実戦競艇
【じっせんきょうてい】
ジャンル
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SLG
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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12MbitROMカートリッジ
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発売元
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イマジニア
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開発元
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アイシステム東京
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発売日
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1995年6月23日
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定価
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11,800円(税抜)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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実戦しないのに実戦競艇 競艇に見えるが実態はサイコロ 全レース強制観戦
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概要
競艇を扱ったシミュレーションゲーム。社団法人全国モーターボート競争会連合会公認。
若手の競艇選手を育てるストーリーモードと、レースの予想をするモードがある。
ストーリーモードの主人公は「競艇の父」と呼ばれる、競艇選手を育てることを生きがいとする人物。
このモードの目的は3人の若者を競艇選手に育て上げることで、育成結果に応じたエンディングも用意されている。
と、これだけ見れば面白そうなのだが……どうしてこうなった。
問題点
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「実戦」というタイトルを冠するが、それに反してアクション制は全く無い。
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プレイヤーはレースを見守るだけで、ボートを操作したりすることはできない。何故こんな名前にした?
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競艇につきもののフライングや転覆といったアクシデントも発生しないので、何を楽しみに見ればいいのかすら不明。
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選手には体重や出身地などのデータがあるが実力差はない。
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その証拠に、全く同じ選手同士でレースをやってもオッズがころころ変わる。
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参加選手は6人で、誰が勝つかは均等。これではサイコロ1個を振ってどの目が出るかを当てるゲームと何ら変わりない。
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得意戦法もデータとしてあるだけで実際には何の意味もない。
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まあ実力差をつけたら評価の低い選手から苦情が来かねないので仕方ない……のかもしれない。
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競艇予想モードは「パーティーモード」と「ドリームマッチ」があるのだが、選手と競艇場を選べるか選べないか程度の違いしかない。
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選手同士の実力差がないので選手を選ぶ意味はないし、競艇場は選んだところで画面に映るわけでもないのでやはり何の意味もない。ただ「選べる」というだけである。あれ?モードが二つある意味って……
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どちらのモードも勝負形式になっていて、参加者全員が舟券を買って、最終レース終了後に所持金が多い人が勝ち。
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ドリームマッチは参加者のうち一人が番組表編成をやらされ、その人は予想に参加できない。何のためにそんな設定なんだ?
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そもそも選手同士に実力差がないのだから、稼ぐには単にオッズの高い舟券を買えばよい。予想もクソもない。
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COMはオッズの高さに関係なく適当に買い漁るという思考パターンなので、自滅することが多い。プレイヤーは賭けなくても勝てる。
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ストーリーモードでレースシーンを飛ばせない。
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最低でも6か月やる必要があり、(予選+準決+決勝)×12レース×6か月の216レース強制観戦となる。
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1レースにつき1分半ほどかかるので、1か月進めるのに約1時間、クリアまでは6時間ほどかかる。
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育成する選手から金をせびられるなどのイベントがあるので金を稼ぐ必要があるが、高めのオッズに全額賭けて勝つのを2回やれば100万円を超え、それ以上稼ぐ必要はない。
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つまり216レースのうち214レースは舟券も買わずに見てるだけということになる。これではダレるのも無理はない。
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選手育成方法もかなり単純で面白みがない。
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育成と言っても実際に指導するわけではなく、会話でやる気を出させるだけである。
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その会話も1か月に1回しかしない。いくらなんでも少なすぎる。
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主人公は全レースを観戦しているが、育成選手が実際に競艇選手としてレースに出てきたりはしない。彼らは一体どこで何をしているのだろうか?
賛否両論点
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レースの最中、マーク旋回シーンはスタートボタンで飛ばせるので時間短縮になる。
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しかし、迫力ある旋回シーンだけは飛ばせるのに、やけに長い直線シーンは飛ばせないのは如何なものか。せめて逆にしろよ。
評価点
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選手の育成具合によってエンディングが分岐する。
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選手との会話では選択肢を選んで好感度を上げていく。
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好感度が上がると笑顔になるのですぐわかる。会話前にセーブができるので、ハズレ選択肢を選んでしまってもリセットすれば問題ない。
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育成選手は3人いて、それぞれ個性や好みも違うので、ストーリーだけ見れば結構面白い。
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毎月の会話とは別に、ランダムでイベントが起きることもある。イベントの成否にかかわらず、好感度の変動はない。
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好感度が最高だとA級選手になり、少し低いと普通の競艇選手になり、さらに低いと競艇選手になれない。
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分岐は「誰も競艇選手になれない」「誰か競艇選手になれない」「誰かA級選手になれない」「全員A級選手になる」の4種類。なおED後にスタッフクレジットが流れるのは後者の二つ。
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好感度は会話で簡単に変えられるので、全てのエンディングを見るのにそれほど手間はかからない。
総評
実戦競艇の名をつけておきながら実戦する場面がない、選手に実名を使わせてもらっているのに実力差がない、レース結果はサイコロで決まるので予想する楽しみもない、ストーリーを楽しもうにも216回もレースを見なければならない、迫力ある旋回シーンは時間短縮のためにカットされる……と、良い点をことごとく悪い点で塗り潰したクソゲー。
競艇を競艇たらしめている要素を悉く排除しているため、わざわざこんなものをプレイするくらいなら本物の競艇を楽しみに行った方がよいとまで言い切れる、そんなどうしようもないソフトである。
余談
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主人公のモデルになったと思われる「競艇の父」は、本作発売後1か月もたたないうちに亡くなっている。
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SFCで競艇のゲームは他に日本物産から『スーパー競艇』シリーズが2作出ており、そちらは実際にボートを操作するアクション要素がある。本作なんかよりもよっぽど実戦競艇である。
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さらに次世代機のPSとSSでは、『バーチャル競艇』シリーズとして計6作も出す人気シリーズとなった。
最終更新:2025年01月02日 09:30