レゾン

【れぞん】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
発売元 タイトー
開発元 アルュメ
稼動開始日 1991年9月
配信 アーケードアーカイブス
【Switch】2023年4月6日/838円(税10%込)
【PS4】2023年4月6日/837円(税10%込)
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント これなんて『R-TYPE』?
超高難易度


概要

読み方がわかりにくい事や、製作するゲームに「とある傾向」があることで一部ゲーマーに有名なメーカー、アルュメが発売した横スクロールSTG。
どこからどう見てもアレな世界観とゲームシステム、そして難易度の高さからカルトな知名度を持つ一作である。


特徴

  • 操作は8方向レバー+1ボタン。
    • 自機の攻撃は直線ショットとアイテムを獲得すると自機の上下に装備される「VAWS*1(通称アーム)」から発射される各種レーザーとなっている。
    • アームは自機の横方向の動きに合わせて回転し、レーザーの発射方向も変化する。ショットボタンを押し続けている間は向きが固定される。敵の弾も防げる。レーザーは以下の3種類がある。
      • 対空レーザー:赤アイテムで装備されるレーザー。他2種と異なり水平方向にしか攻撃できず、前後に変化するのみだが攻撃力は最も高い。
      • 反射ボール:青アイテムで装備されるショット。地形に当たると反射するボールを発射する。
      • リングレーザー:黄アイテムで装備されるレーザー。砲門が増えて4方向に撃てるワイドショットタイプだが、威力は最低レベル。
    • 他にスピードを変化させるアイテムがある。
  • 全6面の1周エンド。戻り復活。

問題点

  • どこからどう見ても『R-TYPE』な世界観。
    • 機械と生物が融合したような有機的なデザインの敵、波動砲こそないが、3種類のレーザーを持つ自機(名前も「SR-91」)など、パロディやオマージュといった言い訳が通用しないレベル。
      • 世界観だけならまだしも、ステージ1の構成もまんま『R-TYPE』1面そのまま。複数の戦艦と戦うステージやドップのような敵が動き回るステージなどもある。
+ ラスボスも…
  • おたまじゃくしのような弾を飛ばしてくる男性器を模した敵が前後に動く」という『R』よりもアレな敵。あまりにも卑猥過ぎる。
  • なお、ゲーメストのインタビューに「半端に真似る位なら徹底的に模倣した方がいいと思った」とスタッフが答えた事でも話題になった。
  • とにかく難易度が高い。
    • 本作の肝であるアームの操作が難しく、かなりテクニカルなプレイが要求される。
    • 前述のようにショットボタンを押している間は角度が固定されるが、連射機能はない。連射しながら横移動するとアームが固定されないので操作はかなり難しい。アームをうまく固定しながら攻撃するのは非常に慣れが必要。
      • 敵の攻撃も苛烈でアドリブは利きにくく、簡単にミスしやすい。初心者は1面すら突破するのが困難。
      • 敵の耐久値が全体的に硬く、外部連射装置を用いても押され気味になりがち。
      • 一部ショットを撃たず、固定したアームで敵を攻撃した方が楽な場面もある。
    • 特に4面ボスはあまりの強さから難易度調整をミスっているのではという意見が多い。
      • 隕石郡の中で戦うため、前方から隕石が流れてくるのだが、さらに縦横無尽に動き回るビットからのレーザー、ボス本体も赤レーザー必須の異常な耐久力などあまりにも異常な難しさとなっている。
      • 勿論その後に待ち受ける5・6面の難易度もかくたるや。半端な腕ではまず攻略できない。
  • 波動砲のような連射に依存しない高火力攻撃がなく、火力を出したい場合はひたすら連射頼み。
    • そのため、外部連射装置がない環境では指への負担が激しい。更に使用基板の性能のためか処理落ちしやすく、それが要因で高速連射が機能しなくなる事が多いため、連射速度を落としたボタンを別途で用意するか、手連射で代用する必要があるのも無闇に難易度を上げている。
  • BGMはどれも数秒程度のごく短いフレーズを繰り返すだけな為すぐに聴き飽きてしまう。ソルバルウのパイロットもびっくりである。
    • 尤も、この極短BGMは本作以外の同期のアルュメ製ゲームの殆どにも採用されてしまっており、本作のみの問題点では無いのだが。
    • 原因は、セタと共同開発したアーケード基板で使われたカスタムPCM音源「X1-010」の音源ドライバに問題があったためである*2。セタが開発した『ツインイーグル』もそのクチで、奇しくも異常な難易度という共通点もあったりする*3

評価点

  • グラフィックの描き込みは良好。
    • 描き込みの緻密さは『R-TYPE』に迫るレベル。対空レーザー/リングレーザー装備時のアーム変形ギミック等、単なる『R-TYPE』の模倣だけで終わらせない工夫をしている箇所が見られる。
      • もっとも一部雑魚のデザインはまんま模倣しているが…。
    • 後に作曲家として有名になる「さんたるる」こと並木学氏が当時アルュメのアルバイトとして在籍しており、グラフィックスタッフの1人として参加している。
      • なお、並木氏は当作の音楽の担当ではないが、後に音源ドライバの制作をめぐって会社側とトラブルとなりクビになったと本人のTwitterで漏らしている*4。これが、NMKに入社するきっかけとなった。
  • アームのシステムなど独自性がある部分も存在する。
    • アームを駆使して進めていくゲーム性は『R-TYPE』と異なる独自のもの。それだけにアーム固定中はショットがオート連射されたり、無理に1ボタンにまとめずに2ボタン制でアーム固定用のボタンを用意していればそれなりに遊べる作品になったのでは?という声もあり、惜しい所である。

総評

『R-TYPE』の模倣ばかりが話題になりやすいが、実際にプレイすると『R-TYPE II』に比肩する超高難易度っぷりが容赦なく襲ってくるSTGである。
出回りが悪かったこともあり、2023年に家庭用ゲーム機に移植されるまでは遊ぶのは困難なゲームであった。
もしゲームセンターで見つけたら、瞬殺されるのを覚悟の上で話の種にプレイしてみるのもいいかもしれない。


移植

  • 長らく移植がされなかった本作だが、「アーケードアーカイブス」でお馴染みの株式会社ハムスターが2023年2月8日にアルュメの全作品の権利を取得したと発表。 本作含め他のアルュメ作品もアケアカで復刻される日もそう遠くない…と思われていた。*5
    そして本作のアーケードアーカイブス版の広告が2023年3月30日発売の週刊ファミ通に掲載され、その翌週の2023年4月6日に配信開始された。稼働から32年越しの初移植である。これだけフォロワー作品が集まっていながらなぜか一向に来ない本家R-TYPE…。
    • アーケードアーカイブス版のCARAVAN MODEでは1面スタートと4面スタートの2通りが選べる。
    • 販売元のタイトーのロゴがない初期版が収録されている。

余談

  • このゲームだけ吊るし上げの如くアールタイプのパクリとされるが、1995年に『パルスター』(エイコム)というこれまたそっくりなゲームが出ている。こっちはこっちでどちらがアールタイプに似ているか?…の論争が未だ起こる事がある*7
  • 問題点でもあるが、プログラムのミスで、斜め方向の移動速度が約1.41倍になっている。
    • これは、ジョイスティックの構造上斜め方向は、右上だと「上」と「右」の2つのスイッチが入る事で移動するのだが、この2つの方向の移動速度がプラスされてしまう事によるもの。*8もっとも、有名作でもこのようになっているものは少なくないのであるが。
  • タイトルは「REZON」だが、当時勘繰られたのが「本当は『R-ZONE』では無いのか?」。真偽は不明だがかなり疑われていた。
+ タグ編集
  • タグ:
  • STG
  • タイトー
  • アルュメ

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最終更新:2023年11月04日 10:25

*1 Variable Armor & Weapon Systemの略。

*2 本来は同時発音数16音のウェーブテーブル音源として使われることが見込まれていた。しかし、初期のゲームでは先述の音源ドライバのバグが原因でサンプリング音源的な使い方ができずに「BGMを丸ごと1つのPCMで鳴らす」ことしかできず、メモリ容量を無駄に食う代物になってしまっている。

*3 他にはジョルダン開発・セタ販売の『メタフォックス』や『アルバレスタ』のように「BGMにボーカルを入れたことでメモリ容量を食いすぎて曲が少なくなっている」というのもある。なお、『マッドシャーク』や『大王 DAIOH』の頃には一応の解決を見ている。

*4 それによると「『PCM音源ドライバを65C02で作れ』と言われて完成させることが出来なかったことからクビを切られた」旨を述べている。ちなみに65C02というCPU自体既にスペックや機能等では時代遅れになった古い8bit-CPUである。

*5 この発表後にアケアカで最初に配信されたアルュメ作品は1994年稼働の『まじかるスピード』で、本作は2番目。

*6 ただし、実際の開発はセイブ開発の元スタッフが独立・設立し、後に『III』以降の『雷電シリーズ』を開発するMOSSのなので厳密には外注作品。

*7 パルスターはNEOGEO(MVS)用だがMVS筐体ではあまり出回らず、汎用筐体向けのMV-1系列基板で稼働していた例の方が多い。

*8 よって、ジグザグ移動しても縦や横にまっすぐ移動した時と速度が変わらない。