ドラえもん2 アニマル惑星伝説

【どらえもんつー あにまるぷらねっとでんせつ】

ジャンル アクション
対応機種 ゲームボーイ
メディア 1MbitROMカートリッジ
発売元 エポック社
開発元 アジェンダ
発売日 1992年12月14日
定価 3,900円(税別)
判定 なし
ポイント 大長編を題材としたドラえもん
所々作りこみが甘い部分があるが、ボリュームは抜群
ドラえもんシリーズ


概要

ゲームボーイのドラえもんシリーズの2作目。ストーリーは大長編ドラえもんの『ドラえもん のび太とアニマル惑星』が下敷きとなっている。
基本的には映画に忠実なストーリーだが、ニムゲ側に環境破壊ロボットの敵が追加されていたり、一部の展開が大幅に変更されている等のアレンジが加えられている。
ゲームは宇宙救命ボートがアニマル惑星に墜落した所から始まり、仲間や道具を探す事が目的となる。

特徴

  • 前作はシューティング色が強かったが、今作は横スクロールアクションがメインになる。
    見下ろし型のフィールドを歩き回り、アニマル惑星の住人とのイベントをこなしたり、ステージに入ってクリアしたりする事で失くしたひみつ道具や仲間を見つける事が出来る。
  • ひみつ道具は武器(ショックガン*1、空気砲等)、特定の場所に入れるようになる(タケコプター、エラチューブ等)、移動が有利になる(深海クリーム等)など効果は様々。クリアに必須ではないものもあるが、基本的には集めれば集めるほど有利になっていく。
    • 武器はセレクトボタンで瞬時に切り替える事が可能。空気砲のチャージでバリアを張りつつ、ショックガンに切り替える事で、ショックガンを撃ちながらバリアを維持できる技がある。
  • ステージは基本的には横スクロールアクションだが、水中ステージや、タケコプターを使用しての横スクロールシューティングといったバリエーションも豊富。
  • 敵に触れたり穴に落ちると1ミスとなり、そのステージから追い出される。中間地点はないので中々シビア。何故かミスした際にドラえもんが爆発する
    • 特定のひみつ道具が必要な箇所もあるが、基本的に自由な順番でステージをクリアしてかまわない。
  • ボスにはそれぞれ弱点となる武器が設定されており、弱点武器で攻撃しないと倒す事ができない。
  • フィールドの至る所にステージへの入り口があり、難しければ攻略を一旦諦めて他のステージで新たなひみつ道具を入手してから再挑戦をするといった事が可能。
    • フィールドにはボーナスステージや、パワーアップアイテムなどが配置されているので、ステージに挑む前に準備を整える事も可能。 宇宙救命ボートに隠したどら焼き(1UP)を取りに行って落下死するといったマヌケな現象もたまに起こる。
      • パワーカプセルは武器を強化するため攻略の役に立つが、死ぬと効果が切れてしまう。
    • フィールドやアクションステージには「ひみつマーク」が隠されており、取ると1UP。全12個あり、エンディングでは取った数が発表される。
      • ひみつマークはおそらくアライグマ。SFCのエポック社のゲームで電源を入れると表示されていたキャラクターだと思われる。
  • スタートを押す事で「あいことば(パスワード)」が表示され、それを入れる事で再開が可能。平仮名十文字*2と、前作に比べ少々複雑になった。ステージをクリアしたときやアイテムを入手したときにも表示される。
    • 引き継げるのはアイテムのみで、残機や得点は引き継げない。

評価点

  • 前作同様、アニメの雰囲気は抜群
    • 会話シーンで表示されるキャラクターの顔グラフィックはアニメそのものの完成度で表情も豊富。
      • また、随所のイベントのスチルも用意されており、映画の雰囲気はしっかりと再現されている。チッポの町等、映画で出てきた場所がRPG風に再現されており没入感も抜群。
  • BGMの素晴らしさ
    • 荒廃した都市や、疾走感溢れるシューティングステージ、霧の森、不気味ながら熱いニムゲ本星など、それぞれの場面にハマったBGMが用意されており、音色も非常に美しい。
    • 隠しアイテムである「ミニカラオケセット」を使用するとサウンドテストになり、思う存分聴く事が出来る。もちろん使用するのはなのでドラえもん達には悪い気もするが…。
      • さらには「ミニカラオケセット」でボスを倒した音を鳴らすと、フィールド上の敵が全滅するという隠し要素まである。ジャイアンの歌声はゲームボーイでも健在だった。
  • ストーリーアレンジの良さ
    • 追加されたニムゲのロボットは「ヘドロン」や「フロン」といった環境破壊を訴えかけるテーマを持っており、大長編ドラえもんのイメージにあったメッセージ性を持っている。
    • 原作に登場した「古文書」や「ツキの月」がキーアイテムになるのはもちろん、神話で意味深に語られつつも結局出てこなかった「ねむりの笛」がアイテムとして登場するなど、原作を上手く活かしてアレンジされていると言える。

問題点

  • 一撃死な上に中間地点がなく、敵の動きも早い為、一瞬の油断ですべてが台無しになる事も多い。
    • リトライの際にステージに入り直さなくてはならない(この時に会話も発生する)のでテンポが悪くなっている。
      • 一応スタートボタンを押せばステージ突入時の会話を飛ばすことができる。
  • シューティングステージで画面がスクロールしきった所で行き止まりになるといった初見殺しも存在する。
  • ペンシルミサイルが使いづらい。発射後、十字キーでミサイルを操作できるのだが自分も一緒に動く為に敵にぶつかりやすい。
  • 水中面は画面が絶えず揺らめいており、目に痛い。
  • それなりにボリュームがあるので、パスワードでの再開時に次にどこへ行けばいいか迷いやすい。
  • 最終ステージは進行度合いをパスワードに残せない上に、複数の難易度の高いステージで構成されており長丁場になりがち。『ロックマン』シリーズのワイリー研究所のようなもの。

賛否両論点

  • ストーリーの最後が全くの別物に改変されている。
    • まず原作からして、原作者が「メッセージが露骨だったかもしれない」と認めるほど、「環境を破壊する人間」に見立てた敵役・ニムゲをひたすら悪として描いており、結末に至るまでそれが徹底されていたのだが本作ではそこが変更されている。
    • アニメ映画では賛否を呼ぶ部分だった為、この改変を改善ととるか蛇足ととるかで意見が分かれると思われる。
+ ネタバレ
  • まず原作の説明をすると、ニムゲは全てがアニマル惑星侵略を目論んでいる訳ではなく、あくまで一部の過激派が事件を起こしたに過ぎない*3。大多数のニムゲは過去の過ちから平和主義、環境保護の意識を持っており、治安維持組織の「連邦警察」も存在している。
    • 原作のラストは、追い詰められたドラえもん達の前に連邦警察が現れ、過激派達を逮捕する。その後、連邦警察のニムゲ達がアニマル星の人々に謝罪し、本星もアニマル星のような美しい星にすると語って去っていくというものである。
  • しかし本作では連邦警察は登場せず、ドラえもんたちは自力でニムゲの総攻撃を退ける事に成功。ニムゲの言い分を聞いた後アニマル星の人々を交えて話し合い、ニムゲ達は本作に登場した環境破壊ロボットを元の逆の役割へと改造した後、動物たちと和解し、本星をきれいにする事で一からやりなおすというハッピーエンドになっている。
    • ニムゲ側の言い分も、侵略行為という悪行を行ったのは事実だが「驕り高ぶった先祖のツケを払わされる形で惨めな生活を強制されていたが故に追い詰められた」という同情できない事もないものであり、その彼らの改心と救済、そしてアニマル星との和解という原作では無かった展開が取り入れられており、連邦警察に有無を言わさずに逮捕されて単なる悪役のまま終わった原作と違って救いがもたらされている。
    • また、敵であった環境破壊ロボットも環境保全や街の再建用に作り替える形で「道具は使う人間次第」というメッセージも描けている。加えて、原作で語られていたエコロジーというテーマも損なわれている訳ではない。
  • しかしアニメ映画では連行される際のニムゲ総長がマスクをとり、美青年の素顔を見せて「素晴らしい空気だ…」と感動するシーンが非常に印象的であるため、このシーンがなくなってしまった事に賛否が分かれる。
    • ちなみにこのシーンはアニメ映画独自のものでマンガ版では存在していない。その為、あくまでアニメ映画と比較しての賛否と言え、マンガ版から見れば寧ろ改善の面が大きいとも言える。

総評

『ドラえもん のび太とアニマル惑星』のイメージをふくらませて丁寧にアクションゲームに落とし込んだ作品。
ステージ数も30弱とボリュームあり、遊びごたえもある。
映画を見なくても楽しめるが、見てから遊べばなお一層楽しめることうけあいである。

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最終更新:2023年12月04日 04:48

*1 見た目も性能も前作の「衝撃波ピストル」なので、ショックガンには見えないのだが。

*2 「ろう ねこ かま あお すし」といった2文字の単語の組み合わせで構成されるという変わった方式をとっている。

*3 原作では「ニムゲ同盟」、映画では「秘密結社コックローチ団」と呼ばれる。