聖闘士星矢戦記
【せいんとせいやせんき】
| ジャンル | シネマティック乱戦アクション |  
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| 対応機種 | プレイステーション3 | 
| メディア | BD-ROM 1枚 | 
| 発売元 | バンダイナムコゲームス | 
| 開発元 | ディンプス | 
| 発売日 | 2011年11月23日 | 
| 定価 | 通常版:6,981円(税別) 豪華限定版:12,580円(税5%込)
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| 廉価版 | Playstation3 the Best:2013年2月21日/3,800円(税別) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 更に高まったゲーム面 操作面の不満も大きく解消
 無双ゲーの爽快感と圧倒的な黄金の強大さ
 ゲーム性をも砕く鳳凰の羽ばたき!!
 未だ消えぬ声優問題
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| 聖闘士星矢シリーズ | 
 
概要
聖闘士星矢25周年を記念して、前作『聖闘士星矢 冥王ハーデス十二宮編』から4年9ヶ月の沈黙を破り作られた。
原作のエピソード・聖域十二宮編を舞台にしたストーリーが展開されるため、イメージ的には新キャストで送る前々作『聖闘士星矢 聖域十二宮編』のリメイクといったところである。
主な変更点
ジャンル名「シネマティック乱戦アクション」が示す通り、対戦がメインではなくなった。
代わりに過去作ではボーナスゲーム的な存在だった、各宮に向かう雑兵戦がメインに昇格。
聖闘士は雑兵達をなぎ倒しつつ各宮殿まで向かい、その後に強大な黄金聖闘士に立ち向かうことになる。ある意味黄金伝説完結編への回帰である。
バトル部分では、賛否が大きかった「ビッグバンカウンター」が廃止された他、連打要素が撤廃。
新要素として「セブンセンシズ」モードが追加。これはゲージを一定量消費することで、一時的に周囲がすべてスローになる強力なシステム。
また相手の攻撃をぎりぎりのタイミングで回避や防御を行う事で、ゲージを消費せずこのモードに移行できる「リアルセブンセンシズ」のほか、
過去作で強力すぎた切返し技「小宇宙バースト」は体力を大きく消費するようになりリスクが増大。コンボを受けるか、体力を減らしてでも切り返すかの判断が求められるように。
また、強力な必殺技「ビッグバンアタック」の発動条件が変更され、特定条件下で必殺技を当てると自動的に演出に入るようになった。
これにより前作までで問題視された「待ち有利」のプレイから「攻め重視」のプレイスタイルが求められるようになり、より爽快感が増している。
また、本作より無双シリーズでお馴染みのキャラクター育成要素も搭載されたが、こちらはやや賛否が分かれた(後述)。
評価点
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より派手に、より精錬されたゲーム性と演出
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詳しいことは上記に述べた通りだが、ゲームとしてのデキが前作までと比べ段違いに上がった。
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スピード感あるモーションでキビキビ動き、攻撃範囲はかなり大きめに設定されているので戦いやすい。
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必殺技も対多数を前提に調整されており、従来作と比べると雲泥の差。
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例えばこれまでのペガサス流星拳は軸移動であっさりとかわせるほど範囲が狭かったが、今回は円錐形に大きく拡散するため容易に多数の敵を巻き込める。
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黄金聖闘士の必殺技はさらに強大で大迫力。なんとボス性能と殆ど変わらないものを使用できる。
 
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魔鈴や星矢、童虎や紫龍など師弟設定があるキャラ以外はほぼモーションも一新され、全キャラ固有の物になった。
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中には守護星座を模したような動作や攻撃もあり、格好良いものもあれば後述のようにネタにされてしまった物もある。
 
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キャラの特性を生かした設定も多く、例を挙げれば牡牛座のアルデバランなどは巨躯を反映してか、ジャンプの着地時に攻撃判定があり、飛び跳ねるだけでも雑兵などは吹き飛ぶ。
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また原作では両腕を構えた状態と抜いた状態でグレートホーンを放っているためか、本作では飛び道具版と突進版の2つのグレートホーンが搭載された。
 
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一方で縦に開脚し後頭部越しに蹴るという何とも不思議な技を繰り出す蠍座のミロや、
 放物線を描きながら回転しダイビングヘッドバッドをかます魚座のアフロディーテなどは散々ネタにされてしまった。
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「獲物を一刺しする蠍」と「飛び跳ねる魚」のイメージなのだろうが、後者は特にキャライメージと合わないアグレッシブさが笑いを誘った。
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本来なら批難対象だろうが、前者はアニメの再現、後者はアフロディーテだからという理由で容認されている。
 
 
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戦闘中に会話が発生することがある
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雑兵の愚痴、味方聖闘士の会話、ボスとの掛け合いなど多種多様。十二宮編以外のストーリーやDLCキャラでも発生するのでかなりの数がある。
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それらの会話はポーズメニューのログから見返すことができる。ボイスの再生も可能。
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会話中にビッグバンアタックなどの演出が入ると掛け合いの途中でも会話が終了してしまうが、その場合でもログには掛け合いの最後まで残る。
 
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ストーリーは青銅主役の十二宮編の他に5つ収録
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十三年前のアテナ暗殺未遂を描いたアイオロス編、本編開始前の教皇の間に乗り込むアイオリア編、スターヒルへ調査に向かう魔鈴編、星矢を追うシャイナ編、処女宮から教皇の間に向かう一輝編。
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アイオロス編以外は話数が非常に少なくムービーも無いのが難点。
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十三年前と言いつつ本編と変わらない体型なのはご愛嬌か。
 
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充実したライブラリは健在
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流石にカードダスなどは無くなっているが、聖闘士聖衣神話(同APPENDIX、EX含む)や聖闘士聖衣皇級といったフィギュアのデータが非常に豊富。
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聖闘士はプレイキャラはもちろんの事、暗黒や青銅二軍、白銀に鋼鉄の他にも青銅の他5人の黄金カラー青銅や最終聖衣はもちろん神闘衣まで完備。
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さらにイベント限定発売のOCEバージョンの他、抽選販売限定の冥衣シオンASIAEDITIONといったマニアックな物まで掲載しているスキのなさ。
 
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他にも海闘士、冥闘士、神闘士やオーディンローブ星矢のフィギュアデータも完備。まさにデータバンク状態である。
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またBGM再生のほか、ストーリームービーやビッグバンアタックの演出が視聴可。
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ビッグバンアタック演出も細かく再現でき、聖衣の有無の他破損具合まで設定できる。
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黄金サイドもクロス無しのデスマスクやサガの善悪Verといった設定もできるので、いつでもアツいシーンを好きな設定で見られるようになった。
 
 
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コンティニュー時の演出でより多彩なキャラが出てくるようになった
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今までは城戸沙織か教皇で固定だったが本作では2人以外の関連の深いキャラも出てくるようになった。
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青銅5人なら他の4聖闘士の他、魔鈴(星矢)、老師や春麗(紫龍)、カミュやミロ(氷河)といった具合。
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また関連の深いキャラが出るほど復帰時に攻撃力・防御力・コスモ力に大きな補正が付く。
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一方でデスマスクとアフロディーテはお互いで罵り合うも最大補正で甦るなど、ニヤリとするケースも…。
 
 
賛否両論点
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『聖域十二宮編』からの使いまわし
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ストーリーモードのムービーが前々作と同じ構成。
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シーンの選択、カット割り、カメラアングルなどがかなりの部分で『聖域十二宮編』のそれと同一。既プレイ者には既視感が強い。
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さすがに丸々同じではなく、改変はそれなりに見られる。
 
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BGMは殆どが『聖域十二宮編』からの流用で、音声も使いまわしが散見される。いくらなんでも手を抜きすぎである。
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もっとも、今作単体で見るなら大きな問題は無い。
 
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ストーリモードの黄金聖闘士が強大すぎる
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原作を意識してか、ストーリーモードの黄金聖闘士は非常に強大な強さなのだが、ゲームとしてはやりすぎと批難された。
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まずストーリー用の黄金聖闘士は常時スーパーアーマー+ガード状態で、青銅の必殺技ぐらい食らっても構わず攻撃してくるうえステップ移動は動作中完全無敵でスキがない。
 攻撃に関しては一部例外を除けば弱攻撃は通常モーションの他専用攻撃としてこちらを高速で追尾するビームが5~6発飛んでくる物や、十数個の光弾を周囲に飛ばし、断続的にこちらを完全追尾してくる物があり、
 強攻撃は前方に地面から気の間欠泉を同時に9コ発生させる物、追尾は緩やかだが何かに当たるまで消えない光弾など強力なものばかり。
 そのうえステータスは超強化されており、必殺技などは一撃でも食らうと即死級の威力なのに必殺技は打ち放題と理不尽な域。
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普通に戦っていたのでは余程強化しないとまともに戦えない強さであり、難易度が上がるとステータスカンスト状態でも数発で殺される程になる。
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しかし、攻撃直後はスーパーアーマーがないことを始め、つけ入るスキは大いにある。セブンセンシズの存在もあり、どうしようもなく理不尽というほどではなく、強敵のスキを突き反撃に転じる面白さがある。
 だが慣れていない人や、作品が好きなだけで買ったユーザーは最初に闘うアルデバランにすら勝てないという事態になりやすく、早々に諦めた人もいたほど。
 
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キャラクター育成要素
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無双ゲーにはお決まりの要素だが本作はキャライメージを優先しすぎたせいか、成長が露骨な偏りを見せるキャラが何人かいる。
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一輝はコスモゲージと攻撃力はLVをあげるだけでほぼカンスト状態になるが他がさっぱり上がらない、瞬は守備力はLVだけでカンストしてしまうが攻撃力が全く伸びないといった具合。
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こういうキャラは必然的にLV上げ以外にもステータスのてこ入れ作業が求められる為、作業的に感じやすい。
 
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スキルを手に入れるためのポイントが高すぎる。
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一ステージごとにおよそ1000ポイントほど獲得でき、必殺技を一段階強化するのに200~1000、ステータスを一段階上げるのに30必要。
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そしてスキルは安いもので数千、高い物は2万ほどが必要になる。意図的に稼がなければとても揃えられない。
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一応効率のいい稼ぎがあるのが救い。
 
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スキルが膨大になり各キャラの個性を出しやすくなったが一部バランスブレイカーがある。
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特に言われるのが「捨て身の覚悟」・「破滅への道」・「スイカ」の組み合わせであり、これらを組み合わせるとHPが1固定になるが、
 攻撃力が大幅に上がり、コスモゲージが減らなくなるため必殺技が使いたい放題になるうえ、倒されても3回まで甦れるという状態になる。
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この組み合わせのせいで下記の問題点に直結するハメになってしまった。
 
 
問題点
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声優が違う
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星矢という作品に限らずアニメ放映があった作品ではこの問題は必ずついて回るが、主要キャストが変わる前から亡くなっている方や引退した方もおり
 初代ドラゴン紫龍役の鈴置洋考氏も鬼籍に入り、過去のキャスティングが絶対に叶わない事もあってか比較的寛容に受け入れられた。
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既に『ドラゴンボール改』や『北斗の拳』などの作品もキャストが変わっていた事も背景にあると思われる。
 
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しかし「旧青銅のキャスト以外認めない」という人は除くとしても、新キャストに違和感を覚えるプレイヤーはやはり多かった。
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特に星矢という作品は旧キャスト陣が叫ぶ熱い必殺技の声や劇画テイストな口上、震えるような叫び声に胸が熱くなった方が多いと思われるが、
 新キャスト陣の一部は叫び声が裏返ったり、イントネーションが変だったりするので肝心な所で萎えるとツッこまれた。
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レビューサイトでも新キャストというだけで低評価、もしくは評価を落とすユーザーはやはりいる。
 
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聞く方の感性にもよるので一概には言い切れないが、氷河と一輝は比較的高評価で他の三人に違和感を感じる方が多い。
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先代紫龍の鈴置洋考氏は凛とした声なのに対し、次代紫龍の櫻井孝宏氏は鼻に掛かったような声質で喋るため違和感を感じやすい。
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次代瞬の粕谷雄太氏は先代瞬の堀川りょう氏に近いイメージを感じるが、前述の「叫び」関連を指摘されることが多い。
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特に双児宮イベントでの「サンダー↑ウェー↓ブッ!」は笑いすら誘う。
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だがビッグバンアタックや通常時のサンダーウェーブはいたって普通であり、おかしいのはここのシーンだけである。
 
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星矢に関してはあまりにも古谷徹氏のイメージが強すぎると言わざるをえない。
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森田成一氏の声質が古谷氏と違いすぎるのもあるが、森田氏も叫び声が良く裏返るのでこの点も批難される。
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ビッグバンアタック全般に始まり、よりにもよってアテナの盾に向かうシーンとサガとの決戦時という一番盛り上がるシーンの叫びが特にひどく裏返っている点は多くのプレイヤーを萎えさせた。
 
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青銅5人以外では魔鈴役の井上富美子氏も叫び声の点で批難対象に上がっている。
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ビッグバンアタックの「りゅう~↑せ↑ぇ~け↓ん!」は脱力すること必至である。叫び以外の演技は魔鈴さんらしくていいのだが…。
 
 
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DLC
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当時からお馴染みとなっていたバンナム商法は本作でも健在。
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サジタリアス星矢・一角獣星座の邪武・天猛星ワイバーンのラダマンティス・海魔女のソレント・オーディンローブ星矢・海龍のカノンの6キャラがDLC。
 追加ミッションが楽しめるようになるとは言っても1キャラクター500円は高いと言わざるを得ないだろう。
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しかも過去作ではクリア特典であった青銅5人の新生聖衣までDLCとなっているのも問題である。
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こちらも500円で、追加モードもシナリオもなくただモデリングが増えるだけ。
 
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なおベスト版の発売に合わせて値下げされたため、現在は全品半額の250円で購入できる。
 
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無双ゲー部分の作りが甘い
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まずカメラワークが固定なので雑兵を把握しにくい。そんな状態なのに柱の上やら崖の下、草むらに潜むなど様々な所から雑兵が湧いてくる。
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そしてミニマップがないため討ち漏らした雑兵などはイチイチダッシュやジャンプでカメラを動かして探さなければならない。
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上記の条件で全ての雑兵を倒さないと先に進めないため、作業感の方が勝ってきてしまう。
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鬱陶しい性能の雑兵が多く、ストレスが溜まることもしばしば。
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画面外から攻撃してくる弓兵、長いリーチに加えてなぜかアーマーを持ち怯みにくい鞭兵、小柄なうえ回避行動を連発し攻撃を当てにくい小型雑兵などなど。
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特に厄介なのが松明を持った小型雑兵。火を吹く、松明を投げて落下地点をしばらく火の海にするといった広範囲の技を使う。火炎はアーマー無視で怯み&燃焼状態にさせるので、放置すると非常に戦いにくくなる。
 
 
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飛び道具が強い
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仕方がないこととはいえ、原作が格闘主体で戦う作風のためか全体的に飛び道具が強い。
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特に極太レーザーのような水瓶座のカミュの「オーロラエクスキューション」と一定時間周囲に滞在し緩やかに追尾しつつ断続的に弾を飛ばす魚座のアフロディーテの「ピラニアンローズ」が強力。
 しかしそれらが気にならないほどの問題児なのが鳳凰星座の一輝である(後述)。
 
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鳳凰星座の一輝
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全体的に飛び道具が強い作品だがその中でも抜きんでて強いのが鳳凰星座最大の拳・鳳翼天翔である。
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火の鳥型のオーラを一直線に飛ばす技で、射程・判定ともに優れ、貫通&多段ヒットするので眼前の敵はほぼ一掃可能。さらにタメることでただでさえ高い威力をさらに高めることができる。おまけに燃焼状態にさせる追加効果まである。
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しかし何より凄いのが発生の速さである。全員何かしらの予備動作があるため飛び道具の発生は比較的遅いのだが、鳳翼天翔は上記のような性能なのに弱攻撃並みに発生が速い。
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このため、ただ連打しているだけでも凄い勢いで敵を倒していける。コスモゲージには限りがあるのでおいそれとは使えないが、賛否の点で触れたスキル「捨て身の覚悟」と「破滅への道」を使うことで超性能&超威力で撃ち放題になってしまう。
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コスモゲージの量と攻撃力が高くないと最大火力は望めないが、一輝はどちらもLV上昇だけで2つの能力がほぼカンストするため意図せずとも勝手に最大限生かせる状態になってしまうのも始末が悪い。
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この2つのスキルを付けた鳳翼天翔は雑兵や中ボスは元より常時ガード状態扱いという超性能の黄金聖闘士すら一撃で葬る威力と化す。
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このため、スコアアタックやサバイバルなどのモードはただひたすら鳳翼天翔でカタがついてしまう始末。
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ひたすら弾を撃つ事と一輝自身も1ミス=死という状態なのでシューティングゲームと揶揄された。
 
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与えた総ダメージが取得ポイントに直結する計算になっているので、経験値・ポイント稼ぎには最適なキャラである。
 
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『聖域十二宮編』の幻朧魔皇拳モードのようなものがなく、ストーリーの他は味気ないミッションモードのみ。折角黄金聖闘士を使えるようになったのにこれでは盛り上がらない。
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プラクティスモード・VSモードがない
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引き続き未導入。特に過去作以上にアクション要素が強いため要望は多かった…が、「そもそも何故無い?」というのが前々作からの意見である。
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タッグモードは設定次第で味方に攻撃が当たるので、敵を無視して戦えばそれっぽいことはできなくもない。
 
総評
まだまだ粗は目立つが、着実に進化が見てとれるシリーズ。
過去作と比べると作業感が増えたことや、DLC問題などがあるがゲームとしては普通以上に遊べる内容である。
それ故に対戦モードがないことが惜しまれた。
ポセイドン編やハーデス編が収録されていないことから続編を望む声もあったが、
黄金聖闘士戦の高評価を受け、本作以降は雑兵戦を廃止し再び一対一の格闘ゲーム路線へと回帰。
残念ながら雑兵戦の進化は本作で止まってしまった。
最終更新:2025年01月13日 11:48