この記事は『クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶオマケの都ショックガーン!』とその移植版『クレヨンしんちゃん ショックガ~ン! 伝説を呼ぶオマケ大ケツ戦!!』を解説しています。判定はどちらも良作です。
クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶオマケの都ショックガーン!
【くれよんしんちゃん でんせつをよぶおまけのみやこしょっくがーん】
| ジャンル | コスプレアクション |  
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| 対応機種 | ゲームボーイアドバンス | 
| 発売元 | バンプレスト | 
| 開発元 | インティ・クリエイツ | 
| メディア | 256Mbit ロムカートリッジ | 
| 発売日 | 2006年3月23日 | 
| 定価 | 4,800円(税抜) | 
| 判定 | 良作 | 
| クレヨンしんちゃんシリーズ | 
 
概要
インティ・クリエイツ制作によるクレヨンしんちゃんゲームシリーズ第2弾。
前作『シネマランドの大冒険!』は映画のストーリーを追体験する作品だったが、今作では完全新規シナリオを採用。
また、シナリオパートは全編フルボイスとなり話題となった。
基本的なゲームシステムは前作を踏襲しているが、おたすけシステムなど拡張された部分も存在する。
ストーリー
新しくオープンした食玩のテーマパーク「ショックガーン」を訪れた野原一家とカスカベ防衛隊。
ひろしやみさえ達大人は懐かしのキャラクターの食玩を集めることに夢中になり、やがて帰ってこなくなってしまった。
しんのすけはショックガーンから逃げ出してきたボトルキャップの妖精キャルトと知り合う。
彼女によれば、ショックガーンは「フィギュア魔人」と呼ばれる者たちに支配され、大人たちをフィギュアに変えているのだという。
しんのすけは両親を助けるため、カスカベ防衛隊と共にショックガーンへ乗り込む。
特徴
コスプレ
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前作同様、ゲーム進行に伴って様々なコスプレを入手し、それぞれの持つ能力を駆使してステージを攻略することになる。
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今作のコスプレはキャルトが持っていた変身おかしを食べたことで変身できるようになったという設定。
    
    
        | + | しんのすけのコスチューム一覧 | 
| コスチューム | 特徴 |  
| いつもの服 | いつものしんのすけ。2段ジャンプと低い姿勢で一部の敵の股下をくぐれる「ケツだけ星人」、 一部の敵への攻撃やエレベーターのボタンを押せる「(ドリル)カンチョー」が使える。
 その他、木・電柱・柱に掴まっての上下移動が出来る。
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| アクション仮面 | 2段ジャンプと「アクションビーム」、ジャンプ中に出せる「アクションキック」、 2段ジャンプから繰り出せる「アクションローリングサンダー」が使える。
 木登りが不可能になるが、壁に向かってキックすることで壁蹴りで高所へ移動できるようになった。
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| ムササビ | 滑空できるようになる移動用コスチューム。吹き上がる風に乗って移動することも可能。 ジャンプ中にBボタンを押せば攻撃もできる。
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| ペンギン | 水中用コスチューム。十字ボタンとBボタンで上下斜めや前方に高速移動が可能でそのまま攻撃もできる。 一方、地上では移動が遅くなってしまうが、下+Bボタンで滑って移動することも可能。
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| ゾウ | 鼻を使って攻撃したり専用ブロックやロープなどに捕まって移動できる前作のカエルポジション。 重いブロックを押したり吸い込むことで動かせる。
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| ホタル | エネルギーを消費することで空中を飛べる。おしりの提灯で暗闇を照らすことも可能。 入手方法が複雑な隠しコスチューム。
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おたすけフレンズ
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前作にもあったおたすけは野原ファミリー以外のキャラも協力してくれるようになり、それぞれのおたすけカードを入手することで使用可能になる。
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一度に持てるカードは4枚まで(拡張すると6枚まで)で、ステージセレクト画面でRボタンを押すとデッキ編集ができる。使用にはカードごとに設定された数の「おたすけスター」が必要。スターの所持可能数はアイテムを入手することで増えていく。
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特定の組み合わせでボーちゃんの持っている「キラカード」と交換してもらう事も可能。交換したカードは使えなくなるが、キラカードを渡せば返してもらえる。
 
新要素
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ぶりぶりざえもんの家
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ぶりぶりざえもんからアドバイスやアイテムを購入できるショップ。ステージのどこかに隠されている。
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ぶりぶりコインと引き換えにライフ全快や1UPの他、移動を助ける「ぶりぶりブロック」をステージに配置してもらえる。特定の場所では何が出るかわからないくじを購入することも可能。
 
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ライフの上限はライフアップアイテムを入手することで上昇するようになった。
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ショップの追加に伴い、チョコビはただの回復アイテムになった。
評価点
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シナリオ
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アニメ版の監督であるムトウユージ氏が監修したシナリオは、食玩を題材としつつクレしんらしいギャグとシリアスもある劇場版のような雰囲気で非常に良好。メッセージ性も強く、少し切ないエンディングもあって余韻に浸れるものになっている。
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オリジナルキャラクターも個性的。しんのすけをサポートするヒロイン「キャルト」はネコミミ少女型フィギュアという見た目に「~キャル」という語尾がとても印象に残りやすい。
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敵であるフィギュア魔人たちも、パンダ型のフィギュア「レジン」は序盤でしんのすけに敗北した際に股間のタマタマシイが取れてオカマ化し、今作のコメディ枠を担う。ゴスロリファッションの女の子フィギュア「デカール」は手に持っているネコのパペットが本体で、とある理由からキャルトに強い対抗心を燃やす。3人のリーダー格である「ブリスター」はまともそうだが実はナルシスト…と、どいつもクセのあるキャラクター。
 
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一度見たイベントは何度でも見返せるようになり、物語を振り返りやすくなったのも良点。
 
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豊富な登場キャラと原作ネタ
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前作は野原一家以外のキャラはごく一部しか登場せず、物語にも関わらなかったが、今作では多くのカスカベの住人たちが登場。物語にも関わり、中にはボスとして立ちはだかる人物もいる。他にもミニゲームで対決したりと、彼らと関われる場面が増え、以降のシリーズでも踏襲されていく。
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そして全てのキャラがおたすけカードとして登場し、しんのすけをサポートしてくれる。風間くんたちのママやななこおねいさん、埼玉紅さそり隊や隣のおばさんまでおたすけキャラとして登場する作品は後にも先にも今作のみ。
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ゲストとしてお笑い芸人「よゐこ」の2人が登場するミニゲーム「でんせつをよぶよゐこのうみだゾ」を収録。おなじみの「獲ったどー!」もしっかり搭載されている。
 
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またインティクリエイツ開発なこともあり、終盤ロックマンを彷彿とさせるボスラッシュもある。
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原作や映画版に関するネタも豊富。新しく出来た人気施設に大人たちが攫われてしまうという冒頭部分からして「モーレツ!オトナ帝国の逆襲」を彷彿とさせる。
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ぶりぶりざえもんの家の外見や内装は映画「電撃!ブタのヒヅメ大作戦」に登場したものそのままで、掛け軸なども完全再現されている。他にも大小様々なネタが散りばめられているので、原作ファンや視聴者ほど楽しめるものになっている。
 
 
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やりがいのあるコレクション要素
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今作の最終的なコレクションとなるフィギュアは一度クリアした後、条件を満たすと追加されていく。それぞれの商品シリーズや劇中劇なども設定されており、確認することが可能。全て揃えられれば中々に壮観。
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おたすけカードのコンプや各種ミニゲームで規定点を獲得するなど条件は比較的簡単だが、それぞれに結構なやり応えがある。
 
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前作からの改善
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前作のチョコビを集めてライフ上限を上げる方式から専用アイテムを探し出す方式になったことでステージを探索したり、一度クリアしたステージに入り直す意味合いが強まっている。
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序盤はハートが少ない状態を強いられるようになったためか、敵を倒した際にランダムでチョコビかコインを落とすようになった。
 
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このため前作に比べると難易度は上がったが、元の難易度が低めだったため適度な緊張感が加わり、やり応えのある作りになった。
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ゲームオーバー時も無制限コンティニューだった前作と違ってコインを払ってコンティニューする方式になったので、ゲームオーバーにデメリットが用意され、バランスが取られた。
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おたすけカードの中にはくじでランダムに手に入るものがあり、カードコンプリートのためにはそれなりの資金が必要になるので、完全クリアを目指す上ではそこそこ厄介なデメリットと言える。
 
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ステージセレクトはマップ画面から好きなステージを選択してプレイする方式に変更された。
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前作は複数ステージで構成されたエリアは一部を除いて最初からプレイしなおす必要があったが、今作はエリア内の好きなステージを選んで再プレイ可能になったので、取り逃したコレクションを集めるのも楽になった。
 
 
賛否両論点
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ゲームバランス
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前作同様、アクション仮面のアクションローリングサンダーが非常に強力で、これを使用すると大体のボスも楽に勝てる。
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しかし、アクション仮面を使用しない場合は一転して強敵化するため、歯ごたえのあるボス戦が楽しめる。
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特にワープを繰り返し、当たり判定がわかりにくい攻撃を繰り返すブリスターはシリーズ全体を見ても屈指の強敵。素直にアクション仮面でごり押しするのが正攻法と思われるほど強い。
 
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ステージ設計はトゲや落とし穴が増え、アクション面が強化されたため、やはり難易度が上がっている。
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特にペンギンは操作性にやや癖があるので、水中面は総じて難しめ。
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ぶりぶりざえもんの店で購入できるぶりぶりブロックで穴やトゲに蓋ができるので、アクションが苦手なら利用するとちょうどいいくらいのバランスになる。
 
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シナリオ中でクリア必須のミニゲームの内「ビーチバレーでとっくんだゾ」はかなり難しめ。カードやフィギュアコンプのためには一度もポイントを取られずに勝つ必要がある。
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カザマくんがトスとブロック、それ以外をしんのすけが担当するが、トス以外の操作は全て自分でやらねばならず、特にブロックに失敗した際にレシーブでフォローするには、かなりの反射神経が必要。
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ネット近くにボールを落とせれば相手が反応しないことが多いので、慣れれば勝率も上がってくる。慣れるまでが大変だが。
 
 
問題点
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会話シーンにボイスが付いたのはいいが、全体的に早口気味になっており、普段のアニメなどと比較すると気になる点である。
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エンディングテーマの収録(後述)、ハード性能や容量的な都合が関係する以上、仕方のない点であろう。DSで展開された次回作からは改善されている。
 
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おたすけカードの効果がテキストだけでは分かりにくいカードが存在する。
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例としてマサオくんのカードは「からだをはって おたすけしてくれるゾ」としか書かれておらず、適当に呼んでみても何もせずに泣き出すだけで何の役に立つのかさっぱり分からない。
 
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一部アイテムの入手方法が非常に難しく、カードの自力コンプリートを目指す場合は高難度。
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特に野原家のとある場所を、とあるコスプレで攻撃して入手できるアイテムなどはノーヒントでの自力発見は困難。
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交換で入手できるレアカードのヒントだけは各ステージにいるロベルトに北本さん(隣のおばさん)のカードを使うことで教えてもらえる。
 
総評
劇場版を1本観た気分になれるほど秀逸なシナリオで人気を獲得した良作である。
素の難易度が前作から上昇しているため、おたすけやコスプレを活用するとちょうどいいバランスになり、アクションが苦手なプレイヤーでも最後まで楽しめる。一方、それらを縛ってみると歯ごたえのあるゲームとなるあたりインティらしい調整になっている。
シリーズ最多の原作キャラや小ネタなどもあるので、原作ファンほど楽しめるキャラゲーらしい作品である。
以降のシリーズも本作のようなオリジナルシナリオを中心に展開していくこととなった。
クレヨンしんちゃん ショックガ~ン! 伝説を呼ぶオマケ大ケツ戦!!
【くれよんしんちゃん しょっくが~ん でんせつをよぶおまけだいけっせん】
| ジャンル | コスプレアクション |  
 | 
| 対応機種 | ニンテンドーDS | 
| 発売元 | バンダイナムコエンターテインメント | 
| 開発元 | インティ・クリエイツ | 
| 発売日 | 2010年12月2日 | 
| 定価 | 4,800円(税抜) | 
| 判定 | 良作 | 
 
概要(DS)
クレヨンしんちゃん20周年記念で発売された『ショックガーン』のDS移植版。システム面に変更はないが、様々な部分で改良が行われている。
評価点(DS)
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GBA版からの改良点
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OPや一部のシーンがアニメムービーに変更された。
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一部を除いてボイスが新録され、差し替えられた。早口が改善され、音質も良くなっている。また、会話時にキャラがアニメーションしたりとGBA版からパワーアップした。
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ぶりぶりざえもんだけはボイスを入れられなかったためか、ショップがデスペラードに、店主がマスターヨダに変更されている。前年に声優が交代したよしなが先生も後任の寺田はるひ(現・七緒はるひ)氏に変更された。
 
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おたすけカードの効果がデッキ編集時に常に表示されるようになった。また、一部テキストが変更され、効果がわかりやすくなった。
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カード使用時には専用のカットインが表示されるようになった。
 
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フィギュア、コスプレ、おたすけカード、ステージが追加され、ボリュームがアップ。
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着替える際のアニメーションがGBA版より早くなったので、テンポが若干改善された。
 
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画面が広くなったため、GBA版では見えない場所にあった罠が見えるようになった他、全体的なゲームバランスにも調整が入った。
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ビーチバレーも判定やボールの速度に調整が入ったようで、難易度が落とされている。
 
 
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新しいキャラクターの追加
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前述のマスターヨダの他、むさえ、川口、しんこちゃんが追加された。マスターヨダ以外はおたすけカードも貰え、新しい組み合わせのキラカードも追加されている。
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敵側の新キャラとしてロボット型のフィギュア「モールド」が登場し、フィギュア4魔人に改名されている。
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ただの追加ボスかと思いきや物語の終盤で予想外の活躍を見せ、
結末まで変わってしまう
。GBA版をクリアした人でも新鮮に物語を味わうことが出来る。
 
 
問題点(DS)
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ゲームオーバーになった際のデメリットがなくなったため、GBA版に比べると緊張感は薄れている。
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今作ではお笑い芸人「よゐこ」の2人が登場するミニゲーム「でんせつをよぶよゐこのうみだゾ」が未収録となっている。
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ラスボスが変更された関係で、食玩が題材である意味合いが薄れてしまった。
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GBA版はラスボスの存在があるからこそ食玩がテーマであることに説得力があったのだが、今作では単におもちゃがテーマでも成り立ってしまう。
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一応、GBA版と違ってフィギュア魔人たちが人間と和解したり、キャルトが抱えた悲しみについて言及されるなどの追加シーンは良いのだが。
 
総評(DS)
大筋はGBA版の移植であるが、システム面の改良、ゲームバランスの調整で遊びやすくなった良移植である。
本作で初めて触れるプレイヤーは勿論、GBA版経験済みでもぜひお薦めしたい。
余談
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GBA版のエンディングテーマ「アキハバラぶるーす」は、GBAソフトとしてはかなり珍しいフルサイズとなっている。
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GBA版の発売時にTVスペシャルで「食玩あつめてショックガーンだゾ」が放送された。こちらはGBA版の展開をベースにした展開となっている。
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GBA版はゲーム開始時に「
このゲームにはばくしょうシーンやおバカなひょうげんがふくまれています
」とPS用ソフトの注意書きのパロディが流れる。
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DS版は代わりに20周年記念のムービーとなっている。
 
最終更新:2024年05月18日 11:58