バトルマニア大吟醸

【ばとるまにあだいぎんじょう】

ジャンル シューティング
対応機種 メガドライブ
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売元 VIC東海
開発元 VIC東海
グラフィックリサーチ
発売日 1993年12月24日
定価 7,800円(税別)
プレイ人数 1人
判定 良作
バカゲー
バトルマニアシリーズ
無印 - 大吟醸


そりは 1995年 夏

雨こそ ふっていなかったが
紫色に ラスタースクロールする
ふしぎな日だった…。


概要

前作の好評を受けて制作された『バトルマニア』の続編。
前作から3年後3日後、倒したはずのドン・モルグスティンが復活したため、マニアは寝ているマリアを置いて一人ドン・モルグスティンの待つ平成バビロンに向かうことに...


システム

基本的なシステムは前作と同様だが、本作で変更が入った部分は以下の通り。

  • マニアのショット方向をオプションで1WAY(デフォルトで設定。前作と同じ前方固定)、2WAY(前後2方向に撃ち分け可能)、8WAY(8方向に撃ち分け可能)の3種類から選べるようになった。
  • プローブ(前作のオプション兵器。本作で正式名称がついた)の動きが3種類から選べるようになった。
    • 特殊兵器の挙動も一部変更が入ったものもある*1

評価点

  • 開発者自ら「技術の無駄遣い」と称した技術力の高さを存分に生かした演出の強化*2
    • 多重スクロール・ラスタスクロールをフル活用した演出は今見ても屈指の完成度。
    • ステージ2に登場する湘南モノレールは開発者自らロケに行った程精巧に再現されている。
    • ステージ間の漫才デモも完成度が飛躍的に向上。
    • マニア・マリア双方のグラフィックも若干濃さが残っていた前作から、すっかり垢抜けたデザインになり、かなり親しみやすくなったのも大きい。
  • ステージも前作から増え、ボリューム面でも十分な歯ごたえ。
    • 難易度もそれ相応に上がっているので、前作では物足りなかったシューターも十分楽しめる。
  • PCM音源をフル活用したBGMも良曲揃い。
    • 特にステージ1BGM「TWILIGHT EXPRESS」・ステージ7BGM「BLOWING UP」はMD屈指の名曲。
  • 主人公の高火力VS多種多様&物量で攻めてくる雑魚・バリエーション豊かなボス戦
    • 前作同様、敵弾をショットで消せる。このため撃ちまくることが身の安全にも繋がる。しかし敵もそこそこの耐久&物量で攻めてくるので、油断はできない。
    • 敵雑魚はどれも1シーンのみ登場と非常に多種多様。攻略としては、適切に火力を当てれば弾含め封殺できるが、対応できないと振り回され被ダメージに繋がる、とパターン覚え・腕の上達が明確に出る。
    • ボスは雑魚戦と一転、弱点以外は無敵で突っ込んできたり振り回してきたりする。このため回避はもちろん、撃ち込み時間の確保と当て方を工夫することも重要。
    • ボスの弱点は大きいため当てること自体は非常に楽だが、耐久力がかなり高く、更に動き回ったり無敵部位を振り回したりする。無論、距離を取って時間をかけても全く問題ないが、それはそれで被弾のリスクが高くなる。このため、打ち込める時にしっかり火力で炙る、普段もできるだけ当てる、というのが被弾軽減にもなる。
  • 初心者から上級者までOKなシステム
    • 破壊のカタルシス
      • とにかくバリバリ撃ちまくって敵弾含めてガンガン破壊しまくるという、避けるよりも壊せで爽快感を重視したシステムのため、STG初心者から上級者まで楽しめるだろう。
      • ほとんどの敵弾を破壊できるため、STGにおいて避けが苦手な人でも、弾を撃っていれば割と何とかなる点は嬉しい。
    • 多数出るライフ制
      • ライフは道中度々出るしスコアでも稼げるため、多少慣れれば10個以上にするのもそれほど難しくはない。地形接触はノーダメージ、地形とスクロールに挟まれない限り一発死は無い。ダメージ時もしばらく無敵になるので連続してダメージを受けることもない。
      • コンティニュー回数を増やすアイテムも前作同様多く配置されており、火力の高さも相まってコンティニューによる復帰も容易。
      • 前作に比べ敵弾の破壊点が10点から100点に引き上げられているため、スコアによるライフアップも容易なのは初心者にとってはありがたい。
      • ではヌルいかといえば、ステージクリア時の残りライフでボーナスが入る。このため、初心者はダメージを受けつつもライフ回収しながら進める、上級者はノーダメージでライフを回収してスコアを稼ぐ、という具合に攻略スタイルの幅になる。
      • また失敗しても多数でるライフが減るだけと安いため、ボス戦での接射などリスクに挑戦しやすい。これも攻略しているという実感を高めてくれる。
    • 時間チャージ式ながら使用回数無制限なボム
      • ほとんど使いたい放題だが、ステージクリア時にその使用回数でボーナス点が減点される。初心者はボムでのゴリ押し、上級者はノーボムで切り抜ける、とここでもプレイスタイルに幅を出せる。
    • オプションで設定できる8方向ショットも使いこなせば強いが、マリアの方向転換にも忙しくボタンを使うため、難しいなら無理せず1方向ショットや2方向ショットに設定するのも手*3。使いこなせれば攻略が楽になるが、出来なくてもなんとかなるステージ構成の調整も絶妙。
      • プローブの動作設定によっても攻撃範囲や敵への撃ち込みやすさも変わってくるため、多彩な遊び方ができるのも魅力。
      • ボムも緊急回避向けや局所攻撃向けなど4種類あり、これまた多彩な遊び方ができる。
    • これらにより他のシューティングにありがちな「1発食らっただけで終了」「常に高い緊張を強いられる」なんてことはなく、初心者でもしっかり遊べ、中級者以上でも不意の1発で全て終了にはならない。それで居ながら、同じ難易度でも熟練するほどに進行など成果が出て、リスクも自然と取っていけ、ミスのリカバリーもすぐできるようになっている。
    • 他にもプローブの弾は画面上1発だが高威力なので接射が強いといった、やりこみによる発見が攻略に繋がるようになっていることも、上達を実感しやすい。

バカ要素

前作の好評を受けて制作されただけあってバカ要素の拡充も期待された作品であるが、本作はその期待に見事に応えている。

  • アニメのオープニングを意識したオープニングデモ。
  • 前作からわずか3日後という設定。
  • マニアたちが住んでいるアパートの様子も映し出され、押し入れの中にPCを設置している*4というある意味リアリティのある設定が垣間見られる。
  • デモについても相変わらずの脱力展開が多い。
    • 住宅地にでかでかと立つ暗殺教団本部などツッコミどころ満載。劇中では誰も言及しない…どころか真面目ボケばかり。
  • 各ボスにも元ネタが一目瞭然なあからさまなものもあったり、弱点に「HIT ME」と書いてあったりと、ネタのバリエーションも豊か。
  • 前作のキャラも一部こっそり出演している。
  • エンディングのスペシャルサンクスで「MEGA DICTIONARYの皆さん」という一文があるが、これはメガドラ愛を徹底的にぶちまけた『同人誌』で、あまりの内容の深さ&濃さに、メガドラユーザーだけではなく、当時の開発者も驚愕したという逸品である。

賛否両論点

  • 演出面が豪華になった半面、同人っぽさが薄れてしまったという意見も。

問題点

  • ステージ数が9と増えたがスコアの桁数が前作と同じため、最終面までノーコンティニューで進めるとほぼ確実にカンストしてしまう。
    • 敵弾の基本点が10点台から100点台に引き上げられているのも拍車をかけている。
    • このため、リザルトのボム使用などの減点の影響がほぼなく、評価システムの意味があまりない。
  • ライフがどんどん増えていくため忘れがちだが、地形に挟まれるとライフに関係なくゲームオーバーとなるのは不親切と言える*5。また、ラスボスの本体も地形扱いのため、ここでも油断すると挟まれてミスすることがある。
  • この時代では特に問題になっていなかったが、演出で画面のフラッシュが頻繁に起こるため、目に優しくない側面も。

総評

1発食らったら死亡、それが数回で終了しなければシューティングゲームではない、という不文律を突き抜けただけでなく、むしろその面白さを楽しめた前作。
本作は更に順当なパワーアップを果たし、遊びやすさや難易度的な歯ごたえも向上した傑作シューティングとなった。
ネタ方面でも抜かりなく高レベルであり、前作からのあらゆる期待に応えるスキのない完成度を誇る。
本作も前作と同様、VCや配信は絶望的なため、遊ぶハードルが高いのが惜しまれる。

余談

  • コンティニュー画面は前作のような演出がなく、顔アイコンでできた数字がカウントダウンする地味なものであるが、元々はカウントダウンごとにマリアが脱衣していくという演出であった。
    • これに関してはセガからのチェックが入ったために変更を余儀なくされたとか。
  • その後DCで『超バトルマニア N.Y.岩窟女王』という続編の企画が出されたものの、結局お蔵入りとなっている。
    • …はずだったが、あの『セガガガ』のクライマックス直前にて、歴代セガキャラの集結に合わせて、ほんの一コマだがマニアとマリアが登場している。ちゃんと「協力 ビック東海」の文字も入っている。*6
  • 前作とは異なり、欧米向けのバージョンは発売されなかったが、韓国ではサムスンから発売されている。
    • パッケージと取説はローカライズされているが、ゲーム内容は日本語のままである。
  • 前述の通りVCや配信は絶望的な上に作品の完成度も高いため、中古価格は前作以上に高騰している状況である。
最終更新:2024年03月21日 23:32

*1 前作のミサイルに相当するイレイサーが該当。

*2 MDのサードパーティでもこのレベルの技術を駆使していたのは限られた数社のみ。

*3 但し、1WAYは相当熟練しない限りはかなりつらい。実用的なのは実質2WAYと8WAYだろう。

*4 外見から見るに、当時マニア層に人気の高かったX68000シリーズと思われる。

*5 本作に限らず地形があるゲームでは時折見られる仕様であるが。

*6 これは本作の開発スタッフの一人が「セガガガ」の開発に加わっていたためで、彼は先述の「MEGA DICTIONARY」の執筆者の一人でもあった。