御神楽少女探偵団

【みかぐらしょうじょたんていだん】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 プレイステーション
発売元 ヒューマン
発売日 1998年9月17日
価格 7,400円
配信 ゲームアーカイブス:2009年10月14日/600円
周辺機器 マウス対応
判定 良作

概要

  • 御神楽少女探偵団シリーズ第一作目。大正時代を舞台にした探偵アドベンチャー。
    • 「帝都一の名探偵」と呼ばれた探偵御神楽時人と、助手の3人の少女、及び時人の世話係である少年が帝都で次々と起こる難事件を解決していく。
  • 監督・脚本・ゲームデザインは、『クロックタワー』を手掛けた河野一二三。

あらすじ

帝都の街を騒がす猟奇的事件の数々。事件の陰に暗躍する怪人たち。
貴方が、続発する事件と常に無関係とは限りません。
いや、もうすでに巻き込まれているのかもしれません。
知らずしらず忍び寄る怪人達の魔手。予期できぬ危険に曝される恐怖。
そんなときは、是非、当事務所へお越しください。
所員一同、心よりお待ちしております。
どんなに難解な事件でも、たちどころに解決いたします。

特徴・システム

  • ディスク4枚組
    • 2枚はゲーム本編、残り2枚はゲームのファンディスクとして使われている。
    • ファンディスクはインターミッションディスクと設定資料集とムービーを見れるスペシャルディスク。ゲーム本編の進行具合によって随時解放されていく。
  • ストーリーは全5章+練習シナリオ。
    • 章は練習シナリオを除いて、それぞれ「事件編」「捜査編」「解決編」で構成されている。
    • 「捜査編」は助手の3人の少女を操作し、聞き込みと情報の整理、「解決編」は探偵御神楽時人によって事件が解決される形となっている。
    • ただし最終章は前編のみの収録である、詳しくは後述。
  • 推理トリガーシステム
    • 「捜査編」にて、事件の捜査の為に相手と会話をする際、セリフの色が通常と変わっているケースがある。そのセリフの部分で「トリガー」を引くことで、事件と関係がある場合はさらに詳しく話を聞くことができる上、推理ポイントが獲得できる(重要な情報であるほど、ポイントは大きい傾向にある)。20ポイントに達すれば次のパートに進める。
    • トリガーを引くことができる回数は各話ごとに決まっており、残り回数が無くなっても20ポイントに達していなかった場合、ゲームオーバーとなる。関係の無いフェイクが混ざっているなど、色が変わっているセリフ全てが事件に関係があるわけではないため、無闇矢鱈と引けない。重要な情報を見極めることが必要となる。
  • 操作は『クロックタワー』に続いてカーソルによる。

インターミッションディスク

  • 本編のクリアに応じて事件の後日談やインターミッションシナリオ「探偵の休日」をプレイできる。
    • 町中を回れるようになっており、登場キャラクターと雑談ができる。
  • 「探偵の休日」は3つあり、それぞれ2人の中から1人選んでプレイできる。
    • 対応選択アイコン:特定のキャラクターとの会話で表示される。選択した対応によって各キャラクターの好感度が変化する。
      • ミニシナリオクリア時にもっとも好感度が高いキャラクターとの結末が語られる。
    • ミニシナリオ:ある特定の場所に行くと発生。ミニシナリオをクリアでインターミッションシナリオ終了。
    • 「探偵の休日」クリア後は、登場したミニゲームをマップ上からリプレイできる。

評価点

  • 革新的な推理トリガーシステム
    • このシステムは事件の展開を予想する推理力が必要なことやペナルティに対する緊張感、合っていた場合の「ピコーン」という気持ちの良い効果音などから「実際に捜査している感覚が味わえる」とプレイヤーからは大変好評である。
      • 後述するが、失敗時には少々面倒くさいシステムにもなってしまっているが。
    • 後の『逆転裁判』シリーズも本作のシステムを参考にしたと言われており、電撃オンラインに掲載された『逆転裁判』と『ダンガンロンパ』のプロデューサー対談でも、ダンガンロンパプロデューサーの寺澤氏が「逆転裁判やダンガンロンパのルーツは御神楽少女探偵団にあると思っている」と語っている。当時としては斬新で画期的なシステムであった。
  • 本格推理物に属するシナリオ
    • 恋愛ゲーム的な見た目に反して、中身は河野氏の言を借りれば「ドロドロの陰惨な推理物」である。
    • 怪しい影のつきまとう怪奇的な事件にどこか裏のある登場人物、謎が深まる事件の展開や必ずしも幸せとは限らない結末など、大正から昭和初期という時代設定と本格的な推理物を上手くマッチさせている。
      • 推理小説で例えると『江戸川乱歩』の作品的な雰囲気である、と言えば伝わるだろうか。
    • さすがにハッキリと場面をCGなどで描写することは少ないものの、エログロな要素も意外と多い。
  • ハイレベルなグラフィック
    • ストーリーの途中に挿入されるアニメーションは質の高いものである。
    • またキャラクターの立ち絵も当時としては非常に珍しく、多くの動作のアニメーションが用意されて活用されている。
      • キャラクターが喋ったり、笑ったりといった表情の変化や手を振るなどの大げさな動作までアニメーションで表現される。
  • 多彩な音楽
    • 事件の展開に応じて変化する音楽は雰囲気に沿ったもので、ゲームを影から支えている。
    • OP、EDには主題歌も用意されており、両曲とも本作の雰囲気に合わせた歌詞・曲調となっている。
  • 充実したコンフィグ
    • 5ページにわたるコンフィグは、メッセージ速度やウィンドウ枠などに加えてから背景のフェード色まで調整できるなど、家庭用ゲームにしては細かいとこるまで設定できる。
  • プレイステーション用のソフトにしては珍しく、512ドット×480ライン解像度出力を用いたソフトでもあり、その高解像度によってテキストを独自のフォントで表記しているほか、ルビが表示されている。
  • 豊富なオマケ要素
    • 2枚ものディスクがファンサービスとして使われており、その内容も本作のファンからすれば嬉しいものなっている。
      • ディスク3「御神楽少女探偵団の休日」では、主人公御神楽時人を操作して、ゲーム本編から離れてゲームに登場するキャラクターとの日々の交流を楽しむことができる。ミニゲームもいくつか用意されており、ボリュームもそれなりにある。
      • ディスク4「御神楽少女探偵団のおまけ」では本作の設定資料集とゲーム内のアニメーションが閲覧できる。200ページを越える設定資料集は見応えのあるものとなっている。

賛否両論点

  • 解決編にプレイヤーが干渉できない。
    • 犯人を追い詰める為の捜査等、プレイヤーが干渉できるのは捜査編までとなっており、実際に犯人を追い詰める解決編は探偵である御神楽時人に任せる形式になっている。
    • プレイヤー視点は基本的には3人娘であり、(本人達は解決する気があっても)3人娘の役割はあくまで「探偵である御神楽時人の助手」といった作りになっている為、物語の形式的にはあえてそうしているものと思われる。
      • とはいえ、根拠となる証拠の提示や手がかりを元にして犯人を追い詰めたりといった行動を取れないのは寂しいプレイヤーも多い。
  • いわゆるQTE(クイックタイムイベント)の存在
    • 犯人追跡等のアニメーション中にコマンド入力が求められ、その結果によって展開が分岐する。
      • 難易度自体はそう高くなく、入っているシーンも「方向を間違えれば犯人に逃げられる」等、違和感がなく緊張感を高める事に役立っている。
      • 今でも賛否が分かれるこのシステムであるが、本作もその例に漏れない。
    • アニメーションの作りや失敗した際のアクション等、LDゲームを参考にしていると思われる。
  • 大正浪漫の怪奇ものの雰囲気が強いという事
    • 雰囲気重視といってもよく怪奇じみた雰囲気などの描写は良いのだが、現代の推理物と比べるとかなり強引でロジカルとは言い難いシーンも多い。
      • 物語上最大のライバルに当たる人物が超人的な能力者である辺りも、この点を端的に表している。
  • 疑問の残るカーソル操作
    • マップや調べるところのクリックのみならず、「話す」「移動」「メニュー」などのコマンドの選択などほとんど全ての操作にカーソル操作が要求される。
      • PS1のマウスに対応させるにしても、マウス接続時のみカーソル操作、コマンドにボタンを割り当てるなどの手段は存在しただろう。
    • また、会話ウインドウ中も含め常にカーソルが表示されたままである。
      • ムービー中もQTEの関係で会話ウインドウとカーソルは表示されたまま。

問題点

  • 本作最終話のシナリオが前編のみしか収録されていない。
    • これについては、続編『続・御神楽少女探偵団』に後編が収録された。しかし、本作リリース時には続編のアナウンスは無かった。
      • シナリオが未完結であることを故意に告知せずにゲームを発売する企業態度には問題があるといえるだろう。
    • 同社は以前も『トワイライトシンドローム』で同じ事をやっており、本作で繰り返してしまった事になる。しかもサブタイトルが付いていて続き物である事を察する事もできたあちらと違い、本作はそれすら無いという問題も。
  • 既読スキップがない。
    • トリガーを使い切ると最初からやり直しで、ムービーもスキップできないためリカバリに時間がかかる。
  • 唐突なメタ台詞
    • メタ的なやり取りが出てくることが少なくなく、雰囲気に合わないという声も。
  • 立ち絵は素の表情から他の表情のアニメに移行する形のため、その表情がおとぼけ顔だったり笑ってたりするとシーンによっては違和感を感じることになる。
  • 機能ウインドウにアクセスする機会は限定されている。
    • 人物紹介、アイテム、設定などを行う機能ウインドウは、マップから場所を指定した時のメニューからしかアクセスできず、一般的なスタートボタンには割り当てがされていない。
    • そのため、解決編で人物がわからなくなったりしてもアクセスできないし、設定を変えたくてもすぐにできないことがある。
  • 前編と後編の間に間隔が非常に短いセーブポイント
    • ムービーを再生する関係で、前編終了と(QTEなしの)ムービー再生後という間隔が非常に短いセーブポイントとなる。
    • ムービー再生後のみをセーブポイントにすればいいと思うのだが……
  • インターミッションディスクではキャラクターとの会話終了のたびにマップ画面に戻される。1キャラクターにつき数種類会話が用意されているので面倒。
    • さらに、マップに入るたびにその場所の状況説明が表示される。
    • 本編ではマップに戻されることはない。
  • インターミッションディスクの「時人と蘭丸の部屋」の会話内容は直近の事件のものに限定されるため、見忘れて次の事件を解決してしまうと見れない。
  • 推理トリガーを間違えた時の「ブブー」という音が結構うるさい。間違えたという事実に加えて、余計に精神にダメージを与えてくる。

総評

革新的なトリガーシステムや本格的な推理物であるシナリオ、当時としてはクオリティの高いアニメーションなど魅力的な要素を多く持つが、「最終話が前編のみ」という一点から生じる消化不良感が本作を単独で評価することを難しくしている。
しかし、本作のもつポテンシャルは高く、最終話についても一応続編でフォローされていることを考慮すれば、十分に良作の域に達している作品と言えるだろう。


余談

  • 全体的に設定や雰囲気がサクラ大戦シリーズ(こちらの初出は1996年)に似ている。
    • 主に、大正から昭和時代にかけてという時代設定で舞台が東京(帝都)、メインキャラクターが(少し恣意的な書き方をすれば)普段は少し頼りないが、いざと言うときに活躍する男と少女たちであること、アニメーションが多く使われていることなどが例として挙げられる。
    • 当時はサクラ大戦ブームの真っ最中であり、本作の開発メーカーであるヒューマンがそのブームに便乗したとも考えられる。
      • しかし、本作は上手にサクラ大戦から換骨奪胎され、かつ別のものとして昇華されており、プレイヤーからこの点について非難されることはまずない。むしろ『はいからさんが通る』*1な世界観で『(毛利小五郎明智小五郎と)少年探偵団』*2シリーズをやったと言った方が近いだろう。
  • ヒューマンが破産した際、著作権の譲渡に混乱が生じていた模様だが、2009年8月にハムスターとヌードメーカー*3が共同保有すると発表された。下記の『続』とともにハムスターからゲームアーカイブスで配信されている。
  • 河野氏はホラーの『クロックタワー』、推理物の「御神楽少女探偵団」を経た次は時代劇の『猫侍』を。独立後はロボットアクションの『鉄騎』、アダルトゲームの『AVキング』、スペースオペラの『無限航路 -Infinite Space-』などと、ジャンルを選ばない様々な作品を手がける事になる。
  • 今は亡き声優・松来未祐のデビュー作でもある。

続・御神楽少女探偵団 ~完結編~

【ぞく・みかぐらしょうじょたんていだん かんけつへん】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 4枚組
発売元 ヒューマン
発売日 1999年10月7日
価格 8,000円
プレイ人数 1人
レーティング 【GA】CERO:C(15才以上対象)
配信 ゲームアーカイブス:2009年11月25日/600円
周辺機器 振動対応
判定 良作

概要(続)

  • 前作の続編であり、完結編。
    • 登場人物の紹介はなく、前作をプレイせずに本作をプレイするユーザーにはやや不親切である。
    • ストーリーは前作に前編だけが収録された「猟奇同盟」から始まる。
      • 「猟奇同盟」のシナリオは「最初から」と「前作の続きから」のスタートが選べる。
  • ゲームシステムは、ほぼ前作と同じ。
    • ただし、MAP内の移動先の選択方法や、移動中のアニメーションの削除、所持アイテムの表示方法などの操作に若干の変更がある。
    • また、「選択推理問題」(後述)が追加された。
    • クリアランクが設定された。ランクに応じてシナリオクリア後に一枚絵を拝めるようになった。高ランクでクリアすれば下のランクの絵も一括で見られる。
  • なお河野氏曰く、前作が江戸川乱歩寄りなケレン味重視だったのに対し、今作は横溝正史寄りの本格推理重視とのこと。

評価点(続)

  • 選択推理問題の追加。
    • 前作ではプレーヤーは聞き込みなどの捜査は行うものの、御神楽時人探偵が勝手に事件を解決してしまっていたが、今作のパッケージに「事件を解決するのはあなたです」と表記されている通り、今作には事件を推理する「選択推理問題」が追加された。
      • しかし、結局おいしところは御神楽時人がもっていく...。
  • △ボタンでテキスト&キャラクターボイスのスキップが可能に。
    • スキップは遅く、下手すると読める程の速さ。
  • 前作ではボイスは前説やムービーなどごく一部だけだったが、今作では捜査編を除く事件編、解決編がフルボイスとなった。前述の「猟奇同盟」の事件編もフルボイス化されている。
    • なお説明書には、本来は捜査編を含めた全編をフルボイスにする予定だったが、容量不足で不可能になったこと。インタビュー等で全編フルボイスと言っていたことへのお詫びが載っている。
  • カーソル操作の廃止。
    • マウス非対応になった代わりに、「調べる」以外ではカーソル操作でなく一般的なコマンド操作へと変更になったため、操作性が向上した。
  • 前作に引き続き512×480解像度の他に640x480も選択できるようになった。

賛否両論点(続)

  • おまけの外伝シナリオ
    • 推理トリガーはなく選択肢のみとなっており、選択肢ミスで即ゲームオーバーが存在するなど昔のアドベンチャーゲームの趣となっている。
      • 絵柄が独特で、時人のキャラデザが別物になっている。怪奇ものの気が強く推理はほぼ不可能。
      • クイックセーブはないがシナリオ自体が短い。

問題点(続)

  • 本編へのミニゲームの組込み。
    • 前作ではファンディスクに、おまけ的にミニゲームが収録されていた。
    • 本作では、本編のストーリー内で強制的にミニゲームをプレイさせられる構成となった。
      • ミニゲームをクリアするまで、シナリオを進められない。
    • 前作ではQTE的なものが組込まれていたが、今作のミニゲームの組込み箇所はシナリオの流れに対してやや強引と感じられる場面がある。
  • ファンディスクがない。
    • 前作は本作と同様にCD4枚組だったのだが、うち2枚はファンディスクだった。本作のパッケージに「シナリオボリュームの大幅アップ」がうたわれており、CD4枚ともが本編用となったためか、本作には前作のようなファンディスクはついていない。
    • クリア後にプレイ出来るおまけシナリオ「外伝」や一枚絵を見返せるシアターがある。
  • クリアランクの判定がシビア。
    • 1つでも選択肢ミスやフェイクに引っかかるとSランクを取れない。
    • ミニゲームの成績が評価に含まれないのは救い。
  • 振動機能を使いすぎるきらいがある。

総評(続)

おまけ要素は薄くなったものの、メインであるADVとしては十分なシナリオであり、『御神楽少女探偵団』と合わせ、本作込みで1つのゲームと言える完結編ゲームとなっている。


余談(続)

  • 発売直後にヒューマンがゲーム事業から撤退したため、再発売版はVR1(ヴィアール・ワン)から2000年9月21日に同価格で発売された。
  • 前作もヒロインの声や話し方からして想像と違うという人がいたが、今作は絵から想像される声や話し方とのかい離が大きい女性キャラが増えたと感じる人もいたようだ。
  • 2003年に発売されたアダルトゲーム『新・御神楽少女探偵団』(発売:エルフ/開発:ヌードメーカー)は公式続編であり、『御神楽少女探偵団』と続編の『続・御神楽少女探偵団』のWin移植版も同時収録している。脚本・監督・ゲームデザインは、同様に河野一二三。
    • 18禁でないものを18禁作品にしたこと、それに伴うキャラデザインやキャストの変更、主人公3人娘の改変、かなりのグロ描写の存在などから、賛否両論が激しく黒歴史とするファンも多い。
      • アダルト描写がアダルトゲームというより小説の濡れ場みたいだしシナリオと自然に繋がっていない」とか、「愛着のあるキャラクターが汚された気分になる」など。
      • アダルトシーンは凌辱が基本。主人公3人娘がよくわからないおっさんに襲われる「愛のない」展開が含まれる。
      • また、それでいて大した尺を割くわけでもないため、『新』からプレイした人でも「エロはいらなかった」という感想は多い。
    • このWin移植版は一作目の既読スキップの追加やQTEを自動進行可能にするオプションの追加などが行われ『御神楽少女探偵団』と続編の『続・御神楽少女探偵団』の移植としては評価されている。
      • ただし、BGMの大半が削られており、一作目のインターミッションディスクや『続』の外伝シナリオも未収録。