PAPERBOY
【ぺーぱーぼーい】
| ジャンル | シューティング | 
| 対応機種 | アーケード | 
| 発売・開発元 | アタリゲームズ | 
| 稼働開始日 | 1985年2月(北米) 1985年10月(日本)
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| 判定 | 良作 | 
| バカゲー | 
 
概要
星の数ほどあるビデオゲームの中でも特に奇抜な、新聞配達を題材にしたゲーム。
プレイヤーは自転車に乗った新聞配達の少年を操作して新聞を配達していく。
システムはクォータビュー視点のシューティングゲームだが、スクロール方向が斜め前方なのに対し、弾を撃つ方向が横方向固定という独特なスタイルを持つ。
システム
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ゲーム開始時、配達エリア(難易度)を「EASY ST.」「MIDDLE RD.」「HARD WAY」から選択する。
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自転車のハンドルを模したコントローラーを操作する。
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奥に(画面に向かって)倒せばスピードアップ、手前に引っ張れば減速。右に曲げれば右に、左に曲げれば左に曲がる。
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強制スクロールで進む減速が実質的な後退操作となる。
 
 
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ボタンを押す事で新聞を左側に向かって投げる。(建物は左側にしかない)
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新聞を契約している家のポストか、玄関前に当てれば配達完了になる。
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ステージ終了時、配達完了した家の数に応じてボーナススコアが貰える。
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すべての家に配達すれば新たに契約する家が1軒ずつ増え、貰えるボーナススコアも2倍になる。逆に配達ミスした家は契約を打ち切られてしまう。
 
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全7ステージ1周エンド。残機か契約件数が0にならないまま一週間新聞配達を行えばエンディングとなる。
 
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新聞は残弾制。
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道中で落ちている新聞の束を入手する事で初期数の10個まで補充する事が出来る。
 
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道の端まで到達するとボーナスステージ「TRAININ COURSE」に挑戦する事が出来る。
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様々なアスレチックギミックを上手く乗り越えてゴール地点に到達するとボーナス点が加算される。
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ここまでくれば、ゴールするまではミスをしても残機が失われる事はなくなる。
 
バカゲー要素
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新聞配達を題材にするという着眼点、道中で拾える新聞等、コンセプトデザインが既にバカバカしいが、本作最大の特徴は主人公を妨害するさまざまな街の人々である。
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突然飛び出してくる人や路上でブレイクダンスに興じている人、包丁を持って追いかけてくるババア(!)、車、ラジコンカーや犬。果ては何の動力源もないのに動き出すタイヤや爆弾等、シュールな障害物が次々と新聞配達の邪魔をしてくる。
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主人公はそれらに対して新聞を投げつける事で応戦が可能。この新聞は非常に重いらしく、大抵の障害物を排除する事が出来る。
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障害物以外にも建物の窓に投げ入れれば窓が割れ、墓に投げれば墓石が割れる。契約している家の窓を破壊すると契約が打ち切られるが、それ以外の家ならクラッシュボーナスとしてスコアがもらえる。
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当然とはいえノルマをきっちり果たせなければ即クビなのに、こうした器物破損行為が全く問題にならないと言うのも、冷静に考えるとおかしい。
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そして無法地帯の街中を駆け抜けた先でなぜか広がるアスレチック場を突破すると観客(?)の大歓声に迎えられる。果たして町の人たちはボーイの敵なのか味方なのかよくわからん展開である。
 
 
評価点
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クラッシュボーナスの対象は結構多く、窓ガラス、墓石、空き巣、喧嘩をしている二人組、ゴミ箱、彫像等多岐にわたる。
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適当に投げたら意外な物に当たって壊れ、スコアが増えたりする。
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但しクラッシュボーナスを目当てにしていると「新聞の残弾数が少なくなり、いざ契約している家に投げ入れる新聞がない」という事態に陥るため、無駄撃ちしないよう精密射撃が要求される。
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逆に節約するとあまりがちになる。この辺のバランスは絶妙。
 
 
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一見難易度は高そうだが、「新聞配達をしなければならないわけではない」という事に気づくと難易度がかなり下がる。
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新聞を配達しないと契約が切られてしまうが、入ってくるスコアが減少するだけなので、普通にプレイする分には大したデメリットではない。最初の一軒を確実に狙い撃って新聞を配達できれば、後はひたすら回避に専念することでとりあえずは1日クリアできる。
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逆にハイスコアを狙うならきちんと精度良く配達し、残弾を補給しながらクラッシュボーナスも積極的に狙っていかなければならず忙しくなる。
 稼ぎ重視かクリア重視か、ということで、自分の腕に応じたプレイスタイルを取れる柔軟性も評価できる。
 
問題点
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曲数が少なく、町の風景も配達コースによって大きく変わるような事が無く、地味。
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クォータービュー視点に加えて「右下隅しか動けない」「横方向にしか弾が撃てない」「残弾制限がある」など操作性の制限がかなり激しい。
慣れない内は狙ったところに新聞紙を投げるのも障害物を避けるのも難しい。
総評
新聞配達を題材にする事で、シューティングゲームとしてもかなり奇天烈なものに仕上がっている。
一見すると地味な見た目ながら、この頃のゲームとしてはギミックも稼ぎ要素も豊富で、やりごたえは十分。
操作性はともかく、簡単にクリアする方法も、難易度の高いハイスコアルートを選ぶ事もできる。
それ以外の部分では、入力デバイスが自転車のハンドルを模しているという変わり種のコンパネ、妨害要素として街の人々がそろいもそろって主人公に牙を剥いてくると言う奇妙奇天烈な要素によって、おバカムードを醸し出しているのも実に海外ゲームらしくて面白い。
「新聞配達」というアイデアにここまでのゲーム性を付加しつつ、ただそれだけに留まらない独創性溢れるゲームに仕立て上げたセンスはさすがである。
余談
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プレイ方法は多岐にわたるが、日本国内でのプレイ手段は限られている。
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日本ではアーケード版以外にもファミコン版、メガドライブ版が出ているが、出回りの少なさや宣伝の少なさも相まってマイナーであり、全て稀少品。
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逆にアメリカでは知名度は高く、GBやXboxと言ったメジャーハードをはじめとし、ZXスペクトラムやアムストラッドCPCといった、様々な家庭用機種やパソコンに移植されており。その数も25種類と過半数のハードに移植されている。
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国内でもゲームボーイ版が発売予定だったが、発売中止となった。(参照)
 
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また、SNES/NES/GENESIS/GB/GG/各種PCでオリジナル続編である『PaperBoy 2』(Mindscape)が1991年にリリースされた。
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1999年にはMIDWAY GAMESから3Dリメイクされた『PaperBoy』(N64)が発売されている。リメイクに当たりプレイヤーキャラに「ペーパーガール」が追加されている。
 
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テレビゲームを題材にした映画『シュガー・ラッシュ』や『ピクセル』にも本作の主人公が登場しており、日米のゲーム知名度の違いを大きく感じる事のできるタイトルにもなっている。
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日本国内におけるMD版の発売・開発元は、アタリ製業務用ゲームの作中テロップや家庭用移植版の説明書における独創的過ぎる翻訳で有名なテンゲンである。
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パッケージ裏に書かれたキャッチフレーズの「少年は思った。『働かなきゃ……働いて、働いて、有名になるんだ!』……そして、少年は新聞配達を始めた!!」は、その筋には色々な意味で有名。
 
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本作品以外での新聞配達ゲーは、他にPS『コロコロポストニン』位かもしれない。
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もっとも、システム的には本作との共通点はなく、むしろ『キャメルトライ』に近い。
 
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本作のパロディ作としてはビデオ配達ゲー『ザ・ビデオキッド』がある。ゲーム性が似ているのはこちら。
 
最終更新:2023年09月06日 17:45