山村美紗サスペンス 金盞花京絵皿殺人事件
【やまむらみささすぺんす きんせんかきょうえざらさつじんじけん】
| ジャンル | アドベンチャー | 裏を見る | 
| 対応機種 | PCエンジン | 
| 発売元 | ナグザット | 
| 開発元 | トーセ | 
| 発売日 | 1992年3月6日 | 
| 定価 | 7,200円 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 京都の旅情感はたっぷり 移動やフラグ立てのテンポは悪い
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| 山村美紗サスペンスシリーズリンク | 
 
概要
推理作家・山村美紗がシナリオを担当したミステリーADV「山村美紗サスペンスシリーズ」の4作目。
ハードがPCエンジンになった事で、グラフィックや音源の面ではかなりパワーアップしている。
ストーリー概要
主人公は旅行グルメ雑誌『ぐるめいと』記者の小早川優子。
取材中に殺人事件に遭遇し、別の偶然も重なりさらに殺人事件に巻き込まれていくことになる。
特徴
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アクティブディスカバリーシステム
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コマンド選択式以外の場面での探索システム。矢印で行先を指定すると、画面内の優子がその場所へ移動する。
 
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ボイス搭載
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山村美紗サスペンスシリーズとしては初めてボイスが搭載された。
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主要シーンはほぼフルボイスだが、同じ会話を繰り返す場合や、一部のシーンはボイスなしになっている。
 
評価点
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京都の旅情感はたっぷり出ている。
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PCエンジンのグラフィック性能を活かして、当時のゲームとしては京都の風景や料理、古皿等がしっかり描かれている。
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主人公が旅行雑誌の取材で訪れている事もあり、料理の解説や祭で訪れるお寺など、京都を旅しているような感覚を味わえる。
 
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ボイス
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平松晶子氏や藤原啓治氏など、有名どころの声優が複数出演している。
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山村美紗の娘である、俳優の山村紅葉氏も声優として参加している。他のプロの声優と比べるとやはり棒気味だが、酷い出来ではない。
 
問題点
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アクティブディスカバリーシステムが色々と面倒
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まずシステム自体が面倒。
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移動を早める事が出来るとはいえ、指定した場所までキャラを動かして移動、細かい場所を指定してさらに右下でチェックと、長くやっていると面倒に感じやすい。
 
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さらにこの画面の際にフラグ立てが面倒な場面も多い。
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あっちこっち歩き回って調べないとフラグが立たない場面が多く、その調べる対象も事件には直接関係ない場所ばかり。色々調べてみるのが楽しい内は良いが、いざ進まなくなると総当たりは非常に面倒くさい。
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加えて、いくつものマップがつながった探索範囲が広い場面もあり、上記のようなフラグ立ての面倒さもあって、アクティブディスカバリーシステムで詰まってしまった人もいた。
 
 
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シナリオ全体でみると出来は少々微妙
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旅情感は出ている一方、ミステリ・サスペンスとして見ると、主人公は役立たず。
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システムの都合上、探索画面ではしっかり探し物をする一方、事件の謎解きは途中から事件の相談相手となる人物頼り。
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相談相手となる人物にしても、過去に多くの事件を解決してきたキャサリンのような人物ではなく、ごく普通の板前である。事件が起きたからと、探偵でもなんでもない人物に真っ先に相談をしに行く主人公の行動に首をかしげた人も少なくない。
 
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途中の情報集めのシーンでもツッコミどころが多い。
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主人公は最初の事件では同じ場所にいただけの部外者同然なのだが、以降の捜査シーンでも取材の名目で事件の事を聞いてばかり。細かい事を聞かれたくない人間にその点は突っ込まれるが、逆に言えばそれ以外では取材は忘れているとしか思えない。
 さらには無理な注文もあったとはいえ、取材に関しての電話をしてくる上司を迷惑がってばかりいる。
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それ以外にも主人公の言動にはおかしなところが多く、最初の事件の前には、食品会社の社長が何人かと話し合ってる場所にいきなり自己紹介しながら話しかけた後、「あの、失礼とは存じますが……どちら様でしょうか?」と、自分から話しかけておいてこの質問である。社長と分かった後には謝罪はしているが、そもそもその話しかけ方がおかしい。
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他にもたまたま2つの事件に関わったというだけで、狩矢警部は完全に主人公を信頼しきっており、強盗殺人事件のあった家を捜索する際には、自由に探索させ、見つかった事を聞いてくる。鍵が見つからずに開けられない部屋に関しても、壊すのはまだ早いとして鍵の捜索まで主人公にお願いしている。
 ようは探索シーンの探索する楽しさと尺稼ぎを目的としたシーンなのだが、状況的にツッコミ所ばかり。警察の仕事とは一体。
 
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シナリオ自体がおかしいというより、システムやゲーム的な展開の都合に振り回されている形なので、どちらかといえばゲームに落とし込むのに失敗している。
 
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ボイスの読み込み
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ボイス自体は豊富なのは良いのだが、そのせいで時々読み込みで待たされる。この点もゲームのテンポを悪くしてしまっている。
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また、ボイスはスキップ不可能。
 
総評
ハードの性能を活かし京都の旅情感たっぷりに描けているのは良いものの、テンポの悪いシステムやボイス再生でゲームのプレイテンポを損なってしまっている。
シナリオもミステリやサスペンスを期待すると少々残念な出来になってしまっており、良い所、悪い所がはっきり出る出来となってしまった。
最終更新:2024年01月27日 22:13