炎の闘球児 ドッジ弾平 (GB)
【ほのおのとうきゅうじ どっじだんぺい】
ジャンル
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スポーツ
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対応機種
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ゲームボーイ
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発売元
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ハドソン
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開発元
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ハドソン ティーズミュージック (サウンド)
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発売日
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1992年4月24日
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定価
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4,500円(税3%込)
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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なし
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ポイント
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成長していく弾平が使える GB発展期故かチープ フルパワーショットゲー
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コロコロコミックシリーズリンク
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概要
こしたてつひろ氏の人気漫画『炎の闘球児 ドッジ弾平』を題材にしたドッジボールゲーム。
約1ヶ月前にFC版も発売、その後半年以内にメガドライブやPCエンジンなどでも発売されているが、メーカーはバラバラで、ハドソン製はこのGB版とPCエンジン版のみ。
あらすじ
ある日、弾平は父・弾十郎が健在であった頃の写真を見つける。
その裏には「指先から炎を放て!」という謎の文章が書かれていた。
その意味を探るべく、弾平は球川小の一員として全国の猛者達と戦っていく。
特徴
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原作で『スーパードッジ』と名付けられた、7人制ドッジボールを行う。
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内野4人・外野3人で開始するが、一度ヒット(アウト)された選手はいかなる場合でも内野へ戻ることはできない。
本作ではヒットされた選手は色が黒くなり、白い元外との区別をしている。
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ゲームシステムとしては体力制を採用。
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ショット(相手に向かってボールを投げる)する際に上下するゲージをBボタンで止める。止めた際のゲージの長さによって威力が決まる。
満タンの状態で止めればフルパワーショットとなり、ジャンプして投げる演出が入り、ボールが点滅する。
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相手がショットしたボールをキャッチしようとすると画面が点滅するため、すぐにAボタンを押してキャッチする。
ショットの威力とボタンを押すまでに経過した時間によって体力が減少し、0になった(あるいはボタンを押さなかった)場合はヒットとなる。
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フルパワーショットの場合は体力にかかわらず無条件でヒットとなる。ヒットされないためにはボールを避けるしかない。
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一部の選手はフルパワー付近でショットを放つ際に必殺技となる。
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最大体力は選手によって異なり、小柄な者は30、平均的な大きさの者は40、大柄な者は50、リーダー格は60となる。
弾平のみ最初は30だがストーリーの進行によって5ずつ成長していき、最終的には全選手中トップの65になる。さらには必殺技『炎のシュート』も…。
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パスは自由に可能だが、相手選手に近づくとパスカット判定が発生。タイミングよくAボタンを押すとパスカットしてボールを獲得できる。
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パスはAボタン、ショットはBボタンと分けられているため、流れ弾でヒットとはなりえない。
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投げたボールはほぼ必ず対岸の選手が自動でフォローするため、適当に正面に投げても暴投にはならない。
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アウトボールは一応存在するが、なかなか見られない。
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勝利した際、内野選手が全員残っていると「ノックアウトゲーム」更に体力が全く減っていないと「パーフェクトゲーム」となる。ただしこれらを発生させてもメリットは特にない。
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ストーリーは「弾平が球川小闘球部の一員として各地のチームと戦っていく」というもの。
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最も知名度の高い(発売当時の連載で主力だった)一撃弾平が4年生の時のチームで、小仏珍念、三浦つとむ、木下つよし、武田勇一、武田勇二、尾崎キャプテンの7名を操作する。
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弾平のライバルである二階堂大河や五十嵐のいる聖(セント)アローズ、御堂嵐や高山準のいるブラックアーマーズ、坂本竜太のいる土佐アタッカーズも登場する。
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連載時期および納期の関係か、荒崎小は登場しない。
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フォーメーションはチームによって異なる。
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最後にはこれまでの全チームが出場する全国大会に挑む。全国大会は総当り制で順番はルーレット方式で決まる。
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通信対戦も可能。各チームのエース選手から一人を選んでタイマンで戦う。
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中断はパスワードコンティニューで行う。
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各チームに勝利するごとにパスワードが表示されるが、全国大会に入ってからは記録できない。
評価点
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原作の雰囲気をうまく掴んでいること。
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また、原作でも言及された「指先から炎を放て」を再現しているのも良い。
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BGMが良質。
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タイトル画面がアニメ版OPのインスト版であり感動モノ。
問題点
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簡単に言うとフルパワーショットゲー。
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上記のようにフルパワーショットなら相手を問答無用でヒットにできる。
逆にそうしないと簡単にキャッチされ、フルパワーショットで返されてしまうことも多い。
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フルパワーショットの前では体力は意味を成さず、誰であろうと簡単にヒットに追い込めるため、キャラクターの個性も無いに等しい。
原作で弱小キャラ扱い、あるいは空気同然だった珍念・つとむ・つよしであっても、フルパワーなら(弾平が完全にヒットしたことのない)大河や嵐さえ撃退できる。
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ゲージを目押しするのも難しくないため、ただフルパワーショットを連発するだけでほとんどの試合に勝利できる。
一応の例外はある。下記参照。
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必殺技といっても演出が加わってボールが速くなるだけで、性質自体は一般キャラの使うショットと変わらない。
仕様上、変化球などの概念も存在しない。
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ヒットとなったボールは必ず後ろに流れていく。
この際、体力が多い状態から(フルパワーショットで体力満タンからヒットした場合に多い)ヒットした場合は「ワンバウンドして後ろへ」、体力の少ない相手を削りきってヒットした場合は「バウンドしないで後ろへ」流れる。
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ここで相手選手(ヒットされた側の味方となる選手)が後ろに残っている場合の処理が異なる。
バウンドしなかった場合は後ろの選手にもショット処理が継続するが、バウンドした場合はショット終了となり、後ろにいた相手にボールを取られてしまう。
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相手選手が前後に重なっている場合、相手にボールを取られずプレーし続けるためにはフルパワーショットをあえて前方の選手には当てずにかわし、後方の選手をヒットするという面倒な手順が必要となる。
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これが最も有効に働いており手間がかかるのが土佐アタッカーズ。ちょうど「田」の字になるように選手を密集配置させたフォーメーションであるため、上記のように後方の選手だけをヒットするという作業を、最後の一人になるまでやり続ける必要がある。
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また、体力を削る(=かつヒットしない)ということは相手にボールを渡すということに等しいので、原作で頻繁にみられた「ダブルヒット」を発生させるのは困難。
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原作キャラの大河、嵐、竜太らに台詞が一切ないため、弾平とのコミュニケーションもない。
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余談ではあるが彼らは苗字で「にかいどう」「みどう」「さかもと」と表示されており違和感がある。五十嵐や高山は原作通りだが。
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ゴーファイト(試合開始時に審判がボールを上に放り、お互いの選手1名がジャンプして取り合う)ではAボタンを押したタイミングによって最初のボールを獲得できるか否かが決まるのだが、実は画面が切り替わった瞬間にAボタンを押せば必ずボールを取れる。
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聖アローズ戦ではボールを取られると、五十嵐が開幕でフルパワーアックスショットを放ってくるため、このテクニックを使ってでもボールを奪取したい。
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ストーリーはあってないようなものであり、基本的には試合を続けていくだけの単調な作り。
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ゲームボーイの発展はこれからという時代だったので、基本的に多くは求められなかったものだが、同年発売のゲームには『メトロイドII』や『カエルの為に鐘は鳴る』等大ボリュームのゲームもあった為、チープに見えてしまうことも。
総評
規模は大きくないものの、人気漫画を再現したキャラゲーとしてはなかなかのもの。
弾平や珍念らを操作できるのはファンなら感慨深く、通信プレイなら大河や嵐にもなれる。
余談
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敵チームの一つであるファイヤーボーイズは、原作にもモブキャラとして登場している。
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また、たろうまる(太郎丸)というキャラも登場しているが、原作の番外編に登場した人物と同一かどうかは不明。
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FCとSFCはサンソフトから発売されている
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本作より前にFC版が出ており、カードゲーム仕様であり好みが分かれるが色々な演出も用意されている。以降、本作GB版の後にもSFC版が発売。
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SFC版はサンソフトのSFCキャラゲー第1弾でもあり、豊富な一枚絵や熱血ドッジのように遊べるので一定の評価は得ている。それからアニメも最終回を迎え、翌年93年にはFCの第2弾が発売されている。
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余談だがFC『つるピカハゲ丸 めざせ!つるセコの証』でもだんぺいくんというワードがあったが、それはドッジ弾平の事である。
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サッカーの「蹴球」、バレーボールの「排球」のようにドッジボールにも漢字表記はあるが、それは「闘球」ではなく「避球」。また「闘球」という言葉自体は現在ではラグビーの漢字表記。
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原作のドッジ弾平が描かれた頃は「蹴球」をサッカーとラグビーのどちらの呼称にすべきか議論していた時代であり、作者がドッジボールを「闘球」と表記しても間違いとはいえなかった。
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語呂や響きとしては現在の「避球」よりも良く、原作はドッジボール漫画の草分け的存在として、かなりの人気を誇った影響もあってドッジボールの漢字表記を「闘球」と思う人は少なくない。
最終更新:2024年12月14日 09:10