クマ・トモ

【くまとも】

ジャンル しんゆうができちゃうゲーム
対応機種 ニンテンドー3DS
メディア 3DSカード、ダウンロード
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 バンダイナムコゲームス、アリカ
発売日 【通常版】2013年6月20日
【廉価版】2016年3月17日
定価 【通常版】4,980円(税込)
【廉価版】2,916円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
セーブデータ 1個
判定 なし
ポイント プレイヤーにべったりな生きたぬいぐるみを養う
きちんとストーリーがある

概要

プレイヤーの元に喋れるクマのぬいぐるみが届けられるところから物語が始まる。 クマのぬいぐるみに名前を与え(以降ではクマトモと呼称する)、クマトモを世話していくのがメインとなるコミュニケーションゲームである。 食べ物を与えたりお風呂に入れたり、言葉を教えたりして触れ合っていくうちに、クマトモはプレイヤーと親密になって行く。

ストーリーも存在し、プレイヤーとの親密度が進むにつれて、クマトモの秘密が分かっていく仕組みとなっている。

システム

  • しあわせのカケラ
    • 星型の消費アイテム。クマトモの世話をしたり話を聞いてあげると増加する。
    • 蓄えられる最大値は999。花壇で植物を育てる際に必要となる。

お世話系統

  • おしゃべり
    • クマトモと対面して触れあいするモード。
    • 3DS下画面にクマトモのシルエットが出てくる。そこをタッチするとクマトモとスキンシップが可能。
    • 吹き出しマークをタッチすると雑談する。
    • 飴(詳細は後述)をあげることができる。飴を一定数なめさせるとクマトモの体色が変わる。
  • ごはん
    • 料理してから食べさせるところまでが1セットの行動。
    • 料理を作る際は、『クッキングママ』のように何工程かに分かれるタッチペンミニゲームをこなすことになる。時間をかけないほうが評価が高い。
    • 食べさせてあげるときには、切り分けてあげたり熱いので吹いて冷ましてあげたり、食べさせてあげたり、口に食べ物が付いたらふき取ってあげたりする。
  • お風呂
    • スポンジでこすって体中の汚れ(黒い泡)をかきおとし、最後にシャワーで洗い落とすことになる。

外出

  • 花壇、お店、駅に外出できる。
  • 花壇
    • 資金源としても機能している。しあわせのカケラを20だけ消費して水やりすると植物が生えてきて何度か水やりすると収穫可能な段階にまで成長する。
    • 収穫するとお店での買い物に使えるお金が手に入る(手に入れた植物を売ってもお金になる)。またランダムで収穫した植物に関連する種が手に入る。
      • 新しく見つけた(収穫した)植物は植物辞典に登録される。
    • ミッションが存在し、達成していくことで報酬(金銭、新しい花の種の新規入荷など)が得られる。
  • お店
    • キャンディ、ファッション、ガーデニングの3つの分野のお店が並んでいる。
    • キャンディ、ファッションはプレイする季節や時間帯によって品揃えが変わる傾向。
    • 花壇で得たお金や、物を売って得たお金で買い物ができる。
    • 特定の服を着せて駅に行くとお出かけイベントが発生。

質問

  • ラブ質問タイマー
    • 3DS上画面の左上に表示されるくまの顔の形をしたメーター。
    • クマトモに何かしらの世話をするごとにメーターがたまっていき満タンになると、クマトモから質問されるイベントが自動で発生。
    • 何かを教えることになる。
    • クマトモが汚れていたり空腹だったりするとラブ質問タイマーが満タンでも質問が発生しない。
  • 質問
    • 原則、「選択肢から選ぶ」、「言葉を入力する」の2パターンで回答する。
    • 30回の質問に答えるとラブレベルアップ。
    • クマトモへどんな回答をしたのかはきちんと記録され後からでも確認できる。回答は後から訂正することも可能。

その他

  • じょうほう
    • ノートからいままで答えた質問の回答、教えた言葉の確認・変更が可能。
    • 今までに買い与えた服、発見した植物、クマトモからもらった大事なアイテムの確認が可能。

評価点

  • クマトモの外見
    • いろいろな表情・しぐさも簡易的ながら自然。
    • グラフィックが鮮明で、ぬいぐるみのモフモフな質感が3DSの画面できちんと再現できている。
    • しぐさは親密さが増すたびにだんだんと増えていく仕組み。
    • 着せ替えも可能。帽子、服(トップスおよびボトムス)、マフラー、くつ、アクセサリの付け替えのほか、クマトモの地毛の色も数パターンから好きなものを選べる。作れる組み合わせの数は膨大になっている。
  • ストーリーがあること
    • クマトモと交わせる大半が取り留めの無い会話ではあるが、非常にパターンが多く、何回もプレイしていても同じ会話が出てこない。会話自体も単発で終わってしまうのではなく、前の会話の内容を踏まえたりするケースも多い。
    • 教えた言葉が文章に取り込まれるシステムに出てくるので、プレイヤーごとにオリジナルの文章となる。
    • 取り留めの無い会話以外にも、ラブレベル16になるまではきちんとストーリーが存在する。
    • クマトモが投げかけてくる質問も全300問とかなり多め。
  • 家の内装やお庭は良く作られている
    • 家の家具はよく整頓されており、毎日見かけるにしても目に毒とならない。
    • 上画面の3D視がフルに活きる場所でもある。特に園芸で育てた作物は立体視すると画面がから飛び出すような迫力のある構図で描かれる。
  • 料理の工程
    • 3DSを左右に揺さぶってハンバーグの種を作ったり、マイクに息を吹きかけて熱い食べ物を冷ますといった、3DSの機能を活かしたものとなっている。
    • 絶妙に手間がかかるようになっている。故意にふざけたプレイでもしないかぎり料理が惨憺たる出来になったりもしない。クマトモに食べさせる工程もあるため、クマトモにきちんと愛情を伝えている感覚になれる。
  • クマトモに「心」があるように見えること
    • 決して本格的なAIテクノロジーが用いられているわけではないが、プレイヤーの反応に応じてクマトモの発言傾向を調整する程度のことは行っている。
      そのため、プレイヤーはあたかもクマトモが「心」や「知性」を持っているように錯覚してしまい、強い愛着を抱かずにはいられなくなる。
      • いわゆる「人工無脳」「チャットボット」の一種なのである。
        ゲームジャンルとしては『どこでもいっしょ』の同類なのだが、こちらの方が「より語彙が多い」「音声合成で喋る」「会話以外の要素もあり一緒に暮らしている感覚がある」「プレイヤーの身の上に踏み込んでくる」などの理由により、より強い印象を受けた・生々しく感じたという感想が多い。

賛否両論点

  • クマトモが純朴すぎる
    • クマトモに嫌われることは無いため、基本クマトモに何をしてもいい。
    • 中盤だと子供あるいはペットを養っている気分になり、ラブレベルが高くなるとまるで恋人のようになる(キスしてくる、語尾にハートマークがつく、恋愛対象として意識しているようなセリフが出てくる)ためプレイヤーとの温度差は生まれやすいと思われる。「親友ができちゃうゲーム」という触れ込みだが、若干齟齬があるのは否めない。
  • クマトモのボイス
    • 一応発話に抑揚はあるが、機械的なボイスらしく若干たどたどしい。
    • 読み上げる速度も遅め(3文字/秒程度)。Aボタンでスキップも可能だがスキップしてしまうとそれはそれで本末転倒かもしれない。
    • この舌足らずな感じがかえって癖になる人もいるにはいる。
    • プレイヤーの設定した名前もきちんと対応して読み上げてくれる点は、ゲームの中ではかなり珍しい機能。
  • 通信に一切対応していないこと
    • 知られたくない情報が外部に漏れることもないし、外部のプレイヤーから不快な言葉を投げかけられるリスクは確かに無い。
    • 一応、プレイヤーのリアルの知り合いに3DSを持たせて、自分が育て上げたクマトモと会話させることは出来る。

問題点

  • 答えづらいことを質問してくる
    • 何もかも答えにくい質問という訳でもないが、一部の質問がプレイヤーの抱える繊細な部分にズケズケと踏み込むような内容(恋愛遍歴等)で非常に回答に困るケースがある。適当な答えでもゲームの進捗に差し障りは無いが必ず答えなくてはならない。
    • この点が気になってしまうと、本作の肝ともいえる癒しの効果がだいぶ損なわれてしまうだろう。
  • プレイヤーのライフスタイルの多様性を考慮していない
    • クマトモは、プレイヤーには家族がいて会社や学校に通っていることを前提として会話をしてくる。
      そのため、これらに該当しないライフスタイルを送っている人がプレイすると、非常に辛い思いや不快な思いをさせられることが、たまにある。
      • たかがゲームで大げさな、と思われるかも知れないが、それだけ本作が「人の心」に深く踏み込んでくることの裏返しである。
      • また、一般的なゲームのような「主人公キャラ」がおらず、プレイヤーが自分自身としてゲームに向かい合うために起こった弊害とも言える。
    • なお、一部の匿名掲示板ではこの部分が過剰にクローズアップされ、半分冗談・半分本気で、本作を「鬱ゲー」と断じる人も現れた。
  • やや作業的な日常
    • 常に窓から差し込む光は昼間のものであり、生活感はあまり見られない。
    • メインストーリーが存在する上、日常会話でも同じような話題が出続けない。とはいえ、結局会話をしてお風呂に入れて、料理を食べさせて……とやれることが少ない。続ける意欲に繋がりにくいのはネック。
  • その他タッチ・移動関連
    • お風呂でなかなか汚れを落としきれずに手こずりやすい。またお風呂に入っている間にできることがほぼほぼワンパターン(前側の汚れ→後ろ側の汚れ→前側をシャワー→後ろ側をシャワー)。
    • 場所移動が1回のタッチで出来ない
    • 移動する場所を選んで、再度「○○へ移動する」というコマンドを選択しないと移動してくれない。関係ないところをタッチすると元の画面に戻ってしまう。
    • たてつづけに複数の場所にお出かけ出来ない。例えばお店に立ち寄った後に花壇に行きたかったとしても、その前に必ず部屋に戻らなくてはならない。

総評

3DSのポリゴン描写とストーリーを存分に活かし、クマのぬいぐるみとの鮮明で暖かい日常を堪能できる。
心理的にも物理的にも近くに迫ってくるようになるクマトモの性格面から人を選ぶかもしれないが、最低限の文章量とクマトモと触れ合えるギミックが備わっており、何も考えずに癒されたい人にはお勧めの一作。
「心」を持った(かのように見える)ゲームキャラがこちらの「心」に踏み込んでくるゲーム内容は、「心」を傷つけてしまう危うい可能性までも含めて、他に類のない唯一無二の物であったと言えるだろう。
一見かわいらしいクマトモだが、実は意外と「グイグイくる」性格である。あなたは受け止めてあげることができるだろうか。

続編

  • ネコ・トモ(Switch/3DS)
    • 今度は2匹の喋る猫と暮らす。ストーリーは一新され、本作からの変更点や新要素もある。キャッチコピーは「ほんわか家族ができちゃうゲーム」。 本作のクマトモもゲストキャラとして登場している。
      • 2020年11月19日にはSwitchで「ネコ・トモ スマイルましまし」が発売。
      • オリジナル版から様々な改善や新要素の追加が行われ、定価も下げられた。 Switch版は無料でスマイルましましにアップデートが行われたが3DS版については既にハードが型落ちしていたためかアップデートは行われず、代わりにSwitch版へと一部の要素を引き継げる機能を実装するに留まった。

余談

本作はバンダイナムコが手がけるゲームとのコラボレーションが非常に盛ん。例えば、『アイカツ!』の作中にエンジェリーベアというクマのぬいぐるみが出てくることから、公式サイトにコラボの漫画が掲載されるなど。

最終更新:2025年01月11日 06:49