谷川浩司の将棋指南II ~名人への道~
【たにがわこうじのしょうぎしなんつー めいじんへのみち】
| ジャンル | 将棋 | 
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| 対応機種 | ファミリーコンピュータ ディスクシステム ファミリーコンピュータ
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| 発売元 | ポニーキャニオン | 
| 発売日 | 【FCD】1987年11月13日 【FC】1988年03月18日
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| 定価 | 【FCD】3,000円 【FC】5,500円
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| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 初心者お断り オートセーブ
 詰め将棋、次の一手問題も
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| I(MSX版) / 将棋指南II / 将棋指南III | 
 
概要
ファミコン将棋は『本将棋 内藤九段将棋秘伝』から始まり『森田将棋 (FC)』と進化を遂げていた、それから数か月後に谷川九段の監修で発売された。
従来ははAIとの対局しか無かったが、本作は「詰め将棋」「次の一手」といった付加価値が用意されている。
なお、第一作目は1986年にMSXで発売されている。
特徴
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本作は棋力の向上に加え、更に「詰将棋」「次の一手」が追加。記録には残らないが最初から全ての問題が選べる。
対局
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5人の棋士と戦っていくモード。
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4人の棋士に勝つと、谷川九段に扮したキャラと対局。最大で5戦あり、3勝すると感謝状が見られる。
 
詰将棋
次の一手
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全部で20問。候補手から次々と選んでいき最善手に近いほど高得点、最後には集計結果が出て棋力を診断してくれる。
評価点
充実した付加価値
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本作には「詰将棋」「次の一手」が用意されている。
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詰将棋は良問であり、更にはCPUと詰将棋対戦という仕様になっている。プレーヤーが正解以外の手を指すとCPUがしっかり咎めてくる、詰まない状況になった際は「あきらめなさい」と言ってくれる。
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AIの総合棋力はともかく、終盤の速さと正確さは目を見張るものがあり詰将棋の相手としては、まさに、うってつけと言ったところ。
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近年のゲームでさえ思考ルーチンが活用されず正解手以外は戻される作品も多い中とても貴重な機能と言える。将棋ソフトの付加価値としては現在でも通用するレベルと言える。
 
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本作の棋士達は特に終盤が強いので、弱点を突かずに勝ちたいというのなら、これで鍛えるのが良いだろう。
 
演出
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タイトルでは雷鳴と共に5人のシルエットが浮かび上がるなど演出も強化されている。
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感謝状の構図も実際の免状をベースにしており、紙や文字の質感が見事に表現されており格調高い。
 
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対局中にAIがあれこれ喋る。簡素ながらも有ると無いとでは全然違う。意表を突かれた際は〇?△_?△×と出たりする。
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各キャラ達のグラフィックも用意。斜め向かいが基本で、正面や下向きも用意。セリフとともに表情も変化する。
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棋力は似たり寄ったりでセリフも同じだが、戦法は異なり中飛車の使い手など個性も出ている。
 
その他
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タイマー機能も搭載
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経過タイマーも表示されて分かり易い。特に制限時間はないが目安になる。
 
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オートセーブ
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「森田将棋」に続き本作でもオートセーブ機能が搭載。対局の途中から再開可能となっている。
 
賛否両論点
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初心者お断り
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AIの棋力はプロ棋士には遠く及ばず、数か月前に発売された『森田将棋』には劣るものの、それでもルールを覚えたての初心者では弱点を突いたとしても勝ち切るのは難しいだろう。
 
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弱点がある
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パックマン戦法で王手馬取りが決まり優勢になれてしまう。
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なお、中飛車の使い手はこれに乗ってくれないので通用しない。とはいえ序盤中盤は弱いので、こちらも同じ中飛車戦法で5五の地点からぶつかれば作戦勝ちが見込める。
 
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次回作では対策されるが、また別の弱点が出来てしまう。
 
問題点
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駒落ちがない
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初心者はハンデがもらえないし、上級者も縛りプレイができない。
 
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棋譜の表示
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プレイヤーが後手番を持っても、相手は先手で7六歩とすると3四歩と表示する。これを違和感と取るか分かり易いと取るかはプレイヤー次第。
 
総評
『内藤九段将棋秘伝』から3年を経て、将棋ゲームの形が作られつつある。
AIと対戦するだけだった『将棋秘伝』『森田将棋』に対して、本作は「詰将棋」「次の一手」問題を収録し、棋力を養成して腕試しという道筋を一本のソフトにまとめた。
対戦型の詰将棋や戦法に個性のあるAIなど、現代の将棋ゲームと比べても優れた点も見られる。
余談
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ディスクシステム版には書き換え専用の追加ソフトとして問題がより上級者向けに一新された『谷川浩司の将棋指南II 新版 詰め将棋・次の一手』が存在する。
 B面のみ「新版」に書き換えるという特殊な形式で、起動ディスクとしてA面に通常の将棋指南IIが必要になる。
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ただしその特殊性故か店頭のディスクライターでの書き換えは行っておらず、任天堂に直接ディスクカードを送らなければいけなかった。
 そのおかげで、現在はただでさえレアな書き換え専用ソフトの中でもトップクラスのプレミア品であり、ネット上では
250万円
で販売されている。
 
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およそ1年半後に3作目が発売される事になり、本作とはまた違った付加価値をもたらす事になる。
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1993年には同社からSFC将棋『将棋 風林火山』が発売されるが、詰将棋、次の一手、5人の棋士など本作をベースに色々と強化されている。
最終更新:2024年05月27日 23:08