【まかろにほうれんそう いんたらくてぃぶ】
ジャンル | インタラクティブ・ムービー | ![]() |
対応機種 | 3DO interactive multiplayer | |
発売元 | 東芝EMI | |
開発元 | フューチャー・パイレーツ | |
発売日 | 1995年1月13日 | |
定価 | 9,680円 | |
プレイ人数 | 1人 | |
レーティング | 3DO用審査:E(一般向) | |
備考 | Windows/Mac版あり | |
判定 | クソゲー | |
ゲームバランスが不安定 | ||
シリーズファンから不評 | ||
ポイント |
高城剛のインタラクティブムービー第2弾 伝説のギャグ漫画をゲーム化するも笑えぬクオリティに 作風に合わない吉本芸人起用で原作ファンから大ブーイング ミニゲームの出来も劣悪を極める 脱落者が多すぎて、ラスボスで高確率で詰む事が27年発覚せず |
高城剛製作のインタラクティブ・ムービー・ゲーム。
高城が前年制作した『チキチキマシン猛レース ケンケンとブラック魔王のイジワル大作戦』に続き、今回も3DOとPCのマルチで展開されている。
『チキチキマシン』はフューチャー・パイレーツが直々に発売元を務めていたが、今作は東芝EMIの元で発売された。
企画には大阪のお笑いプロダクション 吉本興業が参画しており、声優のキャスティングに大きく関わっている。
『マカロニほうれん荘』とは、1977年から1979年にかけて週刊少年チャンピオンで掲載された、鴨川つばめのギャグ漫画である。
『ドカベン』『ブラック・ジャック』『がきデカ』等とともに、同誌の看板作品として深く愛されている。
今作の主人公は、愉快な落第生・膝方歳三(パッケージ右側。以下トシ)と金藤日陽(パッケージ左側、以下きんどー)、そして平凡な高校生の沖田そうじ(パッケージ中央)。
各エピソードではトシやきんどーが一般人を巻き込んで、息もつかせぬ悪ふざけを展開していく。
最大の特徴は、当時のギャグ漫画の常識を打ち破る作風。
本筋そっちのけで寸劇を始める落第生コンビ、目まぐるしく変わる世界観など、理屈という理屈が一切通用しない展開のオンパレードは、今日では''不条理ギャグ漫画"という一大ジャンルの始祖として知られている(*1)。
今作を読んだことが無い人は、「昭和のノリで描かれた『ボボボーボ・ボーボボ』ないしは『ポプテピピック』」を想像してもらえると、なんとなく雰囲気が伝わるかもしれない。
その革新的な作風は絶大な支持を誇り、当時一時的ながら週刊少年誌のトップに立っていた(*2)チャンピオンを大いに盛り上げた。連載期間の短さも相まって「伝説の作品」と扱われることも少なくない。
その人気に反し、メディアミックスとしてはラジオドラマが作られた程度で、アニメ化はオファーがあっても立ち消えになっていることで知られている。
結果的にこの3DO版は『マカロニほうれん荘』悲願の初映像化作品と相成ったため、本作に期待を寄せる原作ファンも少なくなかった。
今作のキャストには、吉本興業の芸人が起用されている。
しかし原作ファンの多くがこの人選に拒否感を示しており、本作の批判点として真っ先に挙がることが多い。
+ | ネタバレ注意 |
ファンソフトとしての問題に隠れがちだが、今作はゲームとしての出来も著しく悪い。
特に収録ミニゲーム3種は極めて完成度が低く、いずれも共通して「難易度が高すぎる」「運要素が強すぎて面白みが無い」という難点がプレイヤーを襲う。
その出来は、クリアすらもままならない仕上がりである。
+ | ステージ上面図を交えた詳細解説 |
各種ミニゲームを上回る理不尽さで立ちはだかるのがラスボス戦で、今作のクリアを阻む最大の要因となる。
+ | 詳細(攻略のネタバレ注意) |
ゲームとしてもファングッズとしても著しい低評価を受けている一作。
『チキチキマシン』はキャラゲーやギャグアニメとしては支持するプレイヤーがいたのに対し、今作はその両面でも失敗し、ほぼ全方位から不評を買っている。
特に原作ファンからは「黒歴史」の烙印を押されており、『マカロニほうれん荘』のメディアミックスを語るうえで反面教師のように扱われる作品にまでなっている。
吉本芸人の起用は作風とマッチしておらず、声優を起用しないリスクに見合った支持は得られていない。
ゲーム内容はストレス満載の運要素がてんこ盛りで、「遊ぶ楽しさ」を追求せずに「ゲームの形に仕上げる」という段階で完結してしまっている節がある。
何といっても「それなりに悪名高いゲームにもかかわらず、ラスボス戦でひっかかるバグ同然の進行不能ポイントが27年も明るみに出なかった」というのが今作の酷さを如実に表している。
言い換えると大多数のプレイヤーがラスボス戦までに投げ出した可能性が高く、それほどまでに苦痛や飽きを感じさせる作品だったことが窺える。
最低限フォローしておくと、もし今作の強烈さがきっかけで原作に関心を持つ人が一人でも増えれば、このゲームにも意義はあるかもしれない……
*1 その破壊力は『がきデカ』の作者である山上たつひこに「戦意すら喪失した」と言わしめたほどであった。
*2 チャンピオンは1977年の5・6合併号にて少年誌初の200万部突破を達成している。
*3 前作『チキチキマシン』はCG素材が少なくて済むプロットを中心に構成していたので違和感が少なく、そこまで問題にはならなかった。
*4 ゲーム中、トシときんどーが落花生のコスプレをして歌うシーンがあるのだが、これは『マカロニ2』第1話で落花生が"落下傘"を付けて降りてくるというシーンが由来である。しかし該当シーンでは落下傘など無く、ギャグが成立しなくなっている。
*5 例えば同じスタッフの『チキチキマシン』(続編含む)にもこういう独自解釈が見られるが、あちらは元が海外のアニメということもあり、今作ほどの違和感は出ていない。
*6 90年代前半の映像番組。今作同様、CGを使った作品が多数放映されていた。なお高城は参加していない。
*7 吉本新喜劇の冒頭では、本筋と関わらない端役の人物がちょっとした掛け合いを繰り広げることが多い。たいていは新人がこの役を任される。
*8 一応公式名称。原作でとあるキャラが実際にそう例えている。
*9 原作中期から出てくるヤンデレ悪女。弘美と並んで数少ない同級生の少女で、弘美がレギュラー化する前はこちらの方が出番が多かった。
*10 トシやきんどーとつるんでボケをかますマヌケな男。初登場時はきんどーさえ手を焼く問題人物だったが、何かと再登場を繰り返すうち彼らと友情が芽生え、連載末期はそうじ以上に出番があった。
*11 8巻収録話「ちょー人リング!!」でさりげなく書かれている。