クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ カスカベ映画スターズ!
【くれよんしんちゃん あらしをよぶ かすかべえいがすたーず】
ジャンル
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エイガチック・アニメアクションRPG
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対応機種
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ニンテンドー3DS
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発売元
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バンダイナムコゲームス
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開発元
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インティ・クリエイツ
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発売日
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2014年4月10日
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定価
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4,740円(税別)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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3個
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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今度はしんのすけが「カントク」に 全編フルボイス
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クレヨンしんちゃんシリーズ
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概要
映画を題材にしたクレヨンしんちゃんのソフト。今回はしんのすけが監督となって撮影するという設定が特徴。
収録されているのは第1作「アクション仮面VSハイグレ魔王」から2013年の「B級グルメサバイバル」まで。ただし、無料DLC購入で2014年の「逆襲のロボとーちゃん」もプレイ可能となるキャンペーンが行われていた。
ストーリー
ある日しんのすけが散歩していると、「カスカベ映画祭」の宣伝が聞こえてきた。町中が盛り上がる中で、しんのすけたちは変な形のカチンコを見つける。しんのすけが尻でそれを鳴らすと、突然映画のスタッフが集まってきて「撮エイガ」に巻き込まれてしまう。
撮影を何とか終わらせたしんのすけたちの前に今度はサイレンとトーキーの2人のおねいさんが現れ、事情を説明。しんのすけは、ただ一人撮エイガのカントクになれる人物だったのだ。2人はまた、「フィルム」が破れたことで映画世界の人物がカスカベに出てきてしまっていることを知らせる。異変を解決するため、しんのすけはカントクとしてさまざまな撮エイガをこなしていくことになった。
システム
基本の行動
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プレイヤーは横視点でしんのすけを操作し、街を探索する。スライドパッドで移動、Aボタンでジャンプが基本だが、後述する「カントクスキル」を使えばアクションの幅が広がる。
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街には「撮エイガ」と呼ばれるミニゲームが設置されており、「ヤル気」を消費してプレイすることができる。ただし、同じランクをやり直す場合に限りヤル気は減らない。
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撮エイガには3つのランクがあり、自分のランク(後述)以下の物しか選べない。高ランクほど多くのヤル気を消費し、ゲームも難しくなる。
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街には「おなやみ」を抱えるキャラクターがいる。おなやみは「○○に会ってきて」「○○を持ってきて」など様々で、クリアすればカイケツとなる。カイケツするとたまに撮エイガが増えることがある。
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ストーリーが進むと、「ひる」と「よる」を切り替えられるようになる。撮エイガやキャラクターはひるとよるで完全に独立しており、ひるの撮エイガをよるにプレイしたり、ひるで受けたおなやみをよるにカイケツしたりはできない。
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撮エイガをクリアしたり、おなやみをカイケツしたりすると「カントクポイント」が手に入る。カントクポイントは「カントクレベルアップ」のために使うことができ、「ヤル気の上限値増加」「スキルセット可能数増加」「撮エイガで選べるランク上昇」の3つにポイントを割り振ることができる(最終的に全部MAXにできる)。
下画面
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下画面には「スケジュール」「ちず」「スキル」の3つが常に表示されている。
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「スケジュール」は、今やるべきことが表示される。赤色で表示されているものはストーリー進行にクリア必須のもの。
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「スキル」は、「カントクスキル」を選択できる。
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カントクスキルは、ストーリーを進めると手に入る「カントクグラッチェカード」をセットすることで使えるようになる。スキルには「特定のエリアに進めるようになる」「多段ジャンプできるようになる」「撮エイガをアシストする」など多種多様な効果がある。
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「ちず」は、その名の通りカスカベの地図。上記のカントクスキルのうち「カントクワープ」を使えば、その場所の好きな撮エイガまでワープできる。
おうちメニュー
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「のはらけ」マップで野原家に入ると、「おうちメニュー」が表示される。
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「撮エイガリスト」では一度でもクリアしたランクの撮エイガをヤル気消費無しでプレイできる。ただしカントクポイントは増えない。
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「キャラクターリスト」では出会ったキャラクターの解説を見ることができる。ただしCVのないキャラはその映画のメインキャラに話しかけた時点で出会ったと見做される。
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「コレクション」では、「ブリブリまじんのツボ」を開けると手に入るコレクションを見ることができる。コレクションは映画のキーアイテムなどが多い。
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「おもいでシアター」では、イベントムービーを見ることができる。
評価点
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かなりのボリューム
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撮エイガの数は79。一部ルール被りもあるが、それでも3DSソフトとしては十分な数である。
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CVつきのキャラは85もあり、総勢63名の声優が声を当てる。しかも全編フルボイス。どのキャラに話しかけても必ずボイス付きで返ってくる。
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ライブラリ出演も極力抑えられており、ほとんどのキャラに新規ボイスが与えられている。オリジナル声優が故人だったり何らかの都合で代役になっているキャラもいるが、多くは元の声優を起用している。
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マップは11。「うちのちかく」以外はひるとよるで全く異なる構成となっており、飽きることがない。
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さらに驚くべきことに、初回封入特典の無料DLCを購入すれば『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ園児』(内容はSFC版相当)を丸ごと遊ぶことができる。
効果としては疑問だが「かんたんモード」も新たに実装され、大なり小なりとっつきやすさを上げている。
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映画を題材にする発想
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撮エイガは全てこれまでに公開された映画を題材としている。そのため、撮エイガのやりようによっては、しんのすけが敵に負けるなど映画とは異なる展開を見ることもできる。
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オリジナルキャラクター
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本作の女性オリキャラ「サイレン」(CV:井上喜久子)、「トーキー」(CV:東山奈央)はクレしんらしいタッチで描かれた非常にかわいいキャラクターである。ゲームだから大丈夫と判断したのか、イベントムービーにはかなりのサービスカットが含まれる。
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男性オリキャラ「カリピー」(CV:石丸博也)もうざくない程度にしんちゃんのノリに付き合う良キャラ。
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ちなみに井上氏は『黄金のスパイ大作戦』でナーラオ、石丸氏は『栄光のヤキニクロード』で白衣の男を演じていた。
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マップでの細かい描写
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横視点ながら、話しかけると喋っている人物がアップになるため、ADVのような形式で楽に会話を見ることができる。
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みさえやひろしに話しかけると視線を落として会話してくれるのも細かい。親の愛を垣間見る演出である。
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また、話の内容によって細かく表情が変わるのも面白い。
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ロード時間にボタンを押すとしんのすけが反応してくれる。飽きさせない良演出である。
賛否両論点
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世界観がわかりづらい
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当然ながら、極一部を除いて「映画」はしんのすけの経験を描いたものである。しかし、本作における「撮エイガ」はまるでしんのすけが初めて遭遇するシチュエーションのように描写されている。
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また、「映画世界」が何たるかが最後までよく分からない。トーキーによれば「この世界で撮影された映画のストーリーを管理する世界」とのことだが、「この世界」とはしんのすけがいる世界なのか、プレイヤーがいる現実世界なのかは不明。
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ただし作中で1回だけではあるが、世界観に関する踏み込んだ解説がなされる場面がある。
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教育に悪い描写
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原作からして決して教育にいい作品ではないが、本作でもやや教育に悪そうな描写がある。
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「夜に一人で外出」「知らない人に話しかける」「家の屋根に登る」など。原作とは別の方向に良くない。
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また、カチンコが登場する場面ではしんちゃんが謎の間をあけるせいで頻繁に教育に悪い単語が流れる(しんのすけは通常「ぞうさん」と表現するので、実はここまでストレートに言うのは割と珍しい)。
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映画を見たことがないと完全には楽しみにくい。
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映画については必要最小限のあらすじが載っているだけなので、撮エイガや街での会話の内容についていけない可能性が高い。
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クイズなどがあるわけではないので、撮エイガをプレイするだけなら大きな問題はない。
問題点
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一部撮エイガの最高難度がかなり難しい
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「LボタンとRボタンを交互に連打」系が特に凶悪。少しでも押し間違えればそれだけで命取りである。
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特に「めざせテッペン!のぼりっこ」では、LR連打とA連打が混在し、素早く切り替えなければならないため非常にきつい。しかもハイグレ魔王がべらぼうに速く、大人が本気で連打しても振り払うのは至難の業。
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ただしゲームクリアだけなら高難易度のプレイは必須ではないので安心されたし。
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撮エイガのやり直しのテンポが悪い
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多くの撮エイガで飛ばせないデモシーンがあるため、何度もやり直す時に非常にテンポが悪い。最長で10秒近く待たされる。
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3Dを生かした構成がほぼ0
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せいぜいラスト撮エイガに奥行きが感じられる程度で、ほとんどの場面では2Dと何ら変わりのない画面構成が続く。
総評
かなりボリュームがあり、クレしんらしさも存分に出た良作である。難易度調整がしっかりできるのも好評で、幅広いプレイヤーに楽しめる作品となった。
少しでもクレヨンしんちゃんが好きな人は是非手に入れるべきソフトだろう。
余談
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本作発売後、ひろしとしんのすけの声優が相次いで交代した。そんな中にあって、本作はかなり貴重なアイテムとなるかもしれない。
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本作の初回特典はタイトルつながりか、『嵐を呼ぶ園児』をプレイできるようになるDLコードが付属していた。
最終更新:2024年09月21日 08:10