メモリーズオフ ~それから~

【めもりーずおふ それから】

ジャンル 恋愛ADV


対応機種 プレイステーション2
プレイステーション・ポータブル
Windows 98~XP
メディア 【PS2】DVD-ROM
【Win】CD-ROM/DVD-ROM
【PSP】UMD
発売・開発元 【PS2/Win】KID*1
【PSP】5pb.
発売日 【PS2】2004年6月24日
【Win】2004年10月14日
【PSP】2008年8月14日
定価 通常版/初回限定版
【PS2】7,140円/9,240円
【PSP】5,040円/7,140円(各5%税込)
プレイ人数 1人
レーティング 【PS2】CERO:C(15才以上対象)
【PSP】CERO:B(12才以上対象)
廉価版 【PS2】Super Lite 2000シリーズ
 2005年7月28日/2,100円
【PS2】恋愛ゲームセレクション
 2008年10月9日/2,079円(各5%税込)
配信 【PSP/PSV/PS3】PlayStation Network
 2009年12月17日/2,160円(各5%税込)
判定 良作
メモリーズオフシリーズリンク


概要

物語は前作から1年半後の冬。2作目と同じ「浜咲学園」が舞台の中心であり、主人公は高校生へと戻る。高校3年生である主人公の、卒業前後の生活が描かれる。
脚本は後に『STEINS;GATE』などの科学アドベンチャーシリーズや『ブレイブリーデフォルト』に加え、アニメ『プラスティック・メモリーズ』等の作品の脚本を数多く手掛ける林直孝。
音楽はそれまでのシリーズや『infinity』シリーズを始めとする数々のADVの曲を手掛ける阿保剛。
特に本作の音楽では、ボーカル曲がOP+ED×3であり、シリーズ最多であり、通常BGMも過去作とは一風変わってピアノが主体になっており、物静かで悲しげな音楽が多い。

ストーリー

浜咲学園に通う高校3年生「鷺沢一蹴」
彼には同学年の彼女、「陵いのり」がいた。
何もかも順調だった。
いや、順調のように見えていただけなのか?
それは唐突に訪れる……

卒業も間近に控えた雨の日のバレンタインデー……。
いのりからデートに誘われた一蹴は、
彼女を海岸沿いの古びれた教会に連れて行く。
そこはいのりから告白された想い出の場所。

そこで渡されるチョコレートと一緒に渡されたのは……

いのりからの一方的な別れ話。
なにが起こったのか解らず茫然とする一蹴。
そんな一蹴を尻目にいのりは去っていってしまう。
果たして別れの訳は……一蹴といのりの関係は……!?
失いたくない想いと新たな想いに葛藤する一蹴。
そして……彼が選ぶ選択とは?
(PSP版公式ホームページより)

登場人物

+ メインヒロイン
  • 陵 いのり(みささぎ いのり) CV:小林沙苗
    • 一蹴の彼女だった少女。趣味ミュージカル鑑賞、ピアノ、料理など。なぞなぞが好き。
    • ソオチンニャン人形の願掛けを信じており、ことあるごとに「ソオチンニャン人形に願おうよ!」と言う。
  • 鷺沢 縁(さぎさわ ゆかり) CV:石原絵理子
    • 一蹴の妹。動物が好き。一蹴のことが好きで、どんなに冷たくされても、『妹なんだから』と、それだけを理由にしつこく甘えてくる。
    • いのりにフラれた一蹴を見て、幸せにしようと決意する。
  • 藤原 雅(ふじわら みやび) CV:かかずゆみ
    • 呉服屋の娘で、クールかつシニカルな性格。そのくせ甘いものが好き。
    • なぎなた部に所属しており、腕前は超高校級。
  • 花祭 果凛(はなまつり かりん) CV:榎本温子
    • 愛称、りかりん。送迎リムジンで移動するお嬢様。大学生でありながらモデルの仕事もこなしている。
    • 正義感が強く、白黒はっきり付けたがる性格。面倒見もよく、礼儀やマナーもわきまえている。カナタとは特別な関係にあるらしい…。
  • 野乃原 葉夜(ののはら はや) CV:こやまきみこ
    • 愛称、のんちゃん。空想癖があって、ちょっとネジがずれている女の子。自分の将来のことを考えるよりも、宇宙や世界のことを考えて妄想にふけるのが好きらしい。
    • 父親思い。毎日のように夜の街へとひとり消えていくが、行き先は不明……。
+ その他のキャラクター
  • 鷺沢 一蹴(さぎさわ いっしゅう) 声:小野大輔(OVA・CDのみ)
    • 本作の主人公。
  • さよりん 声:小林由美子
    • 縁のクラスメートで親友。薙刀部に所属しており雅の部活の後輩。女の中の女を目指している。
    • 一蹴には決して名字を教えようとしない。実は攻略できる。
  • 木瀬 歩(きせ あゆむ) 声:白石涼子
    • 薙刀部に所属しており、実力は部内ナンバー2。関西人である。
    • 雅をライバル視しており、彼女につらく当たる。発売当初は攻略可能というデマが流れたほどの人気を誇る。
  • 白河 ほたる(しらかわ ほたる) 声:水樹奈々
    • 『Memories Off 2nd』のヒロイン。ウィーンに留学し、一時帰国中。健と超長距離恋愛中。
  • 白河 静流(しらかわ しずる) 声:菊池志穂
    • ほたるの姉。一蹴がアルバイトをしている「ならずや」店長代理。プロレス技も健在。
  • 黒須 カナタ(くろす カナタ) 声:村田あゆみ
    • 『想い出にかわる君』のヒロイン。果凛・葉夜・ほたるの同級生。現在はモデルとして活動中。
      • 前作では福井裕佳梨が演じていたが、一時休業していたため村田氏に変更になった模様(福井氏のブログより)。
  • 稲穂 信(いなほ しん) 声:間島淳司
    • 自称「自由人」で、一時期ネパールに旅行中だったが、現在は一蹴と同じく日暮荘に住んでいる。
  • 飛田 扉(ひだ とびら) 声:志倉千代丸
    • 一蹴に過去のことを思い出させる目的でいのりに過去のことを話すように脅し2人が別れることになった黒幕。同じ孤児院で育った一蹴を妬んでいた。

評価点

  • ヒロインは5人とかなり絞っている。だが一人一人のシナリオは濃く、ボリュームは十分ある。
    • また今回はメインと並んでサブキャラの活躍する場面が非常に多く、足りない攻略キャラはそちらで十分補える。
      • もっとも、そのせいでシリーズ通して最重要サブキャラだった稲穂信の影が劇的に薄れてしまっているが。
  • ヒロインは5人だが、メインヒロインのいのりは「トゥルールート」にて真のエンディングが用意されている。
    • この作りは前作「想君」と同じだが、他のキャラを全部クリアーしなくてもいのりルートに入れるので、条件はかなり緩くなっている。
  • 絵は良質である。また、吐く息が白くなるといった演出が微妙に新鮮。
  • システムもKID製であり、既読・バックログ・セーブ/ロード関係に抜かりはない。バグも限りなく少ない。
    • また、KID過去作からのさらなる追加点もあり、□ボタン押した際シーンタイトルやプレイ時間、かかっているBGM等も表記されるようになった。
  • グラフィックも安定的に良い。担当も過去作から引き継いでいるので過去作プレイヤーも違和感なくプレイできる。

賛否両論点

  • 鷺沢縁について
    • 上記の登場人物の項の通り、彼女は主人公の妹*2なのだが、今までの恋愛ゲームの鉄板とも言えるような典型的な妹キャラ。このような妹キャラはシリーズでも初登場である。
    • それは彼女の特徴を見ていけばわかる。幼児体型で口癖が「〇〇だにゃー」「はぅぅぅ」である。妹キャラの始祖と言えば『同級生2』だが、それにかなり近しいものになっている。妹キャラが好きな人にとっては物語の終盤ではヤンデレにもなるので楽しめるものの、世間的には「妹キャラ=ロリ」という固定観念が存在するため、受け入れられない人も少なくない。
    • また、先程で「典型的な妹キャラ」と述べたものの、シナリオ展開ではお世辞でも典型的とは言えないようなものになっている。特に彼女の修羅場の場面やバッドエンドは恋愛ゲーム屈指と言われる程に衝撃的であり、妹は本気出したら怖いぞというイメージを植え付けるには十分な程である。

問題点

  • シナリオ
    • シナリオは上記のストーリーの項の通り、8才程度の子供が心を閉ざしてあれやこれやという設定なのだが、まずこんな子供に複雑な心があるとは思えないし、恋愛アドベンチャーゲームの基本である「プレイヤーの感情移入」という点で少し劣っている。
    • また、"恋愛"アドベンチャーというジャンルを謳って売っているにもかかわらず、内容は主に謎解きが軸であり、恋愛要素は謎解き要素と比べて大きく劣っている。

総評

『メモリーズオフ』シリーズ特有の鬱シナリオ展開は本作でも健在である。
いろんな修羅場に追い込まれることもしばしばあり、万人受けは間違いなくしない。
しかしそれでこそ『メモリーズオフ』シリーズであり、持ち味を発揮出来ている作品であるとの見方も多い。
数多くのバッドエンドの中からハッピーエンドを見つけ出し、それに感動するのが通例である。
システムは安定の高評価であり、音楽もシリーズから離れた独特の雰囲気を醸し出してくれている。
あれだけ酷評されていた前作の汚名返上には十二分のタイトルである。


余談

  • 縁を担当する声優の石原絵里子氏は、本作のPS2版発売の約1カ月後に「うさだひかる騒動」なるものを起こしている。
    • なお、本人のプライバシー尊重と出典記事の質上の問題によりここでの詳細は割愛するので、詳細はリンク先を参照。
    • このため、後日談にあたる『それからagain』では成田紗矢香氏が代役を務めている。
最終更新:2021年12月07日 21:00

*1 前者のSuper Lite 2000シリーズ版の発売元はサクセス。

*2 ネタバレになるが、正式には血の繋がりがないため、妹ではない。