ドクターマリオ
【どくたーまりお】
ジャンル
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落ち物パズルゲーム
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対応機種
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ファミリーコンピュータ ゲームボーイ
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発売・開発元
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任天堂
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発売日
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1990年7月27日
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定価
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【FC】4,900円(税別) 【GB】2,600円(税別)
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プレイ人数
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【FC/GB/WiiU】1~2人 【3DS】1人
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セーブデータ
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なし
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) ※バーチャルコンソール版より付加
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周辺機器
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【GB】GB専用通信ケーブル対応
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配信
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バーチャルコンソール 【3DS(GB版)】2011年7月27日/400円(税5%込) 【WiiU(FC版)】2014年2月25日/500円(税5%込)
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書換
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ニンテンドウパワー 【SFC】1998年6月1日/3000円→2000円/F×1・B×1 【GB】2000年3月1日/800円/F×1・B×0
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備考
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GBA『ファミコンミニシリーズ』第二弾(2004年5月21日発売)
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判定
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良作
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ポイント
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マリオが医者となって登場 主に主婦層の人気を獲得 今でも色あせない落ち物パズル
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マリオシリーズ・関連作品リンク
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概要
マリオが文字通り医者という設定で活躍する、マリオシリーズの中でも異色のパズルゲーム。
ファミリーコンピュータとゲームボーイでそれぞれ同時発売された。
後に、SFCの衛星放送受信サービス「サテラビュー」向けのリメイクがリリースされ、ニンテンドパワー配信専用ソフトとして一般販売されている。
ストーリー
やあ皆さん、ごきげんよう。私はマリオ、今までいろいろな冒険の旅をやってきたが、
今はある病院でウィルスの研究をやっている。さて、今日も研究を始めるとするか。
「ドクターマリオ、たいへんでーす!!」
「看護婦のピーチじゃないか、どうした?」
「新種のウィルスが発見されて、それがどんどん増殖を始めました!!」
「何! それは大変だ。ようーし、さきほど出来上がったばかりの特効薬で退治してくれるわ・・・・
・・・・こいつはよく効くぞ!!」
(FC版説明書より抜粋)
特徴
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画面の上からドクターマリオが投下する2個1組の「カプセル」をフィールドの下に操作して落とし、同じ色を4個以上縦または横に真っ直ぐつなげると消すことができる。色はファミコン版では赤・青・黄、画面が白黒のゲームボーイでは白・黒・グレーの計3色。
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これだけ見ると何の変哲もないパズルゲームだが、このゲームが目的とするものは他のパズルゲームとは大幅に異なっている。
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まず、フィールドとなる「ビン」の中には最低数匹~多ければ70匹を超える「ウィルス」が敷き詰められている。
このウィルスもまた、同じ色のカプセルやウィルスを同じ要領で縦横につなげることで消毒―すなわち消滅させることができる。
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つまり、消すべき目的は落下してくるピースそのものではなく、フィールド内に配置されている障害物であり、同色ピースに巻き込んで障害物を消すという仕様である。
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ウィルスを消すごとに得点が加算されていくが、カプセルだけを消した場合は何連鎖しようと得点は1点も入らない。
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カプセルがビンの口をふさいでしまうとゲームオーバー。
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ただし、縦にしたカプセルでウィルスを消したときに、カプセルの上半分がビンの口に重なる位置になっていた時はウィルスの消滅が優先され、ミスになることはない。
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各ステージは「レベル」で表され、そのレベルにおけるウィルスをすべて消毒すると次のレベルへ進んでいく。レベルが上がるにつれウィルスの量も増えていき、時間がかかるとピースの速度が徐々に上がる。
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一定のレベルをクリアするとデモシーンが挟まれ、ウィルスたちが樹の上や水中で何かをしている様子をちらりとではあるが確認できる。
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カプセルの落下速度を「LOW」「MED」「HI」の3段階から選択可能。
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落下速度だけでなく、ウィルスを消した際の配点も選択によって異なり、落下速度が速いほど配点は高くなる。
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1人プレイだけでなく2人での対戦プレイも可能。先にウィルスを全滅させるか、相手をゲームオーバーに追い込むかすれば1本で、3本先取した方が優勝。ウィルスの数、カプセルの落下速度でハンデをつけることもできる。
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2連鎖以上すると相手の陣地にカプセルを送り込んで邪魔することができる。ただし、その数はせいぜい2~4個程度のうえ、普通に消せるカプセルを送り込むのみ。『ぷよぷよ』ほどの大きな妨害は不可能である。
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しかし、相手のフィールドには相当スローに落下するうえ、そのカプセルが完全に落下するまでは操作が不可能になるので、見た目よりも「時間稼ぎとして」効果のある妨害である。そのため、大体は「先にウィルスを全滅させる」ことで決着がつく。
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カプセルの特性を生かした様々なテクニック。
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カプセルが半分はみだしている状態で、土台側であるカプセルの半分が消えたときにもう半分側のカプセルが下に落下していくのを利用し、下に詰まれたカプセルとウィルスを連鎖消ししたり、狭いところに横方向に押し込んだカプセルをボタン連打で高速回転させ色をすばやくそろえるなど、様々なテクニックが存在する。これらテクニックを駆使していかに効率よく消していくかが攻略の大きなポイントとなる。
評価点
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分かりやすいルールでとっつきやすい
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基本的には同じ色を4個以上繋げることを意識するだけで序盤のステージはクリアできる。
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ウィルスの初期配置数が増えていくに従い、ウィルスを消した際に生じた無駄なカプセルをどこでどう処理するかなども重要になっていき、戦略性も求められる。
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曲数こそ少ないが、パズルゲームというジャンルにマッチしたサウンド面も好評。
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特にメインBGM「FEVER」は本作を象徴する名曲である。
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GB/SFC版の「FEVER」には後半のサビにFC版にはないパートが追加されている。
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ゲーム中のBGMは「FEVER」と「CHILL」の2種類。日本語に訳せば「熱」と「寒気」である。デフォルト選択ではないため影に隠れがちだが、「CHILL」も秀逸な曲である。
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BGMはOFFに設定でき、音が一切ならない状態でプレイに集中することも可能。
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グラフィック
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画面左下で動き回るウイルスのグラフィックが三者三様でユーモアがある
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ゲームオーバーになる小憎らしい顔でケラケラと嘲笑われうっとうしいが、特定の色のウィルスを全部消すと苦しみもがきながら消え去る演出が小気味いい。
問題点
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カプセル消しのテクニックを覚えないと消すのに時間がかかりやすく、途中からダレやすい。
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特にウィルスの密度が上がるステージ後半戦では作業感が強くなり易い。
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置き間違えや目当てのカプセルがなかなか来ないなどで余分なカプセルがどうしてもフィールドに残ってしまう。
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レベルが上がってウィルスの初期配置数が増えてくる中盤以降は邪魔なカプセルを単独消しで適宜、処理する必要も生じてくるため、状況次第ではやはり作業感が出てしまう。
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クリアに多少の運が絡む。
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ウィルスの初期配置によっては難易度が微妙に上がる他、肝心な時に必要な色のカプセルが落ちてこず、無駄なカプセルが積みあがって詰んでしまう場合もある。高難度ステージで顕著。
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FC版はウィルスとカプセルの色使いが赤青黄の派手な三原色なので、直感的にわかりやすいが少々目が疲れる。
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一方で、GB版の場合は場合で白黒であるため区別が付きにくいという問題が生まれる…かと思いきや、灰は白と黒の斑として表現されているため意外にも割と見やすい。
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GB版は画面サイズの問題によりFC版より最上段が一マス少ない。
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そのため後半レベルではウィルス配置と配カプセルによってはどうあがいても詰む可能性がある。
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特にLv20・スピードHIの場合はほとんど運ゲーと化す。
総評
『テトリス』等のパズルゲームが認知度を少しずつ向上させていた中登場したこのゲームは、アクションゲームとは異なるやりこみにあふれた作風で、キャラクターにマリオを用いたとっつきやすさも作用し、主に女性を初めとした中高年にヒットした。
この「パズルゲーム」という概念、そして大ヒットは、『ヨッシーのたまご』を経て、のちの『ぷよぷよ』に後を託す形となった。
その後の展開
多くの任天堂ハードで本作の移植・リメイクが販売されている。
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ドクターマリオBS(SFC)
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SFCの衛星放送受信サービス「サテラビュー」向けのリメイク作品。
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元々はSNESでのみでの発売だった『Tetris & Dr. Mario』からドクターマリオのみを遊べるようにしたもの。
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後にニンテンドウパワー専売作品『ドクターマリオ』として1998年6月に発売された。こちらは対CPUでの対戦が可能になっている。
しかし、ニンテンドウパワーそのものがローソンのみというで限られた中で提供されたサービスだった上に、当時のゲーム市場はプレイステーションが一強体制で、任天堂ハードに限っても次世代機64発売後ということでまったく注目されず、その上割高な価格も災いし利用者自体極めて少ないものだった。
しかも、そんな僅かな利用者の中でも「同じゲームなら今あるファミコンでたくさん」という考え方が圧倒的に多かったようで、まったくと言っていいほど売れなかった。
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ドクターマリオ64(ニンテンドウ64)
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海外でのみ発売された続編的リメイク作品。ストーリーモードの追加、新規BGMの追加などの変更点がある。
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日本では、2003年にGCでリリースされた『NINTENDO パズルコレクション』の1作としてこの64版をベースとした日本語版「ドクターマリオ」が収録された。こちらは海外未発売となっている。
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2021年10月26日配信のNintendo Switch Online + 追加パック加入で遊べる『Nintendo 64 Nintendo Switch Online』では、海外版に限り本作の64版が収録されており、海外版はこの分だけ日本版より収録ソフトが多い。日本のSwitch本体でも、同一本体内で海外アカウントを使って本作をダウンロードし、追加パックに加入中の日本アカウントを使えば海外版を遊べるため選択肢は増えている。
余談
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後年にプロトタイプと思われるサンプルROMが発見された。
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細部のドットデザインやマリオ、UIなどのデザインに大きな差異が見られる。また「Virus」という仮題がつけられていた。
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海外版のパッケージに描かれているバイキンの凶悪な面相はある意味必見である。マリオの方はほぼ国内版そのままなので、『ロックマン』の海外版ほどイメージ崩壊はしていないが…。
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とっつきやすいパズルゲームという性質のためか、概して「オカン(オトン)がうまいゲーム」という印象が何故か強いゲーム。
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自身の家庭だけかと思えば、ネット上でそういった意見が散見されたことで割と一般的な現象だったんだなと納得する当時ちびっ子だったユーザーも少なくない。
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当時害悪とされがちだったゲームに対して、親(特にオカン)の理解を得られたという功績は大きく、このゲームにハマっている親の子供はゲームで遊ぶことに対して寛容な態度を示してもらえたという話も多く聞かれる。
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テレビ番組『スーパーマリオクラブ』(テレビ東京系)にて「全国ファミコン勝ち抜き王座決定戦」という対戦企画コーナーがあり、最初は本作が用いられレベル15のMEDで毎週激闘が繰り広げられた(1992年からは対象ソフトが『ヨッシーのたまご』に変更された)。
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3週(3人)抜きでグランドチャンピオンとして認定されグランドチャンピオン8人目が誕生するとグランドチャンピオン大会が行われ、その中の優勝者はスーパーグランドチャンピオンとなった。
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第3回のグランドチャンピオン大会が行われた直後の1993年10月から番組は『スーパーマリオスタジアム』にリニューアルされたことでこの企画は終了となる。
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『スーパーマリオスタジアム』でも1994年10月から「ファミコン王に挑戦」というコーナーが始まり、様々な任天堂の対戦ゲームでバトルが行われ本作もその1つに使用され、この企画でもレベル15のMEDで行われた。
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ボクシングなどで行われるタイトルマッチのような形式が取られており、本作をはじめ『ヨッシーのたまご』『スーパーマリオカート』など様々な任天堂の対戦ゲームにチャンピオンが認定され、勝った者がそのゲームの「ファミコン王(つまりチャンピオン)」として次回王者として挑戦を受けるというものだった。王者・挑戦者を問わず勝った者には最新のゲームソフトが賞品として貰えた。つまり、王者は必然的に次回の登場権(ゲームソフト獲得のチャンス)を得たことになる。
グランドチャンピオンのようなものはないが、挑戦がある度に王者登場時「〇週勝ち抜き中」と表示されており、ある意味それがステータスになった。また本作での対戦になった折にはかつての『スーパーマリオクラブ』でのグランドチャンピオン同士が顔を合わせたこともあった。
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長所にある通り「FEVER」の追加パートはGB/SFC版以降のため、FC版ではこの部分を聴くことができない。
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GB版を最初に体験したプレイヤーが後からFC版などをプレイするとヤキモキすることこの上ない。
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ちなみにこの追加パート版が使われたのはGB/SFC版と『スマブラDX』のアレンジ版のみであり、N64版とWii版以降は採用されていない。
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『大乱闘スマッシュブラザーズDX』に「ドクターマリオ」というキャラクター名でまさかの参戦を果たしている。
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スマブラのゼネラルディレクター・桜井政博氏によると、「FEVER」を使うために登場させたということ。
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初出の本作品ではルイージ以上にマリオとの違いが分かりにくく、コンパチの域を出なかったためか次作『X』で一旦はリストラされてしまったが、『for 3DS/Wii U』『SP』では再び参戦を果たしている。
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本作のCMはウィルスのコスプレをした女性たちがシンクロナイズドスイミング風にプールの中で踊るという、なんとも奇抜なもの。
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マリオが放り投げたカプセルでウィルスの一匹が消えてしまうシーンで、ゲーム画面中のウィルスがアップで映し出されるが、この時のドットのデザインは、CM専用のグラフィックとなっている(形はゲーム版に近い)。
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ちなみにCMソングは「マンボ・バイキンちゃん」というタイトルでフルサイズが存在する。
最終更新:2024年06月08日 17:20