アクションゲームツクール
【あくしょんげーむつくーる】
ジャンル
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ゲーム作成ソフト
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対応機種
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Windows XP~Vista
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発売元
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エンターブレイン
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開発元
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スマイルブーム
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発売日
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2009年3月5日
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定価
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9,800円
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判定
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クソゲー
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ポイント
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題材は良いのにツール内容がクソ 『VX』以降の作品なのに使える素材が90年代レベル PC用作品でありながらアフターサポートが雑 簡単に作れるという利点もやや薄い
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ツクールシリーズリンク
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概要
これまでも需要が多く、何かとツクラーからの要望も多かったアクションゲームを製作することに特化したツクール。
題名こそ『アクションゲームツクール』だが、メインとなる2Dアクションの他にもアクションRPGやシューティングをデフォルトで製作することが可能。
結果として、以前リリースされていた『シューティングゲームツクール』シリーズは、本作に統合される形になった。
前情報ではいろいろと期待されていたものの、いざ発売してみると不具合の嵐で、ユーザーの意欲を削いだ。
PC系ツクールお決まりのアップデートも一応入ってはいたのだが、それすら中途で打ち切られるという最悪の結末となり、ユーザーを阿鼻叫喚の地獄へと叩き込んだ。
特徴
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主に作れるのはジャンプアクション、アクションRPG、シューティングの三種類。
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ゲームとは異なるが「デモ」を作るモードも存在する。
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これらは結合させることも可能で、レトロゲームによく見られたアクション面とシューティング面を統合したステージ構成も可能である。
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ツール内容
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RPGツクールのパターンを継承しているものの、その内部はほぼ別物である。
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アクションゲームに必要な当たり判定などの設定なども全てツール画面で行う。
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RPGと違い設定項目が多いため設定自体は大変だが、難しいプログラム知識を要求される部分は少ない。そのため簡単にツクることができる
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ゲーム公開の場の拡大
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従来のツクールと同じ配布方法以外にも、Flash形式にして配布したり、Xbox360で遊べるようになった。
問題点
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素材として使えるデータの選択肢が非常に狭い
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画像はbmpかpng、音関連はwavかaifのみ。特にPC版RPGツクールなどでは使えたMIDIに一切対応していないことは批判点の一つ。
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どれも決して軽いデータではないため、凝った内容にしようと画策してデータを増やすと、ゲームの動作速度が遅くなる。アクションゲームとして致命的である。
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そもそもできることが非常に少ない
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上記と合わせて、アクションゲームとして出来ることは、下手するとファミコンレベルのものを作る程度である。
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一応カタログスペックだけ見れば、スーパーファミコンかプレイステーションくらいのものはできるのだが、アニメーションを増やすと重くなるため現実的ではない。
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キャラや障害物の配置はドット単位でしか行うことが出来ず、かなり不便。
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プレイヤーが出せる弾はデフォルトで3種類しかない。やり方次第で増やすことは可能だが、初心者にはまず無理と言える複雑な設定が必要となり、ツールとしての意味をなさない。
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キャラの斜め移動は敵味方共通で45度まで。
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ツールが全て一緒くたにされているため、4種のゲームの設定項目がごっちゃになっている。
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アクションゲームだけ作りたいという場合でも、シューティングゲーム向けの項目は表示されてしまう。そこまで問題と言うわけでもないが、やはり紛らわしさはある。
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サンプル素材があまりにも少なく汎用性ゼロ
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画像、SEを含めて数がかなり少ないうえ、内容もイマイチ。
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未修正のバグ多し
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過去5回、不具合修正のアップデートプログラムが配信されたが、設定してある項目が「設定できていない」という意味不明なものや、Flash出力をすると製作時のものと出力版とで内容に差異が生まれるなど致命的なものまで、酷いバグがいくつか残っている。
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2017年4月30日をもって、メーカーサポートは終了している。
評価点
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確かに簡単には作れる
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使用可能な素材のデータ容量が重いものばかりであるため凝ったものを作るのはほぼ無理だが、ファミコン、さらに言えばゲームボーイなどの過去の家庭用ハードや携帯ゲームレベルのシンプルな作品を目指すのであれば十分な範囲に収まっており、ハードルの低さから大変手を出しやすい。
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逆にスクリプトを利用してこの位のものをつくろうとすると、むしろ手間が余計にかかる。入門編としてもうってつけと言える。
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配布環境の広大化
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この点は時代の変化から後のシリーズには受け継がれなかったが、本作はFlash形式から実際のゲーム機まで、シリーズ随一の配布環境の広さを誇っていた。
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もっとも、Flashに関しては問題が多すぎて、まともに出来るようにするまでかなりの時間を要するのだが。
総評
「ゲームと言えばアクション」と言っても過言ではないくらいメジャーなジャンルでやらかしてしまった本作。
簡単にツクれるため、スクリプトや難解なソフトを使うよりは確かにハードルは低いのだが、その分出来るものがあまりにも貧相になってしまう。
特に使用可能素材がRPGツクールから減少してしまったことは、もはや謎でしかない。
普段のような自社制作ではなく外部に開発を委託していたためなのかもしれないが、それにしてもこの稚拙な仕様は擁護出来ない。
余談
体験版がちゃんと用意されている
一応このゲームが自分と合うか合わないかをチェック出来るのは良いことだろう。
本作の開発を担当した『スマイルブーム』は、後にニンテンドーDSi/3DSでBASIC言語によるプログラミングソフトプチコンシリーズを発表した。
こちらはまずまずの好評であり、この事から察するに、単に本作の発売当時には開発ノウハウが不足していたという可能性もありうるが、それはそれで開発ノウハウの足りないところに開発を委託したことも疑問に思わざるを得ないところである。
本作の失敗が大きく響いたか、アクションゲーム系列のツクールは2018年の『アクションゲームツクールMV』までブランクが空く事となった。
最終更新:2021年02月01日 20:25