出演だがキン肉マンII世のキャラも網羅されている。
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キン肉マンII世自体がファンから賛否両論の評価を受けているためか、「II世のキャラを出すくらいなら初代のキャラを出せ」という声が多くあがった。
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特にアーケード版では悪魔超人がまるで揃っていなかった故に、II世自体に非はないのにも拘らず、余計にそのバッシングを受ける羽目となってしまった。
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ただしII世キャラがいると、TV版の名曲『HUSTLE MUSCLE』がかかることがあり、熱血ソングを背景に戦える点は評価する声もあった。
問題点
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ウォーズマンが立ち絵でウォーズマンスマイルを浮かべていたり登場の際に「フフフフフ…」と笑いながらベアークローを構えたりと、初期の残虐超人準拠の点が多い。
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ラーメンマンやロビンマスクも初期イメージを汲んでいる点は多いが、ウォーズマンに限ってはあからさまに違和感を覚えるレベルで残虐超人時代のイメージが強く反映されている。さらに、完全に正義超人に転向している時期のクロエでも同じ行動を取るので尚更違和感が強い。
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余談だが「新世代超人VS伝説超人」では一人だけストーリーで蚊帳の外だったり「ジェネレーションズ」ではキン肉マンとの因縁の会話がカットされたり、ウォーズマンは何かと不遇な目に遭っている。
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神谷明以外の声優は、II世における引き継ぎキャストを起用していることが非常に多い。
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特にバッファローマンは、佐藤正治がサンシャイン役で参加しているのにも拘らず、II世で担当した乃村健次が起用されている。
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この点は家庭用版のMAXである程度改善されたが、テレビ版における悪魔将軍役の北川米彦がザ・魔雲天やビッグ・ザ・武道役で駆けつけてくれたのにも拘らず、再録はされなかった。
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抜けのあった悪魔超人達は全てTVアニメにおけるキャストだが、それらはII世のアニメ版やこれまでボイス付きゲームであまり登場していない超人が主だったためともとれる。
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ただし後任の声優のクオリティが著しく低いというわけではない。ただゲームでは一貫して担当しているとはいえウォーズマンはTV版の二代目声優である堀秀行が担当している。
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アーケード版に限るが、キャラが少なすぎる。
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一応悪魔超人の中から選りすぐりのキャラが選ばれているが、結局いつものキン肉マンのゲームと変わらないキャラ選ということになった。
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この点は、家庭用版において(悪魔超人に限り)だいぶ改善され、続編で初代の主要な超人は概ね網羅された。
キン肉マン マッスルグランプリ MAX
【きんにくまん まっするぐらんぷり まっくす】
ジャンル
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対戦格闘
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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バンダイナムコゲームス
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開発元
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バンプレスト アキ
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発売日
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2006年7月27日
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定価
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7,140円
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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特徴(MAX)
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大幅なキャラの追加。
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アーケード版から17人追加され合計33人に。なんと追加キャラクターのほうが多い。
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追加されたのは、ジェロニモ・7人の悪魔超人6人・悪魔六騎士3人・II世の超人6人・キン肉マンソルジャー(キン肉アタル)。
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ストーリーモードの追加
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7人の悪魔超人編と黄金のマスク編がある。途中で分岐があり、原作と異なる対戦を選んだり負けてしまったりするとオリジナルのifストーリーに分岐する。
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アニメ版でアレンジされていた部分が全て原作準拠であるため「アニメ版の声優を起用した原作版の再現」といった方が正しい。また、省略されている部分も多いため、原作を知らないと解らない部分もある。
登場キャラクター(MAX)
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アーケード版の16名に加えて、追加17名
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ジェロニモ
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ステカセキング
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ブラックホール
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ザ・魔雲天
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ミスターカーメン
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アトランティス
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スプリングマン
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スニゲーター
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プラネットマン
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ジャンクマン
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テリー・ザ・キッド
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ジェイド
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スカーフェイス
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チェック・メイト
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イリューヒン
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バリアフリーマン
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キン肉マンソルジャー
青字は『キン肉マンII世』登場キャラクター
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問題点(MAX)
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トレーニングモードが無い。
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『ジェネレーションズ』等と違って格闘ゲームに近いためか、実装してほしかったという評価が多い。
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隠しキャラの出現条件が面倒。
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特に悪魔将軍とキン肉マンソルジャーを出現させるのはかなりの手間がかかる。
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バグがある。
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条件を満たしても隠しキャラが出なかったという報告が多い。
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アーケードモードをクリアしたというフラグがOFFになることがあるのが原因で、偶数回クリアするとOFFになってしまう模様。
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上記の悪魔将軍とキン肉マンソルジャーは多くのキャラでアーケードモードをクリアする必要があるため大変。もし誰で何回クリアしたかが解らなくなってしまったら、セーブデータを一度消してやり直す方が早い。
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一応、メーカーにメモリーカードを送れば対応してもらえたという話はある。
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ストーリーモードの仕様。
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上記にある「原作と同じ行動を取らないとifストーリーに分岐」という要素は宣伝でも大きく取り上げられていたが、実際はバッドエンドに直行するだけ。
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ウルフマン対スプリングマンなどは、ゲーム上で勝利してもその後のムービーでは原作通りの流れで負けてしまう。いまいち達成感が薄い。
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そこまで原作の流れを尊重しているのにも拘らず、ゲーム上でマッスルスパークやロビンスペシャルなど後期の必殺技が使えるのには違和感を覚えるという声もあった。
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ムービーは原作を非常に忠実に再現しているが、どのキャラも少ない表情パターンで「片手をかざして身を乗り出す」「真顔で指を指す」といった挙動を頻発するので絵面はかなり単調。また、キャストの演技が当時とかなり違い極端に落ち着いた喋り方だったりオーバー過ぎたりと若干違和感を覚えてしまう。
総評
キン肉マンのゲームとしてはキャラ数もかなり多い部類で、格闘ゲームとしてもなかなかの人気を得た作品。
プロレスゲームではないものの、原作ファンにも比較的好まれた。
アニメ版のファンとしては声優起用の中途半端さや謎さだけが残念なところ。
余談
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一部のキャラの超必殺技にやや違和感がある。
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一部のキャラは相手がロープを背負っているときにのみ使用できる超必殺技を持っている。条件の厳しいローブ背負い時のほうがダメージが大きいのだが、原作の最強技とされるものが通常時の方であるために少し違和感のある超人が何人かいる。
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悪魔将軍(通常:地獄の断頭台、ローブ背負い:地獄の二重殺)、スカーフェイス(通常:アルティメットスカーバスター、ロープ背負い:ヘルリバープランジ)などが該当。
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初代キャラに『II世』の要素はない(声優を除く)。
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初代キャラの一部はII世に登場し新技を使用しているが、それらはこのゲームでは採用されていない。
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AC版の時点ではアトランティスは登場していないのに、何故かステージにアトランティスとの戦いの場である上野公園不忍池がある。
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家庭用では7人の悪魔超人と悪魔六騎士が追加されたのに伴い、不忍池以外の彼らとの戦いの場もステージとして追加された。
最終更新:2022年04月17日 03:06