ASTRAL CHAIN

【あすとらる ちぇいん】

ジャンル 3Dアクション

対応機種 Nintendo Switch
発売 任天堂
開発 プラチナゲームズ
発売日 2019年8月30日
定価 【通常版】7,980円(税別)
【限定版】10978円(税込)
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
判定 良作
ポイント Switchゲーム最高峰のグラフィック
鎖とレギオンを活かした爽快なアクション
シナリオは続編(未定)ありき


概要

3Dアクションゲームに定評のあるプラチナゲームズが送る新規IP。
同社開発の『NieR:Automata』のゲームデザイナーである田浦貴久氏初のディレクション作品であり、監修に『ベヨネッタ』シリーズを手がけた神谷英樹氏、キャラクターデザインを漫画家の桂正和氏が担当したことでも話題となった。

ストーリー

近未来多国籍都市「アーク」
突如、ワームホールから出現した異形生物「キメラ」達により、地上が汚染され人々に危害を加える事件が多発。
一般警察では歯が立たない状況下、特殊部隊「ネウロン」の一員である主人公は、
人類が生み出した生体兵器「レギオン」と共に事件解決に動き出すことになる―――。

特徴

  • 概ねストーリーのノリ的には「もしもプラチナゲームズが特撮ヒーローものを作ったら」と言ったような物。比較的にシリアスに進むので『ベヨネッタ』等のようにおバカな路線に振り切ってるわけではない。
    • 上記の通り異世界である「アストラル界」より来訪した異形生物により侵略を受け、人類に残された最後の巨大人工島「アーク」が物語の舞台となる。
    • 主人公はキメラを殲滅しつつ、アーク各地に発生しているアストラル界に通ずる「ゲート」と呼ばれるワームホールを破壊し侵略を止めると共に、時にワームホールに突入しアストラル界の探索・アストラル界に引きずり込まれた人命の救助を主に行うことになる。
  • 主人公は双子の男女どちらかを選ぶ。
    • 所謂無口タイプの主人公で、選ばなかった方の性別の方は主人公の弟か妹の「アキラ・ハワード」(男女ともに同名)として作中に登場する。
      • 主人公自体にデフォルトネームはない。
    • 主人公は肌・目・髪の色を自由にカスタマイズ可能で、ある程度着せ替え衣装も用意されている。
      • ネウロン本部にあるロッカールームで(出動前であれば)いつでも見た目の変更は可能。
      • また、オープニング部分のチャプターを再プレイする事で性別を変更する事も可能。
      • ただし、NPCとしての兼ね合いか声と顔つきだけは固定となっている。
  • 各チャプターの流れ
    • 本部で準備を整える。
      • 装備の強化やグレネード等戦闘アイテムの購入ができるほか、ネウロン隊員とのサブイベントが発生する。
      • また、クリア済のチャプターの再プレイもできる。ただし他のチャプターをプレイすると進行度がリセットされるので、プレイするタイミングには注意が必要。
    • 現場に出動し、事件現場を捜査する。
      • 現場となったエリアを探索し、市民に聞き込みをしたり痕跡を調査したりして情報を集めていく。ある程度集めると他のメンバーと合流し、犯人や目的地を推理する。また、市民とのサブイベントが発生する。
    • 推理を元に目的地へ向かう。
      • 犯人が潜んでいると思われるエリアに向かい、そのエリアやアストラル界を調査する。最深部まで到達しボスを倒すと事件解決となりチャプタークリアとなる。
  • ゲームの流れとしては各チャプターを順番に攻略し、クリア済みのチャプターは何度もプレイできる…とプラチナ製アクションによくある仕様。
    • 難易度は有利(易しい)、拮抗(普通)、極限(難しい)の3段階。有利では各種操作の自動化といったアシスト機能「守護モード」を使用可能。
    • 『ベヨネッタ』等ではチャプターで高評価を得るには、毎回チャプター内全ての戦闘(非強制も含む)を行い評価を得る必要があったが、本作では「各戦闘の評価は、今までのプレイの最高記録が保持される」ようになったため、その必要は無くなっている。
      • なお、戦闘評価によるランク付けは難易度を拮抗以上に設定している場合のみ行われる。
  • レギオン
    • 異形生物「キメラ」に対抗するためにキメラを基に作られた生体兵器。本作はこのレギオンを用いて敵と戦う。
      • 全部で5種類あり、ストーリーの進行に合わせて増えていく。入手後は好きなタイミングで切り替え可能。
+ (レギオン一覧。長くなるので格納)
  • ソードレギオン
    • 主人公のレギオンで、最初から使用可能。両腕が剣になっているのが特徴。
    • 攻撃力、防御力、移動速度とも平均的な能力を持つ。線に沿ってセキュリティや電波などを断ち切る斬撃と、キメラになりかけている人を戻す「ブルーシフト」が使える。
  • アローレギオン
    • 副主人公のアキラのレギオン。両腕が弓になっている。
    • 攻撃力は低めだが全レギオントップの移動速度を誇る。固有能力はエイムモードに移行しての精密射撃。
  • アームレギオン
    • 主人公たちの兄貴分であるジンのレギオン。名前通り両腕が発達した怪力自慢。
    • 移動速度はやや低いが攻撃力が高い。閉じられたシャッターをこじ開けたりオブジェクトを拾って投げつけるといった剛腕を活かしたアクションのほか、鎧のように纏える。
    • アームレギオンを纏っている間は浮遊状態になり、移動速度が下がる地形を無視できるようになる。そのまま攻撃も可能。
  • ビーストレギオン
    • 主人公たちの姉貴分であるアリシアのレギオン。巨大な犬を模している。
    • 高めの移動速度を持つが、レギオンで唯一飛行できない。警察犬のように物の匂いからターゲットを追跡したり地中に埋まったアイテムや敵を掘り出せるほか、主人公が乗って移動できる。
    • 四足歩行ゆえ他のレギオンと挙動が異なるため、操作に多少慣れが必要。
  • アックスレギオン
    • 主人公たちの養父であるマックスのレギオン。右腕が巨大な斧になっている。
    • 攻撃力が高いが、移動速度は全レギオン最低。障壁の破壊のほか、バリアの展開による鉄壁の崩御を誇る。
  • レギオンは呼び出せば基本的にオートで戦闘してくれるが、レギオンと主人公はタイトルにもなっている「アストラルチェイン」と呼ばれる鎖で繋がっている。当然ながらレギオンは鎖の届く範囲しか移動できない。
    • ZLを押しっぱなしにすると右スティックでレギオンを操作できるようになる。アストラルチェインを敵に絡めるように囲めば敵を一定時間拘束できる「チェインバインド」を発動できる。
    • この派生で、突進タイプの攻撃をする敵限定だが、鎖で引っ掛けて転倒させる「チェイントラップ」というアクションも存在する。
    • レギオンを操作している状態でZRを押すとレギオンのいる位置まで飛べる「チェインジャンプ」が発動できる。これは敵への強襲や足場の悪い位置を飛び越えたりと戦闘・探索の両面で使用することになる。
  • レギオンにはリミッターが設定されており、展開し続けてゲージが0になると強制的に解除されるので、こまめにオフにするなど管理には気をつける必要がある。
  • また、普通の人には姿が見えないため、離れたところからレギオンを近づけて盗み聞きさせるなど事件の捜査を進める上でも力を借りる場面もある。
  • エクスバトン
    • 主人公及びネウロン隊員が持つ警棒・銃・大剣の複合兵装。なおゲーム開始直後は大剣が使えず、シナリオが少し進んでから解禁される。
    • これ単体では少量のダメージしか入らないが、連続攻撃中タイミングよくZLを押すとレギオンとの同時攻撃である「シンクアタック」が発動できる。
      • シンクアタックはダメージ・攻撃範囲に優れる分、モーション中に敵の反撃で潰されることもあるため、発動するかは状況を見て適宜判断する必要がある。
      • シンクアタックには上記のようにコンボフィニッシュとして挟まるものの他、カットインとして挿入されるものもあり、そちらは発動中主人公が無敵となり、敵の反撃で潰される事もないため、戦闘を極めるならば後者が発動するコンボルートの吟味も必要となってくる。
  • アイリス
    • 序盤で支給されるコンタクトレンズ型の情報端末。+ボタンでいつでも起動できる。
    • 事件発生時の再現映像や敵の体力ゲージといったシナリオを進める上での情報のほか、キャラの詳細なプロフィールや電波やレギオン使用ポイントのヒントなど肉眼では確認できない情報が表示される。
      • 名前が表示されないモブキャラにも名前や性別はもちろん生年月日、血液型、身長、体重、スリーサイズまで設定されており、ポインタを合わせることで閲覧できる。ただし当初は身長や体重などは秘匿されており、主人公のランク(レベル)を上げることで確認できるようになる。
    • 起動すると画面にフィルターがかかったようになるため、肉眼では視界不良となる場所でも視界が効くようになるといったメリットも。
  • ちなみに上述した対応ボタンは全て初期配置の物で、ソフトメーカー側からの企画ということもあってか任天堂発売タイトルとしては珍しくキーコンフィグ機能が存在する。
    • ただし細かくプレイヤーが割り振る物ではなく、あらかじめ定められた4つの操作タイプから選ぶ仕様となっている。
  • オーダー
    • 他のゲームの「実績」に該当する物。単にステージをクリアすれば達成できる物から特殊な条件でキメラを倒したり、特定のタイミングで写真撮影するといった物も存在する。
    • 達成するごとに様々な報酬が手に入る。中にはこれでしか入手できないアイテムも…。
  • カメラ
    • 途中から使えるようになる機能。ズーム機能の他にも絞りや焦点距離調整、カラーフィルタ機能もあり、ボカシの入った写真や擬似的に逆光写真を撮ることもできるので意外と奥が深い。
    • 敵や人物、建物などを撮るとデータベースに登録され、本部で詳細情報を確認できる。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のハイラル図鑑をイメージするとわかりやすいか。
    • 普通に一人称視点での撮影や自撮りはもちろん、レギオンに撮ってもらうこともできる。

評価点

  • グラフィックはSwitch向けにリリースされているソフトに限れば間違いなく最上位の出来。
    • とにかく3Dモデルの桂氏の絵の再現度が高く、キャラの表情も桂氏の描く漫画そのもの。
      • 『NieR:Automata』のスタッフ+桂正和の共同作業故にそうなるのも当然とも言うべきか、特に 女性主人公のあの部位へのこだわりはスゴイ
        服のシワのリアルっぷりは一見の価値ありで、各種SNSにおいてもスクショ画像や動画が多数投稿され話題になった。
    • 建物の看板や什器といった背景も緻密に描かれており、サイバーパンク好きにとっても一見の価値があるビジュアルとなっている。
    • これだけのグラフィックながら画面全体にエフェクトのかかるアイリスへの切り替え時でも遅延等は起こらず、交戦中であっても即座に起動する。
  • もちろんプラチナゲームズ開発ということもあってアクションのカッコよさに関しては説明不要のクオリティ。
    • ムービーシーンも王道的な特撮風の演出がいくつか見られ、その手の作品が好きな人からは好評。鑑賞中に気をそいでしまうようなムービー中のQTEも今回は終盤にごくわずかにあるだけである。
  • 主人公が組織に属しているタイプの作品は主人公の周りのごく数名以外は実質名無しモブになることがあるが、本作はネウロン隊員一人一人に細かいキャラ付けがなされており、人によってはピックアップされるサブイベントもあるので印象に残りやすい。
    • 少々アニメ的なキャラ付けの隊員もいるため人によっては気になるかもしれないが、単なるモブキャラ止まりではなく組織として戦っている感の演出には一役買っている。
  • 完成度の高いデュアルアクション
    • 単に主人公とレギオンという2つのプレイヤーキャラクターを動かすのみならず、両者が「鎖で繋がった」事を生かしたアクション、探索上の仕掛けが多く、このシステムの魅力を存分に引き出している。
    • チェインバインド・トラップ・ジャンプを活用し縦横無尽に移動、レギオンを次々と変えて華麗なアクションを繰り広げていくのはかなり気持ちがいい。
  • レギオンの仕様
    • ゲームを進めるにつれて、使用可能なレギオンの種類が増えていくのだが、どのレギオンも個性的かつ、優劣つけがたいほどに優秀なので、随時「全種類」の使い分けを考えなくてはいけないという絶妙なバランス。
    • 弓状の武器を持つ「アローレギオン」はエイムモードでの狙撃が行える、犬を模した「ビーストレギオン」は嗅覚を活かし、地中に埋まったアイテムの捜索が行える等、それぞれのレギオンの能力が直感的に分かりやすいのもポイント。
    • また、シナリオを進めたり、レギオンを育てるとタイミングよく攻撃を回避すると発動する「ジャスト回避」から更なる反撃をするシンクアタックを習得する。他にも、受け身を取って体勢を立て直す、スティックとボタンのコマンドで使えるアクションを覚えるなど、レギオンを用いたアクションの幅は、育てれば育てるほど広がっていく。
      • 中盤には「ジャストレギオン」と呼ばれる敵の攻撃に合わせてレギオンを呼び出すと強力な反撃ができるアクションも存在する。スコアの評価にも繋がり、慣れれば更なる戦術を練ることも可能。
  • マニュアル操作時にXYボタンで放つスキルの割り振り、「アビリティコード」と呼ばれるアイテムを装備させてのパッシブ/アクティブアビリティの付与等、カスタマイズ性が高いのも魅力。
    • スキルの割り振りは、どのスキルも使い方次第では大ダメージを狙う、回避やジャストレギオンの失敗の保険などといった戦術に合わせた使い方ができる。一部のバフをかけるスキルはどのレギオンでも使えるので、レギオンごとの立ち回りに合わせることも、お好みで分けることもできる。
    • アビリティコードで付与されるアビリティはレギオン毎に独立しているほか、基本的にはレギオンを呼び出したときのみ有効になる*1。戦闘向けのアビリティもあれば探索向けのアビリティもあり、どのレギオンにどのアビリティを付与するかを吟味し始めるとあっという間に時間が過ぎる。
  • BGM
    • プラチナゲーの例に漏れず、BGMは良曲が多い。
    • フィールドBGMには非戦闘用の穏やかで神秘的なエレクトロバージョン、戦闘用の激しくエネルギッシュなメタルバージョンがあり、状況に合わせてシームレスに切り替わる。ベースは同じ曲なので、探索時の雰囲気を壊さず戦闘に突入できる。
    • 無論ボスには専用のBGMが用意されており、緊張感のある曲調がボス戦を盛り上げてくれる。
    • また、オープニングテーマ『Savior』も非常に人気が高い。
  • 幅広い層に対応した難易度・戦闘評価
    • 『NieR:Automata』と同じく戦闘を自動化できたり非常に有利な状態で進めたりと初心者にも優しいほか、体力が尽きる=即ゲームオーバーになる上級者向けの難易度も完備されており、自分の腕前にあった難易度でプレイできる。
    • 本作の戦闘評価は加点方式であり、「がむしゃら攻撃(攻撃の空振り)」「無闇に回避(回避中の被ダメージ)」といった項目にも微加点があるので、アクションが苦手な人でもリザルトが悲惨な事にならずに済むのも嬉しいところ。「残業手当(戦闘時間が長い)」のように妙に生々しいものも。
    • 無論、ノーダメージや戦闘時間の短縮、マルチプルバインド(一度に二体以上の敵をバインド)といった高度なスキル発動の方が加点要素としては大きいので、きちんとプレイヤーの上達が反映される評価法ともなっている。
  • やり込み要素も多い。
    • ストーリー進行で発生するイベント以外にもサブイベントが数多く用意されている。
      • サブイベントには、キメラを倒す等の重要度の高い「レッドケース*2」と、人間による犯罪を取り締まる等の「ブルーケース」が存在する。
      • レッドケースはチャプターの評価にも関わるほか、普通にシナリオを進めるだけでは発生しないものもあり、コンプするにはマップの隅々まで捜索する必要がある。ブルーケースはチャプターの評価に影響しない文字通りのサブイベントだが、引ったくりを捕まえたり子供にアイスを買ってあげたりといった「主人公が警官」というゲームでは割と珍しい設定を活かした内容のものも。
    • 収集要素としては各チャプターに1匹ずつ猫が配置されており、見つけるとセーフハウスで飼うことができる。
    • また、同じく各チャプターに1箇所ずつ仮設トイレが設置されており、調べるとトイレットペーパーが入手できる。これを本部のある場所にいる人物に渡すとアイテムと交換してくれる。サンドペーパーなど明らかにトイレで使うものではないものが混じっているのはご愛敬。
    • エンドコンテンツとして追加されるミッションは70を越え、いずれも「本編で設定したプレイスタイル(難易度)が無効となり、規定の復活回数、アイテムで戦い抜く」と、クリア済みプレイヤーへの挑戦状として相応しいものとなっている。

賛否両論点

  • 慣れるまで少々操作が難しい。
    • 本作はSwitchの全てのボタン操作をフル活用する。しかもキーコンフィングがタイプ選択式のため一部のボタン配置は変更できず、一つのコントローラーで人間キャラとレギオンの同時操作をする場面もあるため、最初は確実に頭がこんがらがると思われる。
    • 特にカメラ操作とレギオン操作が同じ右スティックに割り当てられているため、レギオン操作時は距離感が掴みにくい。また、プロコントローラーの中にはLRスティックの押し込みがニュートラル状態でないと使用できないものもあるため、プロコンの仕様次第ではこの押し込み操作で使用するダッシュとロックオンが使いづらくなってしまう(しかも、どの操作タイプでも変更が効かない)。
    • また序盤を乗り越えても、プレイが進めば新たにコマンドスキルやシンクアタックを習得したり、新しいレギオンを得たりするため、それらについても慣れる必要がある。序盤に限らずクリアまでずっと操作が慣れないという事もあり得る。
    • ともあれ覚えてしまえばスタイリッシュなアクションを次々と繰り出せるようになり、うまく分担作業したりコンボの面白味も分かってくる。
  • 謎解きアクション要素
    • 本作はネウロン本部~アークでの出撃準備・戦闘パート以外にもアストラル界での『ゼルダ』のような3D謎解きアクション要素が多分に含まれている。
      だが、発売前にこのことはあまり十分な宣伝がなされていたとは言えず、終盤のチャプターを除き謎解きパートは毎チャプター存在する。
      • このため、徹頭徹尾敵との戦闘をするゲームと思って購入したユーザーからは、期待していたゲーム内容とは大きく異なっていたという感想もある。
    • また、繁華街からスラムまでチャプターごとにステージビジュアルが変遷していくアークに対して、アストラル界はどこも仕掛け以外の背景が同じなため、続けてプレイすると視覚的な面白さが少々欠ける。
    • アストラル界での謎解きパートそのものは極端に難しいというわけでもなく、『ゼルダ』等に慣れてるユーザーからはそこまで悪い評価はなされていない。
      • あくまでイメージの問題であって、客観的に見て一定程度の出来には仕上がっているとは言える。また、今からこのことを承知の上で購入する分には事前のイメージとのギャップを感じることはないとは思われる。
  • ミニゲーム要素
    • 本作のサブイベントには「アームレギオンの『把握』を使った倉庫番」「コントローラのジャイロでバランスを取りながらの運搬」といった非戦闘系ミニゲームも含まれる。
    • サブイベントのバラエティ増加には貢献しているのだが、一部とはいえレッドケースというチャプター評価に関わるものとして組み込まれているため、これらを苦手とするプレイヤーからは「全てブルーケースにして欲しかった」「エンドコンテンツとして入れて欲しかった」という声も。
  • ジャンプはレギオン頼り。
    • 本作はアクションゲームながら自由なジャンプが出来ず、レギオンを用いたチェインジャンプしか使えない。
    • このためある程度の高低差のある場所は高台から回り道をする必要があったり、アストラル界は浮島になっている地形が多いため常にこれを用いて探索する必要がある。
    • ジャンプ位プレイヤーの好きにさせてくれという感想もあるが、マップはこれを前提にした作りになっているため仮に出来るとなるとレギオンの必要性がそもそもなくなるので、その辺りはゲームコンセプト上仕方ないとも言える。
  • 着せ替えは自分とレギオンのカラーリングに関してはかなり細かく弄れるのだが、服のパターンは少なめ。
    • 基本的には初期の服の上着を脱いだり装備の付け外し程度しか変えられない。一応日常服はあるが作中でも「ダサい」扱いされている通りかなりダサい。
      • もちろんこのほかにも条件を満たせば入手できるネタ装備は用意されているし、ゲームをクリアする上では有っても無くても関係ない要素ではあるが、もう少し遊びが入った衣装やセクシーな衣装が欲しかったという声も。
    • 髪型やアクセサリーは色々用意されているが、ほぼ全てが他の名前付きネウロン隊員(の3Dモデル)からの流用なので、デフォルト以外だとかえって特定の隊員と若干見た目が被る。

問題点

  • メインストーリーの終盤に少々粗がある。
    • ネタバレ回避のため一言で言うと「 第一部、完。 」といったもの。ひとまずの決着はつくが本当にひとまず止まりで、作中世界で起こっている問題の根本的解決には至らない。
      • その終盤に至るまでに「あからさまに怪しいのに何故か味方サイドから信じられている人」や「重要な情報をさっさと言わないせいで横やりが入る」といった展開があり、「悪い意味でも平成一期(2000~2009年内)の仮面ライダーのようだ」と言われることも。
      • また、クリア後にある人物が復活するのだが、復活方法が当人が望んでいたとは言いにくい物のために、単純に九死に一生を得たという形でよかったのではという意見も。
    • スタッフは続編を制作したいという意向は示しているが、裏返すと本作発売時点では続編制作は確定してはいないということで、残った謎などが今後明かされるかは未定。
      • 意味深な裏ボスがいるので、それも絡めて全ての問題を解決できるハッピーエンド、次回作以降に繋ぎやすい現状維持のノーマルエンド…と言った感じでマルチエンドにする等もう少しやり方はあったと思うのだが。
  • フレームレートが可変30fps。
    • 昨今のアクションゲームはフレームレートが60fpsであることが多いため、少々残念。
      • 他のプラチナ製のアクションゲームは殆どが60fpsで、同じSwitchのゲームでも前世代機の移植ではあるが『ベヨネッタ』シリーズは安定した60fpsのため残念がるファンは多かった。
      • アクションゲームなのだから、画質やグラフィックは二の次にしてフレームレートを上げて欲しかったとの声も多い。
    • 概ね安定して動作してはいるが、乱戦やエフェクトがアップになるなどの現象が起こるとカクつく。
  • 守護モードONの状態だと主人公が強制的にオーラを纏った状態になる。プレイに支障は無いが、黒目と白目が分からなくなるほど青く光っており、撮影モードでも光ったままであるため、オーラの非表示設定が欲しかったという声も。
  • カメラワーク
    • 戦闘中にフィールドの隅や見えない壁の近くにいるとカメラがそこに引っかかるのか視野が悪くなり、主人公が死角に入りやすくかなり操作しにくい。これが原因で理不尽なリンチに合うこともある。
    • また、ビーストレギオン搭乗時では、何故かカメラの視野が勝手に前方に戻り、自由に操作できない為、移動する場所によってはこちらも操作し辛い。

総評

完全新規IPではあるものの、グラフィックとアクション面に関してはプラチナ製なだけあって安定の出来。
シナリオのボリューム・完成度に関しては物足りなさを感じてしまう部分はあるが、デュアルアクションの戦闘・探索双方における引き出しは新規タイトルながらも幅広い。
とりわけ各種アビリティ習得後のマニュアル操作の面白さは2019年発売のアクションゲームにおいては群を抜いた快感がある。

コンセプトを理解した上で王道的な演出や3Dアクションパズル要素が苦手でなければぜひプレイしたい一作だろう。


余談

  • 発売前に一部ニュースサイトにて「本作は三部作構想」との報道がなされたが、これは田浦D本人が「そんな事実はありません。僕の頭の中では3部作どころかそれ以上に展開できるくらい色々考えている、と答えただけです。」とTwitter上で明確に否定している。
    • 発売後の評価自体は国外を中心に高く、海外のプラチナ公式Twitterアカウントでは「成功した」という旨のツイートがなされている。本作のみではストーリー上の謎も残っているために今後に期待したいところである。
最終更新:2023年04月17日 16:23

*1 例外として、「アビリティ効果拡張」をセットしたレギオンを選択している間は、そのレギオンに付与したアビリティが常時発動するようになる。

*2 便宜上、シナリオ進行に必須のイベントもレッドケースに分類される。