【きゅいーん】
PS初期にひっそりと発売されたシューティングゲーム。主人公は幼い兄妹で、絵本の世界を掃除機に乗って冒険する。
製作は、後に『コワイシャシン ~心霊写真奇譚~』『焼肉奉行』などを手がけるメディアエンターテイメント。
パッケージはいかにも幼児向けといった雰囲気で、グラフィックも簡素な作りとなっている。
大人が見るとスルーしてしまいそうだが、実際のゲーム性は本格的で、出荷本数に対する支持の高さから中古価格も高騰している。PSを代表するプレミアソフトの一角である。
掃除と読書が大好きな「ひろ君」と「あいちゃん」はとっても仲のよい兄妹です。今日はお母さんがお出かけで二人でお留守番をしなくてはなりません。二人はいつものようにお部屋の掃除を大好きな掃除機「あかねちゃん」ですませると、お父さんに買ってもらった「よいこの童話」を読み始めました。
どれくらい時間がたったでしょうか、二人が夢中で読書をしていると、どこからか不思議な声が聞こえてきました。
「ひろ君、あいちゃん」
「だれ、ぼくたちの名前をよぶのは?」
「ぼくは君たちが読んでいる本の妖精さ」
「本の妖精さん?ぼくたちになにかご用ですか?」
「この本が悪い魔法使いに支配されてしまったんだ。そこでこの本を世界で一番好きな君たちに魔法使いをおしおきしてほしいんだよ」
「ふーん、よくあるお話しなんだね」
「それで、どうやって魔法使いさんをおしおきするの?」
「魔法の乗り物にのるんだ。乗り物は何がいい?すごい戦闘機でも、かっこいいロボットでも、なんでもいいよ」
「えーっとね‥‥。あかねちゃんがいいな」
「あかねちゃん?」
「うん、掃除機のあかねちゃん」
「‥‥」
「あかねちゃんじゃダメなの?」
「あ、いやいや。OKOK。それじゃ、ひろ君とあいちゃんを本の世界に呼ぶからね」
「うん」
「さぁ、目をつぶって」
こうして、ひろ君とあいちゃんは掃除機のあかねちゃんと一緒に童話の世界で戦うことになりました。果たして二人は悪い魔法使いをこらしめることができるでしょうか?
(取扱説明書より引用)
「ひょうたんから駒」とはよく言ったもので、パッケージの世界観からは想像できない手堅さが楽しめる一作。
肝心の子供が遊ぶには厳しいものの、作り込みはとても丁寧で、ゲーム好きの大人が手に取る分にはきちんとした面白さが保証されている。STG慣れしていないプレイヤーであっても、様々な親切設計のおかげで気軽に楽しむことが可能である。
2021年現在はゲームアーカイブスで入手可能なので、コレクター以外はこちらの購入が推奨される。(*4)