ドラえもん 対決ひみつ道具!!
【どらえもん たいけつひみつどうぐ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ゲームボーイ
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メディア
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1MbitROMカートリッジ
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発売元
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エポック社
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開発元
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酒田エス・エー・エス エポック社
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発売日
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1991年3月1日
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定価
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3,500円
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判定
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なし
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ポイント
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ドラえもん初の携帯機ゲーム アニメ大長編の世界観を忠実再現 少々不気味な世界観は賛否
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ドラえもんシリーズ
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概要
ゲームボーイ版のドラえもんシリーズ第一作目。
ストーリーとしては「タイムマシンを筆頭としてさまざまなひみつ道具がドラえもんたちに反乱を起こし、おなじみの五人のうちドラえもんを除いた全員があらゆる空間に幽閉されてしまったのをドラえもんが助け出し、黒幕のタイムマシンを追いかける」というお話。
特徴
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見下ろし型マップと横スクロール、縦シューティングの3つが複雑に絡み合ったフィールド。
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ひとつの見下ろし型フィールドのあちこちにどこでもドアが設置されており、これらに入ると横スクロールや縦シューティングのアクションパートに移行する。クリアすると重要アイテムが手に入ったりヒントが聞けたりし、再び見下ろしマップに戻り別のドアを探索するという繰り返しを経て先へ進む。
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中にはミニゲーム風のステージ(武器タイプのひみつ道具が得られたりする)や、会話またはヒントが聞けるだけの場合もある。別のドアにつながっているものも。
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必要なひみつ道具を全て集めてボスのいる扉に入るとボス戦となり、倒すとステージクリアとなる。
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ステージをクリアするとひらがな3文字の「あいことば」を教えてもらえる。いわゆるパスワードコンティニューで、ゲームスタート時に入力するとそのステージの最初から再開できる。
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ドラえもんはゲーム開始当初、ミチビキエンゼルとチャンピオングローブ以外のすべてのひみつ道具を失っている。「ひみつ道具でなんとかすりゃいいだろ」という当時の子供たちの突っ込みを最初から撥ね付ける。
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道中でいくつかの武器型ひみつ道具を手に入れていくことになるが、ステージのボスを倒して仲間を救出すると、ひみつ道具のエネルギーがなくなったと出て新しいステージではまたチャンピオングローブからスタートとなる。
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ちなみにコンティニューした場合もステージの最初からになるがチャンピオングローブしか持っていない。
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武器型ひみつ道具は以下の7種類。
チャンピオングローブ
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初期装備。威力は高いが射程が非常に短い。
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空気ピストル
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威力は低いが連射ができる。
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衝撃波ピストル
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威力が高く、連射もできる。
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空気砲
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前3方向に弾を発射するが、威力は低く、連射も効かない。
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たつまきストロー
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前と後ろに同時に弾を発射する。連射は不可。
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しゃぼん玉ピストル
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画面上に1発しか出ないが、見た目に反して威力が非常に高い。敵を貫通することもできる。
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ブーメラン
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前方向に飛んでから戻ってくる。威力はそこそこで敵を貫通することもできるが、射程はチャンピオングローブの倍ぐらいと短め。
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チャンピオングローブは原作ではたいした知名度もなかった道具だったが、この作品や半年ほど前に発売した『ギガゾンビの逆襲』などでも攻撃用の道具として登場する。また、後の時代ではスネ夫最強神話を生み出した。
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「しゃぼん玉ピストル」、「たつまきストロー」など原作では元々武器としての要素は持たなかったはずの道具が武器として活躍する一方、原作でよく武器として用いられる「空気砲」は使い辛くなっている。「ブーメラン」に至ってはひみつ道具とは言い難いかもしれない。
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武器以外では、被弾を三回まで防ぐ「バリヤーポイント」や一定時間無敵になる「SL煙突」などといったひみつ道具も登場している。
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ドラえもんの好物としてお馴染みの「ドラ焼き」は取ると1UPするアイテムとして登場。
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戦闘用以外では、「ミチビキエンゼル」と「正直太郎」というナビゲーター型のひみつ道具もある。原作ではただの鬱陶しいおせっかい焼きでしかなかったミチビキエンゼルがここまで頼もしく見える作品はこれだけだろう。
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謎解き用のひみつ道具には「道路光線」や「通りぬけフープ」などが登場している。
評価点
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アニメを意識した舞台作り。
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キャラ同士の会話シーンでは表情がそれぞれ変化しながらおなじみの雰囲気でストーリーを盛り上げる。横スクロール等をクリアしてもこうしたヒントですらない会話が発生するだけの場合もあるが、妙に怒れず微笑ましくなってしまう。
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大長編を模した背景もあいまって、これはこれでひとつの大長編アニメとして完成されている……ような気もしてくる。
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RPGライクな謎解き。
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ボスの部屋に行くためにはAとBの道具を見つけてからCのイベントを見なければならない、といった様に単純に前に進むだけではステージのクリアには繋がらない。しっかりと重要な道具を発見し、得られる情報やヒントを得てからボスとの対決になるように設計されている。
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そのため、終盤になると次にどこに行くべきか分からないという事も頻繫に起きるが、ステージ内のすべてのどこでもドアを調べれば自ずと解決されるため、決して詰まったままゲームオーバー確定ということはない。
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『安易なひみつ道具の濫用に対する警鐘』というストーリー
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タイムマシン等、ドラえもんに反乱を起こした道具たちの意見は「いつも乱暴に扱われてむしゃくしゃしてやった」という責めるに責められないもの。
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基本的になんでも道具で解決するという、ドラえもんの前提的な作風に一石を投じる挑戦的な作風だが、最終的には和解した上で道具たちのことも考えようという前向きな形でエンディングとなっている。教訓的だが押し付けがましくはなく、こうした点も原作らしさを意識していると言える。
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最終ステージの曲は評価が高い。
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そのためか、SFCの『妖精の国』や『トイズランド大冒険』でもこのBGMをアレンジした曲が使われている
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また、最終ステージほどではないが、タイムマシン戦の曲も好評。
賛否両論点
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大長編を意識した変化に富んだ背景。
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ドラえもんがのび太たちを探して訪れる世界は4つの特徴あるステージに分かれており、さらにアクション面も含めて様々な背景が細かく描写されている。
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ステージ内は当時の大長編が如実に意識されており、大長編に実際に登場した敵キャラも現れたりする(魔界のデビルモンキー等)。
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しかし、ステージそのものは原作にも登場しないオリジナル。夢の中のような不可解かつ不思議な空間になっており、無限ループする構造なので不気味ですらある。
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他のドラえもんシリーズではほのぼのとした世界観が多いが、この作品は道中のステージや会話も含めてシリアスな世界観で統一されている。
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特にのび太ステージでは、背景が宇宙を模している中でSFチックで謎めいた敵がドラえもんを目掛けてゆっくりとにじり寄ってくるなど、トラウマになりかねない。
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しかもこのステージでは何の前触れもなく正直太郎が故障してしまい、理解不能な言葉を発して不気味さに拍車をかける。「ほんやくコンニャク」があれば解決するとはいえ、故障した原因そのものは不明なまま。
問題点
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ドラえもん以外の活躍はほとんどない。
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ドラえもんは各種ひみつ道具で武装して戦うが、他のキャラは救出後はドラえもんのポケットの中に隠れるということになり、時々会話シーンで顔を出す以外の登場はない。
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パッケージでは他の4人も戦っているが、ゲーム中にそういうシーンは無いためパッケージ詐欺と言えなくもない。
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ドラミちゃんも登場するが、ひみつ道具がおかしくなった原因を調べてくれるだけで手助けはしてくれない。
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正直太郎が途中で加わるが、役割は単なるナビゲーターでありミチビキエンゼルと完全にかぶっている。
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レーダーが分かりにくい。
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セレクトボタンでまだクリアしていないドア(●)とクリア済みで入れないドア(○)とが表示されるレーダーが出るが、使い勝手は宜しくない。
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というのも、ステージそのものが迷路のように入り組んでいる場合が多いが、表示されるのがドアの位置だけで、クリアしていないドアに行きたくてもどうすれば辿り着けるのかをレーダーから読み取ることはできないからである。目の前のドアに行くのに遠回りしないといけない場合も多い。
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武器の格差が大きい。
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三発まで連射が可能で攻撃力もそれなりの「衝撃波ピストル」と、画面上に一発しか撃てないものの攻撃力が高く敵を貫通する「しゃぼん玉ピストル」の2つが強力で、ボス戦もこの2つのどちらかがあれば秒殺も可能。
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それ以外の武器は威力が低い、射程が短いといった理由であまり役に立たない。
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新たな武器を入手した時点で新しいものに切り替わるので、自由に変更できない。使い勝手が良くないものを手に入れてしまうと苦戦する。
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ミスしないと残機や得点が確認できない。
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得点はエンディングの最後でも表示されるが、それでも少々不親切である。得点によって1UPするなどのメリットは一切無いが…。
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手に入れた重要アイテムを確認するすべがない。
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中盤からはステージクリアのための重要アイテムが多く出てくるので、何が入手済みなのかを確認するすべが欲しかったところである。
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ボスの耐久力が低め
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無敵時間が存在せず、先述の「衝撃波ピストル」を撃っているだけで秒殺できる。
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弾幕はそれなりにきついため、攻撃力の低い武器で挑むと結構苦戦する。特にのび太ステージでは衝撃波ピストルの入手がボーナスステージのランダム出現に頼るしかなく、出なかった場合は強ボスとなる。出たら出たで秒殺なのだが…
総評
「ひみつ道具」というドラえもん世界ではキャラクター以上に重要なファクターをメイン素材に持って来た点では、ドラえもんファンにとってなかなか味わいのある作品と言える。
このゲーム自体をひとつの大長編ストーリーとして捉えてもおかしくないほどの出来栄えだろう。
横スクロール・縦シューティングと切り替わる画期的なアクションに加え、コンティニューやパスワード等も完備されており、アクションが苦手でもじっくり詰めればクリアできる全体難易度も、プレイのしやすさに他ならない。
ドラえもんしか操作できず、他の人物が全てチョイ役なのがファンには残念なところ。
余談
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Bボタンの出番が少ない。
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Bボタンはジャンプボタンなのだが、序盤でタケコプターを入手した後は縦スクロールステージでは常時飛行、横スクロールステージでも着地しない限りは飛行状態なので、ジャンプする機会は少ない。
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縦スクロールステージのひとつのジャングルには落とし穴や障害物があるが、タケコプター入手後はほぼ意味なし。
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原作では肝心な場面で電池切れして使えなくなるが、そういった場面も用意されていない。
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自社のソフトをちゃっかり宣伝している場面があり、ステージの中に同社発売のゲームボーイソフト『爆裂戦士ウォーリア』風のステージがある。
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無敵のあいことば
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「むてき」と入力するとドラえもんが一切ダメージを受けない状態で最初からスタートできる。
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「ももこ」と入力すると、「むてき」の効果に加え、セレクトボタンで武器選択ができるようになる。
そしてシューティング面でポーズをかけてAボタンを押すと直ちにクリア扱いになる上、マップ画面でポーズをかけてセレクトボタンを押すと直ちに次のステージへ行くことができるようにもなる。
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ただしボタンを押さなくてもメッセージが勝手に送られてしまうという弊害もあり、ストーリーを楽しみたい場合に使用するのはおすすめしない。
最終更新:2024年06月27日 19:29