本ページではWindows用ソフト『聖なるかな -The Spirit of Eternity Sword 2-』とその移植版『聖なるかな -オリハルコンの名の下に-』を紹介しています。



聖なるかな -The Spirit of Eternity Sword 2-

聖なるかな -オリハルコンの名の下に-

【せいなるかな ざすぴりっとおぶえたにてぃそーどつー】 【せいなるかな おりはるこんのなのもとに】

ジャンル 転生神話SRPG

対応機種 Windows 2000/XP
プレイステーション・ポータブル
開発元(共通)
発売元【Win】
ザウス【本醸造】
発売元【PSP】 サイバーフロント
発売日 【Win】2007年8月3日
【PSP】2012年4月19日
定価 【Win】10,260円
【PSP】6,264円(税込)
レーティング アダルトゲーム
【PSP】CERO:C(15歳以上対象)
配信 2010年8月20日/4,094円
判定 なし
ポイント システムや世界観は大幅に強化
前作ファンは反感
ザウス作品リンク

概要

前作の『永遠のアセリア』によって広大かつ深みのあるシナリオとシステムで、ザウスの名を一躍轟かせた『永遠神剣シリーズ』の続編。
しかし、続編とはいうものの、あくまで前作の主人公の血縁者が少し出てくる程度で、同じ世界観ではあるが舞台等は一新されている。
また、シビアだった前作とは変わり全体的にマイルドでわかりやすい設計となっている。

特徴

  • 部隊パート
    • 複数の部隊でマップを攻略する。レベルアップやオブジェの管理もこのパートで行う。
  • 戦闘パート
    • 前作とほぼ同様。3人一組の部隊を組む。攻撃を担う「アタッカー」、防御を担当する「ディフェンダー」、補助を行う「サポーター」の各ロールを担う。
      これらは戦闘前に変更可能。レベルが低い間は基本的におすすめのロールがあるのでそれに準ずるとよい。
      また1人で全ロールを受け持つ「オールラウンダー」というものもある。ある程度能力が秀でているキャラでないと少々辛い。
      ダメージ属性にはマテリアルとフォースが存在する。マテリアルはいわゆる物理で、フォースは魔力(実際は理力)となる。
      リメイニングゾーンという新要素も登場。特定のアクションにおいて発動する、自動スキル装置のようなもの。うまく使えば有利に攻防が可能になる。

評価点

  • 深いシステム
    • 難しいわけではないが、決して簡単ではないバランスにより、歯ごたえのあるバトルが楽しめる。
  • また、前作では「クリアーさせる気がなかったほどの難易度」は鳴りを潜め、1周目でもクリアーは簡単になった。
    2周目以降はとあるキャラが非常に強化されているため、また違った育成を出来るのが嬉しい。
  • 深い設定
    • 世界観がより大きくなった。だからといって核心にまで触れられることはなく、ある程度ぼかしている程度なので、
      更に肥大化した設定を考察する楽しみがある。本シリーズの考察サイトは非常に多岐に存在し、あらゆるプレイヤーがあれやこれやと考察を深めた。
      所謂「最強」を決める格付けの話では、本シリーズは必ずといっていいほど登場する。この吹っ切れたまでの規模や設定は、他の全ジャンルの作品の追随を許さないほど。
  • 数々のドラマ
    • 世界の数だけドラマがある、といったように様々な人間ドラマが存在する。王道であったり不可思議であったりと、はたまたそのどちらでもないものであったり。
      特に、過去と現実の狭間で繰り広げられる主人公、望と絶の敵対は長大な物語全体に浸透し、その決着までのもったいぶりもなかなかである。
  • CGモード
    • おまけ要素だが、CGモードでは、登場キャラたちが表示されたCGについて掛け合い形式の論評している。これが聞いていて結構楽しい。

問題点

  • とにかく長い
    • シナリオも長いが、とにかく部隊及び戦闘パートが長い。広大すぎる3Dマップを幾度と無く進行しているとあっという間に日が暮れる。
    • 個別への分岐が終盤になってから。ADVのように長すぎる共通パートをスキップすることが出来ないので完全クリアには根気が必要となる。
  • 使われない設定
    • スキルの解説でコラムという形で設定が紹介されているのだが、ゲームで生かされていないので全くの無駄になっている。キャラによっては割を食ってしまっている事も。
      生かそうとしたのだけれど、製作期間やらの事情で生かされずに終わったとも邪推できるが。
  • とにかく主人公至上主義
    • 主人公である望は、本人自身は特に重い設定などはない。しかし過去生と呼ばれる望の「前世」が望のバックグラウンド全てを孕んでいると言っても過言ではない。
      つまり、転生したとはいえ、望の過去生が非常に強力であるため、現在の望にもその要素が次々に引っかかる。
      簡単にいえば「前世がすごかったので現世でもすごい」。ヒロインも疑問を持たずに惚れる。
      また、前作の「自我を失う代わりに神剣の力を発揮させる」設定が使い回されているが、設定のみで別段何の問題もない。あくまで演出上で言われているだけである。前作にはちゃんと「マインド」*1という裏付けシステムが存在したのに、本作では廃止になった。
      このため、あらゆるご都合展開を望むまま得られている望は「んへw」*2と呼ばれるのが定着した。
      このことから、マインドを取るか理性を取るかのシビアなバランスを好んでいた前作ファンには受けが悪い。
  • 唐突すぎる展開とシナリオ
    • 今作の舞台の管理人が世界各地で起こった騒乱で世界が大変なことになるので、唐突に現われてリセットするといった打ち切り展開。この管理人もはっきり言うと被害者なのだが…完全に悪役扱いされて報われない。
      しかも別のルートだと、この管理人を倒したあと、モブだと思われていたキャラが唐突に登場し、管理人を食う。比喩ではない。そして「エネルギーを全部いただく」と言ってバトル。これがラスボスである。
  • バランス崩壊キャラ
    • 前述にあった前作の血縁者「ユーフォリア」である。このキャラがいれば大抵収束可能。しかし目立った出番はなく、「たまたまこの世界に落ちてきたので主人公についていく」というだけのキャラ。そのため「客寄せパンダ」呼ばわりされる始末。これもまた前作ファンの反感を買った。
      + ネタバレ
    • なお、ルートどころか、Hシーンすらないのが残念。ただし前作ファンからすれば「何処の馬の骨とも知らない奴とくっつかなくてよかった」とも言えるのが複雑でもある。
    • 望の神剣である「ナルカナ」も相当…どころか反則級に強い。ユーフォリアとこのナルカナがいれば大体なんとかなってしまう。ただ、エロゲーなのでシナリオを進めたい人たちへの救済策とも言えなくもない。
  • 緊張感皆無の学園
    • 世界を往々に旅する一行だが、旅するのは主人公達だけではない。主人公が通っている「学園」(在校生含む)そのものもである。
      学園がどうやって世界を旅するんだ? という問題はかなり大雑把に解決しているので触れないでおくにしても、学園漂流物ではありがちな「パニック」や「騒動」等は開始時を除いて一切起こらない。このため「修学旅行」と揶揄されるほど。
      元の世界に帰れる機会が早めにあったのにもかかわらず、主人公達が先延ばしにしてしまい、その決定に特に異を唱えたりもしない。神剣は人の魂を糧にするという設定があることから、「神剣で生徒達を脅しているのか?」とユーザーから推測もされている。
  • 前作のプレイヤーが違和感を覚える設定。
+ 折りたたみ
  • 第一位の永遠神剣についての設定変更。
    • 前作では全ての大元になったのは第一位の永遠神剣で、これは現存せず、実質的に第二位が最上位の永遠神剣だった。
    • 続編(本作)を作るにあたって世界観を広げるために設定が変更され、第一位よりも上の位である「天位」「地位」「鞘」などの永遠神剣が設けられ設定のスライドが行われた。そのため第一位の永遠神剣は普通に何本か存在していることになり、本作には第一位の永遠神剣「叢雲」「聖威」などが登場している。また旧設定で第二位だったエターナルのリーダーの永遠神剣も第一位に設定変更された。
  • 前作には異世界に移動すると元の世界から痕跡が消滅して他者の記憶からも消えてしまうという設定があった。
    • 本作で追加された時間樹やナルの設定によって、下位宇宙「分枝世界」をいくつも内包する中位宇宙「時間樹」があり、さらに上位宇宙はいくつも時間樹を内包しており、上位宇宙はマナ宇宙とそれに相反するナル宇宙の2つがある、という世界構造になった。
    • これに関連して、痕跡や記憶の消滅は同じ時間樹内の別の分枝世界なら移動しても起こらず、別の時間樹に移動した時のみ起こると設定し直された。
      • 別の時間樹に移動すると、元の時間樹のプレーンベース(アカシックレコード的なもの。複数の時間樹に記録を持つことはできない。)から記録が消去されて最初から居なかったことに世界が修正されて移動先の時間樹のプレーンベースに真っ更な記録が新規作成、別の時間樹の世界から元の時間樹の世界に戻ってきた場合も消去&新規作成が行なわれるだけという原理になっている。*3
    • また、前作で「時の迷宮」の入り口の前に居た時点ではまだ他人の記憶から消えておらず入った時点で消えた設定は、「時の迷宮」がある世界は別の時間樹にある分枝世界なので入り口の前に居た時点で既に消えていた設定に変更された。
  • 神名や守護神獣などの設定
    • 本作の舞台となる時間樹のみに永遠神剣「星天」の力で課せられたシステムという設定。
      • 前作の世界(ファンタズマゴリア)は別の時間樹にある分枝世界なのでこのようなシステムはない。
    • 前作主人公たちが暮らしていた元の世界(ハイペリア)も本作の時間樹内にある設定になったため、前作後半のイベントで敵と共にハイペリアに行った際にも実は神名のシステムによる制限が適用されていたことになった。なお守護神獣は、敵はハイペリアでは守護神獣を出せたが必要ないので使わなかった、主人公たちは弱いので神名は適用されていたが守護神獣はなかった設定。
  • 上記のフォローは本作以降に出た設定資料集によるものが多く、本作発売当時は矛盾点や疑問点が多々あると受け取られた。

総評

パートの端々が長い、シナリオが少々ご都合すぎる、といった粗があるが、ボリュームに嫌悪感がなく『永遠のアセリア』に興味がある、という入門者にはよい。 そちらの未経験者が本作をプレイしても問題ないのは、この点においてありがたい。 とはいえゲーム媒体の問題が無ければ続編に類する作品でもあるため 入門者にとっても基本的にこちらの作品よりはシナリオ・システムともに良い『永遠のアセリア』のほうがまず薦められるのが悲しいところか


移植版

  • シナリオが一部改訂された。
  • 新規OPムービー収録。
  • PSP『永遠のアセリア -この大地の果てで-』と連動すると特別なミッションが受けられる。
    DL版は最初から実装。

関連作

※全て18禁

  • スペシャルファンディスク(2008年7月25日)
    • 本編では出番が多くなかった、本編への補完的なキャラのスピンオフストーリー、並びにクイズゲームを収録。
    • スピンオフストーリー自体は悪くないが3つあるストーリーのうち、2つのストーリーの前提が似通っているのが引っかかる。
  • 聖なるかな外伝・精霊天翔 ~壊れゆく世界の少女たち~(2010年1月29日)
    • モブ、というより不足しがちなロールを補うための存在、クリスト(幼女キャラ)に焦点を当てた外伝。シナリオ全体が暗く陰鬱だが、バランス等を考えても好評。原案者は関与していない。
  • 聖なるかな外伝・精霊天翔 ~Crystal Friends~(2010年10月29日)
    • 上記のファンディスク。
  • スペシャルエディション(2012年9月28日)
    • PSP版のWin逆移植版。ドラマCDのみ存在したシナリオのADV化。
    • あるアイテムを入手すると、上記外伝のHシーンが閲覧出来るように。
    • 戦闘を実施せずとも、無条件で勝利するパッチが配布されている。これで一応、長い部分については改善されたと言えるが…なお、DL版のみ対応。

余談

  • 本作を最後に永遠神剣シリーズの正統な続編は途絶えていたが…。
    • その後、スタッフが軒並みザウスから離散し、その後徒党を組んで制作したのが 『輝光翼戦記 天空のユミナ』、いわゆる『輝光翼戦記シリーズ』である。
    • 2014年にはザウスで再結集して『新世黙示録 ―Death March―』をリリースしている。が、ゲームの出来は…。
    • その後ザウスと『永遠神剣シリーズ』の生みの親である高瀬奈緒文氏の間で権利譲渡契約が結ばれており、2018年6月27日より同シリーズの権利は高瀬氏のものとなっている。今後に期待したい。
      • ちなみに、高瀬氏はこれ以前よりユーフォリアを主人公に据えた新たな物語を同人作品として展開し活動していた。

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最終更新:2023年02月01日 12:20

*1 自我の値。これが高いと能力も上がるが、ダークサイドに堕ちてしまう諸刃の剣な数値。

*2 望が唐突に自称した最終形態の名称である「ナル・ハイ・エターナル」=Null High Eternal のそれぞれの頭文字を取り、嘲笑である「w」をつけたもの。なお「エターナル」とは、上位の永遠神剣を手にしたことで世界を超越したほとんど不老不死の存在になった者たちのことである。望の場合はそれとは少し違うっぽい「ハイ・エターナル」という存在で、世界の万物が「マナ」で構成されているのに対してそれに反するものである「ナル」というもので肉体が構成されているから「ナル・ハイ・エターナル」ということのなのだが、肝心の「ハイ・エターナル」とは具体的になんなのかが補足設定・後付設定が本作後にいろいろ出た現在でも詳細不明。後年コミケで出た設定資料集によると、前作のクラス名で登場したすごい「エターナル」などという意味ではなく、「ハイ・エターナル」は特別なことができる特殊な存在とのことだが……。

*3 「エトランジェ」(前作の主人公たち)の「召喚」は挙動が異なり、元の時間樹に記録を持ったまま召喚先の時間樹に記録の所在が移らずに滞在している形。前作後半でアセリアが主人公の世界に行った際も元の時間樹に保持。前作のエターナルは世界に自身の楔を残しておくことで、別の時間樹に移動したあと戻ってきた際に真っ更な記録を作成し直しではなく以前の記録が復元されるという手法を取っていた。エターナルは上位宇宙の記録にアクセスしているので時間樹の記録が消えて最初からなかったことに修正された物事を覚えていられる。というように特例的な挙動もいくつかある。