Dusk Diver 酉閃町

【だすくだいばー ゆうせんちょう】

ジャンル アクション

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Windows(Steam)
発売元 JUSTDAN INTERNATIONAL
【Win】WANIN Games
開発元 JFI Games
WANIN Games
JERA
発売日 2019年10月24日
価格(税込) 【Switch/PS4】5,280円
【Win】3,900円
プレイ人数 1人
判定 なし
ポイント 台湾製アクションゲーム
ローカライズは極めて良好
総合的な出来は前世代機レベル


概要

台湾のゲームメーカーであるJFI Gamesが中心となって開発された3Dアクションゲーム。
物語の舞台となる西門町は台湾に実在する地域*1で日本で言えば原宿や渋谷などに例えられる地域である。

ストーリー

平凡な女子高生「ヤン・ユモ」は、ある日友人と待ち合わせていたはずの「 西門町 (せいもんちょう)」6番出口にて
現実とは全く違う不思議な街「 酉閃町 (ゆうせんちょう)」へと迷い込んでしまう。

そこでユモは異次元の危険な生物 ―― 厄禍 (わざわい)と崑崙の守護神である「リーオウ」と出会ったのだった。

――今、ユモの守護の物語が始まる!

特徴

  • 基本的なゲームの流れとしては西門町を探索しメイン・サブクエストをこなせば異世界である酉閃町に突入できるようになり、3Dアクションパートが始まる。
    • 酉閃町に突入するためには龍脈石のカケラというアイテムを一定数収集する必要があり、これは西門町のあちこちに隠れているのを拾ったり各クエストをS評価でクリアできれば報酬として入手できる。
    • 西門町に落ちている物は近い位置まで近づけば隠し場所のヒントが貰える。また、特定のサブイベントを攻略するとお金を消費してどの辺りに隠れているか分かるようになる。
  • 西門町では自由な探索が行える。
    • 西門町内にあるコンビニではセーブや攻略済みステージへの再挑戦や、一部のサブクエストの受諾と進行、消費アイテムの購入、主人公と守り神たちの着せ替え、ギャラリーの観覧などが行える。
      • 着せ替え衣装やギャラリーの画像はシナリオ進行に伴い西門町の各地にあるガチャポンが解禁され、そちらで入手できる。
    • また、西門町内には無数の飲食店や屋台が存在し、食事をすることができる。食事しておくとメニューごとに異なる能力のバフ効果を得られる。
    • 同じ店舗でメニューを頼んでいると友好度が上昇していき、最大値になれば店まで出向かなくてもコンビニから出前を頼み食事することができるようになる。
  • アクションパートは弱・強攻撃の組み合わせに応じたコンボが発動する、いわゆる無双タイプのものになっている。
    • 敵を倒しているとSPケージが溜まっていき、SPケージを一本消費することで守り神(仲間キャラ)の援護攻撃を発動できる。
    • 仲間たちの援護攻撃が成功するとTPケージが溜まっていき、最大値になるとユモ本人の性能を一定時間強化できる「D武装」が発動できる。
      • D武装発動中に仲間を呼ぶと「D武装フィニッシュ」といういわゆる必殺技を繰り出せるようになり、相手に大ダメージを与えることができる。
    • 守り神はシナリオ進行で3人まで増え、それぞれ十字キーの上・左・右で切り替える。ちなみに十字キー下はアイテム使用に割り振られている。
      • 守り神たちの援護攻撃は個別のサブクエストをこなすと新たなアクションを習得できる。
    • ガードが無い代わりに緊急回避が存在し、タイミングよく回避することで一定時間周囲をスロー状態にできる。
      • ただしクールタイムが存在するため延々と回避行動をしても一定時間が経たなければ再びスロー状態にはできない。
  • ステージをクリアするとお金とスキルポイントが入手できる。
    • スキルポイントはユモ・守り神で共有しており、ポイントを消費することでHPや攻撃力など各能力を強化することができる*2

評価点

  • 非常に丁寧なローカライズ
    • 海外製タイトルは何かと問題になりがちな日本語訳だが、本作は国産タイトルと比べても全く違和感がない程翻訳のクオリティが高い。
    • もちろん日本語吹き替えも行われており、主人公であるユモ役・佐藤利奈氏を始めとした豪華声優陣による日本語ボイスが一部のサブイベントやストーリーの幕間を除きほぼついており、ゲームの面白さを盛り上げてくれる。
    • 一方背景の文字やストーリー中の固有名詞などはちゃんと表記上は原語のままなので海外産のゲームをプレイしている感覚はある。
  • 好感が持てるキャラクター
    • 近年は国産アニメ的なキャラデザの海外製タイトルも珍しくなくなったものの、その中でも特に国内製タイトルと並べても違和感のないキャラクターデザインとなっている。
    • 登場人物たちの掛け合いは全体的に毒のないノリで見てて安心感のあるものとなっている。
      • 味方同士での脚の引っ張り合いや極端にヘイトを溜めるキャラなどがおらず、そのような展開やキャラクターが苦手な人でも手に取りやすい。
    • 着せ替え衣装には学生服や戦隊ヒーローのようなスーツ等キャラに全く似合わないシュールな衣装もあり、ビジュアル的に面白い。
  • 西門町のグラフィックは質自体は近年のHDゲーとしては少々落ちるものの、細かい看板などを含めた再現度自体は高い。
    • 飲食店の料理や内装も実在の店舗とのコラボ企画が行われており、実物の写真が採用されているため非常においしそうである。
    • 西門町内はエリアごとに細かく区切ったりはされていないため、画面の暗転やロード時間などは存在せずスムーズに移動ができる。

賛否両論点

  • こぢんまりとしたキャラクター数
    • シナリオを一口で説明すると「異世界と台湾の危機を救う」というものなのだが、名あり・固有グラのキャラは10名以下のためシナリオの規模に反して話を回すキャラの数が足りていない。
    • 西門町のサブイベントの依頼人には複数回登場するキャラもおり、守り神の旧知の人物の存在も示唆されるため全キャラ数が10人以下というわけではないが、もう少し専用立ち絵ありのキャラがいてもよかったのではないか。
      • 特に約一名を除き登場人物のほぼ全てが味方キャラか西門町の一般市民・観光客となっているために深刻な敵キャラ不足が起こっており、結果的にストーリーの重みが薄くなっている。
      • 一応舞台を西門町に絞っているためモブのNPCすらロクにいないということはなく、守り神のサブイベなどでは地域に密着した内容が語られるので壮大にしすぎた結果失敗とまでは行ってないが、絵がいいだけに惜しいところ。
  • シンプルなゲーム性
    • 操作は簡単でライトユーザーにも遊びやすく、守り神たちもそれぞれ近距離・範囲・遠距離兼設置タイプと個性わけはされている。
      • だが、素のユモのアクションがD装備の解除後は特に変化はないので慣れてくるとやや単調感も感じる。
      • 特に近年の本家無双シリーズ他のジャンルの要素を盛り込んだり、コラボ先の作品の要素を組み込んだりと様々な方法でマンネリ打破を行っているだけに、
        本作は過去に無双シリーズないし無双ライクゲーを遊んだ経験があると「前やってたのとほとんど同じ」と感じてしまいやすい。
    • また、国内製タイトルで小規模な範囲の街を舞台にしたゲームといえば『龍が如く』などが挙げられるが、あちらでお馴染みとなっている寄り道要素やミニゲームなどが一切ない。
      • このため基本的に、メイン・サブを問わずクエストを受諾したら3Dアクション面をクリアしてまた次のクエストへ…という流れを繰り返すだけになる。
  • 龍脈石のカケラは寄り道をしていないと規定数まで集まらないため、やり込みは後回しにしてすぐに話を進めたい派のプレーヤーからはあまり評判はよくない。
    • 一部の面のアクションパートで入手できるカケラは、「ステージギミックを作動させた場合もうそのプレイではとれなくなってしまう」という配置になっているものが存在し、初見殺し感がある。
    • 一旦クリアすれば再挑戦できるとはいえ、不親切感がある。

問題点

  • メインストーリー自体のボリュームが価格を考えると少なめ。5~6時間程度で終わる。
  • 雑魚敵に関して
    • 敵の種類が少ない。
      • 種類の少なさを補うためかシナリオ後半は色を変えて体力が高いだけの亜種タイプの敵がひたすら出るようになり、テンポが悪い。
      • 遠距離タイプの敵はこちらがカメラを向けていなくても画面外から攻撃してくる場合があるので、これでコンボが途切れると苛立たしい。
    • 作中でも言及されるが、異世界の異形の怪物という設定に反し少々かわいらしいデザインの敵もいる。結果的に作中で語られている事態の深刻度が薄れてしまっている。
      • ボス敵以外はほぼ全ての敵が黒い塊を引き延ばして少々色を付けたようなデザインで、いくら雑魚とは言え人間キャラとの力の入り具合の落差があまりにも大きい。
      • 難しいかもしれないが、敵も台湾の民話や生息している生物をモチーフにしたり、台湾にこだわることが難しいのならば広くアジア的な要素をデザインに盛り込んだような敵にするとよかったのではないか。
  • ジャンプの動作が重く、慣性のかかり方が不自然なので狙ったところにジャップするのがかなり難しい。
    • もっとも雑魚敵と戦闘する分にはあまり支障はないのだが、ゲーム後半に3Dマリオのようなアクションを要求されるマップが存在し、その面にてこの挙動の悪さがモロに出る。
    • また、ステージ中の龍脈石を取ろうとする時も正確なジャンプアクションを要求される場面がある。
      • こちらはある程度取り逃してもサブクエストなどで入手できる分の龍脈石があればストーリークリアするのに必要な数だけは集まるため大きな問題にはならないものの、素直に操作性を良くしてほしかったところ。
  • 初期版はかなり動作が不安定で、アプリケーションエラーが発生したりサブクエストが正常に進行しないフラグ管理ミスがあった。
    • 現行バージョンではある程度改善されてはいる。

総評

ゲームそのものを根本からダメにしてしまうような致命的な問題点こそない。
が、ゲームの出来としては旧世代機の3Dアクションゲームを今になってそのまま出したようなものであり、どうしても近年のCS機向けに発売された評価の高い3Dアクションゲームと比べてしまうと作りの甘さが気になる部分がある。

とは言えキャラクターに関しては不快要素がないどころかむしろ好感を持てる造形となっており、現代の台湾を舞台にした日本アニメ風のゲームというのは限られているため独自色はある。
不具合に関しても投げっぱなしにせず適宜修正するなどゲーム作りに関する姿勢は真摯的とは言える。
良作とは言い難いが、台湾のゲーム界の今後を応援したいというならば将来への投資目的で買ってみてもいいかもしれない。

その後の展開

  • 2022年2月24日にJUSTDAN INTERNATIONALから続編となる『ダスクダイバー 2 崑崙靈動』が発売された。対応機種は本作同様Switch/PS4/Win(Steam)。
最終更新:2024年06月18日 22:38

*1 具体的には台北市の西端にある万華区の地名。現地語読みは「シーメンディン」である。

*2 どの項目も最大値は存在するのでそれ以上は上げられない。