【さうすぱーく ざ すてぃっく おぶ とぅるーす】
アメリカの人気アニメ『サウスパーク』のゲーム化。
原作は切り絵のような可愛い絵柄と容赦のないグロ、下ネタ、ブラックジョーク、風刺ネタ、パロディで有名だが、ゲーム化は1999年前後に何作か微妙なゲームが出たきりで、それ以降はたまに配信専用のミニゲームが出されるくらいだった。
そんな中、久々のゲーム化となる本作はファンからの期待と不安も持たれていたが、発表されたPVが原作アニメの雰囲気に忠実だったため、アニメファンの期待も高まった。(原作を制作したスタジオがゲーム版の制作に全面参加しているのも大きい。)
ジャンルはRPGとして制作されており、RPGとしてはやや物足りない内容ながら原作のノリやエッセンスを忠実に活かした作風が高く評価された。
開発は『Neverwinter Nights 2』、『Alpha Protocol』、『ダンジョン・シージIII』、『Pillars of Eternity』、『Tyranny』、『The Outer Worlds』、『Fallout: New Vegas』等のRPG作品を手がけてきたObsidian Entertainmentとサウスパークのアニメ制作を手掛けるSouth Park Digital Studioとの協力体制で作られている。
物語はコロラド州の小さな町サウスパークに主人公が引っ越してきたところから始まる。
家から出るとすぐに、サウスパークの子供たちのRPGごっこ遊びに巻き込まれ、『真実の杖』(ただの木の棒)を巡る
人間とエルフの戦いに参加させられることになる。
主人公はカートマンたちから友達(*1)を作る才能を認められ、子供たちを勧誘して戦力を増やすという役目を遂行していく。
しかし、その途中でUFOがサウスパークに墜落。UFOから漏れ出した科学物質により、人間や動物がナチスゾンビに変化し、人々を襲い始める。
真実の杖を巡る戦いとゾンビ騒動が絡み合い、事態はどんどん収拾がつかなくなっていく。
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「サウスパークを基にしたゲーム」というより「ゲームという媒体で表現されるサウスパーク:シーズン17.5」と言った方が近いだろう。
難易度が低すぎてRPGとしての底の浅さは否めないが、逆に言うと、RPGという媒体で気軽にサウスパークの物語を楽しめる利点になっている。
ゲームとして底が浅いからといって手抜きではなく、むしろ、そこかしこに小ネタが仕込まれ、シリーズファンやゲーマーをニヤリとさせるサービス精神に満ち溢れている。
原作通りのキャラクター、原作通りの雰囲気、原作通りの作画、そして原作を生かした新しいストーリー。
ある意味ではこれ以上はない究極のキャラゲーと言えるだろう(若干反則気味だが)。
原作自体が人を選ぶので当然、本作も原作ファン向けであり端から人を選ぶが、ファンならば迷わず手に取っていただいて問題ない。
そう断言できる良作である。
*1 Facebookのフレンド。
*2 魔法といっても花火を付けた飛行機を投げつけたり、電気でスパークさせるようなもの。
*3 スカイリムの主人公が使う能力のパロディ。その他ゲーム中にはドラゴンボーンやドヴァーキンなどそのまんまなキーワードが出てくる。
*4 本来の意味は「膣洗浄器」。英語のスラングでは「思い上がったイヤでバカなやつ」を指す。本作風に言えば「膣野郎」とか「お膣ちゃん」であろう。
*5 ゲームの進行に伴い「Sir」や「KING」の称号がつくようになるが。元の名前が名前だけに「膣卿」とか「膣王」と余計ダメな名前になるのもサウスパークの世界では普通であろうことは想像に難くない。
*6 ゲーム中の表記は「Jew」。本来の意味はユダヤ人に対する侮辱的な呼称。日本風に言えば「ユダ公」。ある意味サウスパークらしい名称の使い方である
*7 原作初期の定番ネタ。カイルが弟で幼稚園児のアイクをキックして相手にぶつけるというもの。
*8 仲間キャラクターのケニーは原作の初期のエピソードでは毎回何らかの形で死亡して、次のエピソードで何事もなかったかのように復活するというキャラクターだった。
*9 一応、死亡したキャラクターの写真は登場する。
*10 このゲームも後に任天堂ハードに出たがあまり気にもとめられてはいない模様
*11 アニメ本編ではサウスパーク小学校の教師であるギャリソン先生のパートナーでリアルのハードゲイ。ゲーム本編では「1日1回使えるお助けキャラ」の1人として登場する
*12 ポケモンのパロディ。シーズン3の第10話「チンポコモン」に登場。あまりにもアレな内容だったためか日本では未放映かつ、DVDにも収録されていないが、ファンの間では有名。
*13 ほぼ完全に捨て台詞だが
*14 サウスパークの多くのキャラクターは監督であるトレイ・パーカーとマット・ストーンによって声が当てられている。トレイは約20人でマットは15人ほど。
*15 通称「チャプタ-11」。米国の連邦倒産法の条項の1つで、日本では民事再生法がこれに当たる
*16 サブタイトルを日本語訳すると「ケツ穴崩壊」。本来「ケツ穴」を意味する英語のスラングは「Butthole」なのだがUbiからのクレームで発音が似た単語に差し替え、このようなタイトルになった