トップストライカー

【とっぷすとらいかー】

ジャンル スポーツ
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 ナムコ
発売日 1992年10月22日
定価 5,800円
プレイ人数 1~2人
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント アニメ3クールまでのストーリーに準拠
独自の強化法
負けて楽しむか、つまらなく勝つか

概要

1991年10月~1992年9月までテレビ東京系列で放映されていたアニメ、「燃えろ!トップストライカー」をゲーム化した作品。
タイトルから「燃えろ!」が抜けたのは、ジャレコの『燃えろ!!プロサッカー』との混同を避けたためと思われる。

ストーリー

イタリア・ジェノバにサッカー留学した日本人の少年「吉川光」は、元イタリアのトップストライカーであるロブソンに才能を見込まれ、未来のトップストライカーを目指す。
ロブソンコーチの指導により、チームワークを学ぶために名門サンポデスタから弱小チームのコロンブスに移籍し、キャプテンとなる。
ジェノバカップ決勝戦でサンポデスタに敗れるものの、ジェノバ代表選手に選ばれ、かつてのライバルと共にイタリア、そしてヨーロッパ制覇を目指す。

システム

  • メインとなるのは「燃えろ!光モード」。コンティニューはパスワード制。
    • 全3章。1章は原作17話までのジェノバカップ、2章は原作31話までのイタリア大会、3章は原作39話までのヨーロッパ大会四カ国対抗戦がベースになっている。
    • 章ごとに3つの試合で構成され、合計で9つの試合を戦う。
  • 練習用の「トレーニングモード」と「2P対戦モード」もある。ゲーム中に出てくる全12チームが使用でき、同チーム対戦も可能。
  • 試合時間は前半・後半5分ずつ。同点の場合は前半・後半2分ずつの延長戦に入り、それでも決着がつかなければPK戦を行う。
    • トレーニングモードと2P対戦モードでは試合時間を3・4・5分ずつのいずれかに選択できる。
  • フィールドは見降ろし視点で、プレイヤーはキャプテンのみ操作する。Aでシュート、Bでパス・競り合い。
    • 他のメンバーは勝手に動く。ボールを持っているときにBでキャプテンにパス、Aでシュート・クリアー。
    • 左(自陣)に向かってAで必殺シュート。ただし所持している回数しか使えない。
  • 試合に負けるとすごろくモードになり、練習してレベルアップ、お金をためてシューズ購入、新メンバーのスカウト、必殺技入手などの強化を行う。
    • サイコロを振る回数はすごろく開始前にルーレットで決定。
      マップは1種類のみだが、章が進むごとに行けるマスの数が増える。
+ すごろくマス解説
  • 拳のマス:光が練習をしてSP(経験値と同義)を獲得。一定以上SPを獲得すると光がレベルアップし能力が上昇する。
  • ボールのマス:必殺シュートの使用回数を1回分ストックできる。
    • ゲーム開始直後は使用回数が0なので試合に負けてこのマスに止まらないと必殺シュートが使用できない。
  • ドル袋のマス:CP(お金)を獲得。下記のサッカーショップで装備を買うのに必要。
  • ボールの看板のマス:サッカーショップ。新しい靴を購入してキック力と走力をアップできる。
  • !マークのマス:ハプニングが発生。SPの獲得やCPの増減、サイコロの残り回数増加のいずれかが起こる。
  • 大きな人物シルエットのマス:新メンバーのスカウト。新メンバーはLH・RH・LW・RWのポジションのいずれかに入れ替えができる。
    • 登場するスカウトメンバーは章が変わるごとに一新される。
  • 大きなサッカーゴールor重量上げのマス:全体練習でSPを獲得。通常の練習マスとの違いは不明。
  • スタート地点のマス:すごろくを打ち切って試合に戻ることができる。

評価点

  • すごろくモードはそれなりに気分転換になり、強化具合が目に見えるので面白い。
    • 止まるマスをある程度選べるので、自チームの強化したい部分に絞っての練習ができる。
  • 必殺シュートの演出
    • チームによって出せる必殺シュートが違い、それぞれ違うCG・実況つき。さらにゴールか失敗かで違う演出が入る。
  • 原作の楽曲のアレンジが使われている
    • 「燃えろ!光モード」のオープニングで原作の主題歌「ドリーム・ストライカー」のアレンジやすごろくモード時はエンディングテーマ「ストラニエーロ ~異邦人~」のアレンジ、ゴール時には原作のゴール時に流れた劇伴のアレンジMEが流れる。

賛否両論点

  • 11人サッカーでかつ、できるだけコートを画面内に広く表示させる都合上、試合中の各選手のグラフィックはRPGの歩行グラフィック並に小さい。
    • この小さいグラフィックでオーバーヘッドキックを再現するなど、グラフィックの出来自体は悪くはない。
  • 視認性を重視したのか、1P側・2P側で各選手のグラフィックが完全に固定。敵チームが変わっても同じ。
  • 試合BGMは当時の日本代表応援歌「WE ARE THE CHAMP ~THE NAME OF THE GAME~」のアレンジ。イタリアなのに
    • 曲調がポップすぎて、試合BGMに合っているとは言えない。
    • さらに試合BGMはこれ一曲のみ。試合状況でBGMが変化することはなく、聞いていて飽きやすい。

問題点

  • 試合に負けたときしかすごろくモードにならない。つまり勝ち続けても自チームが全く強化されない
    • 相手はだんだん強くなるので、そのうちどう頑張っても勝てずに負けることになる。
  • 試合中に必殺シュートの残り回数を確認することができない。
  • メンバーはキャプテン以外に10人いるが、交代で強化できるのはLH・RH・LW・RWの4人だけ。
    • 他のポジションはロベルト・ルカ・ジュリアンなどの原作キャラが配置されるが、能力の確認はできない。
    • 仕様上、スカウトメンバーに必殺技を使わせることもできない。
    • スカウトメンバーの中には「アントニオ」「マリオ」といった原作キャラと同名のキャラが登場するが、顔グラフィックが全く似ていない別人である。
  • 試合の残り時間が少なくなると、CPU側のキャプテンがやたらと必殺シュートを撃つようになる。ペナルティエリア前でボールが渡ったら即失点ということも珍しくない。
  • ストーリー後半のゲームバランスが崩壊している
    • まずキーパーが強すぎる。常にボールの位置をサーチして位置を変え、シュートをした瞬間にその方向に向かって飛びつく。まるでキーパーロボットである
      • ボールに触れると必ずキャッチし、こぼれ球を押しこむことができない。
      • ストーリーが進むほど敵キーパーも強くなり、普通のシュートが全く入らない状態になる。
    • 反面フィールダーは弱い。というか遅い。
      • ドリブルしていても移動スピードは落ちないので、シューズを購入して素早くなれば逃げ続けて時間稼ぎができる。
    • わざと負けてレベルを上げまくれば普通のシュートも通用するようになるのだが、そんなことをするよりも必殺シュートで点を取り、あとは逃げ回るだけで勝ててしまうので、そのほうがクリアは楽だろう。現実ならブーイング必至であるが。
  • 「燃えろ!光モード」において、原作の再現度がいまいちな部分がある。
    • 原作のドラマ性の再現はほとんどない。各試合開始前に原作のメインキャラがひと言喋る程度。
    • 2章での対戦相手のミラノチームは原作でのエースキャラのジャンの名前こそ対戦前に語られるが、ゲーム中のエースは名無しキャラ。
      • しかも必殺シュート時に「ミラノー!」と謎の雄たけびを上げる。
      • ジャンは「ライン際の魔術師」の異名を持つセンタリングなどのアシストに特化したエースであり、本作のゲームシステムでは再現できないための措置と思われるが、名前だけの登場になったのは寂しい。
    • プレイヤー操作のキャプテンしか必殺シュートを撃てない仕様のため、光のチームメイトになったジュリアンやシーザーは必殺シュートを使えないモブ同然のキャラになってしまう。
    • 原作放送終了1か月後に発売したことが影響したのか、第3章になるとオリジナル要素が色濃くなる。
      • 対戦チームに原作のフランス代表チームに代わり、原作でフランスに敗れたドイツ代表チームが登場する。
      • イギリス代表チーム、最終戦の相手のイタリア代表は必殺シュート時にそれぞれ「女王陛下万歳!」「イタリアーノ スパゲティーノ!」とネタに走ったようなセリフを叫ぶ。
    • 原作40話以降のストーリーは再現されず、打ち切り漫画のようなエンディングを迎える。
      • ブラジル代表・日本代表チームとの対戦やジュリアンの元同僚のマリオ率いるサンポデスタジュニアとの最終戦は再現されない。
    • 他にも、光のユニフォームの色がチームが変わってもコロンブス時代のもので固定されていたり、原作とユニフォームの色が異なるチームが存在する。

総評

当時のファミコンはテクモの『キャプテン翼シリーズ』によるサッカーシミュレーションがダントツ人気で、
他社は「斬新な視点」「ハチャメチャケンカサッカー」など独自のアイデアを盛り込み、方向性が定まらず迷走していた時代だった。
本作はサッカー部分ではなく、練習での成長方法に独自のものを採用している。ただ単にレベルを上げるだけでなく、選手のスカウトなど複数の方法で強化できるのは楽しい。
しかし、負けなければ練習できないというのが最大の欠点。勝ちにこだわっているとレベルが上がらず、敵が強すぎて勝てなくなる。
せめて勝っても練習するという至極当然のことを実装できていれば、楽しい部分をしっかり楽しめるし、後半のゲームバランスも良くなったと思われるのだが…。
原作付きゲームとしても原作再現度の微妙さが目立つが、『燃えろ!トップストライカー』の唯一のゲーム化作品である以上、
ファングッズとしての価値は存在するだろう。

余談

  • 本作にスタッフロールは存在しないが、小沢純子氏がサウンドを担当したことを同社発売のPSサッカーゲーム『リベログランデ2』の公式ページにて語っている。(参考リンク)
最終更新:2023年05月14日 17:46