信長の野望 天道

【のぶながのやぼう てんどう】

ジャンル SLG

対応機種 Windows 98~XP、Vista
プレイステーション3
Xbox 360
発売・開発元 コーエー
発売日 【Win】2009年9月18日
【PS3/360】2010年3月4日
定価 【PS3/360】8,800円
廉価版 PlayStation3 the Best
2012年1月19日/4,800円
判定 なし
ポイント 道がテーマ
技術資源の奪い合い
イベント少なし
シリーズで最も手厚いチュートリアル
女謙信
信長の野望シリーズ

概要

本作は「道」をテーマにしている。基本的なゲームシステムは前作『信長の野望 革新』をベースに作られている。
全国一枚マップやフルリアルタイム制などゲームの核となる部分は前作と同じで坊主停戦といった要素も含め、ルールの大半も共通する。

前作からの変更点

  • 道の敷設
    • 本作では武将に命令して部隊が移動するための道を作らなければならない。道のない場所を通ることもできるが移動が遅くなる。
  • マップには無人の集落や資源、諸勢力があるが、道を繋げると領地とすることができる。
  • ゲーム開始直後はあらゆる資源や集落などは未所属になっており、プレイヤー、CPUともにこれを支配下におさめるのが目的となる。
    • 道は破棄する事も可能だが、城から集落へ通じる道が分断されると所有していた集落は無所属となる。
  • 内政の簡略化
    • 南蛮町・門前町・公家町が廃止され、村落・商人町・武家町・匠ノ町のみに変更。専用の施設を建設すると文化人がやってきて家宝を売ってくれる。
    • 町並みの位置や種類はあらかじめ決められており、前作のように自由に設置することが出来なくなった。
  • 技術の柔軟化
    • 前作では特定の適性のある武将を集めたり、多くの学舎を作る事で開発する事が出来た技術だが、本作では、金銭と匠ノ町(Lv1~3)、上位技術の研究には高レベルの匠ノ町と1種~2種の資源生産地を支配する事で研究が可能になった。
      • 加えて複数の技術を同時研究できるようになった。
      • 技術の開発順も自由となり、資源と匠ノ町が揃っていれば、下位の技術を飛ばしていきなり上位の技術を研究する事も出来る。
      • 技術研究に兵科適性が必要なくなり、政治力の高い武将に任せることが出来るようになった。前作では兵科適性が高いが、知力や政治力に難のある猛将が少なくなかったので開発に異様に時間がかかるという問題点をはらんでいた。
    • 本作では技術が匠ノ町1つにつき1つずつ所有され、匠ノ町が他勢力に奪われるとその匠ノ町にあった技術も喪失するようになった。
    • 資源生産地が必要な技術については資源生産地を奪われると匠ノ町が奪われなくても喪失する。
    • 内政技術から兵糧・募兵・軍馬にかかわる技術が分離した「牧農」というカテゴリーが作られた。
  • 築城の平等化
    • プレイヤーが奪い合う拠点である城の耐久度は、内政技術を獲得することで改築できるようになった。
  • 自動調達
    • 募兵・鉄砲調達・馬調達は、それぞれ「奉行」と呼ばれる武将を指定するとその武将が自動で行うようになった。
      • 前作の革新PKから続投した形となる。
  • 群雄覇権モード
    • 前作の「地方モード」同様に全国ではなく、各地方を舞台としたモード。ただし、あらゆるシナリオを選択できた前作とは異なり、シナリオや大名は年代ともに専用の物となる。
    • 関東甲信越では武田信玄、上杉謙信、北条氏康、真田幸隆による「三つ巴と六文銭」等、地方の大名にスポットを当てた形となる。
      • イベントも豊富でCPUの大名を滅ぼせば何らかのイベントが発生する為、どの大名も主人公になりうるほど内容が濃くなっている。
      • しかしながら、年代的にはすでに死んでいる尼子経久や朝倉宗滴といった武将が生きていたり、寿命は強制的に「なし」になる等、仮想シナリオに近い面も持つ。
  • 伝承イベント
  • 「上杉謙信女性説」や「徳川家康が影武者と入れ替わっている」といった異説を信じたものとしてゲームを開始する事が出来るようになる。
    これを有効にすると、該当武将が入れ替わり、顔グラフィック、能力値の他、歴史イベントなどに影響を及ぼす。

評価点

  • 道を意識した戦略
  • 本作はテーマが道であり、内政や軍事の全てにおいて重要となってくる。道を作らなければ町や資源を得られない。また軍事面も移動という足枷をくらい、防御側に防衛施設を作られるデメリットになり得る。
  • 内政や軍事、そして「道の制作」という新たな戦略を生み出し、奥深い戦略性を生み出している。
    • また、道が繋がっていれば他国の町を占領することも可能。これにより、部分的に領土を奪い合うという現実の抗争を再現していると高評価。
      • 戦闘で城は落とせなくとも、町並みを奪う事で敵国の収入を掠め取り、こちらの領土を広げる事が可能となった。
    • 道を敷設するだけでなく、逆に道を撤去し、敵軍の進行を妨害するなどの戦略も可能。
    • また道を繋げるというシムシティ的な楽しみができるようになっている。
  • 技術と資源の奪い合い
    • 本作は技術が非常に重要である。技術によって兵科の強化や内政面の設備などに影響を与える。例えば畑や田畑を製作しても兵糧不足に陥るということもありえる。
    • 本作は領有している匠ノ町や資源生産地の数が持ちうる技術の数に直結し、大勢力に有利なシステムとなったが、技術の喪失の概念が加わった事で相手勢力を技術面で弱体化させられるようになり、技術と資源の奪い合いというリアルな戦争シミュレーションが行えるようになった。
      • 前作では技術が恒久的なものとなっていた為、大勢力が研究し終えてしまうと打つ手が無いという問題点があったが、本作ではそれが解消された。
  • 程よい内政と軍事のバランス
    • 内政面、軍事面もどちらも程よいバランスになっている。
  • 手厚いチュートリアル
    • 本作ではチュートリアルがいつもに増して項目が多く、また内容も氏康死後に跡を継いだボンクラな北条氏政を北条幻庵が指導していく内容となっている。
      • 最強戦法「獅子天雷閃迅槍・絶牙」といったセリフが飛び出す等、全編にわたってギャグまみれだが、非常に細かい内容まで実演しながら学べるのでシリーズ一手厚いチュートリアルとなっている。
      • (チュートリアル内では)ボンクラ顔と酷い能力にされた北条氏政が賛否を呼んだが、本編では前作以上の名将となっている。
      • また、PKでは名将に成長した氏政が幻庵に変わってボンクラな氏直にPKの追加要素を教えるといった憎い演出もある。
  • 濃厚なBGM
    • 7作目の『将星録』より音楽を担当した山下康介氏が関わった最後の作品となるが、BGMは前作以上に磨きがかかっており、非常にクオリティが高い。
      • 力強さにや華やかさに加えて儚さも感じさせる織田家等、勢力限定のBGMも多め。

賛否両論点

  • 輸送
    • 本作の輸送は輸送隊を送って前線に物資を届ける。なので時間がかかる。
    • これを面倒という意見、リアルで良いという意見に評価が分かれる。
  • 兵数
    • かなり多く設定されており、一つの城で最大50万人を収容できる。関ヶ原の戦いで20万人が参加したことを考慮するとかなり巨大な軍となる。
    • あまりも兵数が多いという声もあれば、大軍を動かせて楽しいという意見もある。

問題点

  • 傷兵
    • 本作は戦闘に破れた兵士は大部分傷兵となる。勝てばその兵が得られる。
    • しかし、攻略に失敗すると攻めた兵数だけ敵に取られることとなり、かなり難易度が上がる。
    • そもそも傷兵と言えども再起不能や老年での引退などもあるのだからここまで多くの兵が徴兵できるのもリアルではない。
    • 上記の通り最終的に巨大な軍となるが傷兵の仕様も原因である。
  • 進行が遅い
    • 一枚マップの為か進行が遅い。また移動も遅い。
  • 外交の意味がない
    • 極めて強硬的な勢力が多く、同盟や要請、勧告も全く成功しないことが多い。
    • 圧倒的戦力差があっても徹底抗戦を挑む小勢力も多い。その割に攻め込むと停戦を申し込むことが多い。
    • 勧告も能力が高くても失敗することが多い。
  • イベントが少ない
    • 歴史的なイベントが少なく、ゲーム中にあまり盛り上がらない。
    • 例えば包囲網や連合などを破っても何もイベントは無い。
    • 使い回しのイベントも多く、秀吉の城壁の修理などが他の武将で多発する模様。
    • 群雄覇権モードならばイベントも増えるのだが、どちらかといえば架空の色が強い為、賛否両論である。
  • 微妙な伝承イベント
    • 歴史の異説を信じて実現するというモードだが、実装されているのは「謙信女性説」「家康影武者説」のみ。
    • せめて、過去作にもあった「南光坊天海 = 明智光秀」といった異説も用意して欲しいものである。
    • 影武者家康は影が薄い上に、なんといっても女謙信のインパクトが強過ぎるので、実質は謙信を女にするだけのモードになっている
  • 内政
    • 街並みを自由に造れなくなったことにより、内政の自由度が低下。

総評

  • 革新をベースに、道という概念と資源と技術のやりとり、という新たな戦略を加え、新たなるシミュレーションを生み出した。
    • 一方で、外交やイベントなどはまだまだで総合的に凡作という出来である。

信長の野望 天道 with パワーアップキット

【のぶながのやぼう てんどう うぃず ぱわーあっぷきっと】

ジャンル SLG

対応機種 Windows 98~XP、Vista
プレイステーション3
プレイステーション・ヴィータ
発売・開発元 コーエー
判定 なし
ポイント 久々に「信長誕生」が実装

特徴・評価点(PK)

  • シナリオは全国モード5本、群雄覇権モード6本が追加され、新武将はおよそ100人が追加された。
    • 『蒼天録』以来久々に「信長誕生」シナリオが実装され、1世代前の武将達が大幅に追加された。
      • これにより北条氏綱も追加された為、群雄集結では北条五代が揃い踏みとなった。
  • 「AIエディタ」により、大名の思考パターンに手を加える事が可能になった。
  • 「勢力登場切替」というゲーム開始前に登場する勢力を設定するシステムが搭載。
  • 「武家文化」「公家文化」「寺社文化」「南蛮文化」の4系統32種類(1系統につき8種類ずつ)の文化が登場した。

総評(PK)

天道のパワーアップバージョン。買うならこちらをおすすめする。

最終更新:2023年05月22日 17:12