風雲少林拳 暗黒の魔王
【ふううんしょうりんけん あんこくのまおう】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ ディスクシステム
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開発・発売元
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ジャレコ
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発売日 ()は書換開始日
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1988年4月22日(1988年6月14日)
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定価
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3,200円
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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なし
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ポイント
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ボリュームは落ちたが改善された操作性 短編ながらもそれなりによくできたストーリー 左右の道の選び方次第で天国~地獄
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風雲少林拳シリーズ 風雲少林拳 / 風雲少林拳 暗黒の魔王
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概要
前年ディスクカードで発売された『風雲少林拳』の続編。
1対1で戦うカンフーアクションという点では共通するが、本作はスタンダードな格闘アクションになっている。
地味なところで「ファミコン3Dシステム」にも対応している数少ないソフトでもある。
時代背景は前作から1年後で主人公シンは「暗黒の魔王」こと魔道士打倒を目指す。
2作目だが最終作となった。
ストーリー
シンが三魔王を大林山での戦いで倒し平和を取り戻してから1年。
新たに暗黒の魔王を名乗り、この世を支配しようと企む魔道士が現れた。
魔道士は悪の拳士を操り、支配下に入ろうとしない村を次々と滅ぼしていた。
悪の根源、魔道士を追ってシンは再び旅に出た。
内容
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前作同様、1対1で戦う格闘アクションスタイルなゲーム。
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違いとしては、まず体力表示がゲージになり、細かい表示が可能になった。
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アイテムはなくなったが、コンティニューは3回までできる。
プレイヤーキャラクター
シン
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主人公キャラクターであり、3つの必殺技を使いこなす。
必殺技
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飛燕斬舞脚(青)
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千手破壊弾(黄)
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天翔刺旋脚(赤)
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真上に高々とジャンプして、斜め下に向けて錐揉み回転するキック技。
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()はそれに対応した宝玉の色。宝玉の色はセレクトボタンで切り替える。
飛燕斬舞脚以外の2つの技は一度繰り出すと、しばらく宝玉がグレーになり使えなくなる。
敵キャラクター
ニセシン
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魔道士が闇の力で生み出したシンのクローンで、見た目は同じでも心は邪悪のかたまり。
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その名の通りシンと似た動きをする。
必殺技
ショウホ
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「華山鷲王拳」の達人。かつては正義の拳士だったが、魔道士に倒されて洗脳されて配下になってしまった。
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軽やかに飛び跳ねながら攻撃してくる。
必殺技
タイリュウ
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「五代妖牙拳」の達人。生きる屍も同然の重病の身だったが、魔道士により生命を与えられて配下にされた。
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動きは特別速くはないが、必殺技が強烈。
必殺技
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翻車烈脚
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光掌幻手殺
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「翻車烈脚」のパンチ版(シンの「千手破壊弾」)のように見えるが実際はパンチと手刀の連打。
ゴーダマン
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インド拳法「羅漢拳」の使い手。永遠の命を求めて仙人道を学んでいたが挫折し、魔道士に魂を売り渡した。
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重そうな見た目に反して動きは速い。
必殺技
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破摩千身剝
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白華練気弾
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いわゆる「かめはめ波」のような気による飛び道具系の技。
魔道士
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諸悪の根源。「皇魔冥王拳」を極め、魔界に入り数々の魔力や妖力を身につけ魔王となった。
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最初は鷹に化けており、上空から急降下による爪攻撃をしてくる。
ある程度時間が経つと変身を解いて正体を現し「青華練気弾」をひたすら連射してくる。
正体を現した後は胸にしか攻撃は通用しない。また、シンが近づくとワープして距離を取ってくる。
必殺技
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青華練気弾
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いわゆる「かめはめ波」のような気による飛び道具系の技。
評価点
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前作の非常に変則的な操作性は改善され、扱いやすくなった。
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パンチ、キック、必殺技と普通の対戦格闘アクション風な操作になったことで操作しやすくなった。
前後(左右)への移動も非常にスムーズになった。
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また必殺技も複雑なコマンドではなく非常に出しやすいので、初心者でもすぐ馴染める。
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ただ淡々と戦うだけでなく、ボスである魔導師を追って展開されるストーリーを楽しむことができる。
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また、単純なテキストだけでなく軽いアニメーションも伴われる。当時にしてはドット絵ながらも、よく描かれ容量が限られるディスクながら凝っている。
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道の選び方次第で変わってくる難易度。
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最初(ニセシン)と最後(魔道士)以外は、道を右か左に選ぶことになり、直前に戦った敵依存でこれで敵が変わってくる。
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ショウホの場合 右・タイリュウ 左・ゴーダマン
タイリュウの場合 右・ゴーダマン 左・ショウホ
ニセシン・ゴーダマンの場合 右・ショウホ 左・タイリュウ
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特にタイリュウは難敵なので、これを避け続けることもできるし、敢えてそれに挑み続けるのもプレイヤー次第。
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変則的なステージ構成。
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特に仕掛けのない山門と雪、時折強風が吹いてジャンプの距離が変化する風、当たると大ダメージの落雷がランダムで発生する雷ステージ。
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前作の岩場ステージのような動きにくさもなく、変則的なステージ構成を生み出している。
問題点
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敵のバリエーションが少ない。また、道はどちらを選ぼうが相手が違うだけで、ストーリーの変化はまったくない。
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前作はバラエティに富んでいたが、本作は最初のニセシンと最後の魔道士以外の5戦は、ショウホ、タイリュウ、ゴーダマン、3人との戦いを繰り返すことになる。
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結果的にこの3人とは「2回・2回・1回」「3回・1回・1回」「3回・2回・0回」のパターンになる。
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もっとも、この3人は出てくるたびに服の色が変わるのでまるっきりの使い回し感は薄いのだが。
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必殺技が「飛燕斬舞脚」のほぼ一択。
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主人公シンは3種類の技が使えるが、「千手破壊弾」と「天翔刺旋脚」は一度繰り出すと、一定時間使えない。特に「天翔刺旋脚」はクセが強くてそれを抜きにしても使い勝手が良くない。
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まるで盛り上がらない対戦モード。
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対戦ができるとはいえシン(1P)とニセシン(2P)の実質同キャラクター戦のみで、しかも3つの技を使えたシンの技も1つ「飛燕斬舞脚」だけ。
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もっともこれはシンの技がIコントローラにしかないセレクトボタンで切り替える性質のためやむを得ないが、どのみちこのような対戦しかできないならこのモード自体必要性を感じない。
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ラスボスの魔道士が正体を現した後は運ゲー化する。
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正体を現すと一瞬現れて「青華練気弾」を放ってくる。シンが近づくとワープして距離を取り再び「青華練気弾」というパターン。
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そのため「飛燕斬舞脚」をヘタな鉄砲も数撃てば当たるの要領で出しまくればなんとかなるということが多い。
総評
ゲームとして操作性も非常に改善され、クセの強さはなくなった。ストーリーは短編的ながらも、それなりによくできておりアクション以外の部分で楽しめるようにもなっている。
香港映画風なBGMは比較的ファンタジー系に寄ったものになり、カンフーアクションという内容は薄いものものになったが、ゲームとしての質は大幅に改善された。
ただ、道による対戦相手選択はできても、その対象キャラクターは3人とキャラクター不足をはじめボリューム面では不足感は否めない。
前作のような満足に動かすことすら難しいクソゲーでこそなくなったものの、まだまだ名作というにはほど遠いままシリーズは完結してしまった。
余談
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3年後の1991年に山口譲司氏の漫画で『臀撃おしおき娘ゴータマン』が『週刊少年チャンピオン』に連載開始された。
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「娘」と付くタイトルからして一目瞭然だろうが、本作に登場する敵のゴーダマンとは似ても似つかない。ただ、非常によく似た名前なので本作の経験者からしたら自ずと思い出したのではないだろうか?
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本作はパッケージ販売されたのだが、現存する数は非常に少なく、中古市場に出回っているのはだいだい書き換えたもの。
最終更新:2024年01月06日 05:34