マリオテニス オープン
【まりおてにす おーぷん】
ジャンル
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テニスゲーム
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対応機種
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ニンテンドー3DS
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メディア
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3DSカード/ダウンロードソフト
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発売元
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任天堂
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開発元
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キャメロット
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発売日
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パッケージ版:2012年5月24日 ダウンロード版:2012年11月1日
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定価
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4,571円(税別)
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プレイ人数
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1~4人
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セーブデータ
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3箇所
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廉価版
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ハッピープライスセレクション 2016年9月15日/2,700円(税別)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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Miiとマッチングに特化した一作 まさかの前作要素改変or廃止
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マリオシリーズ・関連作品リンク
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概要
マリオシリーズのキャラクターによる、シンプル操作でありながらスピード感あふれるテニスゲーム。
新システムとして「チャンスショット」と、初心者向けに自動で適切なショットを打つ「かんたんショット」を搭載。
また今回Miiが登場し、実質キャラクターのカスタマイズ機能が追加された。しかし…。
各モード紹介
トーナメント
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今回は8種類のトーナメントが用意されている。中でもファイナルは本作屈指。決勝戦はシリーズ随所の難しさを誇っている。
対戦
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ローカル、Wi-Fiに対応。似たようなランク同士でマッチングできるような配慮があった。
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相棒や対戦相手にCPを設定でき、強さ調節も可能。「さいきょう」設定のCPに勝つのは至難の業。
ミニゲーム
評価点
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親切なシステム
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試合中にコート内にマーカーが出現し、このマーカー内で特定のショットを打つと「チャンスショット」と呼ばれる強力なショットを放てる。
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マーカーは相手ショットの落下地点に表示される為、相手のボールがコートのどの地点に落ちるのかが分かりやすくなっており、初心者にもとっつきやすい。
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5種類のショットをオートで打ち分ける「かんたんショット」機能を搭載。
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チャンスショットにも対応しているので、やろうと思えばかんたんショットだけでも遊ぶ事ができる。
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初心者には優しいが、実はかんたんショットを使うと威力が落ちるため上級者同士の試合ではこれだけでは不足。しかし上達も実感しやすいのでそのあたりのバランス調整はかなり絶妙である。
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Miiのカスタマイズ
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Miiのコスチュームやラケットといったアイテムをショップで購入して着せ替えする事ができる。
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着せ替えたウェアやシューズ、ラケットの組み合わせによってMii性能が変化する。シリーズアイテムを全て装着すればボーナスが発生し、更に能力が上昇する。
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中にはキャラクターのきぐるみアイテムもある。本作未登場キャラのきぐるみもあるので、ファンなら一見の価値あり。
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すれちがい対戦のマッチング環境
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戦績に応じて振り分けられるランクに応じて対戦相手が選ばれる仕組みであり、圧倒的に実力差のある相手とマッチしないように工夫されている。
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対戦相手の選出がスムーズに行われる。
賛否両論点
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「スペシャルショット」の廃止
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『GC』『アドバンス』にあったキャラ固有のスペシャルショットが、本作では完全に廃止されている。
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設定で無効・有効にできるようにする事すら考えずオミットに踏み切った為か、データ自体が全く用意されていない。非現実世界のマリオワールドで、わざわざ現実世界に即した公式戦をする必要があったのか。
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スペシャルショットによる大味要素を嫌うプレイヤーはGCの時点で居たものの、一方でスペシャルショットが生む駆け引きを評価するユーザーもそれなりに存在してはいた。ブラッシュアップを一切試みず廃止というのは、解決策としては少々乱暴だったのではないだろうか。
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ストーリーモードの廃止
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『マリオテニスGB』及び『アドバンス』に搭載されていたストーリーモードが廃止された。
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キャラクターカスタマイズ要素はMiiに継承されたが、育成要素・アカデミー校を舞台にした物語などは途絶した。
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冗長なストーリーをなぞらずとも育成・対戦を楽しめるようにはなったが、『黄金の太陽』などで知られるキャメロットならではのRPG要素を楽しみたかったプレイヤーは肩透かしを食らう格好になってしまった。
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ミニゲームモードの単調化
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一応テニスでスーパーマリオブラザーズをするというユニークなモードはあるものの、それ以外は単調なラリーなどのミニゲームばかりで飽きてくるものばかり。
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『GC』ではお化けをボールで封印したり、敵を邪魔しつつワンワンにボールを与えたり、ボールで絵に色を塗るなど、ミニゲームは少ないながらもアイデアに富んでいた。比較すると今作のミニゲームの単調さが際立つ。
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『アドバンス』では半強制的に『メイド イン ワリオ』のような「それテニスと関係あるの?」と言いたくなるミニゲームを遊ばされていた点に不評意見があったが、だからと言ってここまで単調化してしまうのは、流石に極端過ぎると言う他無い。
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キャラ数の偏り
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個別に性能・タイプ分けがあるものの、コンパチキャラ…特に色違いヨッシーの数が明らかに多い。
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通常ヨッシーから性能が変化してはいるものの、その大半が誤差と切り捨ててしまっても問題ないレベルの微小な変化でしかない。「キャラ数の水増し」という謗りや「コンパチキャラを何人か削って、その分の容量や工数を別要素に回せないのか」という意見が出てしまっているのは容易に想像できるだろう。
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一応ヨッシーの色違いキャラは、全て公式サイトで発表されている「スペシャルコード」を読み込まなければ使えない。普通にプレイしている分には関係ない話なのだが…。
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オープニングの簡素化
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3DSソフトの容量の都合も関係しているとは思われるが、他のマリオスポーツ系統と比べて大幅にOPが簡素になっている。上画面には紙芝居的にコートの様子が映し出され、下画面ではセンターへの道程が流れるのみ。
問題点
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ステージギミックの廃止
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『GC』ではステージを華やかに盛り上げていたギミックコートが、今作では新規の隠しコート「ギャラクシードーム」を除いて廃止されてしまった。遊び方の幅を狭めてしまったのは純粋に問題であろう。
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パーティゲームとしても、真剣勝負のテニスゲームとしても楽しめるように、ギミックのON/OFF機能を搭載した上での実装位はしてもよかったのではないか。
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一応「ギャラクシードーム」ではチャンスショットを決めるごとに地形が変化するというシステムが搭載されており、これについては個性的で面白いギミックと評価できる。
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アイテムバトルモードの廃止
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残念ながら『マリオテニス64』と『GC』で好評だったアイテムバトルモードが廃止されている。
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ただでさえ何も無いコースを盛り上げる為の数少ない手段すら無くなってしまっており、結果としてマリオスポーツゲーム本来の奇想天外で爽快なゲームプレー要素も無いに等しくなってしまっている。
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上記二点の問題点によって「この作品をマリオシリーズでやる意味はあるのか」という声が、一層強まる形になってしまった。
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Miiの着せ替えアイテム出現条件の悪さ
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これがまた中々揃わない。試合をした後ランダムで1種類がショップに追加されるのだが、どのアイテムが追加されるかは完全ランダム。
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リアルラックに見放されるとゲームを相当やりこまなくてはならない。これだけでも相当なイライラ要素であるのは否定できない。
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またアイテム購入手段が、ミニゲームやすれちがい通信でしか手に入らないコインとの交換しかないというのも問題だろう。
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本作は3DSのゲームコインには対応しておらず、代用は不可能。これが使えれば救済措置となっていたのだが…。
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ゲームバランスへの影響
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チャンスショットのシステムを無効化したルールで遊ぶことができない。この問題点は次回作『ウルトラスマッシュ』や同じくキャメロットが開発した『マリオスポーツ スーパースターズ』に収録されたテニスでも引き継がれている。
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一方的にスマッシュチャンスが連続する事が頻繁に発生する。タイミングも変則的で予測不能。
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プレイヤー側でこの状態が発生した場合は有利だが、逆の場合ならば一方的に相手からスマッシュ攻撃で押される事になる。
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もっとも、防ぎきれば一旦解除されるのだが、その直後同じ事態が発生する事態がしばしば。
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ジャイロセンサーをONにした状態で3DSを縦にすると「ダイレクトモード」となり、ショットしたボールの着弾点を3DSのジャイロ機能で操作できるようになる。これが攻撃面でかなり高い性能を発揮してしまう。
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しかもダイレクトモード中は操作キャラがボール付近まで自動、かつ超反応で動くようになる。防御面も抜かりなし。
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従来と同様のマニュアル操作では絶対にダイレクトモードに勝てない…という訳ではなく、ある程度の腕前を有しているなら自動操作の癖を逆手にとって返り討ちにする事も可能。しかしあくまで技術次第で返り討ちにできるだけであり、基本的に大幅不利である事は間違い無い。
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キャラバランスの格差
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間違いなく一番強いのは装備を整えたMii。大々的に推していた看板要素とはいえ、ここまで露骨に優遇するのは流石に問題であろう。
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最強の装備品である「スーパースターシリーズ」を一式揃えた際の性能は苛烈の一言。スピンがあまりかからなくなるという欠点はあるが、他の能力値がべらぼうに高くなるので、大半のプレイヤーは気にならない筈。
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他にも各種きぐるみを着用すれば、細かいカスタマイズができなくなるもののこちらも大幅に能力を上昇させられる。登場キャラのきぐるみであれば、ボーナスが発生するラケットとの組み合わせで、リーチ以外ほぼ元ネタキャラの上位互換となる事もある。
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きぐるみは入手条件の厳しいものが多いが、公式サイトのQRコードを読み取る事で簡単に入手可能なものが一着存在している。しかもそれで手に入るのが、素直な性能で使いやすい「ヨッシーのきぐるみ」という…。
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Mii以外では、強いショットと軽いフットワークを兼ね備えたほねクッパと、相変わらずの強烈な変化球で相手を揺さぶりまくるテレサが強キャラとされる事が多い。Miiも含めたこの3キャラはマッチングの常連になりやすかった。
総評
Miiのコスチュームといったカスタマイズ性やテニスの公式戦らしさなどが出た一作。
基本的なテニスの原点に戻って作られた一作であり、本作で初めてマリオテニスをプレイする人ならば問題なく遊べるだろう。
とはいえ、これまでのシリーズ作品と比べると明らかに物足りない部分が多い。
スペシャルショット・ギミックステージやアイテムバトル・ストーリーモード・(テニスから逸脱しない範囲内で)個性的なミニゲーム…それらを全てオミットしてしまった本作は、特に『GC』や『アドバンス』の経験者、マリオシリーズならではのハチャメチャなスポーツを求める層からすれば何とも寂しい内容である。
また大々的に宣伝していたとはいえ、Miiの過剰な優遇も見逃す訳にはいかないだろう。
極端な話、本作の内容であればマリオシリーズの看板を使わず、『Miiテニス オープン』として売り出していても何ら問題なかったのではないだろうか?
余談
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本作で見られた内容縮小路線は次回作である『ウルトラスマッシュ』にも受け継がれてしまっている。恐らく、新規プレーヤー向けかHDグラフィックの都合かと思われる。
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本作では『マリオカートWii』のコースの一つであった「キノコキャニオン」がコートになっている。しかしマリオカートを思わせる要素は(BGMも含め)ほぼ存在していない。
最終更新:2024年06月02日 16:55