インドラの光
【いんどらのひかり】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売・開発元
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ケムコ(コトブキシステム)
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発売日
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1987年10月20日
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定価
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5,800円
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判定
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クソゲー
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ポイント
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無駄に凝った結果不便なシステムの数々 ボス戦が実質イベントのみ 超展開ED
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概要
ケムコらしい「癖」のあるシステムが特徴のRPG。ストーリーや世界観上はオーソドックスなファンタジーRPGである。
ストーリー
そのむかし そせんたちは あまかけるふねで この
ほしに やってきて かみバーンのもとでへいわな
ひびを おくっていた。
ところがあるとき かみバーンの ちからの
みなもとである インドラのひかりがまものに
よって ぬすみだされ かみバーンは ふかい
ねむりについた。
それいらい わくせいイーバルは まじゅうのすむ
おそろしい ほしへと じょじょに そのすがたを
かえていったのだ。
(OPより)
システム
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基本システムは町で情報を集め、フィールドマップで戦闘をするコマンド式RPG
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シンボルエンカウント形式
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森や砂漠でエンカウントすると通常よりも強い敵が出てくる。
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歩行速度の違い
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主人公及び真の仲間以外は移動速度が遅く設定されており、画面上では少し遅れてついてくる。
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画面切り替え時には主人公の位置まで合流するが、何かに引っかかったキャラはついてこられず、その画面に置き去りとなる。
置き去りになったキャラはステータス画面では名前が残っているが、イベント時にはいない扱いとなり、戦闘にも参加せず経験値も入らない。
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敵シンボルとの接触判定は味方全員にあり、主人公以外に接触した場合は戦闘開始時に主人公の位置が敵と接触した位置に戻される。
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キャラクターの復活
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キャラクターが死んだ場合、その場に墓が作られ、魂はどこかへと消えてしまう。
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初期に主人公が復活魔法を覚えるが、その魔法では魂を呼び戻せない。
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そのため「教会で魂を呼び戻してもらう」→「墓がある場所で復活用の魔法を唱える」という手順を踏むことになる。
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後半には一気に復活させる魔法を主人公が習得可能。
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国による言語の違い
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言語の違う人間(術使いや外国人)とは会話が出来ず、言語習得前は次の大陸へ渡る事が出来ない。
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後者は渡る前に言語を教えてもらえるためゲーム中は特に意識する必要はないが、前者は術使いとの会話で必須。
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魔法の習得
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術使いの言葉を覚え、各地にいる術使いと会話すると場所ごとに魔法を教えてもらえる。
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パーティメンバー毎に習得可能な魔法は決まっており、習得可能なメンバーを該当の術使いの場所へ連れて行かないと覚える事は出来ない。
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新しく加わったキャラは魔法を一つも覚えていないので、覚えさせるには各地を周りなおす必要がある。
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会話システム
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一般的なRPG同様、街の住人との会話はできるが、正面からしか会話をすることはできない。
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各地に隠された洞窟の存在
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フィールドマップの一部の岩をどけると階段があり、地下には宝箱や術使い、商人等が存在している。
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初の仲間サバを加入させると重い岩でも動かせるようになり、後半にあるアイテムを使うと所在が不明な封印された入口も発見できるようになる。
問題点
全体的にシステムが面倒
独自システムを採用した結果、そのことごとくが面倒になってしまっている。
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一番面倒なのが会話
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街の住人の動きは一般的なRPGより若干速い上ランダム性の強く、正面からしか会話できない事もあってなかなか会話できない事が多い。
これは、他のRPGでもよくある「こちらが相手の方を向いていないといけない」だけではなく、
相手もこちらを向いている時でないと会話できない
。
つまり壁にくっついて壁の方を向いている住人には話しかける事ができず、相手が移動して空間の方を向くまで待たなければいけない。
しかし狭い場所にいる住人は角にいたりして2か所の壁の方を交互に向いたり等、いつまで経っても話しかけられない。
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加えて全体的に町が広く、住民がやたら多い。
全体の広さが10画面分ある街で、1画面辺り4~5人と言うものすごい人口密度を誇る。
しかしこれだけ大勢いる事に特に意味はなく、他の住人と同じ話をしたり、「こんにちは」等の挨拶だけの人物もやたら多い。
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上記の通りそもそも話しかける事自体が面倒なので丸ごとスルーしたい所だが、
進行フラグに関わる重要人物がさらっと紛れ込んでいたりするので無視も出来ず、非常にイライラする。
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町の広さ
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上記の通り普通のRPGより町自体が広い本作だが、各種の店や教会等が奥まった所にも平然と存在する。
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パーティメンバーの足の遅さ
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主人公の行動に一歩遅れて歩き始め、さらに主人公のいる方向へ少し遅れて歩いてくるという挙動で、これが敵に引っかかりやすい。
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主人公が死ぬとゲームオーバーである為、主人公が死ぬ心配のない場所以外では置き去りにするのも辛い。
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戦力的に問題なければいっそ足の遅い仲間は殺すか置き去りにして、必要になってから魔法で呼び出す方が早い。
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復活のシステムもはっきり言って面倒
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復活の為には一度町へ戻り魂を呼び寄せ、もう一度死んだ場所へ行かなければならない。
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しかも復活直後のHPは少な目、MPは0。アイテムで回復するか、もう一度町へ戻って宿屋に泊まる必要がある。
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移動手段は歩きのみ
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イベントや魔法習得で以前の大陸へ戻る際にもずっと歩いて戻る必要がある為、非常に面倒。
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画面の切り替えで仲間がはぐれる
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特に3人に増えると、普通にマップを切り替えるだけでも謎の引っかかりで置いていく事が多い。
はぐれた場所で合流は可能。
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魔法が不便
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攻撃魔法は威力はそこそこだが、発動と命中で2回成功判定がある為、当たらない時は全然当たらない。
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回復魔法はMP消費に対して回復量が非常に少ない。上位魔法も回復量2倍に対してMP消費量も2倍でほとんど存在価値がない。一応戦闘中の1回の回復量は増えるので意味がないわけではないが、そもそも回復量が少なすぎる。
その他の問題点
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仲間のアイテム持ち去り
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仲間は入れ替わり式で、最終メンバー以外は一時的な加入のみ。別れる際にはアイテムを返してくれる事もなくそのまま持ち逃げしてしまう。
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しかもどこで別れるのか非常にわかりづらい。やっていていきなりいなくなってしまった感覚に陥りやすい程。
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重要アイテムは使用可能なメンバー以外はそもそも持てないので詰むことはないが、逆に主人公のアイテム欄を圧迫する。
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ゲームバランスも悪い
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次の大陸へ行くといきなり敵が強くなるため、武器防具を買い揃えるまでは非常に死にやすい。
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シンボルエンカウントであり、そのシンボルもマップの切り替えで発生しなおすので、ある程度の戦闘回避はしやすく町へ辿りつくだけならどうにかできるのがせめてもの救いか。
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一方でボスは非常に弱い。
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正確にはそのボスを倒す為のイベントアイテムを使用するまではこちらの攻撃が効かず、アイテム使用後は同じダンジョン内の雑魚より弱くなる。
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その為、強力なボスを倒す為に味方を育てるというRPGの面白さがなくなっており、ボスに会うまでに雑魚戦で死なない程度の育成しか必要ない。
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ダンジョンでは闇の瘴気を使う魔物がおり、これを使われると数ターン一切の行動がとれなくなる(一般的なRPGで言えばランダム回復する麻痺に近い)。
これを使われると一方的に嬲られる上、雑魚に無駄に時間を取られるかになる為、非常にうざったい。しかもどこのダンジョンでも大体これを使う敵がいる。ドラクエでどのダンジョンに行ってもやけつくいきを使われると考えればどれだけウザいかわかりやすいか。
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金しか入っていない宝箱
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各地の宝箱は9割以上がお金。それ以外はイベントアイテムのみ。
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はっきり言って宝箱を開ける楽しみが全くない。
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隠された洞窟の中も結局宝箱の中身は「金の入った宝箱」「金かダメージの3択宝箱」ばかり。
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主人公を含め初期装備が最低ランクで固定
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「ナイフ」「かわのたて」「かわのふく」というような最低限の装備で、終盤に仲間になる仲間まで全てこんなしょぼい初期装備で加入する。復活した伝説の戦士までこの装備である。
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強力な武具は望み過ぎにしても、せめてもう少し物語進行に応じた装備は付けられなかったのだろうか。
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唐突なED展開
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当時の広告でも「思いもよらないラストシーン」と告知されており、プレイヤーの多くが予想できなかったであろう結末を迎える。
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EDネタバレ
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ファンタジー世界の話かと思いきや、最後の最後でSF展開になる。
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神は制御システムで制御に必要なアイテムを魔物に奪われた為に世界が荒廃していったという設定。一応OPで「祖先が天かける船で星にやってきた」というSF要素を匂わせる設定は語っているが、それ以外でSF要素は皆無な為、非常に唐突にしか感じられない。
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こんな展開をしておきながらネタバレだけしてそこで終了。SF展開に関して主人公たちが何かを言ったり、それを受けて話が進む事もない為、唐突な設定語りをされるだけというどうにも微妙な終わり方。
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実はファンタジーにSF展開というのは意表をつく手段としてはそれほど珍しいものでもなく、同年2ヶ月前に稼動していたアーケードゲームや古典RPGウィザードリィ、ウルティマ、マイト&マジックにも同じような展開があり、それも含めてファンタジーと捉えるかは今でも議論の種である。
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仲間グラフィックの手抜き
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仲間キャラは汎用的な兵士や村人をそのまま流用しており、同じ姿の人間があちこちに存在する。
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最終メンバーは主人公の色違い。
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アイテムの買取値が非常に安い
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売っても二束三文なので武具を買い換える際の資金の足しにもならない。町によって値段が違う事を考慮し、一番安い物と比較してもまだ安すぎる売値。
評価点
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ケムコ節
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『シャドウゲイト』や『悪魔の招待状』等で有名なケムコ製だけに、アイテムや会話のセンスは独特で妙に笑える。
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攻撃が外れるメッセージが「敵が攻撃をかわした」だけで無く、「石につまずいてころんだ」「切り株につまずいた」「砂地に足がはまってしまった」等多彩。
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ある町では「やくそう」とは別に「ヤクソウ」が格安で売っていたりするが、実は麻薬であり使うとダメージを受ける。主人公が死ねばゲームオーバー。
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悪人が多いという町で、ニューハーフに話しかけると遊んでいかないかと選択を迫られる。遊ぶとエイドの病気になり主人公がダメージを受ける。このダメージで死ねばもちろんゲームオーバーとなる。
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町中にある看板には同社の発売した『真田十勇士』や『スーパーマン』の宣伝があったりする。
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「こんにちは」という挨拶だけする人間が多い理由は「こんにちは教」という宗教が存在する為。ちなみにその宗教は存在だけ示され、シナリオには一切絡まない。
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他にも岩の下にあるゴールドが入った宝箱もシンという人物が隠したという設定を聞くことができる。
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上記、独特なシステムも不便でイライラする物ばかりだが、そうした理由は何となくわかる上、その発想自体は光るものがある。
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隠された洞窟の存在
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岩を調べて入口を発見し、下にある物を探す楽しみ自体はある。前述の通り、中身が中身だが…。
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セーブ/ロード形式である事
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当時はパスワード式のゲームも多く、セーブ/ロードでの手間がいらない継続方式は非常に遊びやすかった。
総評
独自色の強いシステムを採用しており、光るものもなくはないが、とにかくプレイしていて苦痛を感じる事が多い。
それでいてボス戦のイベント要素が強かったり、宝箱には金しか入っていなかったりとRPG的な楽しみも非常に薄い。
会話やイベント等、ケムコらしさが面白い部分もないことはなく、ゲームとして破たんしているわけではないだけに、基本的な部分のストレスの溜まり具合がなければまだもう少しはゲームとして楽しめたかもしれない。
移植
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現在は携帯ゲームアプリとして配信されている。
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グラフィックは一新されており、仲間キャラクターは独自のグラフィックになっている。
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エイドの病気等、現在では問題となるようなネタは削除されている。
余談
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元々はディスクシステム用ソフトとして開発されていた。製品版とは違い、多数対多数(つまりドラクエで言えば2以降)の戦闘によるRPGであった。
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クリア画面を写真に撮って送ると先着100人はテレカを貰えた。
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地名や人名に80年代のロボットアニメ「聖戦士ダンバイン」由来の物がやたらと多い。
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最後に仲間になる伝説の勇者「ショウ」、神「バーン」、「ゼラーナの町」、「ズワースの町」等。
最終更新:2024年06月03日 21:18