クイズなないろDREAMS 虹色町の奇跡

【くいずなないろどりーむす にじいろちょうのきせき】

ジャンル クイズ

対応機種 アーケード(CPシステムII)
セガサターン
プレイステーション
開発・発売 カプコン
発売日 【AC】1996年9月20日
【SS/PS】1997年6月27日
定価 【SS/PS】5,800円(税抜)
配信 ゲームアーカイブス
2011年7月27日/628円(税10%)
プレイ人数 1~2人
レーティング 【SS】セガ審査:全年齢
【PS】CERO:B(12歳以上対象)
※ゲームアーカイブスで付加
セーブデータ 【PS】1ブロック
判定 なし
ポイント クイズ+双六+ギャルゲー


概要

『アドベンチャークイズ カプコンワールド』『クイズ殿様の野望』などをリリースしていたカプコンが、『ときめきメモリアル』の大ヒットにより社会現象となっていた恋愛ゲームの要素を盛り込んだ、「恋愛クイズゲーム」という異色・実験作である。


ストーリー

3月31日の夜、星を見ていた主人公は虹色町に8つの流星が降り注ぐのを見る。主人公めがけて落ちてきたそのうちの一つは手のひらサイズの妖精少女だった。
彼女の話によると、異世界で魔王を封印していた「封印のクリスタル」が7つに分裂し虹色町に降り注ぎ、この町に住む7人の女の子と同化してしまったという。そして半年後に復活するであろう魔王を再封印するためにはその女の子たちと心を通わせることが必要だという。クリスタルの輝きを取り戻し世界を破滅の危機から救うため、主人公と女の子たちの交流が始まる。


ゲームの流れ

  • 1クレジットで3ライフ、全て4択問題とクイズゲーム部分の仕様はオーソドックス。
  • 1マスを1日とした双六方式で、1~6(+ハズレ)のルーレットで出た目の分進む。
    • ルーレットは「4回中2回まで目押し可能」「残りの2回は『半分の確率で失敗』と『強制的に失敗』」という(隠し)制約がある。
  • 止まったマスで登場したヒロインが出すクイズをノルマ数(2~3問がほとんど)正解することで、そのヒロインの好感度が上昇していきストーリーが進行する。
    • マスの上に各ヒロインの目印がある場合もあり、そこに止まった場合は必ずそのヒロインのストーリーとなる。
    • 日曜日は原則、妖精と会うボーナス日。易しめの問題に1問正解すればライフを1つもらえる。
  • ゲーム内の期間は4~9月の6か月間で、必ず毎月の最終日にはラスボスの子分との対決がある。それに勝利後、任意のヒロイン1人の主人公に対する想いを聞くことが出来、ストーリーの凡その進行度合いを確認可能。
  • 9月の最後にラスボス戦。勝利後のエンディング時に任意のヒロインを1人選び告白。

7人のヒロイン+α

+ 家庭用版では名前が差し替えられた為、アーケード版 / 家庭用版の順に記す。
  • 森永めぐみ(もりなが めぐみ) / 森次めぐみ(もりつぐ めぐみ)
    • 16歳。主人公が最初に出会う、正統派ヒロイン。
    • モデルは『ドラえもん』の源しずか、『同級生2』の鳴沢唯、『ときめきメモリアル』の藤崎詩織。
    • AC版の名前の元ネタはハイチュウやチョコボールで知られる「森永製菓」。
  • 不二家桃子(ふじや ももこ) / 藤倉桃子(ふじくら ももこ)
    • 16歳。眼鏡とセーラー服が似合う、積極的な女の子。正体は幽霊
    • モデルは『同級生2』の都築こずえ、味覚糖のビタミンキャンディー「ピピンC」のCMで矢田亜希子の後ろで踊っている娘(小畑由香里)。眼鏡をかけているのは藤島康介の漫画からの影響。
    • AC版の名前の元ネタはペコちゃんやケーキでおなじみ洋菓子店「不二家」。
  • 江崎久美子(えざき くみこ) / 潮崎久美子(しおざき くみこ)
    • 17歳。水泳一筋、無口で感情を表現することが苦手なオリンピック強化選手のスポーツ少女。
    • 人付き合いの悪さは『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイが基になっているが、一番のモデルは早見優。
    • AC版の名前の元ネタは「ひとつぶ300メートル」で有名なランナーの看板絵やポッキーで知られる「江崎グリコ」。
  • 鐘紡サキ(かねぼう サキ) / 想鐘サキ(おもかね サキ)
    • 16歳。虹色町に頻出する怪獣に立ち向かう地球防衛軍隊員(国際公務員)。正体は異星人
    • モデルは『新世紀エヴァンゲリオン』の惣流アスカ、綾波レイ、『ウルトラセブン』。
    • AC版の名前の元ネタは「ウマイ!テーレッテレー」のねるねるねるねが有名だった「カネボウフーズ」(当時)で、現在は「クラシエフーズ」に事業譲渡されている。
  • 佐久間絵美(さくま えみ) / 咲良絵美(さくら えみ)
    • 23歳。スクープを追うカメラマン。「しっかりしたお姉さん」という立場で主人公の相談に乗る。
    • モデルは『シャカリキ!』の野々村さゆり、デザイン上のモデルは『キューティーハニー』のカメラマン状態。
    • AC版の名前の元ネタは色とりどりなサクマ(式)ドロップスで知られる「佐久間製菓/サクマ製菓」*1
  • 東鳩真由美(とうはと まゆみ) / 小鳩真由美(こばと まゆみ)
    • 25歳。虹色中央高校の教師で主人公の担任。正体は魔法使い。グラマーな容姿だが、性格は脳天気で非常に子供っぽい。
    • 大人になりきれない「頼りない大人」がコンセプトで、モデルは『ふしぎなメルモ』のミニスカートの大人状態。
    • AC版の名前の元ネタはキャラメルコーンや暴君ハバネロ、オールレーズン等が代表的な「東ハト」。
  • シャルロッテ(Shalllotte) / シャーロット(Charlotte)
    • 12歳。虹色町の豪邸に養育ロボットに囲まれ一人で暮らしている。
    • モデルは『サイバーボッツ フルメタルマッドネス』のデビロット。
    • AC版での愛称は「ロッテ」。元ネタは『コアラのマーチ』『雪見だいふく』などお口の恋人を提供するロッテ。
  • 妖精(家庭用版で攻略可能)
    • 年齢不詳。魔王を封印しようとする主人公を陰から支援する。妖精なので(?)全裸でも気にしない*2
    • コンシューマ版のシナリオでは次第に人間の感情を持っていく設定になっており、結構嫉妬深い性格が明らかに。また、同シナリオでは服も着る様になる。
  • リンツ(Lindt) / リンツ(Linz)(家庭用版で攻略可能)
    • 17歳。魔王の手下の悪魔娘で、主人公を邪魔すべく付きまとう。しかし、個人的には主人公のことを気に入っている節もある。
    • 名前の元ネタはスイスの高級チョコレートブランド「リンツ」。家庭用では綴りだけ同発音のオーストリアの都市に変わっている。

評価点

  • 「先が見たくなる」クイズゲームに仕上がっている
    • 従来のクイズゲームは演出面こそ違えど、いずれの作品もコンテニュー数・スコア・正解率くらいしか極める点がなかった。また、やり込めば同じ問題を見かけるようになる為、「また遊ぼうと思う動機付けに乏しい」という問題を抱えていた。
    • そういった中で、「恋愛ゲームのようなストーリーを追わせる」という要素を組み込んだ事により、プレイヤーにクイズ本編以外の魅力・達成感を与えた発想は称賛に値するだろう。何より画面に映し出されるキャラの大半が、プレイヤーの行く手を阻まんとする敵ではなく、自分から追いかけるヒロイン達なのである。これだけでもプレイの気分が違ってくるというものだろう。
    • 早く安くクリアを目指すのであれば、当然ルーレットで6の目を狙い続けるのが有効。しかしそれでは到底ヒロインとのストーリーは進行せず、誰に告白してもあっさりフラれるという寂しいエンディングを拝む羽目になる。よってグッドEDを見たければ、ルーレットの仕様を理解し、目押しを駆使してこまめに止まり、より多くのクイズに答えなければならない。
      • アーケードゲームだからといって、単に終盤の難易度を上げてプレイヤーの100円を獲りにいくのでは、そっぽを向かれてしまう。プレイヤーに再プレイを促す手段として、恋愛ゲーム要素がうまく機能している。
      • 各ヒロインのストーリーは一本道であり、分岐や特殊イベントも無い。逆にパラメータの割り振りに頭を悩ませることも、デートしたら他のヒロインの不満が爆発するようなことも無い。ヒロイン達の魅力を全面に押し出しつつ、クイズゲームとしてテンポを損なわないようにとの配慮だろう。
  • 魅力的なヒロインたち
    • 他社から発売済の恋愛ゲームに倣い、王道・奥手・メガネっ娘・お姉さんなど要所を押さえつつ、奇抜な設定がストーリーを引き立てている。

問題点

  • ヒロイン攻略完了に対するボーナスの少なさ
    • ラスボス戦中に「攻略完了したヒロインの想いが主人公に届く」という演出と共に与えられるのは、たったの1ライフである。後でそのヒロインとはグッドEDが必ず見られるというご褒美が確かにあるのだが……。
      • 余談だがラスボスは第3形態まであり、倒すのに必要なノルマは6+8+12=26問である。ボーナス付与は第3形態開始時。
  • 開始時の名前入力
    • 画面上のひらがな一覧表から最大4文字の名前を入力できるのだが、ゲームの仕様上レバーが不要なため4ボタンでカーソルを動かすことになる。その割り当てが「←」「→」「↓」「決定」と慣れないプレイヤーには取っ付きが悪い。しかも与えられる時間は30秒なので、思い通りの名前を入力することが難しい。

総評

クイズゲームという展開に制約のあるゲームに、うまくアクセントを取り入れた作品である。「クイズ+キャラの魅力」という点では、長期ヒットとなっている『クイズマジックアカデミー』シリーズの始祖と言えるかもしれない。ストイックに正解率やスコアを極めるばかりでなく、好みのヒロインとの触れ合いを楽しむのも一興だろう。


余談

  • アーケード版では登場人物のほとんどが製菓会社に因んだ名前を付けられていたが、クレームを恐れたカプコン法務部からの自粛要請により、家庭用版では名前が差し替えられた(上記「7人のヒロイン+α」の項を参照)。
    • ラスボスの魔王も、アーケード版では「魔王ゴディバ」*3という名前があったが、家庭用で名無しの「魔王」になってしまった。
    • 他にも「SMAPの人数は?」の答えが改訂されるなど、一部のクイズ問題がアーケード版から変更・差し替えられている。
  • アーケード版と家庭用では主要キャラの声優が半分ほど異なる。アーケード版では声優が少なく一人が複数キャラを担当していたのが、家庭用ではキャラクターの人数に合わせて新たに数名起用しており、降ろされた声優がいるわけではない。
  • リンツはアーケード版ではただのお邪魔キャラだったが、家庭用ではエンディングを迎えることが出来るようになった。
  • アーケード版の問題には、一部不適切な表現や際どい下ネタ*6が見られる。言うまでもないが出題者は基本的に登場人物の女の子たちであり、正解時には嬉しそうに「正解よ」などと言ってくるので、なんとも複雑な気分にさせられる。
  • 攻略本にはPS版、SS版、アーケード版の違いを記載したページがあり、その中には機種による妖精の体の見え具合*7や、上記の桃子のパンモロやシャルロッテの乳首画像すらも載っていた。
  • 2006~2007年にかけて、携帯電話移植版が配信された。1作に登場するヒロインが2~3人の4部作となっており、期間が3か月に短縮されている。少量だが家庭用版発売以降の話題に関するクイズも新収録された。
  • ヒロインの一人・想鐘(鐘紡)サキは、後に格闘ゲーム『MARVEL VS. CAPCOM』『タツノコ VS. CAPCOM』にゲスト出演している。『MARVEL VS. CAPCOM』では射撃で援護してくれるストライカーとしての出演だが、『タツカプ』ではまさかのプレイキャラの一人として登場した。
    • 『SNK VS. CAPCOM 激突カードファイターズ』やカードファイターズシリーズにもカードとして登場している他、メインヒロインのめぐみ、リンツ、サキのシナリオ中に出てくる脇役の子供も、各種ゲームに客演している。

最終更新:2024年08月15日 12:21

*1 この2社は前身企業を同じくしているが独立した経営を行っており、それぞれが別々に似たドロップスを販売している。

*2 ただし乳首はいわゆる“髪ブラジャー”で隠されており、性器は画面端で見切れて観えない様になっている。アーケード版の一部シーンなどでは股下まで観えるが、そもそも性器が無(描かれていな)かった。

*3 AC版の名前の元ネタはベルギーの高級チョコレートブランド「ゴディバ」である。

*4 当時カプコンがゲームセンターや基板屋で有償配布していたシークレットファイル。前述の各キャラの元ねたも詳細に書かれている。

*5 当初は製品版でも裏技を使って見る事ができる予定だったが、「流石に没にされた」との事。“余計な事を。”

*6 男女の性器や性交に関する問題など

*7 青白い肌の全裸がやや発光しているが、機種により発光具合いが異なる。もちろんエロに厳しいPS版が一番発光して見にくい。