シレン・モンスターズ ネットサル

【しれんもんすたーず ねっとさる】

ジャンル 育成スポーツアクション
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 64MbitROMカートリッジ
開発・発売元 チュンソフト
発売日 2004年4月22日
定価 4,800円(税抜)
プレイ人数 1~4人(2人以上は通信ケーブルが必要)
判定 良作
風来のシレンシリーズ関連作品リンク

概要

風来のシレンシリーズのモンスター達が行うスポーツ(フットサル)ゲーム。
シリーズ*1から流用されているのはほぼキャラクターだけで、ジャンルも世界観も全然別物である。
主人公のシレンは登場しない。あえて言うならプレイヤー(監督)が主人公か。
ルールはフットサルに準拠するが、反則なし・妨害あり・必殺技ありのハチャメチャなゲームとなっている。

登場キャラクター

+ 折り畳み
選手(サル)と主な出身地
  • マムル 韓国、アメリカ
    • 最初から「電撃に強い」「忠誠心が高い」の特徴を持つ。特技は持たないが、そのぶん特技使用時のスキがなくスタミナを温存しやすい。
  • おばけ大根 韓国
    • 「どく草」を投げて、当たった相手を鈍足状態にする。
  • 死の使い イングランド
    • 特技使用時のみ、倍速で移動できる。初期体重が0kgでありフィジカルは弱い。
  • デブータ 中国、韓国
    • 石を投げて、当たった相手を行動不能にする。敵キーパーにも有効。
  • ぬすっトド イタリア
    • ボールを盗んで相手ゴール前にワープする。キーパーにするとゴールががら空きになるリスクを負う。
  • ンドゥバ インド、ウルグアイ
    • ボールに化けて、敵選手をおびき寄せる。「フラフラしない」を持つ相手には効かない。
  • ゲイズ オーストラリア、パラグアイ、オランダ
    • 催眠術で相手を寝返り状態にする。格上キラー。「忠誠心が高い」を持つ選手とキーパーには効かない。
  • オヤジ戦車 ドイツ
    • 大砲を発射し、目標地点に達するか誰かに当たると爆発して爆風に触れた者を吹っ飛ばす。
  • カラクロイド ロシア、アメリカ
    • 地面に爆弾を2つまでセットでき、踏むと爆発する。最初から「爆発に強い」を持つため自爆しない。
  • チンタラ アジア、オセアニア全域
    • 最初から「炎に強い」「フラフラしない」の特徴を持つ。マムル同様、特技は持っていない。
  • にぎりへんげ*2 メキシコ
    • 口から息を吐き、相手をおにぎり状態にする。おにぎりを炎で焼くと焼きおにぎりになり、強制退場させられる。
  • マルジロウ パラグアイ、アルゼンチン、ブラジル
    • 丸まりタックルで相手を転ばし、持っているアイテムを落とさせる。
  • タイガーウッホ 南アフリカ、ナイジェリア
    • 選手をつかんで放り投げる。キーパーも持ち上げ可能。長時間投げないでいると自分が行動不能にされてしまう。
  • パ王 インド、カメルーン
    • 封印の杖を振り、特技を使用できなくする。
  • ひまガッパ フランス、オランダ、ウルグアイ
    • 特技により投げつけられた物を投げ返す。パ王の杖とドラゴンの炎は投げ返せない。
  • ドラゴン*3 ブラジル、アルゼンチン
    • 炎を吐いて、当たった相手を燃え状態にする。「炎に強い」を持つ選手には効かない。燃えている選手に触れると燃え広がる。
  • マーモ オーストラリア
    • ボールを自分の体に収納し、ボールを奪われにくくなる。木製のためか最初から「炎に弱い」の特徴を持っている。
  • ンフー スペイン、アメリカ
    • 受けた特殊能力をラーニングして使えるようになる。別の特殊能力を受けると上書きされ、前のものは忘れてしまう。
秘書
  • 高嶋ヒヨ
    • 礼儀正しい日本人秘書。趣味は潜水艦だが一度も乗った事がない。
  • ジェニファー・ロペヌ
    • アメリカ人チアリーダー。やる気の低い選手を応援し、やる気を上げてくれる。
  • イザベラ・マルビエーリ
    • セレブなイタリア人。イタリアの選手の内情に詳しい。
  • ただのにぎ子
    • にぎりへんげの女の子。モンスター語を話せるとの事だが…。選手達には不評。
  • おばぁ
    • 出身地不明の老婆。ネットサル業界では知らない人がいない伝説級の知名度を持つ…らしい。

システム

  • 試合ルール
    • フィールダー3人、キーパー1人の4人制。
    • 試合時間は2分ハーフ。
      • 対戦のみ1分や4分に変更可能。能力や必殺技の有無も設定できる。
    • 7点差がつくか15点取ると「ワンサイドゲーム」となり試合終了。
    • 試合中にはフィールドにアイテムが降ってくる。S(スペシャル)を取れば習得した必殺技が発動可能になる。
    • 反則はない。イエローカードやレッドカードもない。
    • スタミナが切れた選手は自動で控え選手と交代になる。控えがいないときは長時間気絶してしまう。
    • 試合中、選手がランダムでプレーミス(ポカ)をやらかす。集中力の能力値が高いほど出にくくなる。
  • チーム育成
    • 最初にキャンプ地域と秘書を選択する。選手は秘書が5人集めてくれる。
    • 1ヶ月間の間練習し、仕上げに他チームと試合を行う。
      • 合間に買い物やイベントが起きることがある。お金は試合などで得られる。単位はG(ギタン)。
    • 選手の能力値はE~A・S・SS・☆の8段階。体重(フィジカルの強さ)は0~250kgまで。
      • 練習にはレベル(1~3)があり、練習レベルが高いほど得られる効果も大きい。練習レベルを上げるにはアイテムとして購入するか、試合の賞品として手に入れる必要がある。
      • 特定の練習をすることで特徴が身についたり、必殺技を習得することがある。
      • 選手には「やる気」のパラメータがあり、これが高いほど練習による成果が上がり、試合での動きも良くなる。
      • 練習や試合で「爆発的に成長」することがあり、能力値が段階ごと上昇する。
    • 10か月経過後、優秀な選手をトップチームに登録する。登録できるのは12名まで。
      • 登録が終わったら再度最初から育成のやり直し。ただしストーリーや撃破したチームは引き継がれる。
      • トップチーム登録済みの選手は最初の育成候補に出て来なくなる。再度育成したければトップチームから外すしかない。
  • チャンピオンズリーグ
    • トップチームを使用し、リーグに挑戦する。
      • リーグはサード・セカンド・トップの3種類あり、トップリーグで優勝するとエンディング。
  • 最強への道
    • サードリーグ優勝後に使用可能になるモード。トップチームを使って対戦し、段位を上げていく。
      • 通信ケーブルを使用すれば、他ソフトのチームデータをもらって登録できる。
    • プレイヤーは操作できない観戦形式となる。
    • 段位が上がると、トップチーム登録選手の能力が上がる。
      • 逆に言うと、登録した選手をさらに成長させる方法はこれしかない。

評価点

  • チーム育成1回目はチュートリアルを兼ねており、色々と補足説明が出る。シリーズの「ちょっと不思議」みたいなもの。
    • 育成効率は良くないので、強力な選手を育てるのには向かない。
  • 特定の国制覇などで隠し地域が出現する。隠し地域はキャンプ地に選べない。
    • フィールドに特徴があり、炎が吹き荒れる・雷が落ちる・能力が使えないなどクセが強い。
      • 炎に強いチンタラや雷に強いマムルを集めるなど、地域攻略専用チームの育成が求められる。
  • オートセーブ機能により不正対策が徹底されている。
    • まずい結果になったからといってリセットしても結果は変わらない。
    • 育成を最初からやり直すことは可能。これにより育成スタート時のキャンプ地や選ばれたメンバーが気に入らない場合はやり直しできる。
    • 試合中はオートセーブされないが、試合中にリセットすると強制負けになる。このゲームの元ネタである風来のシレンの経験者にわかる言い方をすると、ダンジョン突入時の強制セーブと同じ。不正防止としては当然の措置である。
      • 本体の電池が切れた場合も同様だが、それを防止するため試合中はポーズからスリープモードへの切り替えも可能。
    • 最近では、練習直後にリセットを行うことによるイベントの完全キャンセル、及び乱数固定を利用した練習での爆発的成長の連続発生などが発見されてはいるがテクニックとして容認されている。*4
  • 反則がないので、試合ではやりたい放題。やり方によってはかなり格上のチームにも勝つことができる。
    • 必殺シュートで豪快に点を決めたり、妨害アイテムで敵キーパーを無力化してドリブルで突っ込むなど戦法も自由自在。
      • 時間を巻き戻して得点を無かった事にする残り時間に関係なく試合を終了させるといったヒキョー(原文ママ)極まりない必殺技もある。
    • 「レイズアップ」というアイテムを取るたびに、次に決めた得点が2点、3点と増えていく。大逆転も夢ではなく、ここぞという時のために必殺技を温存するのも手。
  • 試合で特定条件を満たすと、アイテムがもらえるなどのおまけがある。
    • 条件とはワンサイドゲームで勝つ、1人の選手が3点取る(レイズアップ可)、相手全員をおにぎりにする*5などがある。
      • このおかげで逆転性が高い反面明らかな格下チーム相手にはサクッと決着が付けられ、ダレにくい。
  • 購入やイベントで助っ人選手を育成チームに入れることができる。育成もできるがトップチームには入れられない。
    • 爆裂ヘッドを持つ「うほざわ(タイガーウッホ)」、キングの異名を持つ「ゲズ(ゲイズ)」、勝負弱いFW「にぎりさわ(にぎりへんげ)」など実在人物をモデルにしている。
      • 中には「ジャッキー・チン(チンタラ)」、「イジロー(マルジロウ)」などサッカー選手ですらない助っ人も。
  • エンディング後も続行可能で、やり込み要素は高い。
    • 隠し地域全解放、育成効率を吟味して最強選手の作成など、やれることは多い。
    • 隠し地域の強力チームもトップリーグに参戦してくるようになるので、手ごたえがさらに上がる。

賛否両論点

  • 育成・試合とともに運要素が強め。
    • 爆発的成長の効果が非常に強く、なおかつ爆発的成長の発生確率はやる気の高さや試合相手の強さなどが関係しない運任せとなっているため、ある程度以上能力値の高い選手を育てられるかはこれがどれだけ発生するかという運任せになっている。
      • 練習で爆発的成長が発生した場合おおよそ練習4回ぶん以上の効果、試合で爆発的成長が発生した場合ポジションにもよるがおおよそ練習10回ぶん以上の効果となる。なお、1体に練習させられる回数は10ヶ月通して基本的に最大40回で、狙ってこれ以上の回数にすることはできない。
      • おおよそ全能力値B~A程度までの能力値であれば運がそれほどよくなくても実力次第でぎりぎり狙えるが、全能力値S以上となるとどれだけ実力が高くてもこの爆発的成長が発動しない限り到達不可能。能力値に関しては、運の悪さを実力で補うという要素は風来のシレンよりも乏しい。
      • 余談だが、敵チームの中には全能力値S以上レベルのチームがある。ただし当該チームは隠し地域にしかいないため、やりこみプレイヤーのための存在としてみればこれは問題ではない。
    • 特徴や必殺技も「条件を満たした上でランダム」というもののため、育成開始時から狙っても最後まで取れないこともある。
    • 試合も特殊能力によりGKを無力化する手段が多く、能力差があっても得点されやすい。必殺技とアイテム(特にSボールとレイズアップ)が絡むため逆転性がかなり強め。
    • これにより、CPU相手だろうと格下相手だろうと良くも悪くも油断できないバランスになっている。

問題点

  • 育成データが一つしか作れない。
    • 一回きりのイベントも多いため、秘書別の反応を見たいなどといった場合は最初からやり直さなければならない。
    • チーム名やチームカラー、エンブレムの変更も不可能。
  • チームカラーはホームとアウェイの2種類選べるが、同一チームは全員同じ色になる。
    • 同じ種族の選手を複数起用する場合に見分けがつかない。特にCPUチームは特色を出すためか4人全員同じ種族というチームも多く、まぎらわしい。
  • 種族のバランスがやや悪い。
    • マルジロウが強すぎる。
      • 特殊能力の丸まりタックルはお互いの能力値に関係なく相手を吹っ飛ばせるうえ、防げる特徴が存在しない。ボールを持ったキーパーも吹っ飛ばしてボールを奪ってシュートといったやりたい放題も*6
      • そもそも至近距離限定とはいえ隙が少なく絶対に成功するという性質自体、通常のタックルアクションの使う意味を無くしタックル能力値を上げる手間を消しているのが壊れ気味。
      • 唯一パ王の封印で使用不能にしておくことはできるが、「封印よけ」を持っているとどうしようもない。こうなると操作していれば完全に通常のタックルを使用する機会がなくなる。
      • しかもほぼ唯一、敵のアイテムを落とさせることができる効果もある*7。他の種族より段違いで必殺技を連発でき、他の種族からすればアイテムによる妨害や必殺技の使用機会をすぐに奪われてしまう。
    • 使いづらい種族も多く、特にオヤジ戦車は筆頭。
      • オヤジ戦車の大砲は敵味方問わず爆風の当たり判定があり、1人出場しているだけで選手が吹っ飛びまくる大荒れの試合になりやすい。原作通りの仕様ではあるが。
      • 無効化特徴の「爆発に強い」をカラクロイドが初期から持ってはいるが、カラクロイドの爆弾設置も「爆発に強い」がないと味方にも当たる困りもの。一応、こちらは設置技ということでオヤジ戦車よりは邪魔になりにくいが。
      • オヤジ戦車本人は「爆発に強い」を初期状態では持たないため、至近距離の選手に砲撃し自分もろとも吹っ飛ぶことがある。CPU操作のキャラにするにはずいぶん難がある種族である。原作では自分自身の砲撃でダメージをくらうことはないのだが……。
      • 「爆発に強い」を習得するにはチームメイトにオヤジ戦車が必要になる。これをオヤジ戦車自身につけるにはチームに2名もオヤジ戦車を入れるというリスクを負わなければならない。
    • ドラゴンの炎も敵味方問わず当たり、特殊能力も「炎に強い」がないと選手やボールを介して燃え広がる。こちらの特徴は練習で付けられるのでまだマシか。
    • この二種族は味方全員に無効化特徴をつけること前提の上級者向け種族となっているが決して弱いわけではない。そのハードルを越えられれば強力な種族として機能してくれる。
      • ドラゴンはにぎりへんげと組んだ時の「焼きおにぎり」という強力な戦術*8もある。
  • 必殺技のランダム性が高い。
    • 必殺技を複数覚えていると、Sボール習得時にランダムに抽選される。使いたい必殺技が出てこないと一度他のアイテムを取得してから再度入れ替えるしかない。
      • せっかく強力な必殺技を覚えても、別の必殺技を覚えると抽選率が下がり、組み合わせによっては弱くなる
      • 必殺技のほとんどは練習中に勝手に覚えるというのも困りもの。習得イベントが起きた瞬間にオートセーブされるため、リセットしても取り消せない。

総評

スポーツというよりハチャメチャバトルだが、ゲームとしての出来は良く、2分ハーフという試合の短さもありテンポも良い。
キャラクター以外はほとんどオリジナル仕様であり、シレンシリーズを知らない人でも問題なく遊べる。
操作説明やチュートリアルも充実しており、やり直しも容易、戦法次第で格上に勝てるなどの要素でアクション苦手な人にもお勧め。
一方でシリーズの中ではかなり異端な作品であるのも事実で、本家のようなゲーム性を期待してはいけない。

余談

  • 最新ゲーム機に配信や移植はされていない。考えられる理由としては、どこでもセーブ機能や巻き戻し機能を使うと不正な育成ができてしまいゲームにならないからだろう。
    • そういった機能がある本体で遊ぶ場合でも、使わない事をお勧めする。
  • マルジロウは原作の『風来のシレン2』でも味方にするとバランスブレイカーと評されている。
  • 風来のシレン5』のモンスター図鑑で、本作に登場するモンスターの一部が本作をネタにしている。
  • 風来のシレン6』のもののけ道場のメニュー画面で、本作のアレンジBGMが使用されている。
    • また、行商人に「ナゾーさん」という名前が付いており、本作に登場した行商人と同名である。
  • 本作に登場するサルカトーレの中で、本家ではNPC扱いのマーモやンフーを除くとパ王以外のモンスターが『風来のシレン6』に登場する。
最終更新:2024年08月19日 07:59

*1 初代、月影村、シレン2、GB2の4作品。

*2 月影村以降の名前。初代は「妖怪にぎり変化」だった。

*3 初代にも登場しているが、デザインはシレン2のアレンジ。

*4 前者は余計な必殺技取得防止として有用ではあるがプラスのイベントや行商人もキャンセルするデメリットがあり、後者は一回目の爆発的成長は結局運次第で全能力カンストはこれをもってしても達成されていない。

*5 チームメイトににぎりへんげがいる場合のみ。勝敗は関係ないので、格上のチームにも達成しやすい。

*6 これ自体は、攻撃能力orボール奪い能力がある種族なら他でも行える。

*7 他は必殺技のファイヤータックルのみ。こちらは性能が悪いため必殺技なのに丸まりタックルの下位互換扱いされ習得を避けられる。

*8 おにぎり状態の選手が炎で燃えることで焼きおにぎりになってしまい、一時的に完全に消失する。控え選手も出ないので単純に数的有利を作れる。