名探偵コナン 暁のモニュメント
【めいたんていこなん あかつきのもにゅめんと】
| ジャンル | 推理アドベンチャー |  
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| 対応機種 | ゲームボーイアドバンス | 
| 発売元 | バンプレスト | 
| 開発元 | ベック | 
| 発売日 | 2005年4月21日 | 
| 定価 | 5,040円(税5%込) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:全年齢(全年齢対象) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 純然とした推理ADV シナリオは悪くない
 警察の仕事の大変さが味わえる
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| 名探偵コナンゲームリンク | 
 
概要
週刊少年サンデーで連載中の青山剛昌氏原作の人気漫画『名探偵コナン』のGBAで発売されたゲーム第2弾。
アクションゲームだった前作と異なり、オーソドックスな推理ADVとなっている。
ストーリー
新築のリゾートマンションの竣工式に招待されたコナンたち。
だが、その目的はマンションのオーナーから、とある噂についての調査を依頼されたためであった。
その噂とは、マンションを建てた場所には「自殺の村」が存在したというものだった。
調査を開始するコナンと小五郎であったが、竣工式の最中に自殺事件が起きてしまう。
はたしてこれは本当に自殺なのか? コナンたちは捜査を始めるのだが……。
特徴
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本作は提示・調査パートと推理パートをこなしながらゲームを進めていくことになる。
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提示・調査パートは行き先を選択し、事件を解決するための情報「ファクタ」を入手していくパート。
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そこにいる人物にファクタを提示したり、事件現場で怪しいところを調べることで新たなファクタを入手することができる。
 
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推理パートはコナンの提示する疑問に沿って正しいファクタを選択していくパート。
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情報を整理し、ファクタ同士の関連性を洗い出すことでトリックの鍵となるファクタを入手し、真相へ近づいていく。
 
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本作の特徴の一つが「HITリンクシステム」である。
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入手したファクタの中から正しいファクタを選択し、真相に迫っていくシステム。
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正解なら「Critical Hit」、間違いではないが他に最適な答えがある場合は「Hit」、不正解なら「No Hit」としてカウントされる。そのパートクリア時にHit数に応じてコインを入手でき、クリアランクも決定される。
 
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提示・調査パートでは制限時間が表示され、時間経過や調査行動の選択によってゲージが減っていく。
 また、選択肢が発生した場合に正解を選べばタイムボーナスが発生しゲージが一定量回復するが、間違えるとペナルティとしてゲージが減らされてしまい、時間がなくなれば当然ゲームオーバーとなる。
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推理パートでは制限時間はないが、同時に複数のファクタを選ぶ必要のある場面が登場する。ファクタの組み合わせが違えば正解にはならない。
 
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もう一つの特徴的なシステムとして、提示・調査パートでは「調査深度システム」が搭載されている。
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これは、「あるものについてどこまで深入りして調べるか」をプレイヤーが決定できるというもの。
 調査可能なスポットの一部には数段階の「調査深度」が設定されており、調査深度のレベルが上がるほど制限時間を消費するものの、一定以上のレベルで調査しないと入手できないファクタがある。
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現場が密室であることを確かめるための調査ならば注意深くする必要があるし、全く関係なさそうな場所を念入りに調べるのは時間の浪費にしかならない。
 そのことを踏まえ、ファクタが入手できた際のタイムボーナスと調査によって消費する時間のバランスを考えて調査深度を決定する必要がある。
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なお、調査深度を選択する際にレベルごとのコナンの一言メッセージを確認できるようになっており、低レベルではファクタを入手できない場所や全くの空振りに終わりそうな場所はある程度察することができるようになっている。
 
 
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任意での中断セーブはなくなり、章終了時のオートセーブのみとなった。
評価点
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登場人物のグラフィックなどは前作の素材を流用している部分も多いが、元が良かったため原作の雰囲気はしっかり再現できていて好評。
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自由に移動することこそできなくなったが、前作同様デフォルメキャラが配置されたドットグラフィックのマップ画面で進行するため状況なども分かりやすい。
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前作はマップ画面に顔グラフィックのみであったが、今作ではキャラの立ち絵も用意され、口パクもするようになった。立ち絵、顔グラフィック共にパターンも豊富に用意されている。
 
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ストーリーの評価も悪くない。
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コナンらしさや盛り上がりに欠けるとも言われるが、張り巡らされた伏線、様々な証拠を元に意外な真相に迫っていく過程が丁寧に描かれており、コナンの「推理モノ」としての面を十分味わえるものになっている。
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原作ファンならニヤリと出来る小ネタもチラホラ。
 
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本編クリア後にオープンするショップで「トレーディングカード(キャラクターの立ち絵・BGM・SEなどの詰め合わせ)」を購入したり、ミニゲームで遊べるようになる。おまけとして劇場版のポスターも収録されている。
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ミニゲームはパズルやアクションゲームも収録されているので本編とは異なる面白さがある。
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前作と違ってミニゲームはクリアに必須ではなくなったので、ミニゲームをクリアできずに詰まることがなくなった。
 
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また、このショップでシナリオを購入することで追加シナリオが遊べるようになる。前作のような面倒な手順がなくなった。
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「トレーディングカード」で入手できる要素は多岐に渡り、立ち絵や顔グラフィックの表情差分やファクタの説明画面に表示される画像などが網羅されている。
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おまけでは本編に登場しないキャラクターたちも登場する。
 
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前作同様、ストーリーは複数の章に分けられており、プレイした章までは自由にリプレイすることが可能。
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各章をクリアした際にクリアランクが表示されるため、気軽に高ランクを目指すことができる。高ランクを取れば前述のショップで使用するコインも多く手に入る。
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また、今作はシナリオが全69章+隠しシナリオ2章というかなり細かい区分に分けられており、1つ1つのパートが短めであるため、やりなおすのも楽。
 
問題点
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物語中盤、容疑者全員に事情聴取をする場面があるが、実際に一人一人のアリバイを確かめていくため非常にダルい。
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容疑者は全部で24名いるため聴取もそれなりの時間を要する。途中で休憩を挟む必要があるほどと言えばどれほどの長さかお分かりいただけるだろうか。
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内容も一人一人に被害者や犯行時刻といったほぼ同じファクタをつきつけるだけで、非常に作業的かつ参考になる情報も少ない。
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事件に関して何も知らない上、アリバイもないだけの人も多くいる。
 
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一応、一人終わるごとにセーブされるため中断もしやすいが、ここでダレてゲームをやめてしまったというプレイヤーもいる。
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全員の聴取が終わった後、蘭と園子の聴取の場面で「くたびれた」「お疲れさん」と言い合うシーンがあり、製作側も大変なのは自覚していた模様。
 
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物語後半で再度事情聴取をする展開もある。この事情聴取はコナンの推理の裏で勝手に行われるため、プレイヤーが操作することはないが、この展開に肝を冷やしたプレイヤーも多いことだろう。
 
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上記の事情聴取を含めて物語に冗長なところが多い
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選択肢が明らかで、意味のないファクタの選択をさせられることも多い
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開始早々登場人物に噂について聞いて回るフェーズがあるが、一人一人に聞くたびに噂のファクタを選択する操作がはさまる。
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推理パートで「亡くなった人は誰か」を選ばせたり、犯行時刻について考えるときに「犯行時刻」のファクタを選ばせたりなどさせられる。
 
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舞台がマンションということもありすべての部屋がほぼ同じ構造なのだが、部屋で事件が起こるたびに部屋の探索パートがはさまる。
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確認する箇所もほとんど変わらず、ほぼ総当たりで、結果もほとんど同じなため、作業感が強い。
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ほぼ同じことを確認するにもかかわらず、必要な「調査深度」が異なっていたりするため、理不尽。
 
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上記の事情聴取のあとにはアリバイの有無について考える推理パートがあり、それぞれ犯行時のアリバイのある(ない)人を全員列挙させられる。
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24人の事情聴取の内容を覚えていられるわけもなく、各人物のファクタの詳細を見直して探す必要があり非常に面倒。
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誰を選んだかは失敗するたびにすべてリセットされてしまうので、誰を選んだかを覚えておく必要がある。
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選択したファクタの数が合っていれば選んだ選択肢が合っているかが個別に分かり、推理パートには制限時間もないため、個数を合わせて総当たりすれば答えが分かるのがせめてもの救い。
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しかも結論は「アリバイのない人が多い」、「共犯者がいれば分からない」程度であり、苦労に全く見合わない。
 
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登場人物は非常に多いが、ほとんどの人にろくに出番がなく、事情聴取などのプレイ時間の水増しにしかなっていない。
 
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『逆転裁判』に近いと言ったが、ファクタが1つずつしか表示されないなどの悪い点も似ている。
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一覧表示が存在せず、中盤以降になるとファクタの数は膨大になるため、目的のファクタを見つけるのに手間がかかってしまう。
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選択に時間制限があるため、ファクタを探すのに手間取るとゲームオーバーにつながりかねない。
 
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『逆転裁判』と違って人物と証拠がごちゃまぜになっているため、選択はさらに億劫。
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所持するファクタを確認できるのは特定の場面のみで、自由に確認することはできない。
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肝心な提示パートでファクタの詳細を見ることができないため、必要な詳細を忘れてしまうとゲームオーバー一直線。
 
 
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既読スキップやメッセージの早送り、途中セーブ、バックログといった現在のADVで当たり前のシステムはない。
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メッセージ速度を変えることはできず、2行ずつしか表示されないため上記の事情聴取がダルい一因にもなっている。
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ゲームオーバーになると章の頭に戻される。早送りができないため戻し作業に時間がかかる。
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提示パートにバックログがなく、間違えた選択肢を選んだ場合に何を選ぶべきかのヒントがないことも手伝って、漫然とメッセージ送りをしていると何を選ぶ箇所か分からなくなる。
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メッセージウィンドウを隠すこともできないので、女性キャラの胸元が隠されてしまう。
 
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前述のようにミニゲームなどは本編を一度クリアするまで遊べなくなった。
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上記のダレる場面があるため、遊べるようになるまでが辛い。
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トレーディングカードも何が出るかはランダムのため、コンプリートに時間がかかる。持っていないカードを任意で入手するなどの救済措置はない。
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また、カード総数が膨大でコンプリートのためには大量購入が必須であるにもかかわらず、購入は10枚単位でまとめ買いができない仕様であることも面倒さに拍車をかけている。
 
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また、本編の結末部分が隠しシナリオに含まれてしまっている。そのため、クリア後にショップで購入しなければ真の結末が見られない。
 
総評
推理ADVとしてはなかなかの出来で、ビジュアルやシナリオ、システム面での基本的なプレイヤー評価は高い。
しかし、中盤での非常に長い事情聴取など、冗長な展開が大きく足を引っ張っており、シナリオの魅力を十分に活かすことはできていない。
システム面においても煩雑なファクタ選択や細かい部分が不評で、かゆい部分に手が届かない練りこみ不足な面が指摘されている。
コナンを題材にしたゲームの中ではちゃんと推理ADVをしていて面白い方なのだが、最後まで楽しめるかどうかはプレイヤーの我慢強さが鍵といったところか。
プレイする場合は他のことで息抜きをしつつ進めることを推奨する。
最終更新:2023年04月18日 09:21