NARUTO -ナルト- 激闘忍者大戦!

【なるとげきとうにんじゃたいせん】

ジャンル 3D忍者対戦格闘
対応機種 ニンテンドーゲームキューブ
発売元 トミー
開発元 エイティング
発売日 2003年4月11日
定価 6,800円
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
備考 振動対応
判定 良作
ポイント 大人気忍者アクションアニメの対戦ゲーム
初代のため試行錯誤感あり
「チャクラ」に主眼を置いた対戦システムの基礎は完璧
システムがいいだけに惜しまれるキャラ過疎問題
NARUTOシリーズリンク


概要

少年ジャンプ連載の大人気忍者コミック「NARUTO」の本格対戦格闘ゲーム。
PS系列で制作された『ナルティメット』シリーズに並び、WiiUまでシリーズが継続したナルトゲームの代表格。

ゲームシステム

  • 基本操作
    • ソウルキャリバー』のような3Dタイプの対戦格闘ゲーム。ステージには壁がありリングアウトが無い。
    • 3Dスティックで前後移動とジャンプ・ダッキング。L,Rがサイドステップ。AとBが主に攻撃を担当。
      • 基本的にはBが体術、Aが手裏剣や各種の忍術になっている。例えば大剣「首切り包丁」を得物とする再不斬は、Aで剣術、Bでは素手のパンチやキックを放つ。
      • 技システムは上下左右のスティック操作とA,Bを組み合わせる簡単なもの。A技にはコンボが無い*1が、B技にはA,Bボタンの操作を組み合わせたコンボ派生が用意されている。
    • ガードは強制オートガード。削りあり。
  • チャクラシステム
    • 一般的な格ゲーの「技ゲージ」に相当。ガード、ダメージ、攻撃のヒットで蓄積していく。「変わり身」と「奥義」の使用に必要。
    • ダメージ時、L,Rボタンでチャクラゲージを75%消費して「変わり身」が出来る。キャラクターが消え、敵後方から跳び蹴りで現れる。
      • 容易にコンボを中断させられる一方、奥義による逆転を捨てることにもなり、変わり身か奥義かという駆け引きが大きなファクターになっている。
    • Xボタンでチャクラゲージを100%消費して「奥義」の起動技が出る。ヒットすると特殊ムービーの流れる奥義が発動する。
      • 他、一部のキャラはA技にチャクラを消費するものがある。

プレイヤーキャラ

+ 初期から使用可能なキャラクター・計7体
  • うずまきナルト
    • ご存知主人公。得意技は影分身(↓+A)とお色気の術(後ろ+A)。Bボタンによる打撃攻撃も繋がりやすく、初心者でもとっつきやすいキャラ。
    • ストーリーモードでは終始プレイヤーキャラになるので、必然的に使うことに。
    • 奥義は中忍試験編で編み出した「うずまきナルト連弾」。初撃はタックルなので若干接近しておく必要があるが、高いダメージ性能を誇る。
  • うちはサスケ
    • ナルトの永遠のライバル。本作ではまだ写輪眼が使えない。
    • 打撃コンボがBボタンだけで7連撃という脅威の使いやすさを誇る。また火遁・豪火球の術はチャクラ消費で出し続ければ大きなダメージを生み出す。
    • 奥義は中忍試験編で編み出した「獅子連弾」。初撃が下段からの蹴り上げのためナルトより当てづらいが、威力はナルト連弾を僅かに上回る。
  • 春野サクラ
    • サスケにお熱のメインヒロイン。主人公2人と比べると見た目どおり非力で華奢な印象が目立つ。
    • 打撃コンボはBボタンのみでは4連撃までで、これにAボタンの手裏剣コンボを組み合わせていくことになる。そういった意味ではテクニカルタイプのキャラ。
    • 奥義はオリジナル技で、その名も「内なるサクラ」。これまでのか弱いイメージを腹筋とともに破壊してくれる豪快なマシンガンパンチを食らわせる。
  • はたけカカシ
    • ご存知第7班のまとめ役。飄々とした風貌に似合わぬ壮絶な半生から作中トップクラスの人気を誇る。
    • 性能はサクラと対照的に少ない手数で相手にダメージを与えるパワータイプ。打撃コンボはBだけだと4つしか繋がらないため、使いこなすには少々工夫が必要。
    • 鈴取り合戦で披露した千年殺し(後ろ+A)や土遁・心中斬首の術(↓+A)は、相手の攻撃を誘うカウンターとして使うことで真価を発揮する。特に前者は原作さながらに吹っ飛ぶので一見の価値あり。
    • 奥義はダッシュパンチの「雷切」。ボタンを押し続けることでチャージができ、威力とダッシュ距離が伸びる。チャージ最大で発動すると相手の胸部を貫通する。
  • うみのイルカ
    • アカデミー時代のナルトの恩師。原作では風魔手裏剣使いのミズキと戦った経緯からか、風魔手裏剣を使用する。
    • 手裏剣枠に入っている風魔手裏剣が非常に強力。打撃・手裏剣での叩き落としも無効*2で、ヒットすると画面端まで押し込まれるので、特に近接専門のキャラには鬼門。
    • 奥義は上空から相手の四肢を風魔手裏剣で封じ込めたところに急降下ドリルキックを放つ「空雷撃」。(本作では「オリジナル連弾」と表記される。)地味に奥義の中で発生が最速。
    • 波の国編で第7班に立ちふさがった桃地再不斬の懐刀。血系限界「氷遁」使いの末裔でもある。
    • サクラほどではないが打撃の威力は弱く、飛び道具の千本も出の速さこそ随一だが微量のダメージしか与えられない。
    • コンボの立ち回りは隙が少なく、出の早い各種B技と千本の拘束でヒット&アウェイやカウンターで相手を翻弄できれば安定して強い。
    • 奥義は原作でもナルトとサスケをギリギリまで追い込んだ「秘術・魔鏡氷晶」。氷のドームに相手を閉じ込め、縦横無尽に切り裂く強烈な技。威力もあるが、発生が早く判定も素直な始動技の当てやすさが魅力。
  • 桃地再不斬
    • 霧隠れの鬼人と呼ばれる元暗部であり、同時に無音殺人術(サイレントキリング)の達人。波の国編の最大の敵であると同時に、本作のボスキャラの位置づけ。
    • 手裏剣の類は一切使わないが、Aで繰り出す首切り包丁の斬撃が威力・リーチ共に大きく、削りだけでも馬鹿にならないダメージが出る。
    • 奥義も霧に身を隠し死角から相手を滅多切りにする「無音殺人術」。見た目は怖いが、実は威力はそうでもない。
+ 隠し参戦キャラ・計3体
  • ロック・リー
    • ストーリーモードをノーコンティニューでクリアすると発生するストーリーで登場。彼に勝つことで使用できるようになる。
    • 手裏剣の類は一切使わない体術一辺倒で、接近戦ではキレのある体術コンボで華麗に相手を圧倒する。ただし距離をとられると弱い。
    • 奥義は代名詞とも言うべき「表蓮華」。下段蹴り上げから相手を拘束し、脳天から地面にたたきつける。
  • 九尾のナルト
    • 「サウンドモード」出現後に、再度全キャラで「ひとりであそぶモード」をクリアすると出現する、白との戦いで見せた九尾暴走状態のナルト。キャラクターセレクト時にナルトをXボタンで決定すると使用できる。
    • 特徴的な赤いチャクラが全身を包み、獣のごとく爪撃で相手を追い込む様は恐怖すら感じる。
    • 奥義は目にも留まらぬ速さで相手を痛めつけ、最後にチャクラの波動で吹き飛ばす「九尾ナルト乱撃」。
    • 後に岸本斉史氏に影響を与え本シリーズの九尾のナルトをイメージした表紙が単行本26巻の描かれている。
  • 写輪眼のカカシ
    • 九尾ナルト出現後に、カカシで「ひとりであそぶモード」をクリアすると出現する、再不斬との戦いで見せた左目を開放したカカシ。
    • 目つきが鋭く、攻撃コンボがすべて一回り強化されている。奥義はノーマルのカカシ同様に「雷切」。しかしこのカカシの真の強さは別にある。
    • それが千年殺しの代わりのコマンド「見切り」。これで相手の奥義にカウンターすると、まったく同じ技を相手に返してしまうのである。 コピー忍者の異名は伊達ではなかった

特徴・評価点

  • 分かりやすい操作と奥深いゲームバランス
    • オートガード、複雑なコマンド無しなど、ターゲット層であると思われる小学校高学年~中高生に優しい設定。CPUの設定も弱めで、ボタン連打程度の習熟でも十分に楽しめる。
    • 一方対戦では、飛び道具とカウンター、変わり身を駆使した読み合いが展開され、格ゲーに慣れたプレイヤーも納得の歯ごたえ。
  • ふんだんに取り入れられた原作要素
    • 変わり身・カウンターといった忍術技はもちろん、手裏剣・クナイの使い分けが再現されている、ナルトは打撃コンボにも影分身が参加するなど原作要素の拾い上げが細かい。
    • 手裏剣同士がぶつかると相打ちして消滅する、首切り包丁ではあらゆる飛び道具が打ち払えるなどゲームに大きく絡む要素も。
      • 特にカカシの写輪眼に関してはかなり凝っており、全技のモーションをコピーできるのは勿論、再不斬の大剣技はクナイで代用させるなど芸が細かい。
      • 演出面でも、カカシのカウンター待機が読書姿、木の葉忍者は丸太に変わり身するのに対して霧隠れ忍者は水の塊に、忍術の使えないロック・リーは瞬間移動風のエフェクトが入るなど非常に凝っている。
  • ゲーム外でもキャラゲーとしてよくできている。
    • GC特有の美麗なグラフィック。アニメの個性的で愛らしくもあるキャラクターたちは、ゲーム内でも表情豊かにゲームを盛り上げてくれる。
    • 対戦前にはそれぞれのキャラが意気込みを口にするのだが、これがまた原作さながらの掛け合いが多くその後の戦闘を盛り上げる一因となっている。例を挙げると……、
      • サスケ「うちはの力、思い知るか?」VSリー「……是非!!」
      • 白「どうしてもやるんですか?」VSナルト「それが、俺の忍道だ!」
      • カカシ「諦めろ。お前の未来は死だ」VS再不斬「無音殺人術の恐怖を思い知るがいい」

賛否両論点

  • ゲームモードの少なさ
    • 格闘ゲームの常だが、ストーリーモードクリア後はひたすら各キャラで「ひとりであそぶ」を続ける必要があり、これだけでほぼすべての要素が揃ってしまう。分かりやすくはあるのだが。
    • ただ、九尾のナルト出現条件のサウンドモードだが、この開放にも「ひとりであそぶ」全キャラ攻略が必要であり、実質2周しなければならない。
      • 特にこのとき避けては通れないのがサクラVS再不斬。A技の弾き落しが強力な再不斬は距離が取りにくく、接近戦を挑んでもスーパーアーマーに引っかかることも多い。首切り包丁の攻撃はガード時の削りも馬鹿にならず、消耗戦になるとかなり厳しい。
  • 変わり身・カウンターに依存したバランス調整
    • あらゆるコンボを変わり身で中断できるため、システム上ハメ技や十割コンボが存在し得ない。
    • 一方、変わり身無しで考えると十割コンボ、無限ハメなどが多数存在*3しており、格ゲーの調整としては非常に大味。
    • 変わり身は、キャンセルがきく技の場合L,Rで回避が可能なため、このテクニックを習得してしまうと全く救済にならない。
      • しかもタイミングがシビアということもなく、かなり容易。
    • 同様に、全キャラの←Aに設定されているカウンター技は、相手との距離と無関係に打撃が入るため近接キャラの投擲キャラに対する対抗策になっている。
      • こちらもサイドステップで回避できる上、発動タイミングが読みやすく、跳び蹴りですっ飛んでいく変わり身に比べて非常に隙が大きいため、とても救済になっているとは言いがたい。
  • ステージは多いが活かされているとは言いがたい。
    • 「木の葉の門」「ラーメン一楽」「アカデミー校庭」「アカデミー屋上」「ナルト大橋・晴」「ナルト大橋・霧」「蝦蟇の間」「死の森」と8ステージもあるのに、ストーリーに出てくるのは半分。死の森は大蛇丸の呼び寄せた大蛇が動き回り、蝦蟇の間ではブン太の見下ろす舞台で戦う迫力ある構図だけにもったいなさが残る。

問題点

  • キャラの少なさが目立つ。
    • 隠しキャラを入れても10人というのはかなり少ない。初代『ストリートファイターII』でも操作キャラ7人にボス4人の計11人をそろえていた。
    • 「忍者大戦」という割には白、再不斬以外は身内で、設定的にも盛り上がりに欠ける。
    • アニメ放送では中忍試験編に入ったばかりであり、キャラ数としては限界に近いが、そもそも発売自体が時期尚早であったとも言える。
      • 12月発売の2では中忍試験編のキャラが勢揃いしており、倍以上*4の数が登場している。これと比べると非常に見劣りする。
      • 2では(アニメでは)まだ謎の強者レベルだった大蛇丸がネタバレ気味に暴れており、放送との兼ね合いと考えても疑問が残る。
  • システムの説明が不足
    • 実は細かい格ゲー的なシステムが色々とあるのだが、ゲーム・説明書に記載がないものが多い。
      • ガードゲージの存在 。画面上中央、タイム表示の周りにあるのだが、どこにも説明が無い。(ガードエフェクトが白→黄→赤になるのである程度推察はできる。)
      • 基本的に後Bがガードポイント技であること。ガードゲージを消費せずに反撃に出られるので重要なシステム。
      • 削りダメージがA技でしか発生しない。
      • 空中でガードゲージが回復しない。
      • ネジがB技を判定前にYでキャンセルできる「フェイント」システム。キャンセル自体もそうだが、前Bが上段スカし移動技に化けるなどネジの大きな強みになっている。
    • 等、本気で対戦しようとすると検証や調査が必須になってくる。
  • キャラ格差が大きい。
    • やはり飛び道具を使えないキャラ(リー・再不斬・九尾ナルト)はハンデが大きい。特に威力・リーチとも大きくないロック・リーではかなり勝ちにくい。
    • 奥義の当てやすさもかなり差があり、しかも突進距離が短いナルト、対空技で判定が小さいサスケなど主役格がスカりやすい。
      • 発動エフェクトが派手で読まれやすい上、溜め時間が要求されるカカシは最悪の部類で、ダウン打ち上げで落下してくる相手に合わせるか起き攻めでなければまず当たらない。
    • 逆に強キャラとしては、イルカ・白の名前が上がる。
      • イルカは専用飛び道具の風魔手裏剣が強力で、ガード時でも最大画面端まで押し込み*5+大きな削りダメージ。接近されても1ミスで風魔手裏剣の間合いにでき、圧力が非常に強い。体術性能も出がやや遅いカカシタイプだが使いやすく、風魔手裏剣をジャンプ回避させての着地狩り・カウンターをサイドステップ回避しての反撃などの戦術が取れる。
      • 白は逆に高速・低威力・短リーチの密着手数型だが、手裏剣枠が千本の連打でガード時の拘束時間が長く、容易に接近が可能。接近してしまえば、全体に出の早い体術でカウンターが取れ、奥義も強力で当てやすい(理論値10割のコンボまである)。空中手裏剣が千本を設置して時間差で降ってくるトリック技で、本体スピードが早いのと相まって裏取り・固め・火力強化とマルチに使える強力技。
      • ちなみに、どちらも「カウンターの性能が低い」という弱点がある(上空に瞬身しての急降下攻撃なので発生が遅く当たりにくい)が、押していくタイプのキャラなのであまり問題にならない。
  • サスケが写輪眼を使えない。
    • 原作では中忍試験の時期にはマスターしていた写輪眼を使用できない。
    • 「写輪眼のサスケ」として隠しキャラにしても対した労力でもないし、疑問が残る。

総評

人気シリーズとなった『激闘忍者大戦』のシステムは既に完成している。
原作要素の組み込みも上手く、演出面もナルトらしい雰囲気を盛り上げており、簡単操作で楽しめる格闘ゲームに仕上がっている。
最大の問題点はキャラクター不足で、時期的に仕方が無かったとはいえ僅か8(10)人というのは原作に魅力的なキャラが多いだけに非常に残念。
また調整も初心者・子供向けのもので、ある程度上手くなってしまうとかなりの粗が見えてくる。
キャラクターものの格闘ゲームとしてはかなり出来が良いが、発売時期が泣き所になった一作。

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最終更新:2023年09月03日 08:43

*1 A技にも体術が設定されているロック・リーのみA技からのコンボあり。

*2 再不斬の首切り包丁でのみ可

*3 ナルトBBBBループ、リー→BBBBAAXなど

*4 赤丸、カラスといったペアの片割れキャラもカウントした場合。

*5 当り角度によっては途中でスカる。