RollerCoaster Tycoon 3
【ろーらーこーすたー たいくーん すりー】
ジャンル
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シミュレーション
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対応機種
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Windows 7-10
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発売元
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Frontier Developments |
開発元
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Frontier Developments
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発売日
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2004年11月2日
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定価
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Platinum Edition: 2,157 円(Steam) $19.99(GOG)
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リマスター版
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Complete Edition : 2020年9月24日/2,050 円
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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ESRB :E (対象年齢6歳以上)
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判定
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良作
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ポイント
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日本語なし 簡単にジェットコースターのコースがカスタム可能
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概要
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『RollerCoaster Tycoon』の3作目に当たる。
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1作目『RollerCoaster Tycoon』は『Transport Tycoon』を制作していたChris Sawyerが制作し、 Hasbro Interactiveから発売された。
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『2』は同じくChris Sawyerが制作し、Hasbro Interactiveを買収したInfogramesから発売された。
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本作はChris Sawyerの助言のもとFrontier Developmentsが開発を行い、Infogramesから社名変更されたAtari, Inc.から発売された。
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2Dグラフィックだった『2』までと異なり、本作はポリゴンによる3D描画となった。
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画質としてはN64レベルで、当時の主力のCS機であるGCやPS2には及ばないものではあった。
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それでも本作をプレイするには当時としてはハイスペックなPCが必要であった。
システム
ゲームモード
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キャリアモード
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シナリオをプレイするモード
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キャンペーンではなく、アンロックされているシナリオならどの順番に攻略しても良い。
研究
施設建設
コースターだけではなく、それ以外の遊具も設置が可能。
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遊具
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一部の遊具もコースターと同様に乗客目線カメラが使用可能。
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「ゆらゆら船」のように、来園者のゲロ度は 0 だが、プレイヤーにとってはゲロ度が高いアトラクションもある。
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コースターも含めて遊具は劣化するため、定期的にメンテナンスを行う必要がある。
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メンテナンス要員として作業員を配置する必要があるが、遊具の規模によっては一人の作業員で複数の遊具を掛け持ちできる場合がある。
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作業員にはレベルがあり、レベルに応じて作業効率が上がる。
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売店
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傘屋や飲食店がある。
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研究によって新しい種類の店舗や、店舗で販売可能な新商品を増やすことができる。
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売店には従業員を配置する必要がある。
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従業員にはレベルがあり、レベルが上がると時間あたりのさばける客数が増える。
お金が必要となるが、"研修"によって従業員のレベルを上げることもできる。
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花火ショー
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空き地に花火ポッドを設置して、外部ファイルから読み込んだ音楽ファイルに合わせて花火ショーをデザインできる。
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コースターのエディット機能と同じぐらいに完成度が高く、遊園地シミュレーションとしての本作においてこの機能にここまで力を入れる意味もよくわからないが、本作の画質がもっと高ければバズるような映像作品も作れたのではないだろうか。
評価点
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簡単にアトラクションのコースがカスタムできる。
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Chris Sawyerは『Transport Tycoon』を発売後、鉄道の線路よりもジェットコースターのコースを作れるようなゲームを作りたいと強く思うようになり、『Transport Tycoon』の後継作を求める声を無視して『RollerCoaster Tycoon』シリーズに没頭したという。しかし自社の技術力ではそれは叶わなかった。
本作ではFrontier Developmentsの技術力に頼って、こだわりにこだわり抜いたジェットコースターのコース設計が可能となった。
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本格的な物理演算を行っているものの、位置エネルギーと運動エネルギーの変換を繰り返すだけという高校レベルの基本的な力学さえわかっていれば、簡単に複雑なコースが設計できる。
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ループやS字などの基本的なコンポーネントパーツが用意されている。
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ある程度コースを設計したら、"補完"ボタンを押せば、残りの部分は自動で設計できる場合もある。補完機能は予想し得ない変なコースを取ることもあるが、それをつなげるにはカーブがタイトになりすぎるなどのプレイヤーの見積もりの甘さに原因がある場合もある。
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設計後にコースター詳細メニューの、信号の"黄色ボタン"を押すと、試験運転が始まる。
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基礎試験
「興奮度」「強烈度」「ゲロ度」で評価される。
興奮度…興奮度が高いほど客からの評価が高まる。
強烈度…これが高すぎると敬遠するお客さんが出てくる。
ゲロ度…これが高すぎると評価が下がる。ゲロ度の高いコースターに乗った来園者が降りた後に
園内で吐く
ことがある。このため清掃員を雇って掃除する必要がある。
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力学試験
「最大垂直プラスG」「最大垂直マイナスG」「最大横G」が表示される。おそらくゲロ度はこの値から評価されているようなので、この結果がカーブを緩やかにしたりするなどの手直しの指標となる。
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グラフコントロールパネル
試験運転中のコースターの「高度」「速度」「垂直G」「横G」をリアルタイムにグラフ表示する。問題のある箇所がすぐに分かるスグレモノの機能。
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「乗客カメラ」でコースターの乗客目線の映像が見れる。
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アトラクション外に仕掛けを建設し、乗り物が特定ポイントを通過すると仕掛けが動くという連動機能もある。
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設計済みのプリセットコースもあるので、この機能にこだわりがなくとも、普通の遊園地経営シミュレーションとして問題なく遊べる。
賛否両論点
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コンストラクションモード
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コースターだけではなく、その他のアトラクション、花火ショー、新規シナリオについても設計が可能である。
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それらを外部ファイルに保存することが出来、作成者だけでなく他のプレイヤーも読み込むことができる。
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Steam Workshopなどに対応しておらず、かといって『The Sims 4』や『Football Manager』のようにメーカーがmod交換用のWebページを用意しているわけでもないなど、アフターフォローが十分とは言えない。
問題点
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チャレンジモードがない
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何もない土地で一からテーマパークを建設することができるのはサンドボックスだけで、このモードは資金を気にせず好きなように建設できるが、経営シミュレーションとしては手ごたえがない。
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『Jurassic World Evolution』にはキャンペーン、サンドボックスの他に経営要素も含んだチャレンジモードがあり、このようなモードが本作にはない。
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BGMがバグる
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まれにBGMが同じ箇所をループし続けたり、テンポが乱れ続けたりすることがある。
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一度バグるとゲームを再起動しないとなおらない。
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研究のUIが使いづらい
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研究の予算の割り振りは、各研究項目の横のバー表示を増減することで変化させるのだが、その調整によって結局どの項目が全体の何%を占めているのかというのが表示されないため分かりにくく、思ったような比率になっているのかを確認する手立てはない。
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1つの研究項目に全振りするのであれば、この問題は些細なものとなる。
DLC
以下の2つのDLCが発売された。
Steamから販売されていた"Platinum Edition"および、現在販売されている"Complete Edition"のどちらも、2つのDLCが最初から入っている。
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Soaked!(びしょぬれ)
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プールやウォータースライダーが設置可能。
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ウォータースライダーはコースター同様にコースを設計可能だが、「平坦」パーツが実際には平坦ではないことから、コースターより設計が難しい。
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Wild!
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檻を建てて動物を飼える。
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動物には「心地よさ」というパラメーターがあり、これが低すぎると動物愛護団体のヘリがやってきて動物をさらってゆく。
この動物の「心地よさ」パラメーターはFrontier Developmentsが後に制作した『Jurassic World Evolution』における恐竜の「心地よさ」のパラメーターとかなり似通っている。
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檻の中を遊覧するサファリカーも設置できる。
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発売当初から「これって『Zoo Tycoon』やん!」という声が多く聞かれた。
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なお、Frontier Developmentsは後にMicrosoftから『Zoo Tycoon(2013)』の開発を委託された。
総評
コースターだけで30以上の種類が用意されている。コースターってそんなに種類があったのか!とそのマニアックさに圧倒される。
その多彩なコースターを簡単にレイアウトできる本作は、世界中のコースターマニアを満足させた。
箱庭的に遊園地を無制限に建設できるサンドボックスモードもある。
その後の出来事
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2005年11月にAspyrから本作のMacOSX移植版が発売された。
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2007年、Chris SawyerがAtari, Inc. とFrontier Developmentsに対して本作のDLC発売における無断の仕様変更に対して契約違反を訴える訴訟を起こし、法廷外で和解が成立した。和解の内容は非公開となっている。
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Chris Sawyerは2005年にもAtari, Inc. に対して本作に対する報酬未払いについて訴訟を起こしている。こちらも法廷外で和解が成立した。
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このあとの出来事の経緯から推察するに、Atari, Inc.がChris Sawyerから本シリーズの権利を買い取ることになったのではないか。
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2006年に欧米でFrontier Developmentsから同じく遊園地を舞台にしたSLG『Thrillville』がCS向けに発売されている。
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2014年4月に、iOS向け『RollerCoaster Tycoon 4 Mobile』がAtari, Inc.監修の元On5, UAB開発で発売された。
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評判が芳しくなかったため、PC向けの『RollerCoaster Tycoon 4』というものは開発されなかった。
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2020年にアナウンスがないままサービスが停止している。
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2015年8月にFrontier Developmentsから本作のスマホ向け移植『RollerCoaster Tycoon 3: Mobile』が発売された。
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2016年11月、Atari, Inc.監修の元Nvizzio Creationsが開発した完全新作『RollerCoaster Tycoon World』が発売された。
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同じく2016年11月、契約を切られた形になったFrontier Developmentsが本作とほぼ同コンセプトのSLG『Planet Coaster』を発売した。
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2016年12月、Chris Sawyerの監修の元でOrigin8 Technologiesが開発した『RollerCoaster Tycoon』と『2』のリメイクのカップリング『RollerCoaster Tycoon Classic』がAtari, Inc.から発売された。
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2017年にFrontier Developmentsが、Atari, Inc.が2013年に制作した破産申立書内の本作の売上と、Frontier DevelopmentsがAtari, Inc.から聞いていた売上本数に大きな乖離があり、受け取れるはずだったロイヤリティが支払われていないと訴訟を起こした。
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このあおりを受け、2018年にGOGとSteamで本作が「権利期限切れ」となって販売中止となった。
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こちらの訴訟も法廷外で和解が成立している。
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2020年9月、Frontier Developmentsから本作のリマスター版『RollerCoaster Tycoon 3: Complete Edition』が販売開始となった。
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3Dモデルの質は向上していない。
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同時にSteamの『Platinum Edition』のページに記載されている発売元もFrontier Developmentsに変更された。
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おそらく先のロイヤリティ未払い問題の和解条件にAtari, Inc.からFrontier Developmentsへの『RollerCoaster Tycoon 3』の權利の移譲が含まれていたのではないか。
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Atari, Inc. の『RollerCoaster Tycoon』シリーズのWebページの製品一覧に本作は載っていない。
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同時にMacOSX版(開発・販売はAspyr)とSwitch版も発売となった。
最終更新:2021年10月19日 04:13