AZITO2
【あじとつー】
ジャンル
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秘密基地作成シミュレーション
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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バンプレスト
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開発元
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アステック21
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発売日
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1998年10月15日
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定価
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6,090円(税5%込)
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判定
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なし
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ポイント
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版権ヒーロー参戦 特撮に縁ある人物含めて大御所声優達を豪快に無駄遣い 悪側で悪事を働きまくる方が低難易度 怪人もヒーローも使い捨てな「命は金よりも軽い…」世界観 アニメ調な絵柄には賛否あるが女性キャラは尽くエロい 先に地獄で待っているぞ!
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アジトシリーズ 1 / 2 / 3 / 3D / タツノコレジェンズ
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バンダイナムコ クロスオーバー関連作品シリーズ
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概要
地下に秘密基地を建設し、敵対組織と対決するゲーム、『AZITO』シリーズの第2弾。横視点の戦略シミュレーションゲームである。
正義か悪の勢力を選び、兵器や商品を製造・生産したり、ヒーロー・怪人・ロボットを開発し、最終的に敵の基地を壊滅させるのが最終目的。
また、人事に関する問題なども全て指令or総統に委ねられており、職員達の間で内輪揉めを起こさないように配慮を行わねばならないなどの気苦労も体験出来る。
前作は全員オリジナルキャラだったが、本作と『3』は版権作品が参戦している。
今回のラインナップは、昭和仮面ライダーシリーズを中心に、宇宙刑事三部作、戦隊からは『電子戦隊デンジマン』と『超電子バイオマン』の2作品を登場させている。
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参戦作品一覧
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仮面ライダーシリーズ
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仮面ライダー
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仮面ライダーV3
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仮面ライダーX
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仮面ライダーアマゾン
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仮面ライダーストロンガー
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仮面ライダー(新)
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仮面ライダースーパー1
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仮面ライダーZX
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仮面ライダーBLACK
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仮面ライダーBLACK RX
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仮面ライダーZO
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仮面ライダーJ
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宇宙刑事シリーズ
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宇宙刑事ギャバン
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宇宙刑事シャリバン
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宇宙刑事シャイダー
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スーパー戦隊シリーズ
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電子戦隊デンジマン
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超電子バイオマン
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ゲームの特徴
先の通り、正義と悪を選び、正義側なら指令、悪側なら総統となって敵対組織と戦っていく。
まずプレイヤーは地下に基地を造らなくてはいけない。金銭の続く限り基地はいくらでも広げられるが、あまり広げると高い土地代を取られてしまう。
つまり、ゲームを効率的に進めるには、必然的に基地は最低限の内容にすることを求められる。
ユニットには等身大キャラ(主にヒーロー、怪人)と巨大キャラ(主にロボット)の2タイプがいる。また等身大から巨大ユニットへ変身出来るキャラもいる。
等身大キャラは保安室や司令室に駐留させたり指令を下すことができる。ロボットは格納庫に収納し、任意で発進させることが可能。
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基地の概要
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最低限、施設を基地として成立させるには、司令室と動力室の2つを要する。司令室がやられるとゲームオーバーだが、動力室が破壊されると電力供給がストップして施設機能が停止するため、動力室の破壊もある意味ではゲームオーバーとほぼ同義となる。
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この動力室は、地上に繋がる道がないとやがて爆発してしまうため、必ず地上に繋がる出入り口を作らなくてはならない。
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自軍の領地内に建設出来るものは以下のとおり。
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通路・階段・エレベーター:移動用のチップ。通路には罠付きのものも存在し、敵が通ると自動的に攻撃するようになっている。エレベータは自由に伸縮が可能。
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総司令室:プレイヤーとなる指令・総統が駐留している部屋。敵の基地にも存在し、どちらかの司令塔を倒した方が勝利となる。高空爆撃などでここを破壊されてもプレイヤーが死亡と同じ扱いとなるため、やや深いところに作らなければならない。
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動力室:施設を稼働させるために必要な機関。何らかの施設・道によってこの部屋と繋げないと、その施設は一切稼働しない。敵の攻撃などで破壊されると先の通り全機能が停止してしまう。
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保安室:ヒーローや怪人といった戦力を8体まで配備可能な部屋。敵が部屋に侵入すると自動的に敵戦力と戦ってくれる。諜報や作戦といった指示を出すこともできるが、作戦行動中は当然部屋からは消えてしまう。
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研究室:ヒーロー・怪人、商品、そして新素材を開発するための施設。研究にはそれぞれジャンル別の部屋と、兵器に必要なレベルの博士が必要。正義側はヒーロー、ヒロイン、巨大ヒーローが開発出来るが、悪側は怪人しか作れない。
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格納庫:ロボットや戦闘機を開発・格納するための施設。大型、小型、左右の4種類存在する。発射口は外まで伸ばさないとロボットが出られなくなってしまう。保安室とは違いロボットの駐留中に等身大の敵が来ても反撃ができないどころか、爆弾などの破壊工作を一方的に受けてしまう。
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工場:弾薬や商品を生産する施設。数の概念が存在するものは、いくら開発してもここで生産しないと何の効果も産まない。騒音を発するため、一部施設と隣接させると苦情が出てストレスが溜まる。
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保養室:博士や工場長を休ませる場所。反逆度と呼ばれるステータスが下がる(後述)。
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カモフラージュ:名称的には敵の目を欺くための施設に見えるが、実際は単に開発した商品を売るための施設。よって、いくら出入口をカモフラージュで覆っても敵戦力は迷わず侵入する。それどころか敵の攻撃で為す術もなく破壊される。
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砲台:敵戦力を攻撃するための施設。バリアなど敵の攻撃から守るためのものもある。
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人員
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それぞれ人員にもヒーローと同じく戦闘用のステータスが設定されており、一部のキャラは戦闘を行えるレベルの者もいる。
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博士には低い方から助手、准教授、教授のレベルが存在する。一部の兵器は(最強型など)は基本的に教授がいないと開発することができない。
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人員には反逆度、すなわちストレスが設定されており、博士、工場長は休ませずに働かせると問題行動(セクハラ、対立など)を起こしたり、ストライキを起こしたりしてしまう。
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人員は攻撃などにより死亡したりするが、二度と使えないということはなく、再雇用することで復活する。ただし雇用費は馬鹿にならないため、反逆値回復のための再雇用戦法は費用対効果が悪い。
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余談だが、人物設定の中にはよく見ると敵と味方の間で血縁関係や因縁があったりすることがある。あくまで設定だけで物語上関わってくるのは一部だけだが。
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正義と悪の違い
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ストーリー上、プレイヤーが基地の指令となる理由はほぼ同じで、おおまかに言うと脱サラして司令になったプレイヤーが後に正義をなすか世界征服を志すかの違いでしかない。
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ユニット的な違いとして、正義側は攻防バランスが取れていて。悪側は攻撃力が高く防御力が低い。
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正義側のヒロインは攻撃力が低いが防御力がかなり高く必殺技の攻撃力がヒーローより高く設定されているので、瀕死のヒロインが必殺技を乱発し思わぬ戦果を上げる事がある。
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コマンド的には、悪側のみ「作戦」という特殊コマンドを実行が可能で、実質正義よりできることが多くなっている。「作戦」を実行することで資金を得たり、敵戦力に打撃を与えることが可能。作戦がヒーローに見つかり退却せずに戦闘に突入すると一定の確率と相性にて作戦の成否が判定され、負けると作戦実行中だった怪人は死亡し再開発する必要がある。
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正義側はこれがない代わりに、諜報中に悪の組織の作戦を阻止するイベントが発生。失敗したり、阻止することを拒否するとデメリットが起こる。ただしヒーロー故に成功しても報酬はなし。失敗してもヒーローは死亡しない。このため、「諜報」で起こるイベントが悪よりも多い。
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先の通り、正義側は開発出来る等身大兵器のジャンルが広い。ヒーロー、ヒロイン、等身大ヒーローにはそれぞれ相性の良し悪しがある。
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悪側は巨大ユニットとしてロボット以外にも怪獣を開発出来る。また戦艦に対して要塞を開発出来る。
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難易度的には正義側がやる事の少なさ、ヒーローの死ににくさ等からシステムに慣れていない初心者向き、悪側がやる事の多さや怪人の死にやすさから再開発が頻繁に必要な為、ゲームのシステムに慣れた上級者向けとなる。
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前述した作戦により有利な効果を得られる為、プレイスタイルによって単純に悪側の難易度の方が難しいと言う事は無い。むしろできる事の少なさから後述の様に正義側の方が難しいという声もある。
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ゲーム上あまり関係はないが、このゲームはゲームの状況を常に知らせてくれるオペレーターを変えることが可能だが、正義側はほぼ全員女性である。
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悪は戦闘員や宇宙人など、パンサーレイコやピロン星人以外はまるで華がない。その代わり各声優は超豪華であり、悪役好きにはたまらないチョイスである。
評価点
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版権ヒーローや怪人達に指示出来る快感
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ほぼ声優は全て代役となっているが、それでも版権ヒーローや怪人達を操れる本作特有の快感はなんとも言えない魅力がある。
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なお、ヒーローや怪人達はHPが一定以下となると必殺技を乱発するようになる。
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悪に関しては、作戦を立てられる点が特に雰囲気作りに貢献している。
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銀行強盗に幼稚園バスジャック、果ては今やったらいろいろと問題になりそうな大津波作戦など、内容も豊富。季節限定の作戦もある。
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シミュレーションゲームとしての程良い難易度
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ただ敵を倒せば良いだけではなく、金策、人員の福利厚生、敵を探ったり新たな戦力を手に入れるための諜報を事細かに指示しないと、クリアすることは難しい。
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さらに秘密基地を広くすると、それだけ土地代を取られるという要素も生々しくゲーム難易度を温くしないように貢献している。
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土地代を気にしてあまり狭い基地にすると、今度は敵に突破された時に時間が稼げないなどの弊害も生まれる。
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豊富なイベント、ボイスパターン
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ゲームの状況通知をしてくれるオペレーターは双方に数人おり、プレイヤーの好みで変えられる。それぞれ設定が作りこまれており、口調も全員違う。
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オペレーターを変えることによるゲーム的な効果は特にない。ただリアルに少年だった当時のプレイヤーは、恥ずかしくてわざと男性系のキャラ(正義はコンピュータくらいしかいないが)にしていたとも…。
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人員に休養を取らせるためのイベントとして、里帰りや慰安旅行など、妙にリアルなイベントが挿入される。
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ちなみに温泉イベントでは女性オペレーターの温泉シーンが挿入される。
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女性キャラのセンス
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正義側のヒロインは、所謂セーラームーンといった系統のキャラよりも、特撮ヒロインや昭和寄りのコンセプトのキャラが多い。
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敵味方問わず、女性キャラのデザインは後にアダルトゲームメーカーに転向する製作社の才能が光っており、どれも色気がある。
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オペレーターも正義側は主に清純派やカタコト系キャラ、悪なら女幹部的なキャラといろいろ用意されている。勿論どれも色気がある。
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豪華声優によるお遊び感たっぷりの演技
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大塚明夫氏・松本保典氏などといったベテラン声優が普通に参加。二又一成氏は特に正義のヒーローと悪の怪人両方を演じている。
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二又一成氏は経験もあってかヒーローから雑魚怪人まで雰囲気たっぷり。大塚明夫氏は小物を含めて怪人を担当しているが、小物キャラはそれほど演じないせいか、とても楽しそうにやられ台詞のアテレコを行っている。
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特に諜報中、敵に襲撃されて死ぬシーンは、かなりノリノリで演じているのがわかる。
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敵側や老人系キャラにも、永井一郎氏・飯塚昭三氏・加藤精三氏・小林清志氏といった、特撮でのアテレコ経験のある超大御所声優ばかり起用されている。
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特に永井一郎氏が読み上げる悪の「作戦」の雰囲気たっぷり。バレンタイン作戦では、ちょっと意地の悪い口調のナレーションも聞ける。
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女性声優では、幼児キャラの声優として有名なこおろぎさとみ氏から、当時『新世紀エヴァンゲリオン』などで、声優界において超売れっ子だった林原めぐみ氏まで、こちらも様々な有名声優が参加している。
賛否両論点
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兵器(ヒーローや怪人)達の仕様
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ヒーローや怪人は倒されると死んでしまう仕様で、再度使用するには再開発を行わなくてはならない。原作の幹部級である死神博士やジェネラルシャドウもバンバン造ることが可能。ショッカー首領ですらユニット扱いである。
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「ヒーロー・ヒロインが簡単に死亡し、しかも再生怪人のように再度開発しなくてはいけない」という点は否定的な意見が多い。
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一方、この点は「ヒーローは強化改造、悪は再生怪人を作っている感じでむしろこの仕様が良かった」「難易度を上げている要素だった」として評価される部分もある。
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また、博士や工場長も、何度死んでもすぐに金で雇うことができる。命の扱いが非常に軽すぎる。
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先の通りこの仕様を好むプレイヤーも多くおり、大きく賛否が分かれる部分の一つ。
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人間の絵柄が全員アニメ調
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本作は特撮という観点で見ればまるで掠ってもいない当時のオタク向けアニメ調。
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ヒーローや怪人に関してはそれとは逆に特撮調の絵柄になっているため、この点に関しての文句は少ない。
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また、鉄人28号をモチーフとしたオリジナルヒーロー「爆発闘神 ジェネレンガー」に関しては、ジェネレンガーを操る少年が特撮調の絵柄になっている。
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この点はアニメ調の絵柄を許容出来るか否かという点で賛否が分かれている。
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ヒロインへの過剰な力の入れよう
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仮面ライダーなどのヒーローキャラは汎用の台詞が使用されているが、ヒロインはほぼそれぞれのキャラに特殊な台詞が用意されているなど扱いの差が激しい。
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隠しヒーローや怪人なども特殊な台詞パターンが用意されているなど、何故その労力を版権ヒーローに割かなかったのかと思わずにはいられない。
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一方で、本作のヒロインの作り込みは伊達ではなく、それぞれ非常に個性的な設定と台詞が用意されているため、ヒロイン好きにはたまらないものがある。
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それぞれ元ネタらしきものが感じられるキャラや、独特の雰囲気を漂わせるキャラもおり、本来の用途ではないだろうが、あれこれ元ネタを邪推する楽しみはある。
問題点
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正義側と悪側の難易度の大きな相違
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悪側は作戦行動により一方的に正義側へダメージを与えたり、銀行強盗や盗掘などの犯罪を行って金銭を獲得するなどができるが、正義側にそれはなく、この点が勢力ごとの難易度を大きく分けている。
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さらに正義側は、ある程度兵器レベルの高いキャラを諜報に出しておかないと、一方的に悪の作戦で被害をもたらされてしまうため、戦力分配も難しい。
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一応、兵器の性能は正義側のほうが総合的に上である。
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諜報で隠し博士を発見出来るのがヒロイン限定。しかも悪は強制連行して仲間に加えるのに対し、正義は正規雇用費の二倍を契約金として支払わなければならない。
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悪における作戦がないが、阻止すると「作戦」に似たような効果が得られるイベントはある。だがどう足掻いても受け身になってしまうので効果的に活用するのは難しい。
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正義の味方なのに、商品を作ってセコセコと金策を行い、たまに仮面ライダーなどのヒーローが拾ってくる大金に一喜一憂する司令官(プレイヤー)の姿を思うと、どこか虚しい。
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処理落ちの激しさ
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序盤はまだ良いが、後半になると敵・味方ともに兵器数が増えて段々ゲームそのものの処理が逼迫するらしく、終いには常時処理落ち状態になる。
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戦闘中は特にそれが顕著。これさえなければ良作判定をつけても良いというくらいに、本作の評価の足を引っ張っている。
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これのせいで下手をするとプレイ時間が無駄に伸びてしまうこともある。後半はプレイヤースキルに加えて忍耐も求められるとは…。
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特撮の雰囲気から逸脱した要素
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「脱サラして司令官になったけど、バブルが弾けて大ピンチ。でも捨てる神あれば拾う神ありで現在に至るよ」という内容は、特撮をやや茶化しているような感がなくもない。
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終盤のストーリー展開は、スパロボ的な厨ニ臭さもごくわずかながら混じってくるため、これまた雰囲気を台無しにしていると指摘されがち。
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工場の仕様
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各工場には1人以上の人員(工場長)を配置することができる。人が増えれば生産効率が上がる、とおもいきや、全くの無駄である。
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むしろ本作の仕様では、低い性能のキャラに合わせて生産効率が変わるため、むしろ2人以上いると能率が下がってしまう。
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1、2人まともな工場長を雇っておけば、それ以外はむしろ解雇した方が良いという、これまた世知辛さを感じる仕様である。
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イベントで仲間になる宇宙人の工場長が5名いるが、彼等を起点として徐々に出来の悪い工場長を辞めさせていくのは定石。あまりにも悲しすぎる。
総評
好みが分かれる部分はあるものの、ゲームとしては「秘密基地シミュレーション」というコンセプトを上手く昇華している。
本作はアニメにも特撮にも精通しているユーザーにはオススメできる作品と言える。
しかし、深刻な処理落ちに関しては致命的なレベルで、根気のないプレイヤーはこれで挫折してしまうこともある。
余談
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2000年2月17日に、続編となる『アジト3』が発売された。
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「人間の絵柄が昭和の特撮調となっている」「倒された兵器はHPが1になって戻る」など、本作からの変更点が多くみられる。
最終更新:2024年03月20日 23:06