【くろっくたわー】
ジャンル | アドベンチャー | ![]() |
対応機種 | スーパーファミコン | |
発売・開発元 | ヒューマン | |
発売日 | 1995年9月14日 | |
定価 | 11,400円(税別) | |
配信 |
【NP】1997年9月30日/1,000円 F×6・B×1 バーチャルコンソール 【Wii】2010年8月3日/800Wiiポイント ※2019年1月31日配信終了 【WiiU】2013年11月6日/800円 ※2023年3月28日配信終了 プロジェクトEGG:2017年5月23日/500円 |
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レーティング | CERO:B(12才以上対象)(*1) | |
判定 | 良作 | |
クロックタワーシリーズ クロックタワー / 2 / ゴーストヘッド / 3 |
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シネマティックライブシリーズ セプテントリオン / ザ・ファイヤーメン / クロックタワー |
海洋パニックアドベンチャーゲーム『セプテントリオン』を第1作とする、映画のような臨場感を売りにしたシネマティックライブシリーズ(*2)の完結編。
沈没船からの脱出劇を描く第1作目、火災に立ち向かう消防士達の戦いを描いたアクションゲームである2作目『ザ・ファイヤーメン』に続く本作は、殺人鬼からの逃走劇を主軸にしたアドベンチャーゲームである。
ゲームデザイン・ディレクターは河野一二三。
後に『御神楽少女探偵団』『猫侍』『鉄騎』『AVキング』『無限航路 -Infinite Space-』など幅広いジャンルの作品を手掛ける氏の初のオリジナル作品である。
本作はイタリアンホラー映画の巨匠、ダリオ・アルジェント監督のホラーサスペンス「フェノミナ(*3)(*4)」のオマージュとして制作されており、キャラクター設定や演出、音楽などの様々な要素を取り込みつつ、ゲーム独自のシステムや世界観として昇華させている。
一般的なホラーゲームがプレイヤー=主人公、すなわち「恐怖の体感」を主軸としているのに対し、本作ではホラー映画の視聴者という独特な視点から恐怖演出やゲーム性を構築しているのが大きな特徴でホラー映画のヒロインを導いて助けてあげるというスタイルになっているところに大きな独自性がある。
北欧の山間にひっそりとたたずむ屋敷があった。屋敷には高くそびえる時計塔があり、土地の人々はその鐘の音を合図に放牧を行ったものである。いつしか土地の人々はこう呼び習わしていた。CLOCK TOWER ―時計塔屋敷―と……。しかし、ある日時計塔の鐘の音は途絶えてしまう。まるで時を無くしてしまったかのように。
1995年―。とある孤児院にひときわ目立つ美少女を見出すことができる。名は、ジェニファー。父は失踪、その後に母親とも死に別れ、孤児院に引き取られたのである。そしてある日、彼女と友人達3人の養育先が見つかったという知らせが入った。彼女は引率してくれる教師メアリーと3人の友人達と共にその養育先へ向かう。そこがCLOCK TOWERと呼ばれる屋敷とも知らずに……。
(SFC版説明書より引用)
本作において一番特徴的な点は、カーソル指定によるキャラクターの間接的な操作である。それ以外にも次回作以降には継承されなかった本作独自の要素が含まれている。
クリックポイント
敵からの逃走
体力
その他
本作で採用された「三人称視点で描写されたフィールド内のキャラクターに間接的に指示を与えることで操作し、調査を行う」というシステムは、海外において同システムを搭載したグラフィックアドベンチャーゲーム(*10)の先駆作品として有名になった『King's Quest』のシステムを取り入れたものである。
そこに「殺人鬼からの逃走劇」というホラー要素を加味することで、「どうあがいても太刀打ちできない敵に追われる恐怖」というオカルトホラーサスペンス映画さながらの焦燥感や恐怖感を、単純ながらも斬新なシステムと映画的演出に拘った独特の表現によって演出し、オカルトホラー映画の世界観をゲームで再現するという試みをSFCのハード的制限の中で見事に成功させた。
映像技術が発達しゲーム内に豪勢なムービーを盛り込めるようになった昨今の業界では「映画的ゲーム」という言葉がよく言われるが、ムービーすら入れられない時代、ハード性能の制約の中で、「映画の視聴者目線」という独特な視点で「映画」という要素をゲーム性そのものに結びつけた本作は、まさしく本質的な意味で「映画的ゲーム」と言えるだろう。
難易度は一般的なアドベンチャーとしてみれば比較的高めの部類に入るが、海外ではこのタイプのゲームは試行錯誤しつつ手探りで謎を解いていき、グッドエンドを探り当てていくというプレイスタイルが一般的なので、エンディングに到達することだけを目的にせず、自分自身が主人公になったつもりで世界観や追われる恐怖を味わいながらじっくりと謎解きに取り組んでみよう。
SFC版の知名度は低かったが、プレイステーションで続編が発売されたことで人気を集め、ホラーゲーム作品を代表するシリーズとなった。
ホラーゲームの新たな方向性を見出した1作といえるだろう。
据え置き機の移植は3作とも株式会社アシーナが担当している。
*1 バーチャルコンソール版で付与されたレーティングを記載。
*2 第2作目『ザ・ファイヤーメン』と合わせ、常時緊迫した状況を舞台にしていることから「パニックソフトシリーズ」とも銘打たれていた。
*3 スイスの寄宿舎を舞台に、昆虫と心通わせる能力を持った美少女ジェニファーの周囲で巻き起こる猟奇殺人事件を描いたサスペンスホラー。1984年制作。主演は当時15歳だったジェニファー・コネリー。主人公の名前及び外見のモデルとなっている他、殺人鬼のモデルや真犯人、ゲーム中の演出など同作からの影響が色濃い。
*4 また、ゲームにおける「黒魔術信仰」をベースとしたオカルト映画的な背景設定は『魔女』をテーマにした同監督の映画「サスぺリア」が下敷きになっていると思われ、実際、同作からのオマージュシーンも多い。
*5 没データの中にはスコップや包丁などを武器にするアニメーションが存在する。
*6 ベストエンディングなら1人だけ助ける事が可能。ただし続編ではストーリー上、全員死亡が前提になっている。
*7 オープニングのビジュアルシーンの冒頭で流れる短いフレーズ。
*8 フラグ進行上の手違いで詰む箇所がある他、シザーマン回避に有効なあるアイテムを使う場所でとるべき行動を誤るとアイテムを使えなくなってしまい詰む。
*9 メニューのクイックスタートを選択することで大広間でのオープニングイベントを飛ばせるので、長々とオープニングを見せられることはない。
*10 黎明期の頃のアドベンチャーゲームは、コマンド入力型でそのほとんどが文字のみでグラフィック表現を伴わないものであり、グラフィック付きの作品はグラフィックアドベンチャーと呼ばれていた。
*11 壁画の間でみられるBGMのフレーズが微妙に付けたされて長くなっている他、逃走状態中BGMやエンディングBGMのメロディに割り当てられているコーラスの音色が原曲よりも高くなっており男声から女声風になっている等。
*12 オリジナルでは部屋の扉自体は存在するが、クリックすらできなかった。
*13 主にジェニファーがスコップや鉄パイプなどを即席の武器にして撃退するなど、続編を意識したものが多い
*14 階段を昇るアクションが追加されており、二階にいてもどこまでも追ってくるようになっている。
*15 元々PSV用ソフトとして開発されていたが、クラウドファンディングによって当初の予定以上の資金が集まった為、日本語ボイスの導入や他プラットフォームでも発売され、その第一弾としてWin版が発売された。