東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のNintendo Switchトレーニング

【とうほくだいがくかれいいがくけんきゅうじょ かわしまりゅうたきょうじゅかんしゅう のうをきたえるおとなのにんてんどーすいっちとれーにんぐ】

ジャンル 脳活性化ソフト
対応機種 Nintendo Switch
発売元 任天堂
開発元 任天堂、インディーズゼロ
発売日 2019年12月27日
定価 パッケージ版:3,480円
ダウンロード版:2,680円(ともに税抜)
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント 初代脳トレ路線に回帰
オンラインで世界中のプレイヤーと競える
ボリュームは大きく減少
備考 パッケージ版はタッチペン同梱
一部モードはNintendo Switch Lite単独プレイ不可
脳トレシリーズ
脳トレ / もっと脳トレ / 文系編 / 理系編 / 数独編 / 鬼トレ / Switch


概要

脳トレブームも過ぎて久しい中、前作鬼トレより7年の月日を経て発売された脳トレシリーズ第4弾。
前作『鬼トレ』がワーキングメモリーを鍛える負荷の高いトレーニングを意識していたのに対し、本作は『初代脳トレ』と同様に処理速度向上、老化防止を意識したデザインとなっている。
携帯モードでペンを使ってプレイすることを前提としており、パッケージ版にはペンが付属している。
また、Joy-Conの機能を使ったトレーニングがあるため、Nintendo Switch Liteでは一部のゲーム(「後出勝負テスト」「指体操」「指計算」「野鳥数え」「箱数え」「旗上げ」)がプレイできない(厳密には別売のJoy-Conを登録する必要がある)。

フレンドの記録を表示できたり、定期的に開催される脳トレ大会で全国のプレイヤーと競えたりといったネットワーク機能にも対応している。

内容

  • まず記録の残らない「お手軽モード」と記録が残る「毎日トレーニング」の2つがあり、後者は「トレーニング」「脳年齢チェック」「ワーキングメモリートレーニング」「世界一斉脳トレ大会」の4つに細分類される(後ろ2つは2020年2月のアップデートで追加)。
    • 「お手軽モード」はJoy-Conの機能を使ったいくつかのトレーニングをささっと行うことが出来るほか、2人で対戦を行うことができるものもある。
    • 「トレーニング」は任意のトレーニングを選んで脳トレを行う。当該トレーニングをその日初めてプレイした場合にその日の記録が残る。
    • 「脳年齢チェック」は選ばれた3つのトレーニングを行い、結果に応じて脳年齢を20歳~80歳の範囲で計測してくれる。
    • 「世界一斉脳トレ大会」は毎週土曜日16時~日曜日16時(日本時間)の開催。このモードを遊ぶためにはNintendo Switch Onlineへの加入が必要。
      • 開催ごとに4種目指定され、各2回挑戦可能。2回の内成績のいい方でランキングが集計され、同年代(5歳区切り)でも集計される。
  • 脳トレメールでメールアドレスを登録することによって脳トレの結果を翌日の朝にメールで受け取ることが可能である。
    • 自分自身のメールアドレスに送ることも出来るほか、他の人に送ることも出来る。離れた家族と脳トレメールを送り合うことも可能。
    • 脳トレメールには昨日行ったトレーニングや脳年齢チェックの結果だけでなく、「○○を20回プレイ」「ロケット級(脳トレで好成績を収めたときのランク)を○○回達成」といったプレイ内容に応じた記載がされることもあるため、自分自身に送ることも無意味ではない。

各トレーニングの内容

  • お手軽
    • 後出勝負 - 画面に表示された手に対して勝つor負ける手をJoy-ConのモーションIRカメラに写す。お手軽での脳年齢チェックはこれのみで計測されるほか、毎日トレーニングの脳年齢チェックでも抑制力の課題で登場。
    • 指計算 - 次々に出題される計算問題をJoy-ConのモーションIRカメラで回答する。
    • 指体操 - Joy-ConのモーションIRカメラに指示された手形を順に写していく。
    • 野鳥数え(2人対戦) - 画面に映った中から鳥の数を数える。
    • 箱数え(2人対戦) - 画面に映った箱の数を数える。
    • 旗上げ(2人対戦) - お手本通りにJoy-Conを上下左右のいずれかに振る。
  • 毎日トレーニング
    • 計算25/100 - 次々に出題される計算問題を筆記で回答していく。25は脳年齢チェックの処理速度の課題でも出現。
    • 新聞音読 - 昭和時代の新聞記事を読み、読み終えるまでの時間で単語数が計測される。
    • 数独 - 文字通り。上級は一定数の問題をクリアすると開放される。
    • 二重課題 - 後述の最高数字を進めながら、上半分でハードル走をしているキャラへのタッチでハードルを超えていく。
    • 名曲演奏 - 画面上のピアノで指定された曲を演奏する。今作では2鍵同時押しも出る。なお、同じ日の2度目以降は過去に演奏した曲の中から任意選曲でプレー可能。
    • 直前写真 - 1つ前に表示された写真を選ぶ。最初は2択だが、後に選択肢が増え、左右反転した写真の選択肢も出る。
    • 漢字合成 - 複数の漢字を合成してできる漢字を筆記で回答する。
    • 人数数え - 家への人の出入りを見て最終的に家の中にいる人数を答える。
    • 瞬間記憶 - カウントダウン後短時間だけ表示される数字を小さい順にタッチする。
    • 順番線引(脳年齢チェック、抑制力) - 画面上に散在するアルファベットと数字を、交互かつ順番に線を引いてつなげていく。
    • 最高数字(脳年齢チェック、抑制力) - 画面上に表示された数字のうち最高値のものを選ぶ。
    • 高速数え(脳年齢チェック、処理速度) - 1~120までを順に数えるまでの時間を計測。
    • 連続減算(脳年齢チェック、短期記憶) - 指定の数値から指定された数値を引いた数を次々と筆記で回答していく。
    • 5×5記憶、単語記憶(脳年齢チェック、短期記憶) - 5×5の配列で並んだ25個の数字と配列、もしくは表示された30個の3文字単語を記憶。
    • 細菌撲滅 - おなじみのアレンジ版Dr.マリオ
    • ワーキングメモリートレーニング - 1枚ずつめくられていくカードを見ながら、指定された枚数前のカードを選ぶ。何枚前のカードを答えるかは成績によって変動する。2020年2月のアップデートで追加、アップデート以降に脳年齢チェックで20歳を記録するなどで開放される。1日3回までの制限あり。
    • このほか、お手軽でも登場した後出勝負・指計算・指体操も登場する。

評価点

  • 画面が大きくなってプレイしやすくなった
    • ハードがDSシリーズからSwitchになったことで画面が大きくなったため、(特に)年齢層の高いプレイヤーにとって見やすくなった。
  • Joy-Conを使ったこれまでにないタイプのトレーニングが出来るようになった
    • Joy-ConのモーションIRカメラで手の状態を感知することができ、それを用いたトレーニングとして「指計算」「指体操」が追加されている。
      • 実際に手を動かすタイプのトレーニングは本シリーズでも初である。
    • お手軽モードの対戦専用ではあるが、モーションセンサで動きを感知する機能を使った「旗上げ」もある。
  • 初代と同レベルの価格
    • ソフト本体だけで見れば初代と同レベルの値段。
      パッケージ版は800円(税抜)のタッチペンを同梱しているため、ダウンロード版と比較するとその分の差額はあるが。

賛否両論点

  • モチベーションの維持
    • 本シリーズにおける最大の課題ともいうべきがモチベーションの維持であるが、本作においては続けやすい、続けにくいの両意見がある。
    • 続けやすいという意見としてはフレンドと記録を競える、全国一斉大会で自分の記録の向上あるいは低下が分かりやすい、脳トレメールが励みになる、アラーム設定が出来る、といったものがある。
    • 続けにくいという意見としては『鬼トレ』と比べ、最高記録である脳年齢20歳が達成しやすい、そもそもゲームボリュームが少ない、といったものがある。
    • 特に一緒にプレイする相手がいる場合はまだ本作のモチベーション維持のための機能を利用しやすいが、フレンド等がいない場合にはモチベーション維持の機能が意味をなさないケースが多い。

問題点

  • ボリュームが大幅に減った
    • 本作ではトレーニングが10種類強、脳年齢チェックに登場するテストが7種類であり、アップデートで追加されたワーキングメモリートレーニングやお手軽モードの対戦ゲームを含めても20種類程度のトレーニングやテストしか収録されていない。
    • 一方、前作鬼トレでは鬼トレが8種類、鬼トレ補助が9種類、トレーニングが9種類、リラックスが3種類と計30種類収録されていた。
    • 前作における赤黒赤黒(ソリティア)などのトランプ系のゲームは一切収録されていない。前作におけるリラックスでは「細菌撲滅(ドクターマリオ)」、「脂肪燃焼(ワリオの森)」、「音楽鑑賞」の3種類があったが、本作ではこの中で「細菌撲滅」のみしか収録されていない。
    • 前作にあった川島教授のボイスはなぜかオミットされた。
  • 数字の認識性能に難がある
    • 文字認識の限界かもしれないが数字の認識性能に難がある。
      • 特に「5」についてはわざわざ2画で記入するかどうかのオプションがあるが、これをセットしておかないと結構な頻度で2などと誤認識する。
      • 「5×5記憶テスト」などでは明らかに記入した数字と違う数字が認識され正解になったり、逆に不正解になったりするケースが多発する。
  • 手形の認識にもやや難がある
    • 指計算や指体操では手の形を指示に合わせていくが、こちらの認識にもやや難がある。
      特に指体操の最後のセットが顕著。
  • 同時タッチの判定もシビア
    • 「二重課題」で数字とハードルを同時に処理しようとしたり、「名曲演奏」の一部に登場する2鍵同時を処理しようとしたときに同時タッチの判定がシビアで不発することが多い。
      • 前者は数字の方を心持ち遅れ気味に対処するとロスを最小限にできるが、後者は一方が不発しただけでもミスタッチ扱いになるためほぼ運次第レベルと言っていいほど。
  • ズルがしやすいトレーニングが意外とある
    • ズルをするかどうかは個人の判断であるが、本作ではフレンドと記録を争えるにもかかわらずズルがしやすいトレーニングが意外とある。
      • 例えば「新聞音読」や「高速数えテスト」は終わったらボタンを押す、というルールになっているが、ゲーム側で進行状況の判断はしないためズルが非常にしやすい。
      • 「単語記憶テスト」や「5×5記憶テスト」も当然内容をメモすればズルができる。
      • 脳年齢チェックではテスト内容はある程度ランダムになるが、「高速数えテスト」と「単語記憶テスト」または「5×5記憶テスト」が出るとズルをすればかなり好記録も狙いやすくなっている。
      • 個人の勝手といってしまえばそれまでだが、フレンドの記録とランキングで比較出来るシステムであるため、フレンドにズルをされた場合、こういった記録がずっと表示されてしまうといった問題がある。
    • 幸いというべきか世界一斉脳トレ大会ではこういったズルがしやすいトレーニングが種目に選ばれることはないので、そこは安心してもいい。
  • Joy-Conを付け外しするのが面倒
    • 基本的に本作はペンを用いるだけなのだが、一部のトレーニングの際にはJoy-Conを外してプレイしなければならない。
      • それ以外は基本的にJoy-Conをつけながらプレイするため、「指計算」等のJoy-Conを必要とするトレーニングの度に外すのは結構面倒である。
        むしろ最初から外して本体のみ持ってプレーしてもいいほどである。
      • またJoy-Conを使うトレーニングでは画面を横向きにするといった違いもあるため、短時間で画面の向きを変えることが手間になりがちともいえる。
        これも本体裏のスタンドなどですぐに横置きできる環境を作っておくという対処法はある。サードパーティー製のスタンドを使う場合は充電機能のない置くだけタイプの方がやりやすい。

総評

Switchにおいて原点回帰をめざした一作。
Switchならではの指を使ったトレーニング、全国のプレイヤーと記録を競う脳トレ大会などの新たな試みもあるものの、全体的なボリュームは残念ながら少ないと言わざるを得ない。
最近脳の老化が気になる、といったプレイヤーにとっては老化防止のために購入することは悪くはないものの、
ゲーム内でも述べられているとおり、継続することが大切な本作において継続することが出来るかはプレイヤーに委ねられているといっても過言ではない。
また、前作『鬼トレ』とは方向性が大きく異なるため、『鬼トレ』のようなハードなトレーニングを求めるプレイヤーにとっては不向きであるため注意されたい。

余談

  • 2020年7月初回の世界一斉脳トレ大会は「川島杯」と銘打たれ、教授本人も公式参戦した。
    • 川島教授自身の成績はS+(二重課題)~A-(直前写真)と比較的上位ではあったものの泣き言を言うほどに本人曰くふがいない成績*1であった(第1回川島杯結果)。
    • ちなみに香港と韓国においては発売後初回の大会がこれであった。
    • なお、2021年1月に実施された第2回川島杯では川島教授自身の成績はS+(順番線引)~A+(後出勝負)と前回よりも成績は上がっていたが、やはり不完全燃焼の弁を述べている(第2回川島杯結果)。
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最終更新:2022年03月27日 11:48

*1 記事内でも述べられている通りであるが、一番低いスコアですらA-であり十分上位である