咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A Portable

【さき あちがへん えぴそーどおぶさいどえー ぽーたぶる】

ジャンル 美少女対戦麻雀

対応機種 プレイステーション・ポータブル
開発元 アルケミスト
クーリエ
発売日 2013年8月29日
定価 通常版:6,800円
限定版:8,980円
DL版:5,524円(全て税別)
判定 なし
ポイント 阿知賀編のキャラクターをベースとした続編
基本的な内容は前作を踏襲
CPUの強さが増し、厳しい内容に
少年ガンガン関連作品リンク
咲-Saki-シリーズ
無印/阿知賀編 /全国編・Plus


概要

  • 咲-Saki- Portable』の続編であり、月刊少年ガンガンにて連載された外伝作ともいえる『阿知賀編』を原作とした麻雀ゲーム。
  • ゲーム内容としては基本的には前作同様の能力有り麻雀となっている。
  • ベースが阿知賀編となっているため、前作では使えたが、本作では使えないキャラクターもいる。
  • CPUが理不尽なまでに強くなっており、能力やキャラクター次第ではかなり厳しい対局となる。

前作からの変更点・改善点

  • ストーリーモードが削除された。
  • チャレンジモードの課題が大幅に追加された(事実上、ストーリーモードからの置き換えといえる)。
    • 通常のチャレンジモードの難易度は低めであるが、更に高難易度の限界チャレンジも存在する、こちらの難易度はかなり高い、というよりもマゾゲーレベル(後述)。
  • 役の読み上げが追加された。
    • 役の読み上げは上がったキャラか特定キャラのどちらかで設定出来る。従って、全キャラ分のボイスが存在する。
  • キャラクターは「阿知賀女子学院」「千里山女子高校」「白糸台高校」「新道寺女子高校」の4校20キャラが新規、前作から続投は「清澄高校」「龍門渕高校」の10キャラと「風越女子」「鶴賀学園」の中から5キャラの合計35キャラ。
    • 「風越女子」の未春、純代、星夏と「鶴賀学園」の睦月、佳織の5キャラはリストラとなった。
    • 今回も隠しキャラクターが若干名存在する。
      + ネタバレ注意
    • 本作では京太郎が隠しキャラクター扱いではあるがプレイアブルキャラクターとなった。
      • 前作では登場するもののプレイアブルキャラクターではなく、次回作では完全に登場すらしなくなっていることからシリーズで唯一利用可能な男キャラクターである。
      • プレイアブルになったことから本作ではもちろんボイスもある。
      • もっとも、原作での実力よろしく能力は微妙なので使うには愛が必要だが。

評価点

団体戦でオリジナルチームを作れるようになった

  • 本作の団体戦は「阿知賀女子学院」「千里山女子高校」「白糸台高校」「新道寺女子高校」の4校で争う形式であるが、これとは別にオリジナルチームを作ることも出来るようになった。
    • また、「清澄高校」「龍門渕高校」「風越女子・鶴賀学園」として出場も出来る。
    • いずれの場合も「阿知賀女子学院」「千里山女子高校」「白糸台高校」「新道寺女子高校」のどれかのチームの一つとランダムで入れ替わる形になる。
    • 対戦相手のチームについて変更出来ない(いずれかの高校のチームでオーダー順も原作準拠)のは前作から変わらず。
      したがって対戦相手にオリジナルチームや「清澄高校」「龍門渕高校」「風越女子・鶴賀学園」を選ぶことも出来ない。
    • これにより、対戦相手のチームとキャラクターが被ったり、場合によっては同席することさえある。
      • 一応、前作でも個人戦において同じキャラ同士で対局することは可能だったが、雰囲気を重視するプレイヤーにとっては気になる仕様である。
    • チームの入れ替わりもランダムであるため、仮に先鋒(1戦目)に玄を配置したオリジナルチームを作った場合、4分の3の確率でCPUの阿知賀女子学院の玄と同席することになる。 役の読み上げが追加された
  • 前作では存在しなかった役の読み上げが追加された。
    • キャラごとに存在し、キャラによる個性もある(数は少ないが、例えば七対子をチートイツと正式名称で読んだりチートイと略したりといった差があるものも)。
    • 役牌やドラについては、あくまで「やくはい」「どら」と読み上げるだけであり、その成立した飜数は読み上げない*1
      • ドラは成立個数を含めて、「ドラドラ(ドラ2)」や「ドラ3」などと宣言し、他の麻雀ゲームでもそのように読み上げられるので違和感が強い。
      • 役牌についても他の麻雀ゲームでは「白(はく)」「發(はつ)」「中(ちゅん)」や東南西北(それぞれ、とん、なん、しゃー、ぺー)、「ダブ東(だぶとん)」「ダブ南(だぶなん)」と読み上げられ、成立した役牌の種類を示すことが普通である。
    • ただし、35+αキャラ分の読み上げパターンがあることは評価出来る。

賛否両論点

能力の格差が更に増した

  • 個性的な能力のキャラクターが多いためか、能力の格差がかなり増している。
    • 他プレイヤーにドラがいかなくなる(自身の得点を高くしやすい上、他者の得点を高くしにくくする)*2玄、一巡先が見られ*3Ver.1.01以降では当たり牌すら察知出来る怜、他家の手を悪くし、ダブリーを打てる淡がかなり強い。
    • 一方で、原作では最強のはずの照は初期ではやや弱キャラ扱いであり、Ver.1.01で当たり牌察知が追加されたが、攻めが弱いのがネック。
  • 全体的に強い能力持ちのキャラが非常に強力であるため、能力なしのキャラクターは前作以上に厳しくなっている。
  • 前作も同様だが、キャラクター格差というものを咲-Saki-の世界観に準拠するものとして受け入れられるかどうかで賛否が分かれるだろう。

原作で対戦した「劔谷高校」と「越谷女子」の二校が未登場

  • アニメ版のTV放送の際には全国大会の2回戦がストーリーの主軸だった為*4、この二校が登場しないのは腑に落ちないと思うファンも多い。
    • もっとも、『阿智賀編』は本編に比べて対局場面の描写が希薄で、アニメ版でかなり優遇された上に能力持ちのメンバーも多い「千里山女子高校」に比べて他の二校で目立った活躍をしたキャラクターが劔谷高校の森垣友香*5しかおらず、手筋や特殊能力等のキャラ付けをするのが難しかったという事情があるのかも知れない。
      • ただ、本作の隠しキャラである京太郎や続編の『全国版』で登場する隠しキャラの一部には対局描写が希薄どころか全く描かれていないキャラまでもが抜擢されているので、やはり腑に落ちない点でもある。
    • 特に劔谷高校のキャラはそれぞれに固定ファンも多く、イマイチ活躍の場が無かった越谷女子の面々も個性的だったので、「安福莉子を使って大将戦の雪辱*6を晴らしてあげたい」とか「あの千里山の園城寺怜を相手にプラスに持ち込んだ新井ソフィアの実力*7をその目で確かめたい」とプレイアブルキャラクターとして期待していたファンも多かっただけに残念である。

問題点

コンピューターの聴牌速度

  • 前作と比べると、コンピューターの聴牌が早くなっており、6巡目以内でのリーチも結構な頻度で発生する。
    • 一発ツモも頻繁に発生するため、能力持ちのコンピューターが相手だと為す術もなく点棒がなくなっていく。
    • 麻雀は運の要素も強く、数回程度であればスピードアガリが出るのはあり得るのだが、常時といっても過言ではないため、ストレスがたまりやすい。

致命的なバグが存在した(修正済)

  • 通信対局で観戦を行った後、通常対局を行うと不正データが保存され、一部のデータが破損するバグがあった。
    • 再現度も高い非常に危険なバグであった。ただしVer.1.01にて修正されているため、現在は発生しない。

能力の再現が出来ていない

  • 哩の「リザベーション」は原作では「最初に飜数を決めてそれ以上の飜数で和了すれば、後に試合をする姫子がその倍の飜数(実際に上がった飜数は無関係)で和了ることができる」というものであったが、本作では「和了すると姫子の手牌がよくなる」と完全な別物になっている。
    • そのため、原作で見られるような「手牌を考慮し、(事実上の)何飜の縛りを設けるか?」といった駆け引きはない。
    • ちなみに次作の『全国編』では「縛りを設けることで、その縛りに応じた手が積み込まれる」という能力に変更されており、正確には原作準拠ではないが、近い性質の能力となった。

鬼畜なまでの限界チャレンジの難易度

  • 前作のチャレンジモードの一部の課題でさえ鬼畜とされていたが、本作では更に上を行く限界チャレンジが追加され多くのプレイヤーを阿鼻叫喚の渦に陥れた。
    • 限界チャレンジというタイトルに偽りはなく、お題からして「団体戦ルール(基準点10万点)で0点スタートで1位になる*8」や「他者に1度も和了されずに半荘戦を終える」といった麻雀経験者であれば如何に難しいか分かる内容が目白押しである。
    • お題の鬼畜っぷりに加え、先述の通りコンピューターも非常に強いことから難易度に拍車を掛けている。下手すると数十時間プレイしてもクリア出来ないこともありえる。
    • そんな鬼畜な限界チャレンジの中でも「ゆみで搶槓を和了する」チャレンジは屈指の無理ゲー(+運ゲー)と化している。
      • 大前提として搶槓は1飜役であるが、かなりのレア役であり、四暗刻などの役満よりも出にくいと言われている。
        原作でゆみは「次に私が搶槓を上がれるのは何年後になるか」といった旨の発言をしている、まさしくこの発言が当てはまる程のレア役である。
      • 次に、本作のCPUの行動パターンであるが、とにかくあまりポンやチーをしないのが特徴である。
        搶槓は相手プレイヤーがカンした際の牌(一部例外を除き加槓に限る)でロンすれば成立する役であるため、前提としてポンされなければ始まらない。
      • したがって、搶槓を成立させる上では
        1.CPUがポンしてくれるか
        2.CPUがポンした牌をアガリ牌とした上でテンパイできるか
        3.その上でCPUが加槓してくれるか
        という3つの壁を全て乗り越えなければならない。
      • しかし、そもそも1つめの条件さえなかなか満たせないことが多い。ポンされるとしても搶槓しようがない字牌であることが多い。もっとも、1の条件でさえ難しいのに、更に2,3を満たさなければならないのだからかなり難しい。
      • 原作ではゆみは咲が嶺上開花を狙うためカンすることを逆手にとって搶槓を和了したが、本作の咲はそこまで明槓をしてくれないのがネックである。
    • ちなみに、最も簡単な限界チャレンジといわれるのは「咲で最終結果プラスマイナス0(2位以下で29600点~30500点)で終局する」というものであるといわれる。実際に麻雀をやれば分かるが、点数を既定の範囲内に納めるのは決して簡単ではない。それが最も簡単という時点で難易度はお察しである。
  • 限界チャレンジの景品にキャラクターがないというのが唯一の救いである。

総評

前作の問題点を解消しつつ阿知賀編のキャラクターに焦点を当てた作品である。
前作よりも個性的な能力を持つキャラクターが増えたため、よりカオスな麻雀を楽しむことが出来ることは間違いないのだが、個性的な能力をどのように使うかを悩んだのか、再現率が落ちてしまっている点は残念である。
コンピューターの聴牌速度が凄まじいため、運の要素が増しており、ツキに見放されるとどう足掻いてもアガリまで到達出来ない点でのバランスの悪化が本作最大の問題点といえるだろう。
前作同様にキャラクターは可愛く、キャラ数でいえばリストラされたキャラがいるとはいえ大幅に増えていることは評価出来る。
ただし、麻雀をよく知らない初心者が購入するのはオススメできない作品である。

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最終更新:2021年02月04日 10:33

*1 麻雀の役は一般的には成立しているか否かのみで判定されるが、役牌、ドラについては複数個成立することがあり、成立した個数によって役が加算されていくルールである

*2 原作同様、自身がドラを捨てると、逆に以後ドラが来なくなるというペナルティはあるものの、それを差し引いても強力な能力である

*3 補記するなら、一巡先が見られるというよりは次のツモ牌が察知出来る、というのが正しい。したがって、ポンやチーなどを使ってツモ牌を変えたとしても問題無く予知したツモ牌をツモることができる

*4 ゲーム中にデフォルトで登場している四校が対局した準決勝戦はTV本放送時では先鋒戦が終了した時点で放送が終了し、大将戦終了までの残りのエピソードは後日web配信にて公開された。なおこの時点でコミック版『阿智賀編』に至ってはアニメ版本放送終了の時点で少年ガンガン本誌でも2回戦の途中までしか描かれておらず、アニメ版に追い越されてしまっている。

*5 劔谷高校の副将。帰国子女の1年でありながら部長の古塚梢の先見の明でレギュラーに抜擢され、東一局で倍満で上がり阿智賀と越谷女子を危機に陥れる事となった。

*6 劔谷高校の1年生でもありながら大将を任されていたものの、大将戦のオーラスで阿智賀の高鴨穏乃によって直撃を喰らって終局直前で逆転負けとなり、顔芸を披露した挙句、号泣する結果となってしまった悲運のキャラ。ネット上でもファンの間では「主人公補正の犠牲者」や「戦犯」等の不名誉な二つ名で呼ばれているが、裏を返せばそれだけ愛されたキャラともいえよう。

*7 越谷女子の先鋒で帰化人。あの園城寺怜や阿智賀のドラゴンロードこと松実玄等の能力持ちを相手にプラスで終局させるといった影の実力者だが、対局描写が希薄だったのもあってかイマイチ影の薄い存在となっている。

*8 前作においては個人戦ルール(基準点2万5千点)で0点スタートで1位になる、というものはあった