サイレントスコープ

【さいれんとすこーぷ】

ジャンル ガンシューティング
対応機種 アーケード(HORNET)
発売・開発元 コナミ
稼動開始日 1999年
プレイ人数 1人
判定 なし
ポイント 高評価な狙撃システムと映画風の演出
ゴルゴ13』とは違う意味で高難度


概要

コナミが1999年にリリースした、フル3Dの狙撃型ガンシューティングゲーム。
プレイヤーは筐体の画面に表示されたステージの全体映像から敵を探し、狙撃銃(スナイパーライフル)で敵を撃っていくのだが、
筐体だけでなく狙撃銃のスコープ内にも「望遠映像」用の小型モニターがあり、2つの視点を用いて敵を狙撃する点が最大の特徴。
同時期にナムコからリリースされた『ゴルゴ13』とはまた違った狙撃型ガンシューティングゲームとして、国内外でヒットした。

今作は当時すでに『GTI CLUB』『スリルドライブ』などの大型筐体ゲームをヒットさせていた松山重信氏の作品であり、
後の『ザ・警察官』『ワールドコンバット』といった同社のフル3Dガンシューティングゲームの礎となった作品でもある。


ストーリー

アメリカ合衆国の大統領とその家族が遊説先のシカゴにて武装テロリスト集団に襲撃・拉致された。
その直後、テロ組織から大統領一家の身柄と引き換えに組織の最高指導者の釈放を求める犯行声明が発せられる。
事態を重く見た米政府は、テロ組織の壊滅及び大統領一家を保護すべく、現地在住のある男にこれを極秘に依頼。
元英国対テロ部隊員で超一流の狙撃手であるその男「ファルコン(コードネーム)」は現場に急行するのだった…

第1作目の時点ではプレイヤーキャラクターに名前は無かったが、第2作目でコードネームが「ファルコン」と明かされ、
2002年発売のゲームボーイアドバンス版の本作でもその名で表記された為、便宜上当ページでも「ファルコン」と記載。


基本システム

  • 装弾数5発のセミオート狙撃銃*1を用いて、制限時間内に画面上のテロリストなどの敵や標的を撃っていく。
    敵の攻撃を受けるか、一般市民(人質)誤射でライフがゼロになる、または制限時間が無くなるとゲームオーバー。
    • 狙撃銃の残弾数は画面左下に表示されているが、リロードは撃ち切った際のみに行われ、その間の2秒ほどは射撃できない。
    • 現在のライフ数は画面右上の救急箱で表わされており、開始時のライフ数は筐体設定により異なるが、最大数は8個。
      敵の攻撃の種類により1個または0.5個減り*2、1回の誤射で1個減り、ステージ中にいる若い女性を覗くと1個回復する。
    • 制限時間は50秒。敵の撃破または全滅で少し回復するが、カットシーン以外では常に減っていくので、迅速なプレイが必要。
  • 前述の通り、筐体には「ステージの全体」を表示する29インチのブラウン管モニター(以下「メインモニター」)と、
    狙撃銃型コントローラー*3のスコープ内に付いた「望遠映像」を表示する2インチ液晶(以下「スコープ内」)がある。
    ゲームを通して『メインモニターで標的の大まかな位置を把握し、スコープ内で狙いをつけて狙撃する』必要がある。
    • メインモニターには現在の照準位置を示す赤い丸型のサイトが表示され、左上にはボスや倒した敵が拡大表示される。
    • 原則としてステージ中の敵が発砲する、または一定時間経過で両モニターにその敵の位置を示すマーカーが表示される。
      それぞれメインモニターには回転する「∴」型、スコープ内には最も近い敵のいる方向が「△」型の赤い矢印で表示され、
      前者は敵がこちらを未発見だと「 TARGET 」、発見されると「 CAUTION 」、攻撃直前で「 DANGER 」と色が変わる。
      • 標的が人間でなく単なる的となっている「シューティングレンジモード」でも、的の位置が同様に表示される。
    • スコープ内には着弾スコアやリロード表示の他、非使用時は「SCOPE OFF」表示と現在の制限時間・ライフ数が表示される。
      ライフ数の減少時にはスコープ内にも表示され、制限時間が10秒以下では画面全体に赤字のカウントダウンが表示される。
  • モードは通常モードの「ストーリーモード」の他、「タイムアタック」、「シューティングレンジモード」の3つ。
    • 「ストーリーモード」の一部ステージでは途中で次のルート選択が可能。それによりボスの種類や次のステージが変わる。
    • 「タイムアタックモード」では特定コースの制限時間内のクリアと成績を競う。敵の攻撃や誤射によるダメージは無い。
      コースは3つの難易度に分かれており、全てストーリーモードのステージが使われているが、各所が短縮化されている*4
      • 『EASY』ステージは「DOWNTOWN」のみ。こちらは開始時のルートが固定されており、コブラ戦が省略されている。
        『MEDIUM』ステージのみ3ステージ構成で、「DOWNTOWN」のスタジアムルート→「HIGHWAY」→「HOTEL」となる。
        『HARD』ステージは最終ステージの敵アジトの目前から開始、以降は大幅に短縮された豪邸内とモニカ戦をプレイする。
    • 「シューティングレンジモード」は屋内射撃場での射撃を競うモード。様々な条件下で様々な形の的を狙撃していく。
      ゲーム終了時の成績により、プレイヤーの腕前がランク付けされ、スコアランキングでもそのランクが表示される。
  • 雑魚敵は体の箇所に関係なく1発銃弾を当てると倒せるが、各ステージの最後に登場するボスは耐久力を持っている。
    ただし、弾が頭部に当たると「HEAD HIT」となり雑魚・ボス関係なく一発で倒せるほか、撃破スコアも2倍となる。
    • 敵には階級による着弾スコアの倍率が設定されており、幹部やボスとなると通常よりも遥かに高いスコアを得られる。
      また、弾を外すことなく敵に弾を当てるとスコアが100点ずつ上がっていくが、1発でも外すと基本点に戻ってしまう。
    • 弾には貫通機能があり、1発で2人以上の敵を倒すと「DOUBLE HIT」となり、敵の数に比例してスコアが倍になる。

ステージ一覧

+ 各ステージ紹介
  • イリノイ州・シカゴ DOWNTOWN 8月20日 午前12時(第1ステージ
    • 依頼を受け、襲撃現場の繁華街へ急行したファルコン。大通りでテロリストに応戦する警官達を周辺のビルから援護する。
      援護の後はビル屋上に上り、他のビルの屋上から狙撃を行っているテロリストの残党を排除すべく、遠距離狙撃に臨む。
      • ゲーム開始直後のモードセレクトでストーリーモードを選択した際の残り時間により、開始ルートが3つに分岐する*5
    • ステージ途中で「超高層ビル屋上の敵集団排除」「敵戦闘機迎撃」「スタジアム内の敵の排除」の3つからルート選択。
      何れも警察のヘリコプターに乗り込み、それぞれボスの「スコーピオン兄」「スコーピオン弟」「コブラ」と交戦する。
      • スコーピオン兄弟は大統領夫人を攫った元ボディビルダーで、兄(ライフ5)はロケットランチャーと部下の銃撃で攻撃し、
        弟はハリアー戦闘機(ライフ30)を操り、ビル街でのチェイスを繰り広げながら機関砲やロケットを用いて攻撃してくる。
        このうち弟は弾を当てると攻撃を遅らせることができ、操縦席のガラスを撃ち破って本人を撃つと大ダメージを与えられる。
      • コブラは手口の冷酷さ・不屈の精神力と肉体から「アイアンマン(鉄人)」と仇名された、黒い服を着た色白の殺し屋。
        今回の事件以前にファルコンによって右腕に重傷を負わされて以降、改造手術を施した右腕で、彼を執拗につけ狙っている。
        このルートではアメリカンフットボールの試合に大統領令嬢を抱え乱入、攻撃を部下に任せて自身は逃走を図ろうとする。
        ライフは5だが、事態を察知したアメフト選手がコブラを妨害してくれる為、誤射に気を付ければ撃破自体は難しくない。
  • イリノイ州・シカゴ HIGHWAY 8月20日 午後1時17分(第2ステージ
    • 「DOWNTOWN」でスコーピオン兄弟の何れかを倒した(大統領夫人を保護した)場合の第2ステージ。
    • テロリストが大統領令嬢を攫いハイウェイを逃走中との情報をキャッチした米政府はファルコンをハイウェイに派遣。
      警察のヘリコプターから警官の運転するジープに乗り込み、複数の車両で逃走するテロリストとの銃撃戦を繰り広げる。
      • 高速移動している為か発射した弾が僅かに逸れていく為、それを含めた偏差狙撃やスコープを覗かない速射が必要。
    • 敵の運転する黒いトラックや白いバンは、運転手かタイヤを撃つとスピンさせられ、乗っている敵ごと倒す事が可能。
      • ステージ開始直後の最初の敵トラックをスピンさせたか否かで、その後のルート(敵配置)が2つに分岐する。
    • ボスは「コブラ」(ライフ5)。序盤は黒いオープンカーに大統領令嬢を乗せ、短機関銃や手榴弾で攻撃してくる。
      一度倒した後も立ち上がり、大型貨物トラック(ライフ30)を奪い、ファルコンの乗る車に体当たりを仕掛けてくる。
      この際は運転席のガラスを破壊しコブラを撃つと大ダメージを与えられ、被弾で怯んでいる間は体当たりを封じられる。
      • 「DOWNTOWN」のスタジアムルートでコブラに逃げ出された場合は、このコブラ戦のみをプレイすることとなる。
  • ウィスコンシン州・ミルウォーキー THE HOTEL IMPERIAL 8月20日 午後8時3分(第2ステージ
    • 「DOWNTOWN」のスタジアムルートを経由した(コブラを倒し大統領令嬢を保護した)場合の第2ステージ。
    • テロリストが大統領夫人をインペリアルホテルに監禁したとの情報をキャッチした米政府はファルコンを現地に派遣。
      一般客に紛れ宿泊しているテロ組織の幹部らを写真を元に探しだし、ホバリングするヘリコプター内から狙撃していく。
      • テロ組織幹部の配置は一定のエリアに纏まってはいるが、エリア内のどの部屋にいるかはランダムである。
    • ボスは「ホーネット」(ライフ5)。蜂の一刺しに例えられる正確無比な一撃を放つ、蛇柄のスーツを着た雇われ狙撃手。
      俺がNo.1だ・狙撃の神だと豪語するナルシストで、裏世界のNo.1狙撃手の称号を得るべくファルコンとの決着を狙っている。
      …という設定なのだが、ゲーム中では数人の部下を方々に配置した上で狙撃を行う、いわゆる物量作戦を取ってくる。
  • ウィスコンシン州・グリーンベイ THE ENEMY'S BASE 8月21日 午前1時31分(最終ステージ
    • テロリストのアジトを特定した米政府。捕らわれた大統領を救出すべく、ファルコンは暗闇に紛れた侵入作戦を行う。
      • モードセレクトでの「NIGHT VISION」表記の通り、暗所ではスコープ内が緑色の暗視仕様となるが、光に弱くなる。
        その為、敵が装備しているレーザーサイトや照明弾などの光がスコープ内に入ると、照準が全く見えなくなってしまう。
    • スタート時に「林道侵入ルート」か「パラシュート降下」から選択。前者は狙撃銃には辛い近距離メインの銃撃戦となる。
      後者は強制スクロールとなり、目下のサーチライトを破壊していかなければ照射で発見され、敵の猛攻に遭ってしまう。
      敵のアジトである豪邸の目前まで来ると、建物横の主電源ボックスを破壊し、プールサイドから庭・屋敷内へ侵入する。
      • 豪邸内の直前で、暗殺者の遺伝子を移植した実験体*6の「トム」「ジェリー」(両者ライフ5)と交戦する。
        白い迷彩服を身に纏った男でボウガン装備がトム、投げナイフとマスク装備がジェリー。攻撃は何れも撃ち落とせる。
        闇に紛れて低姿勢で移動してくるが、背景の弾薬箱を撃つと爆発、炎で周囲を照らして2人の発見が容易になる*7
    • 豪邸に入ると、これまでファルコンのサポートをしていた司令官*8らが敵に発見され交戦状態となり、通信が途絶してしまう。
      ファルコンは孤立無援の中ながら無数の敵と交戦しつつ、大統領を探して消灯中の豪邸内をくまなく捜索していくこととなる。
      • このエリアは近距離戦かつ非常に長丁場で、時間回復の機会も激減し、暗闇の中とはいえ素早い索敵と敵全滅が必須。
    • 豪邸内の客室エリアを捜索したファルコンだったが、大統領はいなかった。ファルコンは発見したエレベーターから地下へ。
      地下にはドックがあり、そこには捕らわれた大統領が。雑魚敵を排除したファルコンの前に、女幹部「モニカ」が立ち塞がる。
      • 彼女はライフ10かつ全身にテロ組織の技術を注ぎ込んだ鎧を纏っており、まずは部位毎の鎧に数発撃ちこんでの破壊が必須。
        前半は高速移動で接近した後に切り付け攻撃を行い、攻撃を8回行う・ライフを4にする・頭部鎧を破壊の何れかで後半に移行。
        後半は吊るされた大統領とクレーンに吊るされた2個のコンテナを壁にしながら、手にした短機関銃*9でひたすら攻撃してくる。
    • モニカを倒したファルコンだったが、その目前の指令室には白いスーツと帽子を纏ったテロ組織のボス「ビッグボス」がいた。
      ファルコンはアジトの自爆装置を手に逃走した彼を追って指令室のガラスを撃ち破り、船に乗り込んだ彼を残りの弾1発で狙う…。
      • ここではビッグボスの頭部に弾が当たらなければ、自爆装置を押されバッドエンド・即ネームエントリーとなる。
        頭部に照準が合った状態で発砲すれば弾が頭に当たりビッグボスが倒れ、大統領救出に成功しスタッフロールとなる。
      • この場面のみ、発砲後に演出を挟んてトリガーを引いた時の位置にそのまま弾が当たる(=事実上発射即着弾となる)。

評価点

  • 「狙撃」をテーマとしつつ、ある程度のミスショットも許容したゲーム性
    • 1999年時点では珍しかった「狙撃」をテーマとし、2つの視界映像を用いて狙撃するというシステムは革新的と評価された。
      スコープ内のモニターも液晶である為、ブラウン管のメインモニターより綺麗に見え、拡大映像としてのリアル感も高い。
    • 上記のナムコ製『ゴルゴ13』は原作通りに「1発狙撃が基本・2~3回のミスでゲームオーバー」と敷居が非常に高かったが、
      今作は各モードの終盤を除いて1発狙撃は必須でなく、初心者でも狙撃の醍醐味をある程度ながら楽しめるようになっている。
      とはいえ弾を外す、順番を考えずに敵を倒すとプレイヤーに不利益が生じる*10為、索敵・狙撃の重要性は高く保たれている。
      • ストーリーモードの最終盤の演出も違和感なく1発狙撃に移行させるもので、続編には無いアクション映画的な演出である。
    • ライフの回復手段が「若い女性をスコープ内に収めて覗く」という、シリアスなゲームに似合わぬおバカ要素なのも特徴的。
      単におバカなだけでなく、敵と同様にステージ内を探して覗く必要がある為、狙撃のシステムを活かした要素にもなっている。
  • クオリティが非常に高いサウンド
    • Jimmy Weckl氏によるBGM、碇子正広氏による効果音はアクション映画風で音質も非常に良く、ゲームの雰囲気を盛り上げている。
    • BGMはJimmy氏が得意とする金管楽器とドラムが前面に押し出された緊張感を煽る壮大な曲が多く、シリーズ中でも特に高品質。
      全曲で非常に凝った内容だが、特に最終面序盤・中盤のBGMはステージの長さに合わせ、1ループが他曲の約2~3倍となっている。
      • また、ゲーム中に若い女性を覗いた際の「Peeping Tom -覗き-」はゲームに似合わぬエロティックな曲で、演出と共に笑いを誘う。
        録った中で最もエッチなものを使った」とJimmy氏が言うだけあってか(?)、シリーズ全作でそのまま使われ続けられたほど。
      • 今作の品質と比べると続編は音がいささか貧弱気味であり、それらの移植版では音源に縛られないアレンジ版となっている*11
    • プレイヤーの狙撃銃の銃声は迫力のある乾いた音で、ゲーセンの喧騒の中でもはっきりと聞こえる為、狙撃の爽快感の高さに一役買っている。
      • また、暗闇の中を進攻する等、隠密行動を行う場面では銃声がサプレッサーを装着したこもった音に変わる点も細かい。
    • 主人公のファルコンは無口で台詞も無いが、その代わりに司令官の無線越しの台詞が多数用意されており、彼は観測手としても手助けを行う。
      • 最終面の中盤では司令官らも敵との交戦状態に入り、以降は一切の台詞が無くなる演出も緊張感を煽るものとして作用している。
  • リアルなグラフィック
    • HORNET基板による3D描写*12は当時のフル3DゲームとしてはセガのMODEL3ほどではないが美麗で、ポリゴンの造形も違和感がない。
      敵を撃った際も被弾前の態勢毎に異なるリアルな倒れ方を見せ、ガンシューティングゲーム特有の敵を撃ち倒した際の爽快感も高い。
    • アメリカが舞台である各ステージの景観も『GTI CLUB』や『スリルドライブ』のそれと同様に非常に本物っぽくリアリティがある。
      それらをヘリで飛び回ったり、カーチェイスをしながら狙撃を行う点は『ゴルゴ13』には全く無いもので、臨場感や迫力も高い。
    • 筐体の設定次第では女性キャラの露出度や、敵の被弾演出を「白い閃光」から「赤い血+壁や地面に返り血が残る」に出来たり、
      「VIOLENCE STRONG」ではボスのHEAD HIT時に「眉間を撃ち抜かれた髑髏」が表示されたりとハードな描写にも変更可能*13
      • また、眉間を撃ち抜かれた髑髏が表示される際には司令官が「お前は最高だ!」とプレイヤーを褒めてくれる演出も追加され、
        この演出は続編でも引き継がれたほか、リブート作の『ボーン・イーター』でも「覗き」演出と共にそのまま引き継がれた。

賛否両論点

  • シリアスな割に一部で見られるバカゲー的な描写や各設定
    • ライフ回復の方法と「主人公の『ワァオ!』という声と共に、画面にピンクのハートが表示される*14」演出はギャグ的でシュール。
      事実上のラスボスであるモニカの女王様的な格好や「私のかわいい大統領は渡さないわ!」という台詞など、間接的な下ネタが多い。
    • 公式サイトもネタ寄りな設定紹介があり、事件の理由も「モニカが大統領を拷問したかっただけという説がある」とされている。
    • HIGHWAYのボス「コブラ」は前述の通り「令嬢を乗せたオープンカーから攻撃」「再度立ち上がり大型貨物トラックを奪って再襲撃」の二連戦なのだが、
      黒いオープンカーの場面で5発当てられようが、頭を撃ち抜かれようが何事もなかったかのように大型貨物トラックを奪う。不屈ってレベルじゃねーぞ。
      • 後のナンバリングの続編作(後述)では生存していたようで、肉体強化手術を施した上で幾度もファルコンの前に立ちはだかる名物ボスとなる。
    • ファルコンも『ゴルゴ13』ほどではないが超人的な狙撃手で、装弾数5発のセミオート狙撃銃だけで敵の戦闘機と交戦したりアジトに潜入している。
      敵のアジトはメイン電源ボックス破壊の影響で照明類がほとんど消えていたとはいえ、狙撃銃の本来の用途を考えると自殺行為そのもの*15である。
      • もっとも、この演出に関しては「様々な状況での狙撃を体感させるゲームだから」というゲームとして当然な理由があるのだが。
    • ただ、これらはゲームの雰囲気を壊しているというレベルではなく、今作の時点ではあくまで笑えるレベルに抑えられている。
      以降は続編毎にこれらの要素がゲーム中により押し出されるようになり、シリアスな雰囲気は今作と比べてかなり薄れている。

問題点

  • シビアな難易度
    • 今作が「良作」判定でなく「なし」判定となった唯一かつ最大の原因と言ってよいほどの問題点。
    • ゲーム開始時の制限時間が50秒と短すぎで、敵一体毎にじっくりと狙いをつけているとあっという間に時間切れになってしまう。
      更にストーリーモードのライフ数がデフォルト設定だと3個と少なめで明らかに難易度が高い。
      初心者では間違いなくシューティングレンジはクリアできず、ストーリーモードでも1面でゲームオーバーになるだろう。
      中上級者でもストーリーモードでは雑魚の即殺・ボスの一撃必殺に手こずるとゲームオーバーを何回も拝むことになる。
      • 最終面が他の4倍ほどの長さで、かつ事実上のラスボスであるモニカが他と比べ物にならないほど強いのも原因の1つ。
      • ライフアップガールはそれなりの数が配置されていて多少の被弾は許されるものの、制限時間の短さは敵配置を覚えて即殺を心がけないとどうにもならない。
        トドメにテストモードで変更できる設定も、難易度とライフ数のみである為、制限時間の短さは完全には解決できない。
    • 狙撃銃の性能もあまり高くはなく、連射速度は1秒に1発程度で、リロードも任意に出来ない上に微妙に長い。
      • 特に任意リロードができないのは致命的。ボス戦等に備えて弾を装填する場合、わざと無駄撃ちして残弾を捨てるという「らしくない」行動を取らざるをえなくなる。
      • ゲーム後半からは狙撃銃では危険な近距離戦ばかりを強いられ、敵に撃たれやすい点も高難度に拍車をかけている。
    • 現実の狙撃と同じく発射から着弾までラグがある仕様であり、止まっている敵はともかく動いてる敵に対しては着弾までのラグを考慮した狙撃が必須。
      更に「HIGHWAY」や最終ステージの「パラシュート降下」ルートでは弾道が流れる要素が加わり、慣れるまでは思うように当てる事すらままならない。
      • ただし現実の狙撃では着弾までのラグに加えて、風向きや重力の影響も考慮しないといけないのだが、
        本作ではこの点はあえて再現されておらず、極力難しくなりすぎないように調整をしたスタッフの配慮が垣間見られる。

総評

一般的なガンシューティングゲームのシステムに「2つの視界を用いた狙撃」を組み込んだ、意欲的かつ斬新な作品。
同時期の『ゴルゴ13』とは違った初心者歓迎の狙撃及び基本システム、映画風の演出類や臨場感の高さは評価できるが、
結局は『ゴルゴ13』と同じ「ゲームオーバーになりやすい」問題点が目立ち、良作の素質が殺されている作品と言える。

同じ筐体を使用する続編の稼働以降は、それらにコンバートされた個体が殆どだが、何れの作品も問題点はほぼ同じ。
実際にスコープを覗き敵を撃てるのはアーケード版のみなので、興味・拘りのある方は一度はプレイしてみてほしい。
家庭用移植版はプレイ感覚こそ異なるが移植度は高く、作品に興味のある方は続編も発売されているPS2版を推奨する。


移植版

  • ドリームキャスト版(2000年10月12日発売)、プレイステーション2版(2000年11月16日発売)
    • 開発はコナミコンピュータエンタテイメント東京。どちらもハードの性能を活かしたパワーアップ移植。
      • DC版は同日発売の『ポップンミュージック4 アペンドディスク』と共にコナミ最後のセガハード用ソフト。
      • アーケード版よりもステージ開始時のロード時間が短縮、処理落ちも軽減されている*16
    • アーケード版の独特な筐体は当然再現できない為、メイン画面にスコープ内の拡大映像が表示されるように変更された。
      照準の操作性は良好で、独特の操作システムでは無いものの、アーケード版とは一味違う「狙撃の面白さ」が体感できる。
      • ドリームキャスト版のみ、ビジュアルメモリにスコープ内が映る仕様があるが、解像度が低いので実用には適さない。
      • ボタン配置も現代的なFPSと同じ*17で、操作の違和感も感じにくい。また、トラックボール式のマウスにも対応。
    • 収録内容はアーケード版のものに、「シューティングレンジモード」の「OUTDOOR」、「トレーニングモード」が追加。
    • オプションにはアーケード版のものに「制限時間の延長」が追加されており、設定次第ではより遊びやすくなるほか、
      ポーズ中での隠しコマンドの入力で、ライフを引き換えに制限時間を増やせる(もしくはその逆)機能等が入った。
  • ゲームボーイアドバンス版(2002年10月17日発売)
    • 『サイレントスコープ3』と同日発売。通信ケーブル対応で、最大4人でスコアを競う対戦プレイがソフト1つで可能。
    • ハード性能上、BGMの一部やセリフの大半が削除、タイムアタックモードやハイウェイ面の削除などが行われている。
      ただしゲームのシステムや雰囲気は再現できており、独自のステージを収録した追加ストーリーも用意されている。
  • 日本国外ではシリーズ作を一纏めにしたXbox用ソフト『SILENT SCOPE COMPLETE』も発売された*18
    • 専用ライトガンに対応*19したが、ハードの特性差の為か処理落ちが多くなっており、移植度が低下している様子。
  • また、2009年には当時のiPhone及びiPod touchに全操作をタッチ操作に変更した上で移植された。

続編

第1作目と同じ筐体を使用したシリーズ直系の作品が2作・家庭用専用作品が1つ、リブート作品が1つ存在する。

  • イノセントスウィーパー サイレントスコープ2*20(2000年)
    • 第1作目のシステムにシリーズ唯一の筐体別の2人協力プレイを組み込んだ2作目。2人プレイには筐体が2つ必要となる。
      主人公は英国対テロ部隊員だが無鉄砲な行為により囚人となった「ジャッカル」、同部隊に復帰したファルコンから選択。
      それぞれ1Pのジャッカルが近距離戦重視・2Pのファルコンが遠距離戦重視となるが、1人プレイ時はキャラ選択が可能。
      • モードは前作のタイムアタックが無くなり、今作独自となる対CPUor対人対戦モード「デュエル」が追加された。
    • 舞台は英国とその周辺国となり、タワーブリッジ・雪原・劇場・大型アパートなど独特なシチュエーションが増えた。
      • プレイヤーが覗くスコープも前作から「センサー破壊用の赤外線」「敵を壁越しに発見できるX線」が追加。
        また、ライフアップガールに加えて覗くと制限時間が回復する紳士がステージ上に配置されるようになった。
        前作から敵の配置巧妙化や素早さが上がり、ルート分岐も無くなりプレイ時間も長くなった為、難度は大きく上がっている。
    • 一方でゲーム内のバカゲー要素も加速。ボス達は出たがりな大ボス、声の高い武器マニア、テノール歌手とクセ者ばかり。
      前作は終始真面目でシリアスな内容であったが、今作からこれらのバカゲー要素がシリーズ毎に加速していくこととなる。
    • 2001年にPS2へ移植。タイトル及びロゴデザインがアーケード版から変更された*21
      全BGMのアレンジや、一部グラフィックの高ポリゴン化、処理落ちの大幅な改善がなされている。iLINKケーブルを使った通信プレイも対応。
      オプションは前作からスコープの移動速度や透明度の細かい設定が追加、やりこみで解禁される設定項目もより増えた。
      • 移植版のみの要素で、特定条件を満たした上でステージをクリアするやりこみモードも存在する。
  • 狙撃 -SOGEKI-(2001年5月)
    • タイトルに「サイレントスコープ」の名が入っていないが、シリーズ第3作目で外伝作品。今作から再び1人専用ゲームとなった。
      プレイヤーは米国対テロ部隊「VIPER」の超一流狙撃手「FANG1」となり、大統領襲撃などのテロ事件に狙撃で立ち向かう。
      • 当初はこちらがナンバリング作の『サイレントスコープ3』として開発されており、2001年のAOUショーでの出展時もこのタイトルだった。海外版は『SILENT SCOPE EX』のタイトルで稼働している。
        海外市場では今作をベース*22に現金排出を伴うモードを追加した『SILENT SCOPE Fortune Hunter』も存在する。
      • 日本国内では旧シリーズ3作全て同じ筐体*23であったが、海外では従来の筐体から一回り大きくなった新規筐体も出回った。
    • 使用基板を「VIPER」に変更し細かなビジュアルを強化*24、基本システムにも大変更が加えられ、難度も更に上がった。
      • 前作までの制限時間とライフが「コンディション」として統合され、非常にゲームオーバーになりやすくなっている。
        各ステージは短くなりステージ分岐も復活したが、大半のステージで「対象の護衛」や「最後で1発限りの狙撃を求められる」等のクリア条件が追加。*25
        また、弾を外してしまうと敵に発見されて配置が厳しくなる上に猛攻に遭うなど、初心者には厳しすぎる要素が増えた。
    • バカゲー・ネタ要素も上述の通り加速。テロ組織の幹部は全員パッと見で分かるほど、超がつく色物揃いとなっている。
      大統領護衛ステージの1つではファルコン、ジャッカルがテロ組織の容疑者としてカメオ出演している*26という謎のファンサービスも。
    • 2002年にPS2用『サイレントスコープ3』に同時収録・移植された。一部BGMのアレンジ以外はほぼ完全な移植である。
  • サイレントスコープ3(2002年)
    • 先述のGBA版『サイレントスコープ』と同日発売。こちらは家庭用専用作品であり、製作スタッフも異なっている。
      上記の『狙撃 -SOGEKI-』の移植版と、ファルコンを主人公とした家庭用独自の「サイレントスコープ3」を同時収録。
      • 後者では基本システムは『狙撃 -SOGEKI-』にほぼ準拠するが、時間経過でコンディションゲージが減少しない。
        また、ステージの特定箇所ではコントローラーのL2・R2ボタンによる左右の視点移動を用いた戦闘が差し込まれる。
        家庭用だけに全体的なステージが長めで、雑魚敵の命中率も高くボスも素早く動く者が大半と、難度はかなり高め。
      • 登場ボスが再復活を果たしたコブラを始め、怪力で戦いに挑む山男、極度の潔癖症のスナイパー、鎧武者風の用心棒*27と『狙撃 -SOGEKI-』に負けず劣らずの超クセ者揃い。
        ただし、エンディングはこれまでと毛色が異なるシリアス寄りな雰囲気の内容。また、ジャッカルがあるステージでチョイ役として登場する。
    • オプション類は前作から、やりこみで解禁される設定項目が更に増加。狙撃銃の性能を上げる項目も追加された。
  • サイレントスコープ ボーン・イーター(2014年)
    • 2014年にリリースされたリブート作品。主開発はトライエースが担当し、コナミ側のスタッフも前作とは全く異なる。
      ストーリーや各キャラクターのデザインは近未来のSFアニメ風となり、各音声も有名声優による日本語のみに変更。
      e-amusementサービスにも対応し、最高難度モードや称号機能等が使えたが、2019年4月にオフライン稼働となった。
    • 基本システムは『1』『2』に近いものに戻ったが、制限時間が緩く・敵の命中率が若干下がり、難度が抑えられている。
      更にストーリーモードでは難易度が分けられ、上級者モードでは「弾数制限」が追加された上でプレイすることとなる。
    • ストーリーモードのステージは全4つで、近未来SF調ながら旧作のオマージュ・リメイクのような場面も用意されている。
      また『1』と同様のルート分岐、新要素のステージ中に置かれたボーナスアイテム等も取り入れており、リプレイ性も高い。
      • 先述のように「女性覗き・一撃必殺時の演出」は旧作からそのまま引き継がれ、ファンサービスにもなっている。
    • 筐体やキャラクターのデザインからか、旧作ほどの人気は得なかったものの、内容は旧作以上に万人に配慮された作品。

余談

  • 今作に登場した大統領は『狙撃 -SOGEKI-』以外にも、『緊急車両24時 Code One Dispatch』に同役で登場している。
    世界観に関連があるかは不明だが、事ある毎にテロリストに襲われ、主人公に助けられる災難続きな人物である様子。
  • 製作チームが共通する『ザ・警察官シリーズ』に、第1作目と『2』のポスターが背景として一瞬だけ登場している。
    新宿コマ劇場前や道頓堀の映画館のポスターとして登場している事から、同シリーズとは世界観が異なるらしい。
    • 同シリーズも警察番組風の真面目な雰囲気の第1作目から、以降はド派手なB級アクション路線に転換している。

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最終更新:2023年09月24日 07:53

*1 ゲーム的な設定および筐体のコントローラーのモデルとなっているのは「H&K PSG-1」。

*2 爆発物や体当たりだと1個、それ以外の銃弾・刃物類では0.5個減る。

*3 コントローラーは筐体に固定されており、入力デバイス的には「トリガー付きの大型アナログジョイスティック」となっている。その為、銃口に当たる箇所や画面側のスコープ部には穴も開いていない。

*4 文字通りのステージの短縮のほか、ステージ開始時やボス戦前のカットシーンが一切流れない。

*5 9、6、3、0だと初心者向けの「Aルート」、11、8、5、2だと中級者向けの「Bルート」、10、7、4、1だと上級者向けの「Cルート」となる。各セレクト場面の残り時間設定がない移植版では、「STORY」の下部の左寄り・真ん中寄り・右寄りのどれを撃ったかで分岐が選択できる。

*6 設定上、夜間戦闘に特化する為に投与された薬物でジェリーは感情を失っており、理性の淵にいる相棒のトムは人間らしい人生を手に入れる為、ジェリーと共に組織からの脱走を試みていたとか。

*7 ただし、この方法では弾薬箱を撃った際に弾を外した扱いとなり、敵に着弾した際のスコアが基本点に戻ってしまう。

*8 作中・公式サイト共にキャラクター紹介がない為、便宜上の表記。

*9 家庭用移植版では武器がハンドガンとなっているミスがある。

*10 敵の至近距離で弾を外したり、敵が死体を発見すると警戒態勢に入られる他、無線機で連絡を取られると画面内の他の敵も警戒態勢に入ってしまう。

*11 『2』は全曲、『狙撃 -SOGEKI-』ではオープニング、ステージクリア、結果表示時のBGMがアレンジ版に差し替えられている。

*12 ちなみにHORNET基板のグラフィックプロセッサには古くからのPCゲーマーには有名な3dfx社の「VooDoo2」が採用されている。

*13 コナミのガンシューティング作品でここまでの描写がされたのは今シリーズが唯一。製作チームが共通する軍隊モノの『ワールドコンバット』も当初は今シリーズ同様の描写を用いる予定だったが、倫理的な面から敵は動くガイコツとなり出血描写も無くなったという開発秘話が同作の公式サイトに記載されていた。

*14 厳密には画面右上に女性の拡大映像と共に表示される。家庭用移植版ではスコープ内が数秒間ハートとなる為、若干ながら狙い辛くなる。

*15 狙撃銃(スナイパーライフル)は精度を得る為に普通のライフルよりもサイズが長く大きいので取り回しが難しく、それが影響しない遠距離からの狙撃以外では無用の長物と化してしまい、それをカバーする為に拳銃などの護身用の銃をもう1丁携行するのが普通である。

*16 ただし、スタジアムルート選択時や最終ステージの豪邸内侵入時にはアーケード版と同等か少し長めのロード時間が入る。

*17 スコープのオン/オフ(狙った箇所の拡大映像の表示)がDC版ではLトリガー・PS2版ではL1ボタン、発砲はDC版ではRトリガー・PS2版ではR1ボタンに割り当てられている。

*18 表側には「3GAME BUNDLE」と描かれているが、実際に収録されているのは初代、2、「狙撃」、3

*19 照準検知にはいわゆる旧式の「走査線タイミング式」が使われている為、対応はブラウン管テレビのみとなる。

*20 地域ごとにサブタイトルが異なり、北米では「Dark Silhouette」、欧州では「Fatal Judgement」となっている。

*21 『サイレントスコープ2 イノセントスウィーパー』とサブタイトルが後に来るようになり、ロゴも前作に近いものになっている。

*22 Youtube上に存在する映像を確認する限りではステージ数が短縮されており、第1ステージのクリア後は通常版に於ける第3ステージへ移行する模様。

*23 『2』と『狙撃』は1作目からのコンバージョンキットの形でリリースされた。

*24 グラフィックプロセッサは引き続き3dfx社のチップが使われているが正式なチップ名は不明。スペックの類似性から「VooDoo3」のカスタム版ではないかと目される。

*25 エンディング分岐がある最終ステージ以外は失敗するとコンディション減少のペナルティーを受けて再度やり直しとなる。

*26 ただしファルコンは他作品と異なりトレードマークであるサングラスをかけていない。

*27 世界観が一新された『ボーン・イーター』以前の作品で唯一日本語を喋るキャラ。