美神伝説Zoku
【びしんでんせつぞく】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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スーパーファミコン
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発売元
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マジファクト
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開発元
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ウィズ、夏システム
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発売日
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1993年12月25日
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定価
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9,800円
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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2020年が舞台 〇演出_△ゲーム性 安全運転が大事 コノヤロコノヤロ
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概要
本作はマジファクトが製作したSFCソフトの第1弾目であり、3Dレースゲームとベルトスクロール格闘ゲームで構成されている。
2020年の無法地帯と化した日本を舞台に、恋人を救うため美神(びしん)グループへ立ち向かうというものである。
本作の特徴
無法地帯と化した日本
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プロローグでは、2010年に大不況から抜け出せない事から始まり、更に10年後の2020年、ついに富士山の大噴火が起きて東京は無法地帯と化した事が語られる。
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そんな荒廃した日本を支配する集団が現れた。それは「THE LEGEND OF BISHIN」と呼ばれるレディースチームであり美神(びしん)である。
ゲーム内容
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本編
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1人用。まず最初にKOJIとRISAいずれかを選択、選ばれなかった方が人質にされてしまい、助け出すべくレースパートと格闘パートを戦う事になる。
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オプションでは難易度を選ぶことが可能であり、コンティニューは無制限という仕様である。
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なお、2人で遊ぶモードは対戦格闘が用意されている。
ゲーム構成
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各ステージはレースパートと格闘パートで構成されている。
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指定された時間までに目的地へ到達して、格闘パートでボスを倒すのが本作の柱である。ボスを倒すと時間指定と次の目的地を教えてくれる。
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レースパート
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3D仕様のレースであり制限時間内に目的地へ向かうのだが、迷路のような道のりで容易ではない。
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簡素ながらも全体マップと、黄色い点で目的地、赤い丸で現在地を示してはいる。
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一応、敵も配置されているが申し訳程度になっている。
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時間の仕様
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ゲームの1秒は作中での1分に相当。例えば3時間以内に目的地へ向かうならゲーム内では3分になる。勿論、時間切れはゲームオーバーであり残り時間が僅かになると赤で点滅して焦らせてくれる。
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道中での格闘
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レースパートで色々とダメージを受けると、プレーヤーが車内から放り出され格闘ゲームに移行する。
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格闘の動作については、パンチやキックやジャンプ、投げ技などが用意されているが、特筆すべき点はない。
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複数の雑魚キャラを全滅させればレースパートに戻る事が出来る。勿論その間も時間は刻々と経過していく…
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格闘パート
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3Dレースを突破した先にはボスが待ち構えており、戦う前には主人公と美神チームのやり取りがムービーで行われる。
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ボス戦においては制限時間に追われるという事はないようになっている。
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倒した後はボスが負けを認め、次の目的地と制限時間を教えてくれるようになっている。
2Pモード、COMモード
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2Pモードではプレーヤー同士で戦う事が出来るようになっている
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主人公達は勿論、本編で牙を剥いて来たRYOKO、FLARE、MIYABI、MIKI、LEYFAN、AKIも用意されており、同じキャラを選んだ際は色違いも用意されている。
評価点
時代設定・演出・
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世界観とOPの導入
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プロローグで2010年の大不況を語るところでは、手前のビル群から奥の雲の質感が高品質でしかも多重スクロールを用いているので奥行き感が素晴らしい、更に噴火の話になると全体が赤くフェードしていく演出もある。
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2020年の方でも、街中の書き込みは非常に力が入っておりビルの看板は色々なデザインが豊富に用意されてる、そこでは人々も途方にくれたり争っていたり暴走したり店を襲撃したりする様子が動きのある表現で非常に高品質である。
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演出
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ステージ毎に美神チームとのやり取りが行われるが、その際はアニメーションで瞬きや口パクなどが用意されており高品質。更に文章も漢字で構成。
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ゲームオーバーの際はカウントダウンの数字も無数のパーティクルが整列して見栄えが良い。
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BGM
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各ステージ毎にの3DレースのBGMが用意されており、更にエンジン音などの効果音も相まってスピード感が感じられる。
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サウンドテストが用意されているのもうれしいところである。
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音声も用意
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キャラクターには簡素ながらも、勝利ポーズから倒れるところまで色々と掛け声が用意されている。また一部の敵はコノヤロコノヤロと言いながら締め技でHPを削って来るのが印象に残る。
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ステージは豊富
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舞台は海岸沿いから砂漠、森林、火山地帯、都市部など多岐に渡っており、レースパート格闘パートともに細部まで作り込まれている。
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例えば、荒地ではガードレールが破損していたり、廃車が放置されていたり、色々なオブジェが多数用意されている。
賛否両論点
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レースゲーム
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カーチェイスとは程遠いが、ドライビングゲームとして見るなら裏技でカーナビを使って迷路を回るのは楽しいと言える。
問題点
レースパート構成が非常に悪い
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美神チームとの熱いカーチェイスを期待していたプレーヤーは肩透かしを食う事になる
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迷路のような道路
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道路は全編通して迷路のように複雑かつ必要以上に曲がりくねっており速度を出すわけにもいかずスピード感に欠ける。行き止まりもザラで更にはループ状の行き止まりがあり非常に迷い易い。後述するマップの仕様も悪く、正解ルートを示してくれるという事もないため、初見では指定された時間までに行くのは無理な話である。
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地図が殆ど役に立たない
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マップは一応表示されているが、全体図が非常に粗末なものであり、簡素な海と川と平地と等高線にスタートとゴールが表示されているのみである。
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なによりも、プレーヤーが一番知りたい道路は一切表示されていないのが難儀なところである。
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現在地についても丸印で表示されているのみであり、しかも自車の向きは分からない。入り組んだ道路で方向がめまぐるしく変わる本作とは非常に相性が悪いと言える。
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これらから、マップから読み取れるのはスタートからゴールに対する大雑把な自分の位置のみであり快適とは言い難い。
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ただし、マップ表示を改善する裏技は用意されている
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伏せる
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PAUSE中に「↑、←、↓、→、X、Y、B、A」と押すと、LRボタンで全体図と局所図に切り替えられるようになる。
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局所図は道路が表示されており、マークも方向に応じて矢印で表示されているので格段に分かり易い。
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このあたりは裏技扱いではなく標準装備して欲しかったところである。
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これにより、不便だったマップの仕様は大幅に改善されるのは確かではある。旨く活用してコンティニューを重ねてルートを覚えてしまえば、難所は無く安全運転で目的地に到達は出来る。
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ただし、それが強大な敵と戦っているという実感はなく、時間がかかるだけのドライビングゲームの域を脱したとは言えない。
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道中の敵車
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確かに邪魔ではあるが適当に走っているだけで積極的に妨害してくるわけではないので特に印象には残らない。
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あおり運転でもやってくればまた違っただろうか(ちなみに現実の2020年には、あおり運転に対する罰則が定められた。)
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場合によっては格闘バトルが発生するのだが後述する通りメリットも一切ないため安全運転でやり過ごすのが妥当とされている。
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遠景の扱い
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多重スクロールは運動視差なら有用であるが、回転視差では不要である。
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向きに応じた遠景のスクロール速度も遅い
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直線道路で検証すると分かるのであるが、本当ならば直線道路の消失点が遠景のビルなどと合致するところであるが、実際に車の向きを変えてみると遠景の動きが遅いため道路の消失点と遠景の位置のかみ合わせが甘いと言える。
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最終ステージのレース
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遠景がどう見てもガードレールに見える
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見た目がガードレールであり更に前述したとおりスクロール量が奥行きのビル群と異なるため、どうしてもガードレールが手前にあるように見えてしまうので違和感が強い。
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FLAREを倒した後の目的地
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最終決戦の場所へ車で行くのだが、その目印の位置がステージの最初を示しているので逆効果になっている。
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以前のステージでは往復するステージもあったので、それに倣って目印へ向かって引き返して大いに迷走してしまったプレーヤーも多数。
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本当はFLAREを倒した場所で引き返さずに、そのまま先へ進んで北東へ向かうのが正解。
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ここまでのやり取りを見ても次のボスへ向かえと言っており主人公を迷わせる理由がないので、このあたりは不具合とてみて間違いないだろう。
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3Dレースまとめ
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本当の敵は制限時間と迷路のような複雑さであり、道のりを覚えてしまえば安全運転で目的地へ向かうのがセオリーというあたりが3Dドライビングゲームといったところで流れがおかしいと言える。
格闘パート
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まず、道中の格闘パートが邪魔でしかない
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敵を全員倒さないと終わらないのだが、少なくとも1戦毎に作中時間20分は費やす事になるので、ただでさえ時間に余裕がない中で更に削られるのは痛い。勿論、戦闘中に時間切れになったら即ゲームオーバーに移行。
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これらをこなしても、アイテムが手に入ったり目的地へのショートカットが出来るわけでもなく、ただただ邪魔でしかないという事になっている。
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そのため安全運転が大事になってくる。
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ボス戦格闘
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基本的に技を打ち合ってHPを削るのみであり、必殺技の演出や特筆すべき点はなくこちらもただの格闘ゲームであり特筆すべき点がないのが残念なところである。
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ボス戦でやられた際のコンティニューはレースパートからなのも面倒なところである。
その他
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レースも格闘も中途半端
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両者とも遊べるのは確かなのだが、1つ1つは専門で発売されている作品には敵わずに中途半端なものとなっている。
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レースはただの迷路ドライビングゲームに成り下がっており、格闘も基本動作で殴り合う内容にとどまっており特筆する要素もなく上手く融合したとは言えない。
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対戦
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色違い
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同じキャラを選んだ際に色違いが用意されているのは良い事であるが、選択中は両者とも同じ色なのは甘い。
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ダブルノックアウト
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滅多に起こらない事だがダブルノックアウトの際は両者とも倒れたままでそのまま固まってしまうのはシュールである。あとはリセットボタンを押すしかなくなる。
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レースの対戦は出来ない
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ステージセレクトの裏技でFREE RUNがあるが、ゴールした後はタイムが表示されるがすぐにタイトルに戻ってしまう。タイムもゴーストも残らずリトライ性が悪い。また、2P対戦が出来ないのも不評。
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エンディング
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難易度が「EASY」では英文で次のレベルに挑むように言われるのみであり、スタッフロールは流れてこない。
総評
本作を一言で表すなら「迷走」である。
世界観、演出、レース、格闘、いずれも力が入っており決して志が低かったという事ではないものの、レースと格闘、両者とも平凡の域を出る事はなく融合に成功したとは言えず中途半端なシロモノになってしまった。
開発者の意気込みに開発力が追いついておらず様々な要素を面白さに直結させる至らなかったのが惜しい作品であった。
余談
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伏せる
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クリア特典
タイトル画面で
UP.LEFT.DOWN.RIGHT.
X.Y.B.A.START.
「SCENARIO SELECT」、「FREE RUN」が解禁される
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マジファクトは、1995年1月には『ヨギーベア』その同年10月には『ガンガンガンチャン』を発売している。
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こちらも素材は良いのだが組み立て方が悪く高い評価は得られなかった。
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世界観上では「2010年に世界が大不況にみまわれ、日本も不況に陥っていた」とあるが、これは現実の日本も同様であった。
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2020年は富士山の噴火こそなかったものの、現実に新型コロナウイルスのパンデミックという大きな災いが猛威を振るったのはご存知の通りである。
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偶然とはいえ、リアルでもフィクションでも2020年はとんでもなく大変な年になってしまったと言える。
最終更新:2022年10月06日 05:09