Marathon 2: Durandal
【まらそん つー でゅらんだる】
ジャンル
|
FPS
|

|
対応機種
|
Mac OS Apple Pippin Xbox 360 Windows
|
発売元
|
Bungie Freeverse アテイン株式会社(トリロジー日本語版)
|
開発元
|
Bungie マイクロソフト(Xb360) Pacific Software Publishing, Inc.(日本語化)
|
発売日
|
1995年11月24日 【Win】1996年9月6日 【Xb360】2007年8月1日
|
判定
|
良作
|
ポイント
|
惑星ロウォンが舞台へ 味方NPC登場 銃撃戦主体の内容に変化
|
Marathonシリーズ Marathon / Durandal / Infinity
|
概要
Apple Macintosh向けに発売され絶賛されたBungireのFPS『Marathon』の続編。
エンジンが大幅に強化され、新たにWindows 95でも発売が開始された。
Xbox Liveバージョンは前作未配信のため「Marathon: Durandal」として配信された。
ストーリー
西暦2794年。
自由を渇望し混乱を巻き起こした宇宙船Marathonの管理AI「デュランダル」は、奴隷制種族プフォールを呼び寄せたことで攻撃を受けるが、それを利用して彼らのうち反逆を願う奴隷種族スフトと接触、協力して武装蜂起を起こすことに成功する。
スフト、デュランダルと協力してプフォールの宇宙船へと乗り込んだ主人公は、彼らを撃破して撤退に追い込むことに成功。Marathonの管理は失踪したデュランダル、ティコからリーラが引き継ぎ、再び平和が訪れる。
17年後...
念願のプフォール製宇宙船を鹵獲しスフト族と共に改良を施したデュランダルは、プフォールに拉致され奴隷にされかけたBoBたちと主人公を乗せ宇宙を航行していた。
スフト族の故郷で現在はプフォールの流刑先の惑星ロウォンに辿り着いたデュランダルは、スフトに伝わる伝説の古代技術、そして古代AIの在り処を求め主人公とBoBたちに探査を命令する。
しかし、デュランダル達を追うプフォールや人類を裏切りプフォール側に付いた管理AIティコの率いる新たな艦隊もまたロウォンへと迫っていた。形勢逆転の鍵となる古代技術を求め。主人公達は決死の探索を開始する。
ゲームシステム
操作
-
基本操作・仕様は前作と同様。後述する水中場面の追加以外には大きい変化は無い。
-
舞台は別種族の惑星となったが、前作同様にリチャージャーまたは回復アイテムを使用して体力回復を行う。
-
本作からの追加要素は「水中・液体の中に入れるようになった」という点。浄水場の綺麗な水中だけでなく未処理の汚水中や、ステージによっては毒液や溶岩の中にまで飛び込む羽目になるのだ。当然そこでは酸素を、毒液や溶岩ではもちろん体力も消費し、うかうかしていると窒息死か毒死か焼死の運命を辿る。
-
こういった液体の中では何もしなければ水底まで沈む。そのためダッシュボタン(デフォルト設定ではctrl)で浮上することが可能。移動自体は地上と同じ(デフォルトでテンキー4568)で、そのまま水底を歩き回れるほか、浮上と組み合わせることによりいわば「泳ぐ」ことが可能である。
-
水中では鉄拳以外の武器が使えない。幸い敵も水中で使用可能な射撃武装は誰も持っていないのだが、たまに手痛い水中格闘攻撃をかましてくるモンスターがいるため油断は禁物。
ゲーム進行
-
惑星ロウォンを舞台に、敵対的な異星人プフォールと戦いつつ探索を行うFPS。
-
全9チャプター、合計28レベルのステージクリア型。前作の特徴であった難解なパズル要素はやや薄れ、銃撃戦の割合が増加した。
-
マップ各所にコンソールが設置されており、これらを使用することで情報の閲覧が可能となっている。
-
追加武装として「ショットガン」が登場。至近距離であれば極めて強力な威力を発揮するうえ、ピストル同様にアキンボも可能。一発撃つごとにリロード動作が入るもののアキンボも含めての総合連射性はなかなかのもので、敵中に飛び込んでバッタバッタとプフォール共を蹴散らすもよし、マルチプレイで互いに一撃死の恐怖を押し付け合う死闘を演じるもよしと、銃撃戦メインな本作の華とも言えよう。
-
また「エイリアンの武器」が仕様変更され、高速マシンガンのような感じだった前作とは異なり低速エネルギー弾を連射するタイプとなった。サブトリガーでは左右斜めにも低速ビーム弾を連射するというもので、メインと併せていわゆる3way連射が可能となっている。
マルチプレイ
-
新たに特定地点を守る「King of the Hill」、鬼ごっこの「Tag」、チームでデスマッチを行う「Team Play」、シングルプレイを複数人で攻略する「Cooperative」、そしてボール(という名称だが
実際は人間の頭蓋骨である
)を奪い合う「Kill the Man With the Ball」などが登場。
-
マルチプレイマップは合計13個。もちろん「Cooperative」ではそちらではなく本編マップで遊ぶことになり、参加者のうち誰か一人がマップをクリアすれば全員自動で次マップに移行する。
-
少々ややこしいのだが、チームを決める設定自体は「Team Play」以外のルールでも設定可能であり、やろうと思えばチームでボールの取り合いをするといった遊び方も可能であった。
-
ただしいわゆるフレンドリーファイヤー防止設定などは一切ないため同士討ちには要注意。
評価点
エンジン強化
-
前作からエンジンが更に強化され、それに伴いHUDの縮小なども行われたことで視野が広がりプレイしやすくなった。
-
高い解像度、高い色深度、高品質のサウンドなど内部部分も大きく変更が加えられており、また外部ファイルからマップをロードする機能も追加された。
グラフィック・サウンドの強化
-
前作から流用せず新しく作られており、より高解像度となっている。
-
グラフィック面に於いてエンジンの高画質化が行われている作品だが、元の解像度が高いため高画質化の恩恵が非常に大きい。
-
サウンド面に於いては演出が大幅に強化されており、設定でもそれらのオンオフや度合いを決める「動作によるサウンド(Active Panning)」「周囲サウンド(Ambient Sounds)」「追加サウンド(More Sounds)」などが追加された。これらを可能な限り有効にしていれば、風の吹きすさぶ音、川が流れる音、ロウォン原住生物の鳴き声……などSE類が効果的に演出され、探索の没入感を盛り上げてくれる。
-
一方、前作と打って変わって今作にはBGMは存在しない(過去にファンが高難易度化MOD用にBGMを二次創作したとか、現在でもそれをAlephOne版に追加可能といった話はあるが)。代わりというわけではないがゲーム起動時〜メニュー画面にてロック調のテーマ曲が流れるようにはなった(前作では不気味な効果音が流れただけ)。
より広大な野外環境
-
閉鎖的な船内だった前作と比較して解放的な空間が多く、より撃ち合いの激しさが増した。
-
全体的に明るくなったことで地形構造も見やすくなり。視覚的に不便に感じる部分が減少。
-
上述したように水中・液体に潜る場面が登場したことも特筆点といえる。
硬派で複雑なストーリー
-
前作で高く評価されたストーリーは本作にも健在。思考が読みにくい捻くれた性格の「デュランダル」との共闘や、かつて存在した古代文明、BoBやスフト族、カー族との共同戦線など、複雑で予測不可能、驚きに満ちた展開がプレイヤーを楽しませる。
-
どこに向かい、何をするかというデュランダルからの指示も前作同様にきちんとしており、ただゴールへつき進むのではなく探索の目標がしっかりと提示されている。
-
「反逆を起こす異星種族」「超技術の眠る古代遺跡と、そこに眠るとある目的を持ったAI」といったさまざまな要素は前作同様に後の『HALO』シリーズへと受け継がれた。
-
続編を示唆するような演出であった前作とは異なり、最後には綺麗に終わる。
味方NPCの増加
-
前作後半では武装蜂起したスフト族との共闘が行われたが、本作でも味方NPC要素は健在。
-
プフォールに宇宙船で拉致されかけたところを主人公に助けられたものの、今度はデュランダルに拉致されてサイボーグに改造された「BoB」が大活躍し、マグナムピストル片手に主人公の戦闘を補佐してくれる。
-
体力は少ないため死にまくるが、登場個体数は多い。前作前半にあったような孤独感は薄れ、共闘パートをより楽しめるようになった。なお、誤射しすぎたり故意に一定数殺害したりするとマップ上の全てのBoBが敵対し難易度が大幅に上昇する。
-
敵のプフォール側もボブたちに対抗し、自爆攻撃を仕掛けてくる偽装ドロイドの爆弾ボブを前作から引き続き投入してくる。さらにVidMaster(Marathon熟練プレイヤー)の心得に「ボブは一人として生かすな」という文が追加されるなどゲーム内外共に扱いが酷い。
ただ前作では攻略の超邪魔だったのに守らなければならずヘイトを買いがちだったため、今作で気兼ねなく抹殺できて嬉しいという意見もある。
-
なおピストルといえども集団戦・集中砲火なら馬鹿にならない火力を発揮するので、敵対する際は要注意。
賛否両論点
ゲーム性の変更
-
閉鎖的空間での探索と謎解きに重きを置いていた前作から、開放的空間での撃ち合いに特化したレベルデザインへと変更。前作の独特な雰囲気を好むファンからは不満の声が挙がった。
-
ただし難易度は軽減されておりストレスフリーに撃ち合いが楽しめる。ストーリーの重厚さも相変わらず維持されており、作品としての劣化に結びついているわけではない。
莫大なテキスト
-
前作同様、ストーリー解説の多くをターミナルからのテキストメッセージで済ませており、読まなければいけない文章量が非常に多い。
-
世界観の広がりを得ることには成功しているものの、やや没入感に欠ける。
問題点
マップが見づらい
-
立体交差が多く複雑なレベルデザインを採用しているがマップ表示は2Dで表示されるため、複数の階層にまたがる部分は両方の階層が被さってわかりにくい。
-
エレベーターやプレス機といった上下移動が可能な箇所は赤く表示されるものの、階層ごとの色分けといった見易さに配慮した機能がない。
総評
エンジンの改良や濃厚なストーリーなど、様々な点で前作から順当に発展した『Marathon』第二作。
銃撃戦主体へのゲームバランスの変更はやや批判を招いたものの、前作同様に高い評価を得ることに成功した。
現在ではMac/Windowsでフリーソフトとして公開中。プレイの敷居は低く、気軽に遊ぶことが出来る。
余談
-
マイクロソフトによる買収直前にBungieからソースコードがリリースされたため、現在ではそれをベースにWindowsなどの現代PCでも動作するよう調整した「Aleph One」が開発されている。
-
日本にも熱心なファンが多く、各種テキストの日本語化も行われた。
-
実はオリジナル版(Mac版)のCD内には
Bobの悲鳴・断末魔をミックスして作った「ジングルベル」の音声データが仕込まれていた。
音楽CDプレイヤーにかけることで再生が可能で、いわゆる一昔前のゲームCDにありがちだった「音楽プレイヤーで再生してはならないという警告メッセージをネタにした音声が流れる」の一種だったのかもしれないが、流れてくるのはものすごいカオスな阿鼻叫喚曲である……。
-
残念ながら後年発売されたトリロジーボックス版(現在Bungie社が無料公開しているバージョンもこのトリロジー版であり、Aleph One環境でも基本的にはこれがベースになる)では未収録。気になる人は色々検索してみよう。
最終更新:2022年05月08日 21:46