Cities:Skylines
【してぃーず・すかいらいん】
| ジャンル | シミュレーション |  
  
  
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| 対応機種 | Windows XP~10 プレイステーション4
 Xbox One
 Nintendo Switch
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| 発売元 | 【Win/One/Switch】Paradox Interactive 【PS4】スパイク・チュンソフト
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| 開発元 | Colossal Order | 
| 発売日 | 【Win】2015年3月10日 【PS4/One】2018年4月12日
 【Switch】2018年9月14日
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| 定価 | 【Win(Standard)】2,980円 【Win(Deluxe)】3,980円
 【PS4】5,980円
 【One】5,400円
 【Switch】4,800円
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| プレイ人数 | 1人 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 『Cities』前作譲りの交通管理ゲー 非常に広いマップ
 細部まで描写された街や住民
 MODによる拡張性
 これぞ正当な『シムシティ』の精神的後継作
 Win版は日本語非対応
 PS4版はDLCのAfter Darkを同梱
 Switch版はDLCのAfter DarkとSnow Fallを同梱
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| Citiesシリーズ in Motion / in Motion 2 / Skylines (Remastered) / VR (Enhanced Edition) / Skylines Ⅱ
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概要
『シティーズ・イン・モーション』を手掛けたフィンランドのColossal Orderによる都市開発シミュレーション。
やることは非常にシンプルであり、道を引いて住民を誘致し、街を可能な限り発展させるのが目的。
開発元は先行作品としての『シムシティ』を強く意識したと公言しており、システムやUIなどに少なからぬ類似点がある。
特徴
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選択できる初期マップは12種類。
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マップテーマが「北方」「温帯」「亜熱帯」「欧州」と分かれており、樹木の種類や日差しの明るさなどが違う。
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舞台となるマップを自分で作成することも可能。
 
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消防や警察、病院、交通など公共設備を充実させることで住民満足度が増える。
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バス路線や地下鉄など、細かい運行設定が行える。
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街がランクアップするごとに、港や空港などもアンロックされる。
 
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住民ひとりひとりの行動が細かくシミュレーションされている。
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子供は学校へ行き、大人は職場に向かい、主婦は買い物に出かける。
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これらを理解して道路を敷設しないと、渋滞の原因になりやすい。
 
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アップデートで昼夜の概念が追加された。
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夜になると歳入が下がるという欠点もある。オプションでオフにもできる。
 
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SteamWorkshopに対応し、MODを簡単に導入できる。
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公式もMOD作成を推奨している。人気のあるMODは、公式に採用されアップデートで取り入れられることも。
 
評価点
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マップが非常に広く、開発自由度が高い。
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マップを自作すれば、まさに思い通りの都市を建設できる。
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ニューヨークやロンドンなど、既存の都市を模して作ることも可能。
 
 
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目的とUIがシンプルで、初心者にも分かりやすい。
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初めのころはマップが狭く、出来ることも限られているが、人口の増加に伴って様々な要素がアンロックされる。段階的にできることが増え、初心者にとっても分かりやすい親切なゲームデザイン。
 
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開発難易度が比較的低い。
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何も分からなくても、とりあえず道を引いて住宅を作ればそれらしき街ができあがる。
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序盤は乏しい資金繰りに苦労するが、ある程度人口が増えれば税収が安定する。
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ササッと都市を拡張したい場合は、同梱されているMODの資金無限を有効にすることで一気に拡張できる。
 
 
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作り込まれたオブジェクト
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オブジェクトが大量に配置される関係上、テクスチャの解像度はごく普通。しかしそれを補って余りあるほどに建物が作り込まれており、民家の庭にはイスとテーブルがあり、産業区画にはごみが捨ててあり、ベンチにはレリーフが彫られているなど、一人称MODで観察しなければ分からない箇所にも手抜かりがない。簡素ではあるが市民の顔まで作ってある。
 
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MODによる拡張性
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非常に多くのMODがユーザーによって作成されており、それらを導入することで無限に近いカスタマイズが可能。
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MODは難易度やUIの変更、システムの拡張、オリジナルの建造物など、様々なものがある。
 
賛否両論点
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グラフィックがややカートゥーン寄り。
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例えば少々現実離れしたカラフルなデザインの建物や、屋根に巨大なドーナツの看板を乗せたトラックなど。カジュアル層には向いているかもしれないが、リアルな都市景観を作りたいプレイヤーには不満かもしれない。
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ただし建造物や乗り物などのユーザーMOD、ユーザーアセットは豊富に揃っているので、それらを導入することで自由にグラフィックを変えられる。
 
 
問題点
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住民関連のバランスが一部不安定。
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多くの住民が一斉に寿命を迎えて死亡してしまったり、教育を高めると高学歴な住民が増えすぎてしまい産業従事者が不足する、といった事態が発生する。
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短期間の大量死は霊柩車と墓地の不足、空き屋の増加、税収の低下、住民の不満増による流出増など様々な問題を引き起こし、都市の発展状況が開発前より悪化してしまうことも。一度発生すると、人口動態が安定を取り戻すには非常に長い期間がかかるが、ゲームのチュートリアルに従っていると大抵発生してしまう。
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移住者は年齢がほとんど同じ世代で、さらに皆同じくらいの年齢で子供が生まれるので、一度この波が発生してしまうと収束するには年齢がバラつくまで数世代待つ必要がある。なのでこれを念頭において、あまり一気に住宅地を開発しないようにしたり出生率・死亡率などを確認しながら開発するほうが良い。
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雇用のミスマッチも非常に発生しやすい。産業、特に農林業は「無教育」の従業員を大量に求めるため、都市内だけで生産を賄いたければ、初等教育を授ける小学校すら迂闊に作れない。
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DLCで産業地区の求人を高学歴にさせる条例が追加されたので、それがあれば雇用に関してある程度調整は可能。
 
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バランスの問題はバランス調整系のユーザーMODの導入でほぼ解消できる。
 
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住宅のバランスもおかしいものが多く、建物の見た目に対して世帯数がやたらと多かったり、非常に少なかったりする。
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マップエディタ使用時の気付きにくい仕様として、都市外に接続できないマップや、水域にアクセスできないマップを作ってしまうと詰む点がある。
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外部接続となる専用道路と、給排水のための水域はマップエディタを完了するために必ず用意しなければならないが、開発不能エリアに置いても認められ、その状態でゲームを開始できる。
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人口の増加は都市外からの移住によるものが大部分を占め、産業も輸出入ができなければまず回らないため、外部接続がないと都市は運営できない。水なしの都市については言うまでもないだろう。
 
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DLC「Natural Disaster」を導入すると外部の接続部分が災害で破壊される可能性もある。またマップによっては、都市の境界ギリギリの場所の高速道路・線路を破壊ができて再設置ができない判定のところがある。
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建物は需要とマッチしていれば住民がアクセス不能であってもすぐに建つ。まず建物が建ってから入居者が決まるシステムのため、空き家となる。
 
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実績の解除が面倒。
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特定の施設のアンロックのために実績の解除が必要だが、その中には「○○個以上の廃墟を作る」「住民の健康度〇%未満」などかなり特殊なプレイングをしないと達成できないものがある。
 
道路関係
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住民の移動アルゴリズムは賢いとはいえない。可能な限り所要時間が最短の経路を選ぶため、特定の道は大渋滞なのに隣の道はガラ空きだったりする。所要時間には渋滞状況は加味されないため、なおさら同じルートに車が集中しやすい。
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住民は空いているレーンを走行するという思考がないため、同じ道路内でも三車線の右側だけ大渋滞で残り2レーンはやっぱりガラ空き、という事態がそこら中で発生する。車線変更も不自然で、特に高速道路の合流や出口などでは皆一様に同じくらいの位置で車線変更しようとするため、スムーズな合流ができず渋滞しやすい。
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目的地と最短距離の未舗装路(最高速度が遅い)を真っすぐ引いても迂回したりする。結果、誰も使わない近道と大渋滞を起こす迂回路という不思議な光景が随所に見られる。
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住民向けではない未舗装路は、主にゴミの回収などの迂回路として便利(維持費が安いが速度が遅い)だが、これらの車もやはりルート指定ができないので、住民の車と同じ道路を通り、同じところで渋滞する。そのためいつまでたっても街の反対側のゴミを回収できなかったりする。
 
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また、住民は極端なマイカー志向であり、公共交通を入念に整備していても、目的地まで僅かでも早ければ車を使う。
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ちなみに住民はマイカーを「持ち歩いて」おり、目的地近くまで地下鉄で移動したのち、突然路肩から車で走り出すといった奇妙な光景が頻繁に見られる。この現象は「ポケットカー」などと呼ばれている。
 
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物流の制御こそがこのゲーム最大の特徴であり、同時に難点でもある。産業~商業地区間における商品の配送と帰還の流れが渋滞の主たる原因なのだが、前述の仕様から車両が中々こちらの意図通りに動いてくれず、渋滞問題に終始悩まされる。
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多くの公共施設も、そこから出発する車両によって効果が発生するため渋滞の影響を受ける。
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都市が成長してくると、状況によってゴミ処理場がすぐ近くにあるのになかなかゴミが回収されない、警察署がすぐ近くにあるのにパトロールされなくて治安が悪いといった状況が発生するようになる。
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霊柩車のAIがあまり賢くない。複数の葬儀場があっても、近くの地域を優先したりせずそれぞれがバラバラに広範囲の遺体の回収に向かうので回収効率が悪い。
 
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また、ほとんどの施設を建てるには道路(高速道路系除く)沿いでなければならず、駅もこのタイプの施設に含まれるので、駅の位置を決めるのが難しい。
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微調整のために道路を引いては消して…と非常に面倒くさい。かと言って調子に乗って先に道路で区画を大規模に整理していると、建設費用もそうだがあっという間に道路の維持費が…。
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また、駅を建てると地盤が変形する。緩やかな曲面である土地が、建設地点の中心(隣接した道路への出入り口になっている部分)の高さに問答無用で整地されるため。
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これによって駅前や線路沿いに小さな露頭(崖)や畝のような物ができてしまい、場合によっては駅前の一等地なのに建物が立たなくなったりする。
 
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駅に限らず多くの施設で地盤の変形は起こる。敷地が大きな建物や細長い建物で特に著しい。変形させたくない場合の対策としてはとにかく平らな土地を選んで建てるか、整地すること。
 
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水面のシミュレーションに独特の癖があり、地形をいじったりすると思わぬところが浸水したり、些細な操作から河川全体の水深が変化して広範囲が水没したり干上がったりする場合がある。
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ダムのほか、取水施設・排水施設も水面の変動を引き起こすのでこれらの設置で思わぬ影響が出る場合がある。
 
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新しい区画を購入した際、そこに初めからある道路の維持費がかかるという、初心者には気づきにくい罠がある。
スペック,システム周り
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要求されるPCスペックの高さ。
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街の住民全ての動きをシミュレートしているため、CPUに対する負荷が非常に高い。
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メインで4コア、補助として1コアしか使用しない仕様であるため、ブーストクロック(要オーバークロック)が非常に高いものが必要になる。 
 
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公式の要求スペックはさほど高くないが、街の規模が拡大するにつれ重くなる。それなりのスペックがなければ自由な開発は難しい。攻略wiki(外部リンク)では推奨動作環境が最低限の動作環境だと言われている。Intel HD GraphicsなどのオンボードGPUではまず動作不可能。
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2Dなど軽いゲームなら動作可能であるが、基本的にオンボードGPUはゲームに向いてない。
 
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メモリ(RAM)も多く必要であり、公式のDLCをすべて導入済みのバニラ(デフォルト)だけでも大体12GBほどロードされる。そのためゲーミングPCにおける定番のメモリ容量である16GBでは全く足りず、32GBが最低ラインである。
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ある程度ハマり込むと64GBは欲しくなり、完全にハマると128GBコース待ったなしとなる。
 
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プレイングを快適にするためにサーバ向けCPUであるXeonやEPYCの導入や、本作専用の仮想メモリ用NVMe SSDを搭載するヘビープレイヤーも現れている。
 
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CS版での処理落ち
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前述の通りPC版で遊ぶには相当なスペックが必要なのだが、ゲーミングPCよりもスペックで劣るCS版では当然ながら処理落ちが発生してしまう。
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処理落ちが発生しやすいのはズームイン時が大半である。
 
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特にSwitch版では処理落ちが激しく、序盤でも15fps辺りにまで落ちてしまう。音が途切れる事も多々ある。
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他機種に比べて機能の制限も多く、SnowfallとAfter Dark以外のDLCも導入されていない。建物のデザインやいろいろなモーションなど、細かい部分も見比べてプレイすると他機種版より簡素化されている。
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Nintendo Directで発表されたPVの時点で処理落ちしていた為、残念ながらSwitch版は勧めることができない。
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Switch版の長所はどこでも気軽に出来るという点なので、処理落ちが気にならないならSwitch版を買っても問題無いだろう。
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ただし都市が成長してくるとゲームの時間進行が他機種以上にどんどん遅くなるので、携帯プレイにも向かなくなってくる。
 
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One Xでのプレイなら処理落ちが一番マシな為そちらを勧める。One版はユーザーMODにも対応している。
 
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都市の開発が終盤(人口10万人)辺りに差し掛かると、オブジェクト制限なる制限によって街に機能障害が発生することがある。これはバニラやCS版にも起こりうる。
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原因や症状などは攻略wiki(外部リンク)に詳しく記載されているが、本来ならば「商業や工業が不足するとその対となる工業/商業に対して発生する問題」が夜間になると不自然に同時多発する現象が、代表的な症例として挙げられる。
 
セーブ中のフリーズバグ
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ある程度の街の規模が大きくなる(処理が重くなる)と、セーブデータが作成されるタイミングで、セーブデータが保存されないままゲームの処理が完全に停止するバグがある。
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手動セーブ、オートセーブ関係なく発生するため回避不可である。ゲームの処理が完全に停止した場合は、復旧用のセーブデータが作成されるため復旧自体は可能である。
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街の規模が大きくなっていたり、ユーザーMODやアセットを大量に導入していると、セーブデータのロードに5分や10分を要する。正直こちらの方がモチベとしては削がれやすい。
 
 
以下は設定OFFやDLC(≠MOD)による改善は可能である。
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下水の完全な浄化ができない。
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下水処理施設を使っても85%までしか浄化できず、残りはそのまま垂れ流しとなる。川があるマップならさほど問題ないが、臨海等の川が無いマップでは景観を損ねるだけでなく水質汚染から土壌汚染に転じてしまう。
 
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夜が何も見えないレベルで真っ暗になる。特に道路や線路を地上に敷設する時は地形が見えず厄介。
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住宅や商業施設はランダム生成される。特定の建物だけを選んで建造する、といったことができない。
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また、建物が建設される区画は最大4x4マスという制限がある。そのため農業地帯は小規模な果樹園などが並んでいる光景しか作れずやや不自然。
 
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一方通行の表示が見づらい。
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かなり拡大表示しないと見えないため、うっかり一方通行の方向を間違えて車が入れない街区を作ってしまうことも。
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後にアップデートで改善された。
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一方通行の設定時に道路に矢印が表示され、一方通行が成立してない箇所に対して警告アイコンが表示される。
 
 
総評
『シムシティ』シリーズのような大都市を作成できるスケールの大きさを持ちながら、『トロピコ』シリーズのような細部まで行き届いたシミュレーションが行われている、総じて高いレベルでまとまった良質な開発シミュレーション。
細かい部分に粗があるものの、発売後も頻繁にアップデートを重ねており、ユーザーからの意向を受けてプレイング環境を改善させている。
なによりMODによる拡張性の高さにより、バニラでの多くの問題点を解消しつつ、プレイヤーごとに全く違った都市開発ができるという自由度の高さが魅力といえる。
余談
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同ジャンルの似たようなタイトルで『Cities XL』というシリーズがあるが、デベロッパー・パブリッシャーとも異なるため全くの無関係である。
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だが、本作が出るまではこの作品がシムシティの競合作として扱われていたこともあった
 
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日本の国土交通省が本作で使用できるMODの製作を検討している(参照)。
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国土交通省では「Project PLATEAU」と称して日本の各都市を3Dデータとして再現及びオープンデータ化を進めており、地方自治体を中心に幅広く活用してもらおうと取り組んでいる。
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国土交通省が製作を検討しているMODはそのPLATEAUから地形や建物などのデータを引っ張ってくることができるようになるというもの。
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これを教育現場で使用することで子ども達にこのゲームを通じて自分たちが住む地域についてもっと知り、考えるきっかけにすることを目的としている。
 
 
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本家『シムシティ』の元開発者も本作を認めており、本作のヒットが衰退した『シムシティ』シリーズにとどめを刺したとインタビューで語っている(参照)。
その後の展開
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2022年4月29日に『Cities: VR』がMeta Quest 2で発売された。本作の移植ではなく、VR向けに製作された新作である。
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2023年2月22日には『Cities: VR - Enhanced Edition』がPS5(PSVR2)で発売された。
 
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2023年2月15日に本作のリマスター版である『Cities: Skylines - Remastered』がXSXで発売された。One版の所有者は無料で入手できる。また、海外ではPS5版も発売されている。
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発売当初は日本語対応されていなかったが、後にアップデートで対応した。
 
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後継作『Cities: Skylines II』が2023年10月25日に発売された。対応機種はWinで、SteamとMicrosoft Storeにて配信されている。日本語にも対応。
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PS5/XSX版の発売も予定されていたが、現在は無期限の延期状態となっている。
 
最終更新:2023年11月28日 18:08