C1-CIRCUIT
【しーわん さーきっと】
| ジャンル | レース |  
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| 対応機種 | プレイステーション | 
| 発売元 | インベックス | 
| 発売日 | 1996年10月4日 | 
| 定価 | 5,800円(税別) | 
| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | PS初の首都高再現 未完成同然で市場に出荷
 妙な企業タイアップ
 珍妙で不安定な挙動
 全方位に渡って悉く水準未満
 妙に細かいパーツ類
 謎に包まれた没データ
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概要
詳細不明なメーカー、インベックスが世に送り出したPS初の「首都高を再現した」レースゲーム。
大まかなゲーム内容は、「ライバルを勝ち抜き首都高最強を目指す」と言う、ある意味『首都高バトルシリーズ』に通じるものとなっている。
4企業2団体からの協賛・協力を得て、宣伝広告のパイプラインを確保した事もウリとされていたが…。
特徴
協力スポンサー
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本作では4企業2団体から協賛・協力を得ていることがセールスポイントにもなっている。宣伝広告のパイプラインを確保した形となっており、実際にゲーム内でも広告として登場している。以下は本作で登場する実在企業であり、五十音順となっている。
    
    
        | + | 今作でのスポンサー | 
AUTOLOOK M's PROMOTION
 
バケットシートブランドのオートルック絡みの団体と思われるが、詳細不明である。
 
キングジム
 
今に至るまで文具メーカー屈指の影響力を誇るメーカーで、我々も一度は気づかずに手に取ったことはあるだろう。
今作ではあくまで自宅ガレージの机上に置かれているファインダー程度の登場に留まっているため、協賛という意味では少々こぢんまりとしたものとなっている。
 
ブリヂストン
 
言わずと知れた日本を代表するタイヤメーカー。パッケージ表紙にも堂々と広告が提示されている。
今作ではアザーカーのトラックおよび、パッケージと同じタイプの広告として登場する。
 
BLITZ
 
八重洲出版
 
自動車雑誌を中心に発売する出版社。今作では同社が出版している『CARBOY』がスポンサーとして登場しており、当時の同雑誌でも大作と同じ扱いとして大々的に特集が組まれていた。
 
ユニコ株式会社
 
かつてエンジンオイルブランド「elf」の日本総輸入代理店だった企業。モデルのマリエの父が経営していたことでも知られている。現在「elf」はエルフジャパンを経てトタルが販売している。
ゲーム内ではオイル絡みのチューンパーツとして登場する。
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収録コース
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タイトルの通り、本作では首都高速都心環状線を舞台としており、収録コースもそこだけに絞られているが、一般道区間を含めた北半分、南半分、C1一周分を走行する経路の計3レイアウトが収録されている。
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あまり車に詳しくない人のために一応書いておくと、「C1」とは首都高速都心環状線の路線番号である。
 
収録車種
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今作に収録されている車種は16車種で、全て実在車両をモデルにした架空のものとなっている。そのため名称は全て「TYPE(数字)-(アルファベット)」で統一されている。今作では車種の排気量に応じて3つ分のクラス分けがなされており、数字の部分の1~3まで割り振られている。
問題点
メニュー画面
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全体的に地味。UI自体には特にややこしいものはないが…。
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セレクト画面は無音。せめて何かBGM付けれなかったものなのか...。
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入力音も「ポッ」と妙に間抜けな音であり、押しても意味が無いボタンを押すと甲高いビープ音が鳴る。そのため音量に注意すること。
 
レース中
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挙動は良いとはいえず、特にドリフトした時の制御はかなり難しい。アクセルオフしてグリップで走った方が確実である。
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壁や一般車に接触した時、速度に応じてぶつかった方向とは逆の方向へゆっくり大きく跳ね返り、強制的に道路中央に戻されると言うゲームとして見てもリアルとして見ても不自然極まりない挙動を示す。これが本作のクソゲーさを現す一番の原因かもしれない。
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その癖CPUは一般車をすり抜けたりと、この当時のゲームによく見られた理不尽補正は健在。
 
 
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芝公園付近1箇所だけ画面が暫く赤くなる箇所がある。作りかけとしか言いようが無く、プレイの邪魔でしかなくなってしまっている。
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当時、実際の都心環状線にも同じ地点にオービスがあったので、それのフラッシュを再現しようとしたのだろう。
 
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ATのシフトダウンのタイミングが狂っており、例えばドリフトした後に回転数がかなり落ちてもシフトダウンしない致命的な所も。その為このゲームはMTでやった方がミスをした時のリカバリが容易である。
チューニング
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チューニングパーツはそれに対して異常に安く、安くて3ポイント、平均して10ポイント前後、ごく一部高くても40ポイント位と、2、3回もレースすればあっと言う間にフルチューン出来る程にヌルい。
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パーツの耐久度と言う概念が存在しており、酷使し続けると、レース中にエンジンブローという形で強制終了してしまうため、パーツ管理を怠らないことが重要となるのだが、ブローした時の「TROUBLE」という文字が背景が真っ赤に染まった中で粗く拡大表示される演出が、ホラーじみており不気味。
 
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車の値段の概念も無く、パーツの売却価格も購入価格と全く一緒でポイントは溜まる一方である。
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パーツを売る選択肢が「SALE」となっているが、間違いでは無いとは言え、物を売る意味では「SELL」の方が一般的だろう。
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因みにゲーム中に表示されるシナリオの英語表記を「SCINARIO」と間違えている。説明書には「SCENARIO」と正しい表記がされている。
 
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エンディングを迎えても特に2周目や特典などは無く、後はリセットするだけである。
賛否両論点
グラフィック
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リリースされた時代が時代とは言え、グラフィックは良い方ではない。
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ただし車のモデリング自体は悪くなく、元ネタとなった車はまだわかるほう。これより後にリリースされたのにデザインが潰れてペシャンコ・元ネタが判りづらいなんてのもあるし
 もっとも80スープラ(がモチーフとなった車)のような、パッと見「三菱GTOじゃね?」と思ってしまうような、ちょっとアレなのもあるが。
 
BGMの品質
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BGMは10曲程あり「SOUND TEST」内で変える事が出来るのだが…。
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MIDI音源かつ音質も良くない。ただメロディは悪くなく普通に聴ける方。最初に聴くことになるであろうBGM「C1 CIRCUIT」もミョーな中毒性がある…かもしれない。
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ちなみにリスト内にある「SILENCE」は曲では無く無音。まあ間違ってはいないが…
 せめて「SILENT」や「BGM OFF」みたいに、もうちょっと他に表現あっただろう、とも思えるが。
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やり方も説明書に書いているとは言え「SOUND TEST」から変更しなければならないというのは、他のゲームではあまり見られないのでちょっとややこしい。
 
評価点
都心環状線の再現度
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一応都心環状線を初めて再現したレースゲームなだけあり、その出来は意外にも隠れたところで光っているものがある。
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比較対象として挙げられがちな『首都高バトルシリーズ』では1999年6月24日に発売された『首都高バトル』まで実現せず、それ以前は首都高をモチーフとした架空コースを登場させていた。今作発売より前の1996年5月3日に発売された『首都高バトル DRIFT KING 土屋圭市&坂東正明』でも、実際の首都高をモチーフにしたコースが登場していた。
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上述のオービスも、法定速度以下で走行した場合だと光らないなど、部分的に芸の細かいところも確認されている。C1自体の再現も、ビル群や道路の寸法など、実は意外なところに手の入った出来栄えとなっており、これも再現度は低くない。
 
 
その他
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レースゲーでは珍しいAE92型レビンを模した車が登場している。他のゲームでは『KAIDO -峠の伝説-』程度しか収録の実績がなく、ある意味本作独自の要素かもしれない。
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パーツや車のステータス等は妙に細かく、車好きには一見の価値はある…のかもしれない。
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実在企業とタイアップしているだけあり、一部パーツは実名である。
総評
首都高を再現した初のゲームと言うだけあり、C1の再現度という隠れていながらも実は大きな長所を有している。
他にも実在する自動車の細かいパーツやスペック、更には起こりうるトラブルを再現するなど、決して手を抜こうとしているわけではないことが窺える。
しかし、技術不足故にこれらの素材を活かしきれず、結果として未完成と言われても仕方ない完成度となってしまった。これではC1の再現度とスポンサーとのタイアップで力尽きたものと言われるのもやむを得ない話である。
現在ではネットなどが普及したこともあり、その出来の劣悪さと隠れた長所が発掘されたことを中心に、熱心なユーザーを生み出すに至ったものの、以上の完成度もあるため、所謂「クソゲーハンター」以外が手を出すのはお勧めできないものとなっている。怖いもの見たさでも相応の忍耐を持つ者でなければ、最後までやり通せるかは非常に難しいだろう。
余談
小ネタ
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レース中に、STARTボタンを押し「PAUSE」メニューを呼びだすと、上から「CANCEL(レース続行)」「RESTART(レースのやり直し)」「RETIRE(レース棄権)」の3つの項目があるのだが、更にその下に車のイラストがあり、「RESTART」を選ぶとその車が右に移動、「RETIRE」を選ぶととその車がBONという赤文字に変わり、大破したようになる。
制作会社について
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あまり情報が発掘されていないせいか、これ以外で同社が手掛けたゲームは確認出来ない。
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現在インベックスのあった番地を検索に掛けると、全く無関係であるだろう建物が建っている事が確認出来る。恐らく倒産した模様。
雑誌『CARBOY』での扱い
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八重洲出版とタイアップしているだけあり、当時同社から出版されていたCARBOYでは大作と同じ扱いとして積極的に取り上げられていた。
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同じ雑誌内では当時のインベックス社内における制作現場の様子が積極的に公開されており、更には隠し車種が存在していることが紹介されている…が、実際にデータ内に存在を確認した事例はあるものの、肝心の正規での出現条件は設定されていないため、通常プレイでは一切使用することができない。
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このほかにも、「渋滞」「天候変化」「覆面パトカー」「タイヤ摩耗」「ランプ」「ニトロ」「お守り」が収録される予定だったが、ことごとく没案となっている。
 
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もしこれらの要素がボツにならず、尚且つ「問題点」でも述べた「壁や一般車に接触した時のヘンな挙動」さえなければ、「良作」とまではいかなくとももっとマトモな作品になっていただろう…が、制作会社亡き今となっては最早届かぬ願いである。
最終更新:2024年06月21日 00:52